家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話 作:XX(旧山川海のすけ)
俺はメアリさんから渡された地図を広げ、紙面を睨んだ。
その地図を確認しながら、ふと呟く。
「ここ、タワマンじゃないのか?」
記憶を掘り返してみると、この辺りに馬鹿みたいにデカいマンションを見た覚えがある。
ガラス張りの外壁が陽光を反射して、遠くからでも目立ってたやつだ。
この町の富裕層がどの辺に住んでるのかなんて興味がなかったから詳しく調べてないし、自信はないけどさ。
志乃が地図を覗き込んで、首を傾げながら言った。
「タワマン住まいの人……マンションに入るの本当に出来るのかな?」
彼女の声には少し不安が滲んでいて、眉が寄ってる。
確かに、セキュリティが厳しそうだし。
気軽にホイホイ入れる場所ではないだろな。
「でもまぁ、多分メアリさんが何かしら連絡を入れてくれてるはずだろ」
俺は肩をすくめて、地図を折り畳んだ。
メアリさんの無表情な顔が頭に浮かぶ。
あの人が行けと言うんだからだいじょうぶだろ。
「だから、部屋番号をプッシュしたらなんとかなるさ」
志乃が小さく頷きつつも、ちょっと心配そうな目で俺を見た。
「そうだといいけど……呪われたCOMPって言ってたし、変なことにならないよね?」
「なるならなるで、そのとき考えようぜ」
俺はパラソル型のCOMPを軽く振って笑った。
だけど、内心恐れがないわけじゃない。
気にはなる。
だけど今は呪いを気にしている場合じゃない。
多分、致命的なものでは無いんじゃないか?
そうでなければ、いくらなんでもメアリさんが俺にこれを差し出しては来ないだろ。
そして、正午近く。
昼の日差しが降り注ぐ中、俺と志乃は地図に記された場所へと向かっていた。
街の喧騒が少しずつ遠ざかり、高層ビルが視界に入ってくる。
そこに向かう階段を登りながら、汗が額を伝うのを感じた。
パラソルを手に持つ感触が妙に冷たくて、暑さの中で逆に不気味だ。
暑い……。
変だな。
別に夏では無いのに。
「妙に暑いな……」
俺が呟くと、志乃がハンカチで首を拭きながら応じる。
「うん、異常気象かな?」
「どうかな──」
その瞬間、俺の視界がぐらりと揺れた。
頭の中がクラクラして、足元がふわっと浮くような感覚。
階段の手すりを掴もうとしたけど、手が空を切る。
「秀司!?」
志乃の声が遠くで響き、彼女の顔が歪むように見えた。
俺も何か言おうとしたけど、声にならなかった。
目の前が白く霞み、次の瞬間、意識が途切れた。
……気が付くと、俺と志乃は見知らぬ丘に立っていた。
目の前には果てしなく広がる草原。
緑の波が風に揺れ、遠くの地平線まで何も遮るものがない。
人家どころか、周囲には木一本すら見えない。
空は抜けるような青で、さっきまでの暑さが嘘みたいに涼しい風が吹いてくる。
俺は呆然と周りを見回した。
「……ここ、どこだ?」
志乃が隣で膝をつき、目を擦りながら呟く。
「さっきまで街にいたよね……?」
彼女の声が震えてて、俺の腕を掴む手が少し力んでる。
俺はパラソルを握り直し、GUMPを手に持って確認した。
GUMPは起動した。
だけど……
GUMPの通信機能が全部死んでいた。
何処にも繋がらない。
「クソッ、何なんだこれは……?」
まるで流行りの異世界転移じゃないか。
戻れるのかこれ……?
俺たちにはやらなければならないことがあるのに……!
そこで志乃が立ち上がり、草原を見渡して小さく呟く。
「これは呪われたCOMPのせい……?」
俺はパラソルを睨みつけた。その白い色が、陽光の下で妙に生々しく見える。
メアリさんの「道中気を付けてください」って言葉が頭をよぎる。
「かもしれないな。しかし、ここまでヤバいとは思わなかった……」
俺は歯を食いしばり、草原の向こうを見据えた。
俺たちはやらなければならないことがあるから、立ち止まっている場合じゃないんだ……!
主人公たちは一体どこに飛ばされたのか?
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