家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第59話 危機一髪

「フハハハハハ……」

 

 ディーグイは嗤う。

 血走った眼で。

 

 筋肉が異常発達した身体は、肌の色が赤黒く変わり、まるで鋼鉄を感じさせた。

 

「……これぞ我が奥義タルカジャダインだ……寿命を縮める我が奥義……さぁ倭人共……この我の猛攻に耐えることが出来るかな……?」

 

 ディーグイの肌に刻まれた甲骨文字の刺青が発光している。

 この姿は伊達じゃない……!

 

 それを俺が確信するに至ったのは

 

「ヌオオオオオ!」

 

 オニの金棒の一撃。

 それがディーグイの脇腹に叩き込まれるが

 

「……効かんなぁ!」

 

 ディーグイは意に介さず。

 腕を無造作にブンと振る。

 裏拳だ。

 

「ガアアアッ!」

 

 その一撃でもんどり打ってぶっ飛ばされるオニ。

 

「痒いわ……!」

 

 ディーグイはそんなオニに視線も向けず

 

「……このまま1人ずつ始末してくれる」

 

 オニの生死は気になるが、今はそれどころじゃない。

 刺青が赤く輝いている。

 

 ……打撃が駄目なら斬撃はどうだ!?

 

「でやあああああ!」

 

 俺は雄叫びと共に袈裟斬りを浴びせるが……

 

 刃が、通らなかった……!

 切り傷どころか、跡すら残っていない……!

 

「そんな馬鹿な……!」

 

「フハハハハ! 我が魔術により発達した筋肉は、刃など通さぬ!」

 

 ディーグイの勝ち誇った言葉。

 

「ザンマ!」

 

「ザンマよ!」

 

 マナナンガルと志乃のザンマが直撃するが……

 効いている様子が無い……!

 

「タルカジャダインを舐めるァ! アギダイン!」

 

 無敵状態のディーグイ。

 それがアギダインを繰り出して、シーサーを焼いた。

 

 グアアアアアッ!

 

 灼熱の火炎弾が直撃し、悲鳴と共に吹き飛ばされるシーサー。

 哄笑するディーグイ。

 

 炎が洞窟を焼き、俺たちを照らした。

 

 イチモクレンがかまいたちを伴う竜巻を呼び起こす。

 だがそれも効果を上げていない……!

 

「くそっ、どうすればいいんだ……!」

 

 そのときだった。

 

「スクカジャ!」

 

 志乃の声。

 支援魔法・スクカジャ。

 敏捷性と集中力を上昇させる魔法。

 

 それを自身に掛けて身軽になった志乃は、その状態で突っ込む。

 

「倭人の女! 見苦しいぞ!」

 

 ディーグイは突っ込んでくる志乃を撃ち落とそうと

 

「アギ! アギ! アギィ!」

 

 その右手の人差し指、中指、薬指から火炎弾……おそらくアギを放って来た。

 連打するために魔法のレベルを落したのか。

 

 だが、その規模は決して小さくない。

 多分そのひとつずつが、アギラオに匹敵する火炎弾……!

 

 だけど志乃は、左右にステップを繰り返し、速度を落とさず、1発も貰わないでディーグイに迫る。

 

 そして。

 

「……喰らいなさい」

 

 ゼロ距離。

 その位置に辿り着き。

 

 ディーグイの腹に手を当てた。

 対するディーグイは苛立っていたが、侮っていた。

 

 ……ザンマであれば、ゼロ距離で喰らっても耐えられる……!

 その自信があったのか。

 

 しかし

 

 志乃が放ったのは

 

「ザンダイン!」

 

 ザンマでは無かった!

 

 上級衝撃魔法・ザンダインだったんだ……!

 

 凄まじい爆発音鳴り、ディーグイの巨体が吹っ飛んだ。

 

「グアアアアアアアッ! ナ、何ィィィ!?」

 

 そのまま岩壁に叩きつけられる。

 ザンダインを繰り出した志乃は、魔力の大量消費の影響下、息が荒い。

 

 ザンダインをゼロ距離で浴びたディーグイは……

 

「お……おのれ……我が足が動かぬ……!」

 

 ザンダインで脊椎に損傷があったのか。

 動けなくなったようだった。

 

 ……終わりだ。

 

 そう、俺が思ったとき。

 ディーグイは恐ろしい笑みを浮かべ

 

「ならば共に死ねィ! 倭人どもめ!」

 

 ディーグイが最終手段に出た。

 発狂してアギダインを乱射してきたんだ。

 

 大威力の火炎弾が乱れ飛ぶ。

 

「下がれ皆!」

 

 俺は仲魔を全て帰還させ、その場から離れようとした。

 おそらくこの状態はそこまで続かない。

 だから耐え抜けば……!

 

 そのとき

 

「逃がさぬわぁ!」

 

 ディーグイの狂った叫びが轟いた。

 それと同時だった。

 

 洞窟が揺れ、岩壁が崩れ始めたんだ。

 血の気が引く。

 

 こいつ、本気で道連れにする気だ!

 

 俺は志乃の手を掴み、一切彼女に配慮しない速度で走り出す。

 今、余裕なんて無い。文句を言わないでくれ!

 

 だけど

 

「秀司!」

 

 志乃の悲痛な叫び。

 ……これは間に合わない。

 

 マズイ……どうすれば……!

 

 崩落が迫る。

 

 そのときイチモクレンが咆哮した。

 

「掴まれ!」

 

 龍神の言葉。

 俺と志乃はなりふり構わずその身体にしがみ付く。

 

 龍神は飛んだ、疾風のような速さで。

 そのまま洞窟を飛び出す。

 

 ギリギリだった。

 

 俺たちが脱出すると同時に岩が砕け、洞窟が完全に潰れ、塞がってしまった。

 

 ……危機一髪だ。




古代の呪術師を倒して……

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