家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話 作:XX(旧山川海のすけ)
第48話 契約可能な枠が少ない問題
一晩が過ぎた。
実は、昨日から俺の頭には引っかかるものがあった。
トレントとのバトルで、火炎魔法がシャイターンのアギしかなかったことが、どうしても気になって仕方なかった。
火炎魔法がアギしかないのは不安過ぎる。せめてアギラオか、マハラギ、もしくはファイアブレスくらいは欲しいのに。
現行の戦力の低さを思い知ってしまった。
これじゃあ、シドと対峙したときに話にならないだろ……。
だから俺は、業魔殿のロビーで休憩中
「志乃、ちょっといいか?」
俺が声をかけると、彼女が驚いたように俺を見る。
「どうしたの、秀司?」
「昨日の戦い……火炎魔法がシャイターンのアギしかなかっただろ。どう考えても問題だ。放置しておいていい問題じゃない」
俺の言葉に志乃が顔を顰め、唇に指先を当てて少し考え込むように首を傾げて
「確かに……あのトレントでも手こずったもんね。もっと強い火炎魔法が必要かも」
将来的に、あれより強い相手に勝たないといけないわけだし。
志乃はそう呟く。
俺は彼女がそこを理解してくれていることに感謝して
「それだけじゃなくてさ。仲魔の契約数が8体ってのも問題だ」
俺はGUMPを軽く叩きながら、苛立ちを隠さず呟いた。
使い慣れてくるにつれて思う。
8体は少ない。
晶を救う時間があと20日ない以上、もっと契約数を増やさないと間に合わないだろ。
悪魔合体をもっと繰り返さないといけないんだから。
これは切実な問題だ。
だから俺は決意を固め……
「メアリさん、相談があるんですけど」
業魔殿で作業中のメアリさんに、作業の合間を見計らってそう話し掛けた。
するとメアリさんは無表情のまま
「何でしょう? 皆本様」
俺は
「もっと契約数を増やしたいんです。GUMPの仲魔枠、最大8体は少なすぎます。何か方法ないですか?」
それに対してメアリさんは
「GUMPに使用するメモリは、特殊な処理を施したものでないと機能しません。お金が膨大に掛かりますし、たとえ金を積んでも手に入らない場合が多々あります」
その言葉に、俺の肩が少し落ちた。
「ダメなのか……」
ため息が出た。
だが、完全に諦める前に、もう一度訊いたんだ。
「全く方法が無いんですか?」
それにもメアリさんが首を振るかと思いきや
「いえ、方法が無いわけではありません。要は専用のメモリが手に入ればいいのです。あるダークサマナーが使用していたCOMPのメモリを移植すれば、契約数を増やせる可能性があります」
「ダークサマナー?」
場所を移して。
倉庫に連れて来られた。
そこには色々、得体の知れないアイテムが保管されていて。
聞くと「様々な経緯で流れ着いたいわく付きの物品類です」と言われる。
そこでメアリさんが倉庫の隅で保管されていたものを持って来た。
それは、パラソルに見えて
「このパラソルがCOMPなんですか?」
そう訊ねるとメアリさんは頷いて
「マヨーネというダークサマナーが使用していたCOMPです。再利用もできないので保管していました」
何故再利用できないのか……?
それについては
「このCOMPは呪われているのか、災厄を呼ぶのです」
……だとさ。
俺がそのパラソルCOMPを手に持つと、妙に冷たい感触が掌に広がった。
気のせいかもしれないけど。
志乃が少し不安そうに俺に視線を向けて来る。
「大丈夫? 秀司……呪いって、ちょっと怖いんだけど……」
「まぁ、やるしかないだろ。晶を救うためだ」
メアリさんが続けて、地図を1枚差し出した。紙には細かい文字と線が描かれている。
「この地図に従い、悪魔召喚に関するコンピュータエンジニアに会いに行ってください。彼女ならメモリの移植ができるはずです」
俺は地図を受け取り、目を細めて眺めた。
呪いについては何とかしてくれるのだろうか……? そこが少し気になったが
「分かった。行ってくる」
俺はそう答えた。
これは避けようのないことだし。
やってやんよ。
マヨーネ。
1回しか出て来ないけど、わりと好きなダークサマナー。
本作を読んでいただき感謝です。
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