家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第43話 そこは森だった

 言われた通り、俺と志乃はメアリさんがいるかもしれない公園にやってきた。

 ……そう。

 

 異界化したのは公園で、現在ここは封鎖中。

 ヒトは俺たちの他は誰もいない。

 

 本来は木がちょっと植わっていて、遊具がある公園だったんだろうけど。

 現在は……

 

 森だった。

 木々が異様に生い茂り、薄暗い緑の天蓋が空を覆っている。

 

「何がなんだか分からんな」

 

 俺はそう言って、志乃に視線を向ける。

 彼女が小さく頷き

 

「迷って出られないようにならないようにしましょう」

 

 そうだな。

 

 俺たちは森の中へと足を踏み入れると同時に、GUMPのマッピング機能を起動した。

 モニターに地図が書き込まれていき、そこに現在地が表示される。

 志乃が隣で俺の動きを見ながら、ぽつりと言った。

 

「これで迷わずに済むよね?」

 

「まぁ、そうだな。頼りになる相棒だよ、こいつは」

 

 俺はGUMPを軽く叩いて笑ったが、内心じゃそんな余裕はなかった。

 森の中を進むうちに、違和感が募ってきた。

 

 木々の間を抜け、苔むした地面を踏みしめて進むが、景色が妙に似通ってる。

 志乃が立ち止まり、眉を寄せて呟いた。

 

「ねえ、秀司……同じところをグルグル回ってる気がしない?」

 

 俺はGUMPの画面を睨みつける。確かに、マッピングデータによれば直線的に進んでるはずなのに、位置情報が微妙にズレて、同じエリアを繰り返してるような軌跡が描かれていた。

 

「……だよな。俺もそう思う」

 

 俺は舌打ちして、周囲を見回した。

 志乃がGUMPを覗き込んで、冷静に分析を始める。

 

「……空間が歪んでるのかも。異界化の影響で、普通の移動ができない仕組みになってるのかな」

 

「じゃあ、このまま歩いてても無駄ってことか?」

 

 俺の言葉に志乃は

 

「うん、多分ね。出口どころか、メアリさんのいる場所にも辿り着けないよ、このままじゃ」

 

 志乃の言葉に、俺は腕を組んで考える。

 

「どうすればいいのかね……」

 

 俺の呟きに、志乃も一緒に目を細めて考え込む。

 俺は深呼吸して、彼女に訊いた。

 

「何か策はないか? このままじゃ埒が明かないだろ」

 

 すると志乃がしばらく黙った後、ぽつりと言った。

 

「この森に居る悪魔たちなら、何か知ってるんじゃないかしら?」

 

 俺はなるほどと手を打つ。

 

「悪魔と交渉か……悪くないな。それで行こう」

 

「ただ、力で脅したら嘘を教えられるかもしれないし。そこは気をつけないと」

 

 志乃が釘を差すようにそう一言。

 俺は頷く。

 

 契約するなら別だけど、契約可能な悪魔の数は限りがあるしな。

 

「分かった。2人で頑張ろう」

 

「だね」

 

 俺は蛇の剣を手に握り直し、志乃が小さく頷くのを確認してから、再び森の奥へ向かう準備を整えた。

 

 すると、木々の間からかすかな気配が近づいてくる。

 枝が揺れ、微かに人語に近いものが聞こえる。

 

「お、何か来たか?」

 

「秀司、気をつけて!」

 

 志乃の声が響く中、俺は剣を構える。

 

 そしてそれが木々の奥から姿を現す。

 

 それは青い肌と丸っこい身体を持つ、巨漢……

 赤い衣装を身に着けた、異様に腕が長い巨人のような妖精……

 

 妖精トロールだった。

 

 ……でかいな。

 

 でも、やってみるか。

 

 そう思い、俺は

 

「やあ」

 

 その悪魔との会話を開始した。




次回、会話。

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