家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話 作:XX(旧山川海のすけ)
火ィ!
火事ッ!
水ッ!
一瞬そう思ったが。
光る人影が放射した火炎は、何故か部屋を焼かなかった。
ただ化け物を消し炭にして、消えてしまったんだ。
……えっ?
「……助かった……の?」
志乃の戸惑いの混じった声。
気持ちは分かる。
……現実感無いもんな。
あり得なさ過ぎて。
俺は
「……アンタ誰だよ?」
取り敢えず、それを訊ねる。
光る人影はこう返して来た。
「俺は葛葉キョウジ。一応、国家公務員みたいなもんだ」
「公務員……?」
到底納得できない返答。
俺が思わずそう返すと
彼は(一人称俺だから、多分男だろ。声も男だったし)
「みたいなもん、だ。そのものじゃない」
……何か尊大さを感じる声だな。
あと、冷たいんだ。
あまり好きになれる人間ではなさそうな印象。
だけど
「あ……危ないところを助けてくれてありがとう」
この男が化け物を殺してくれたのは間違いないし。
俺は礼を言った。
すると彼は、キョウジは
「礼には及ばん。俺の都合で巻き込んだわけだしな」
……悪びれもせず、そんなことを言ってきやがった。
は……?
絶句する俺たちに向けて、キョウジは説明してくれた。
彼はデビルサマナーという、伝説や神話に登場する神や悪魔や怪物を使役し、日本の霊的な治安を守る職業の人間で。
あの変な銃は
神話上の神や悪魔は実在しており、そういう存在が直接国を脅かしたり、もしくはそれを使役して悪を成そうとする人間が現れる事例が昔からあって。
デビルサマナーという存在は、そんな脅威からずっと人々を守って来たらしい。
そして彼は、そんな秘密の仕事の中で敵対組織の罠にかかり、倒されそうになったので、最終手段として逃げを打ったとのこと。
その方法というのが……
契約悪魔の悪霊ピシャーチャを召喚してGUMPを初期化し。
その後自分の肉体を捨てて魂だけで初期化されたGUMPの中に避難。
その後ピシャーチャに
「GUMPを一人暮らしの人間の家の中に放置して、家主がそれを手に取ったらそいつを喰い殺して良い」
という約束で逃亡させる。
そうするとピシャーチャは主人のお墨付きで人間を喰えるから、全開全力で逃亡し、任務を遂行してくれる。
というもので。
そこまで聞いた瞬間
おいふざけんなよアンタ!
何してくれてんだ!?
そう言おうと思ったんだけど
その前に
「ザッケンナコラァァァァッ!!」
志乃がブチ切れた。
「私の彼氏無関係なのに巻き込むなんてアンタ倫理観どうなってんのよ!?」
……志乃がここまで声を荒げることはあんまりないんだけどさ。
だからこそ嬉しくはあったけど……
こいつ、そんなとんでもない手段を平気で取る人間だから、怒らせるとまずい
「志乃、落ち着け」
彼女に視線を向ける。
目を見てそう伝えると
目を吊り上げていた彼女はいくらか落ち着いたのか、それ以上は言葉を発さなかった。
俺は視線をキョウジに向け直す。
キョウジは
「ちゃんと助けたじゃないか。最初からそのつもりだったよ。あんなものが出て来て、手に銃っぽいものがあれば引き金を引くだろ。生き残る気が少しでもあるならな」
引き金を引くと、ユーザー認証が成されて中の俺が弾き出されるから、問題なく助けられる。
何も問題は無い。
……だとさ。
つまり、コイツの言ってることを纏めるとだ
……あの局面でGUMPの引き金を引かないようなナチュラルボーン負け犬野郎は、別に死んでも構わない。
暗にそう言ってんだな……
……コイツ、性格エグすぎだろ……
お前のような……お前のような人間がいるなんて……!
本物のキョウジはこのくらいのことは平気でやる男ですのでー
本作を読んでいただき感謝です。
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