家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第72話 悪魔の権能

 業魔殿のロビーにて。

 

 俺と志乃は依頼された仕事について話し合っていた。

 傍ではアリスがまたゲームを再開してる。

 

 さっきのキョウジの話──暴力団の秘密口座の預金の残高をゼロにした奴らを見つけ出す。

 これをクリアしなきゃならない。

 

 正直、バトルに関しては安心している。

 こっちにはアリスが居るんだ。

 十中八九、犯人はインスタントサマナーだろうから、まず勝てるはず。

 相手がアリスくらいの大悪魔と契約していない限りは。

 

 問題はだ……

 

「秀司、どうやって犯人探す?」

 

 問題はそれだよな。

 志乃の言葉に俺は頷き

 

「まず、プロメテウスの意見を聞いてみよう」

 

 俺はGUMPを手に取る。

 アリスのお陰で簡単に素材の悪魔を手に入れることができた悪魔。

 プロメテウスはギリシャ神話では知恵者で通っている神。

 

 きっと良いアドバイスをくれるはず。

 

 俺はGUMPのトリガーを引き、魔神プロメテウスを召喚する。

 床に光の魔法陣が広がり、赤いローブに知的な瞳を持った巨人が現れる。

 白髭で、がっしりした体格。

 

 プロメテウスは文字通り巨人族の神だしな。

 当然かもしれない。

 

「皆本殿、我を呼び出したか。何の用だ?」

 

 プロメテウスの落ち着いた声がロビーに響く。

 するとアリスが気が付き、プロメテウスのローブを引っ張った。

 

「おじさん、頭良さそう! 麻雀しよ!」

 

「ふむ、小さな魔人よ。麻雀はまた今度だ。先に主の問題を解決せねばな」

 

 プロメテウスがアリスを軽くあしらってくれた。

 

 ありがたい、話が進められる。

 

 俺は彼に状況を説明した。

 

「暴力団の秘密の銀行口座が、残高ゼロになったんだ。状況から見て犯人はおそらく悪魔使いらしい。どうやってその犯人に辿り着くか、アイデアをくれないか?」

 

 プロメテウスが顎に手を当て、しばらく考える。

 

「まず、消えた金の行方を明確にせねばならん。実際に現金が持ち出されたのか、それとも電子的な操作で記録だけ消えたのか。そこが鍵だ」

 

「なるほど……じゃあ、銀行に確認してみないといけないわね」

 

 志乃が頷き、スマホを取り出す。

 

「メアリさんに連絡してみるね。銀行の情報、すぐ掴んでくれるはず」

 

 俺は志乃に任せ、プロメテウスに目を戻す。

 

「他に何か手がかりになる方法は?」

 

「記録が消えただけであるなら、ハッカーの可能性もゼロでは無い」

 

 まぁ、それもあり得るな。

 多分確率は相当低くなるだろうけど……

 

 

 

 そして次の日。

 午前中に結果が出た。

 

 ……銀行で、引き出し記録と内蔵された現金の額が一致しないATMが見つかったそうだ。

 当然だけど、相当数。

 

 プロメテウスの助言が活きた。

 俺はお礼を口にする目的と、さらなる助言を求めて彼を呼び出した。

 

「そうか。読みが当たって何よりだ」

 

 そう言って、次に

 

「ならば召喚主の仲魔の権能を少し確認してみようか。そこから繋がる何かを持つ仲魔がいるかもしれん」

 

 なるほど。

 プロメテウスの言葉に、俺は同意した。

 

 で、1体ずつ呼び出して、状況説明し、犯人に辿り着けるかを確認したのだけど……

 

 地母神キクリヒメに確認を取ったとき、言ってくれたよ。

 

 静かに微笑み、穏やかな声で

 

「我が縁結びの能力を応用しましょう。金を持ち出した人間と、そのATMとの縁をたどれば、必ずやその者に辿り着けます」

 

「縁結び!? それ、犯人追跡に使えるの?」

 

 俺が驚くと、キクリヒメが頷く。

 

「お金には相当に高い人の想いが込められています。それを正規の手続きを踏まずに持ち出したのですから、そこに発生する縁は特殊な縁になるのです」

 

 なるほど……

 良く分かったような分からなかったような……

 

 俺のそんな困惑をくみ取ったのか、キクリヒメは

 

「まぁ、お任せ下さい。……問題は処理して見せますので」

 

 

 

 

 そして。

 俺たちは問題の銀行に赴き、追跡を開始した。

 街中でのことなので、キクリヒメは赤ワンピースの色黒の美女に変身し、人間のふりをして仕事をしてくれる。

 

 ATMで小さく祝詞を唱え、このATMから不正に現金を持ち出した人間の所在を探ったんだ。

 そのまま、歩いて行く。

 

 すると

 

 キクリヒメは繁華街を抜け、寂れた住宅街へ。

 やがて、みすぼらしいアパートの前にたどり着く。

 

 ボロボロの外壁、錆びた階段。

 

「ここの1階の奥の部屋ですね……」

 

 キクリヒメのそんな言葉に。

 俺はGUMPを握り、志乃と目を合わせた。

 

「……行こう。油断するなよ」

 

「秀司こそ」

 

 そう囁き合って、俺たちは一歩踏み出した。




次回、犯人たちと遭遇。

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