家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第51話 縄文くさいなぁ

 妖獣アツユを倒し、小柄な男たちを救った俺と志乃は、彼らの集落へと案内された。

 草原の端に広がるその場所は、まさしく教科書の中の世界だった。

 

 目の前に広がるのは、地面に掘られた丸い穴に茅葺きの屋根をかぶせた竪穴住居。

 数十軒がゆるやかに円を描くように並び、中央には大きな焚き火の跡が黒く焦げている。

 

 空気には土の湿った匂いと、どこかで焼かれる獣の脂の香りが混じっていた。

 風が吹くたび、茅葺き屋根の隙間からかすかな煙が立ち上り、草鞋を履いた足音が土を踏む音と重なる。

 

「ここが……あんたらの住処か?」

 

 俺が呟くと、先頭の男が振り返り、筋肉質な腕を軽く振って答えた。

 

「そうですだ。おらたちのムラでございます。ようこそです、神の使者」

 

 その言葉に、俺は眉をひそめた。

 神の使者っていきなり何だよ、と内心で突っ込む。

 だけど男たちの目は真剣で、刺青が刻まれた顔にはどこか安堵と期待が浮かんでいた。

 

 その衣装や背丈から、縄文人にしか見えない彼ら。

 

 集落の中央に進むと、縄文人たちが次々と集まってきた。

 男たちは石槍や弓を手に持ち、女たちは土器を抱えてこちらを窺う。

 子供たちが母親の背後に隠れ、好奇心と警戒心が入り混じった目で俺たちを見上げてくる。

 その中から、2人の女が前に進み出た。

 1人は幼い顔に鋭い目を持つ少女で、もう1人は落ち着いた雰囲気の長身の女だ。

 

「私はミナといいます。オサの娘です」

 

 少女が胸を張って名乗る。彼女の声はまだ幼さを残してるけど、目には強い意志が宿ってる。

 そして隣の女が一歩前に出て、穏やかに続ける。

 

「私はアヤです。同じくオサの娘で、ミナの姉です。神の使者よ、歓迎致します」

 

 そして2人は俺たちに平伏し、それに続くように他の住人たちも地面に平伏した。

 俺たちは当然だけど焦ってしまう。

 

「ちょ、ちょ、待ってくれ」

 

「そういうの、嫌だから!」

 

 慌てて立ち上がるように促すと、オサの娘を名乗る2人は

 

「呪術師ディーグイに苦しめられる私たちを救うため、ミナカヌシ様がお遣いになった使者では無いのですか?」

 

 顔を上げ、そんなことを言ってくる。

 

 ……ミナカヌシ?

 

 天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)のことかな?

 日本神話で最初に登場する神だけど、古事記が編纂された時点であまりにも古過ぎてすでに詳細が不明になってた神のことかな?

 

 ……うっは、縄文くせー……

 

 そんなことを思いつつ

 

「呪術師ディーグイって何だ?」

 

 一応訊いた。

 情報は大事だ。

 

 すると

 

 平伏状態で顔だけこっちに向けて、アヤが静かに説明を始めた。

 

「ディーグイは海の向こうのクニから来た恐ろしい男です。多くの怪物を従え、我々を殺し、生贄として女と子供を奪っていきます。そのせいで私たちのオサも責任を感じて病になり、巣で休んでいます」

 

 ……なるほど。

 何でオサの娘が出て来るのに、オサが出ないのか疑問だったんだけど。

 そういうわけね。

 

 ……気の毒だな。

 心労で倒れたのか……

 

 しかし、海の向こうか……

 中国古代王朝の関係者かね?

 

 縄文時代ってどのくらい昔だったっけな。

 その時代の中国の王朝って何だったっけ……?

 

 分からん。

 

「殷? いや周? 夏では無いと思うんだけど……」

 

 俺は顎に手を当てて呟く。

 志乃がそんな俺の呟きを聞き

 

「秀司、心当たりあるの?」

 

 そんなことを訊いて来たから。

 俺は

 

「秦の始皇帝の時代が紀元前220年くらいだけど、縄文時代は多分それより古いよな……」

 

 そう呟く。

 すると志乃が

 

「縄文時代は確か1万年以上前よ」

 

 えっと。

 

「知ってるの?」

 

 訊くと彼女はしれっと

 

「そこだけたまたま覚えてた」

 

 なるほど……

 

 まぁ、時代は幅があるわけだから、今が1万年以上前の世界である保証は無いんだけど。

 最悪そのくらい古い可能性はあるわけか……

 

 そうすると、古代中国の王朝名なんて分からんな……

 夏王朝より古い王朝かもしれないわけで。

 

 そこに考えが至ったとき。

 俺はその呪術師の出自を推理するのはやめることにした。




縄文時代ははじまりは1万年以上前だけど、終わるのが紀元前300年くらいらしい。
幅が超広い。

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