家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話 作:XX(旧山川海のすけ)
アリスのお友達が、剣や斧、槍を手に襲い掛かる。
そのゾンビたちは背広だったり、アメフト姿だったり、チアリーダーだったり……
様々な、統一感の無い姿をしている。
そして瞬く間に
ウオオオオ!
ケエエエエ!
クエエエエエ!
エリゴール、シャックス、ラウムをぶち殺した。
槍で串刺しにされ、手足を斧で落とされて。
剣で首を刎ねられた。
……これは戦闘じゃ無い、虐殺だ。
その圧倒的な強さに戦慄する。
自慢の契約悪魔が数秒持たずに抹殺され、マグネタイトに分解して消える様を見せつけられ。
闇バイトの男たち3人は震え上がり、動けなくなっていた。
その様子を見て、アリスが楽しそうに笑う。
「ねえ、お兄ちゃん。この人たち、お友達にしても良いよね?」
こういうのは、身を守る手段を取り上げてしまってからお友達にした方が愉しいんだよねー!
アリスは嬉々としてそう、俺の許可を取ろうとした。
だけど
「待て、アリス! それはダメだ!」
俺は反射的に叫んでいた。
それにアリスが俺に視線を向けて、ムッと唇を尖らせる。
「お兄ちゃん、アリスは街の子を友達にするのはダメなのは分かってるよ。けど、この人たち、自分も悪いことしてるよね? それをやっちゃダメなの、なんで?」
その問いに、俺は言葉に詰まる。
志乃が不安そうに俺を見る。
アリスの金色の瞳が、純粋で残酷な光を放つ。
確かに、こいつらは人殺しの強盗だ。
しかも、それを全く反省していない。
普通に考えて、その罪を死んで償えと言われてもおかしくないし。
被害者の老人の遺族は、きっとそう言うはずだ。
だけど……
「……アリス、駄目なものは駄目なんだ」
俺は否定した。
するとアリスは膨れる。
「だから何で駄目なのか聞いてんじゃん! お兄ちゃん、ちゃんと答えてよ!」
……答えは「そりゃお前の主観だからだ」だ。
何もその行為を正当化する明確な決まりが存在しない。
戦闘の中でやってしまうのは、双方覚悟の上で、かつ殺らなければ殺られるという厳しい事情がある。
それが死刑であるなら、それを正当化しているのは法律だ。
でも、アリスがやろうとしていることにはそんなものが一切なく、どこまで行ってもアリスが「こいつらなら殺しても良いでしょ」って主観なんだよ。
主観による殺人を許すと、究極「お前の態度が気に喰わないから殺す」までも許すことになる。
だからダメなんだ。
けれど……
「アリスだってなんでそんなに友達を増やしたがるんだよ?」
俺はこう訊ねる。
すると
「だって友達が多い方が楽しいよね!」
俺はその言葉に言い返す。
「俺は友達5人しかいないけど、それでも毎日楽しいが?」
そんな俺の言葉にアリスは
「お兄ちゃん友達少ないね!」
人によっては心に氷の柱を突き刺すようなことを平気で言う。
だけど
「少ないかもしれないがそれでも楽しい! それにな、友達が多くなると嫌な友達が出て来るんだよ」
そこで志乃が
「アリス。私は中学のときに友達がいっぱい居たけど、相当数、付き合うのに苦痛な人が居たのよ」
友達が多くなるとそう言うことが起きるのよ。
付き合いが複雑になってくるからね。
……志乃はそう、中学時代の悪縁の話をして援護射撃をしてくれた。
その上で俺はこう畳み掛ける。
「アリス、友達が多い方が楽しいって何でか説明してみろ!」
この言葉で
アリスは考え込んだ。
……真面目に考えて、明確に友達が多い方が楽しいことの根拠が分からないことに気づいたようで
「アリスがそう思うんだよ!」
……逆切れ気味にそう返して来た。
俺はそこで
「そういうのを主観って言うんだ。そして俺の友達は少なくてもいい、ってのもそうだな」
子供に伝わるように、工夫して説明した。
アリスが首を傾げ、しばらく考える。
で
「……分かった。この人たちをお友達にするのは止める」
なんとか納得してくれたようで、俺はホッと息を吐いた。
志乃がよくやったというふうに俺の肩を叩く。
あとはこいつらの指輪を取り上げて、メアリさんに連絡を入れたら終わりか。
こいつらを警察に突き出すかどうかを決めるのは俺じゃ無いし。
……まぁ、そうされるべきだとは思うけどな。
少なくとも1人は殺してるわけだし。
そんなことを思っていた。
一件落着か、と。
だけど
そのとき、アリスが弾かれたように顔を上げて。
いきなりそこから駆け出して行ったんだ。
……ちょっと待て!
アリスがどっか行こうとしてる!
本作を読んでいただき感謝です。
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