家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話   作:XX(旧山川海のすけ)

50 / 106
第50話 妙な人たち

 俺と志乃は見知らぬ世界の草原を歩き始めた。

 足元の草がサクサクと音を立て、風が緑の波を揺らす。

 

 見渡す限り人家は見えない。

 異世界転移だとしても、ここまで何も見えないってのは異常だと思う。

 

 誰にも会えなければ情報も取れないし。……困った。

 

「なぁ、志乃。何か感じるか……?」

 

 志乃が足を止めて、周囲を見回しながら呟く。

 俺の言葉に志乃は腕を組んで「うーん」と考え込み。

 

「……なんかさ、空気の感じが違うよね」

 

 彼女の言葉に、俺は深く息を吸い込んだ。

 確かに、空気が澄んでる気がする。

 

 都会の排気ガスや埃っぽさが一切なくて、肺にスッと入ってくる感じ。

 

 汚染されていない空気ってやつ、吸ったことないけど、これがそうなのかもしれないな。

 俺はなんとなくそう思った。

 

「そうだな。なんか……新鮮すぎて逆に気持ち悪いくらいだ」

 

 俺がそう呟くと、志乃が小さく笑って頷く。

 

 だが、その笑顔もすぐに消えた。

 草原の果てまで見ても、何の手がかりもない。

 このままじゃ、エンジニアどころじゃないだろ。

 

 そのときだった。

 

「ギャーッ!」

 

 人間の悲鳴が草原を切り裂いた。

 鋭くて、恐怖に震える声。

 俺と志乃は同時に顔を見合わせた。

 

「ヒトの声だ!」

 

「誰かが襲われてるなら、助けないと!」

 

 俺たちの意志は瞬く間に纏まり、走り出す。

 これが手がかりになるかもしれないし、何より放っておけない。

 

 俺たちは悲鳴の方向へ全速力で走り出した。

 

 悲鳴の元に駆け付けると、数人の小柄な男たちが化け物に襲われていた。

 

 その男たちは俺より頭一つ分くらい背が低く、小男ばかりで。

 

 だけど、その身体はバキバキに鍛え上げられていて、筋肉が服の下でうねってるのが分かる。

 

 そしてその腕や首、一部は顔まで、わりと隙間なく刺青が彫られてて。

 まるでファンタジー世界の呪術師みたいに見えた。

 

 その着てる衣服は藁か何かで編んだ粗末なもの。

 それは……縄文人が着てそうな雰囲気だった。

 社会科の教科書で見た覚えがある。

 

 そしてそんな縄文人風の男たちを襲っていたのは、人面獣だった。

 胴体は牛とも馬ともつかないデザインで、色は紫色。

 その太い4本脚が地面を踏んでいる。

 

 怪物の胴体はそんな感じで。

 その胴体の上に人間の男の顔がついてた。

 禿げた男の顔で

 

 それが

 

「オギャアアアア!」

 

 そんな鳴き声をあげた。

 

 その、赤ん坊の泣き声みたいな鳴き声を聞いたとき。

 俺の背筋がゾッとした。

 

 俺はその姿を見て、すぐに気づいたんだ。

 

「あれ、妖獣アツユだ!」

 

 中国産の人喰いの化け物だ。

 志乃が息を飲む。

 

「アツユって……どうすればいいの!?」

 

「倒すしかないだろ!」

 

 言いつつ俺はGUMPを起動させ、戦闘態勢に入った。

 画面が光り、召喚の魔法陣が地面に浮かぶ。

 

「来い!」

 

 一瞬で4体の仲魔が召喚された。鬼女マナナンガル、聖獣シーサー、妖魔シャイターン、そして妖鳥タクヒだ。

 

「行くぞ!」

 

 俺は蛇の剣を抜いて突っ込んだ。

 

 

 

 戦闘はあっという間に終わった。

 俺は息を整え、GUMPを下ろす。

 志乃が肩で息をしながら近づいてきた。

 

「早かったね……」

 

「ああ、油断しなけりゃこんなもんだよ」

 

 俺が頷くと、小柄な男たちが一斉に立ち上がり、こちらに駆け寄ってきた。

 そして

 

「ありがとうごぜえました!」

 

「助かりましただ!」

 

 ……何故か日本語で礼を言われた。

 俺と志乃は目を丸くして顔を見合わせた。

 

「お前ら、日本語喋れるのか!?」

 

 すると。

 男たちは困惑して

 

「ニホンゴ?」

 

 ……俺の言ってることが通じていない様子。

 日本語という言葉が無いのか?

 

 どういうことだ……?

 これは……?

 

 衣服と低身長という姿形と、言葉の問題で。

 

 一瞬「ひょっとして縄文人か?」そう思ったけど……

 

 確か言葉って何百年も経つと変質して通じなくなるんだよな。

 枕草子とか、源氏物語の古文を見ればすぐわかるけどさ……

 

 だからホントに縄文人なら、俺に分かる日本語を使ってるはず無いんだよ……。

 

 うーん……ホント何なんだろうな?

 コレ……




良く分からんが、手がかりだね。

本作を読んでいただき感謝です。
続きが気になる、面白かった。
その場合は評価、お気に入り、コメント等を頂けますと嬉しいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。