家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話 作:XX(旧山川海のすけ)
業魔殿のロビーにて。
俺と志乃は依頼された仕事について話し合っていた。
傍ではアリスがまたゲームを再開してる。
さっきのキョウジの話──暴力団の秘密口座の預金の残高をゼロにした奴らを見つけ出す。
これをクリアしなきゃならない。
正直、バトルに関しては安心している。
こっちにはアリスが居るんだ。
十中八九、犯人はインスタントサマナーだろうから、まず勝てるはず。
相手がアリスくらいの大悪魔と契約していない限りは。
問題はだ……
「秀司、どうやって犯人探す?」
問題はそれだよな。
志乃の言葉に俺は頷き
「まず、プロメテウスの意見を聞いてみよう」
俺はGUMPを手に取る。
アリスのお陰で簡単に素材の悪魔を手に入れることができた悪魔。
プロメテウスはギリシャ神話では知恵者で通っている神。
きっと良いアドバイスをくれるはず。
俺はGUMPのトリガーを引き、魔神プロメテウスを召喚する。
床に光の魔法陣が広がり、赤いローブに知的な瞳を持った巨人が現れる。
白髭で、がっしりした体格。
プロメテウスは文字通り巨人族の神だしな。
当然かもしれない。
「皆本殿、我を呼び出したか。何の用だ?」
プロメテウスの落ち着いた声がロビーに響く。
するとアリスが気が付き、プロメテウスのローブを引っ張った。
「おじさん、頭良さそう! 麻雀しよ!」
「ふむ、小さな魔人よ。麻雀はまた今度だ。先に主の問題を解決せねばな」
プロメテウスがアリスを軽くあしらってくれた。
ありがたい、話が進められる。
俺は彼に状況を説明した。
「暴力団の秘密の銀行口座が、残高ゼロになったんだ。状況から見て犯人はおそらく悪魔使いらしい。どうやってその犯人に辿り着くか、アイデアをくれないか?」
プロメテウスが顎に手を当て、しばらく考える。
「まず、消えた金の行方を明確にせねばならん。実際に現金が持ち出されたのか、それとも電子的な操作で記録だけ消えたのか。そこが鍵だ」
「なるほど……じゃあ、銀行に確認してみないといけないわね」
志乃が頷き、スマホを取り出す。
「メアリさんに連絡してみるね。銀行の情報、すぐ掴んでくれるはず」
俺は志乃に任せ、プロメテウスに目を戻す。
「他に何か手がかりになる方法は?」
「記録が消えただけであるなら、ハッカーの可能性もゼロでは無い」
まぁ、それもあり得るな。
多分確率は相当低くなるだろうけど……
そして次の日。
午前中に結果が出た。
……銀行で、引き出し記録と内蔵された現金の額が一致しないATMが見つかったそうだ。
当然だけど、相当数。
プロメテウスの助言が活きた。
俺はお礼を口にする目的と、さらなる助言を求めて彼を呼び出した。
「そうか。読みが当たって何よりだ」
そう言って、次に
「ならば召喚主の仲魔の権能を少し確認してみようか。そこから繋がる何かを持つ仲魔がいるかもしれん」
なるほど。
プロメテウスの言葉に、俺は同意した。
で、1体ずつ呼び出して、状況説明し、犯人に辿り着けるかを確認したのだけど……
地母神キクリヒメに確認を取ったとき、言ってくれたよ。
静かに微笑み、穏やかな声で
「我が縁結びの能力を応用しましょう。金を持ち出した人間と、そのATMとの縁をたどれば、必ずやその者に辿り着けます」
「縁結び!? それ、犯人追跡に使えるの?」
俺が驚くと、キクリヒメが頷く。
「お金には相当に高い人の想いが込められています。それを正規の手続きを踏まずに持ち出したのですから、そこに発生する縁は特殊な縁になるのです」
なるほど……
良く分かったような分からなかったような……
俺のそんな困惑をくみ取ったのか、キクリヒメは
「まぁ、お任せ下さい。……問題は処理して見せますので」
そして。
俺たちは問題の銀行に赴き、追跡を開始した。
街中でのことなので、キクリヒメは赤ワンピースの色黒の美女に変身し、人間のふりをして仕事をしてくれる。
ATMで小さく祝詞を唱え、このATMから不正に現金を持ち出した人間の所在を探ったんだ。
そのまま、歩いて行く。
すると
キクリヒメは繁華街を抜け、寂れた住宅街へ。
やがて、みすぼらしいアパートの前にたどり着く。
ボロボロの外壁、錆びた階段。
「ここの1階の奥の部屋ですね……」
キクリヒメのそんな言葉に。
俺はGUMPを握り、志乃と目を合わせた。
「……行こう。油断するなよ」
「秀司こそ」
そう囁き合って、俺たちは一歩踏み出した。
次回、犯人たちと遭遇。
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