家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第46話 妖樹トレント

「メアリさん!」

 

 志乃が声を上げると、メアリさんが無表情にこちらを見た。

 彼女は淡々と、いつもの落ち着いた声で言う。

 

「あら、皆本様に飛鳥馬様。助けに来てくださったんですね。ありがとうございます」

 

 そして頭を下げた。

 その礼の言葉に、俺は少し拍子抜けした感じで頷いた。

 だが、視線を隣に移すと、小学生の男の子が怯えた目で俺たちを窺っている。

 

 その顔は動揺と恐怖に震えていて、やらかしを見つかって叱られる前の子供そのものだった。

 どうしよう、困った──そんな表情が丸見えで、俺は思わず眉を寄せた。

 そいつの指には、シドの指輪と思しき銀色のリングが光っている。

 

「またそれか……」

 

 俺が呟いた瞬間、トレントがざわざわと枝を揺らし、低く唸るような声で宣言する。

 

「主の命により、お前たちを排除する」

 

 その幹に刻まれた老人のような顔が歪み、枝でできた腕が振り上げられる。

 周囲の草木が一斉に動き出し、蔓や根が俺たちに向かって襲いかかってきた。

 俺は蛇の剣を構え、志乃に叫んだ。

 

「志乃、後ろに下がれ!」

 

「分かった! でも、どうやって倒すの?」

 

 志乃が素早く後退しながら訊く。

 俺は頭をフル回転させる。

 

 妖樹族の悪魔の弱点は大体炎だ。

 手持ちの仲魔で炎を扱えるのは、初級魔法アギを持つ妖魔シャイターンしかいない。

 

 だが、この巨体をアギだけで倒すのは骨が折れる。

 

「シャイターンだけじゃ火力が足りないぞ……他に何か──」

 

 俺が考え込んでいると、トレントの枝が地面を叩き、そこの地面から蔓が生え襲って来た。

 咄嗟に跳んで避けながら、ふと気づいた。

 

 聖獣シーサーが持つ放電──電撃魔法だ。

 木に電気が通るなら、感電で動きを止められるかもしれない。

 

 召喚するメンツを調整しないと。

 

「志乃! 召喚する時間を稼いでくれ! 10秒程度で良い!」

 

「了解!」

 

 志乃が走りながらザンを打ち込んでトレントを牽制する。

 

 その間に俺はGUMPのキーボードに指を走らせ、召喚するメンツを調整した。

 

 そして。

 

「来い!」

 

 俺がGUMPの引き金を引くと、4体の悪魔が魔法陣から召喚された。

 

 神獣カマプアア、聖獣シーサー、妖魔シャイターン……

 

 そして

 

 妖鳥タクヒ……。

 一本足の桃色のフクロウのような姿で。

 それで顔が人面になっている鳥の悪魔だ。

 

「カマプアア! ラクンダ! そしてタクヒ!」

 

 そこで俺は1本足の妖鳥に目を向ける。

 

「ジオを撃て!」

 

「ワカッタサマナー」

 

 その1本足の人面鳥は初級雷撃魔法ジオを放つ。

 タクヒの甲高い鳴き声に連動するように、雷撃が発生してトレントを打った。

 

「ぐうぅ!」

 

 トレントの動きが止まる。

 雷撃は通じる!

 

 俺は続けた。

 

「シーサー! 放電で畳み掛けろ! 余裕を与えるな!」

 

「承知だ」

 

 その南国の獅子の悪魔は大きく吠え、その咆哮と共に電撃を放った。

 広範囲を捉える青白い稲妻がトレントに直撃し、さらに動きが停止する。

 

 今だ!

 

「シャイターン、アギ!」

 

「おっけー!」

 

 アギ!

 

 俺の命令に、子供のイメージするお化けのように足が無い姿の悪魔・シャイターンが小さな火球・アギを放つ。

 炎の弾がトレントに直撃し、その身体を焼いた。

 

 グアアアアア!

 

 かなり効いてるが、致命打じゃない。

 連打が要る。

 

 だから

 

「トレントを動かすな! ジオと放電も連打しろ!」

 

 承知! 合点ダー! マカセロ!

 

 3体の悪魔が雷撃魔法と火炎魔法を連打する。

 

 ギアアアアアアアア!!

 

 そして激しい断末魔を残し。

 トレントはボロボロになり、やがてマグネタイトに分解し、消滅していった…… 




樫の木オジサンを倒した!

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