家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話 作:XX(旧山川海のすけ)
一晩が明けた。
竪穴住居の外に広がる朝霧が薄れ、朝日が輝いている。
焚き火の残り火が小さく燻り、縄文人たちが静かに動き始めていた。
俺と志乃は昨夜の宴の騒ぎを思い出しつつ、アヤとミナに近づいた。
2人とも朝の光に照らされ、刺青が薄い霧の中で浮かび上がってる。
アヤが穏やかな目で俺を見上げ、ミナが少し眠そうな顔で隣に立つ。
そしてアヤがミナの様子を見咎めて、その腕を引っ張り、彼女に覚醒を促した。
俺はそれは無理しなくていいといい
「なぁ、君らが言ってた呪術師ディーグイってやつ、どこにいるんだ?」
それだけ聞ければ十分。
礼は別に要らないわけで。
俺が単刀直入にそう訊くと、アヤが静かに北を指差した。
「あちらの岩山の奥です。あそこにディーグイの住処があります。私たちには近づけない場所です」
ミナが頷き、幼い声で補足する。
「怪物がいっぱいいます。気を付けてください」
「分かった。じゃあ、行ってくる」
俺はGUMPを手に、志乃に目をやった。
彼女が小さく頷き、2人で簡単な食料と水を受け取って集落を後にした。
縄文人たちの視線が背中に刺さるけど、振り返らずに歩き出す。
昨夜のアヤの提案が頭をよぎり、ちょっと気まずい気分だった。
岩山に近づくにつれ、邪気みたいなものを感じた。
悪臭がして、岩の隙間から不気味な唸り声が響く。
視界に紫の毛皮がちらつき始めた。
……妖獣アツユだ。しかも1体や2体じゃない。
いっぱいいる。
赤ん坊の泣き声みたいな吠え声があちこちでこだましてる。
俺は足を止め、志乃と顔を見合わせた。
「ちょっと数が多すぎだろ……こいつら全部相手にはできんだろ」
……それは消耗が激し過ぎる。
志乃が目を細めて山を見上げ、呟く。
「私もそう思うよ秀司。こんな数、ムリムリ。先にこっちが潰れちゃう」
「だよな。どうしたもんかね……」
アツユ軍団をやり過ごす方法が無いと
そう俺がGUMPを手に持って考え込んでると。
空の上から巨大な気配が舞い降りて来る。
俺たちは身構え、臨戦態勢を取る。
だが……
「……オヌシら、この時間軸の人間ではないな」
そんなことを言いながら現れた悪魔。
それは……
単眼の龍。
龍としての長い胴体。
緑色の鱗に覆われた身体。
悪魔は名乗る。
「我は龍神イチモクレン。お前たち、何用でこの時間軸に来た?」
俺は一瞬たじろいだが、答える。
「この岩山を根城にしている呪術師を倒しにきたんだが、ちょっと敵が多過ぎて困ってるんだよ」
俺の言葉に
イチモクレンが身体をくねらせ、単眼を細める。
「供物を差し出すなら手助けしてやってもいい」
供物~?
俺はちょっと分からなかったので
「それは何だ?」
訊ねると、イチモクレンは
「酒だ」
……酒だと?
脳裏に浮かぶのはコメの存在。
この時代にコメなんかないだろ!
酒って言われても、どうすりゃいいんだよ……!
酒は供物として一般的だよね。
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