家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第67話 ロリコンの道は

「アリスは俺の娘だ! 父親として、絶対に守る!」

 

 楼里将児の叫びが、木見北神社の広場に響いた。

 汗だくの顔に血走った目、シドの指輪を嵌めた手が震えている。

 俺は一瞬言葉を失い、志乃と顔を見合わせる。

 

「……娘って、何だよそれ」

 

 内心、俺はこいつを小児性愛者の異常者だと決めつけていた。

 7~8歳の少女を「娘」と呼び、独占するような態度。

 理解できなかった。

 

 だが、楼里はその視線を感じ取ったのか、俺の心を読んだように首を振った。

 

「……嘆かわしい」

 

 ため息交じりに

 

「君は何も分かっていない」

 

 何がだよ。

 

 だけど楼里は真剣な顔で。

 

「良いか? 我々は幼女と恋仲になりたいとか、愛されて性行為をしたいとか、そんなことは……そんな下劣なことは考えてはいないんだ」

 

 愚かな創作物に影響を受けすぎだ。

 君はロリコンの何を知っているんだ?

 

 ……その目は真剣で。

 

 俺は何も言い返せなかった。

 志乃もだ。

 

 彼は続ける。

 

「真のロリコンとは、幼女を守り、その真っ直ぐな成長を見守る聖人の道……! アリスは純粋で、汚れのない存在なんだ。俺は彼女を良い子に育てる……! この指輪は絶対に渡さないぞ!」

 

 指輪の手を握りしめ、楼里が力強く吠える。

 その目は真剣そのもので……。

 俺と志乃は、ただただ呆然とする。

 

「……この人、本気で言ってるよね……?」

 

 志乃が小声で呟く。

 俺は頷いた。

 そして

 

「……年齢上がって来るとそうなってくるんかな」

 

 この男性、俺より年上だし。

 そうなってくると、自分が愛されたいとか、色々ややこしいことをしたいとか。

 そういう気持ちが薄くなって、誰かに愛を注ぎたいと思うのかも……?

 

 ……正直。

 なんだか少しだけ……

 

 気持ちが分かる自分が居る。

 というか……

 

 志乃と恋人関係になって、志乃とエロいことをしたいとか、彼女から愛されたいとか。

 無論思うけどさ……

 

 一番満たされるのは彼女を喜ばせた実感が持てたときなんだわ。

 だから少しだけ、この男の主張することは理解はできた。

 

 だけど……

 

「楼里、あんたの気持ちは少ーしだけ分かるけど……バラバラ殺人事件の犯人はあんただろ?」

 

 俺はGUMPを鞄から取り出して握りながら、慎重に切り出した。

 そのとき楼里の顔が一瞬強張った。

 そしてアリスの金色の瞳がキラリと光り、ニコッと笑った。

 

「うん! あのチンピラ、ショウジパパをいじめてたから、アリスがやっちゃった! アリスはショウジパパの仲魔だから当然だよね!」

 

 無邪気な声で、アリスがさらっと殺人を認める。

 志乃が小さく息を呑み、俺の背筋に冷たいものが走る。

 楼里がそれを補足した。

 

「あの男のことは不幸な事故だった。……どうしてもナマの人と麻雀がしたいとアリスが言うので外出をしたんだが……」

 

 その道中に絡まれたらしい。

 そして……

 

 おそらく殺人に飢えていたアリスに、契約者保護の口実で嬉々としてやられてしまったんだろう。

 

 その言葉に、俺は一瞬考える。

 もし楼里の言う通りなのだとしたら……チンピラが先に手を出した事故……なのか?

 

 だけどさ

 

「事故だろうが何だろうが、アリスは危険だ。放っておけない」

 

 そんな油断すると人を殺してしまうような危険存在、放っておけるわけが無いだろ。

 だから俺がそう言うと、楼里の目が鋭くなる。

 彼はアリスに視線を移し、低い声で命じた。

 

「……アリス、アリスの実力をこの2人に教えてやってくれ。ただし、絶対に殺してはいけない!」

 

 するとアリスは。

 

「うん! でも……このお兄ちゃんとお姉ちゃんが5分以内に逃げ出さないなら、やっちゃうからね? ショウジパパ」

 

 その瞬間、アリスの小さい身体がフワリと浮き……その影が不自然に揺れ、広がり……そこの地面から黒いものが沸き上がる。

 そして次の瞬間、影の中から無数のゾンビが這い出て来た。

 斧や槍、剣を持った死体たち──古代の戦士風の骨だらけのものから、社会人のスーツを着たもの、学生服、アメフトの衣装、チアリーダーまで、その姿はバラバラだ。

 ただゾンビたちの目は赤く光り、獣のような輝きを放っていた。

 

 オオオオオオオ……!

 

「くそっ、こいつら……!」

 

 これがアリスの言う「友達」なのかもしれない。

 外見は愛らしい白人の幼女だけど……

 

 性質は紛れもなく悪魔だ……!

 

 俺はGUMPを構えそのトリガーを引いた。

 

 GUMPが起動し、その銃身が割れ……俺の仲魔を召喚する。

 地面に輝く魔法陣から、4体の強力な仲魔が現れた。

 悪魔合体を重ね、作り上げた今の仲魔たち……!

 

 女神スカアハ……槍を持ち、魔女の尖った帽子を被ったクールな印象の黒髪の美女。

 妖魔シウテクトリ……その身体は燃え盛る火炎で不定形。頭部だけ、金属の兜を中心に形成されている。そんな巨人。

 霊鳥ヴィゾフニル……太陽をイメージさせる光り輝く神聖な鳥。

 地母神キクリヒメ……黒い肌に白い髪を持ち、赤い衣装を身に纏う美女。

 

「志乃、行くぞ!」

 

「うん!」

 

 志乃は緊張した表情で身構える。

 ……絶対に楽な相手じゃない!




次回、VS魔人アリス。

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