家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話 作:XX(旧山川海のすけ)
第8話 お前がやるんだよ
「晶ちゃん! 晶ちゃん!」
蹲って。
志乃が泣きそうな顔で魂を抜かれた妹の身体を揺さぶり続けている。
意味が無いのに。
だけど、気持ちは分かる。
……志乃はわりとすぐに妹に受け入れられて、仲が良かったんだ。
お兄ちゃんの初カノが、こんな良い人だなんて嬉しいって。
だからその行動に、俺は胸が締め付けられるような苦しみがあった。
だけど
「……やれやれ。九死に一生を得たようだな」
そこに、この件の元凶がそんなことをほざきやがったんだ。
「ふざけんなお前のせいだろ!」
「あなた、絶対に許さない!」
俺たちは同時に怒鳴っていた。
宙に浮かんだ光の球に。
光の球……葛葉キョウジの魂は
「全滅よりはマシだろ……それにまだ、妹は魂を取り返せば蘇るんだ。望みはあるだろ」
やれやれ参ったな。
そんな感じで落ち着き払った声で
俺たちの心を逆撫ですることを言う。
俺は
「お前が責任を取って取り返してくれるって言うのか!?」
衝動のままに叫ぶ。
俺は何かにつけて「責任を取れ」だとか「賠償しろ」って騒ぐ人間は好きじゃ無いけど。
このときは我慢出来なかったんだ。
けれども
「そりゃ無理だ。業魔殿にスペアの身体を何台か保管して貰ってるが、その身体をシドと戦えるほどに調整するのに軽く5日は掛かる」
そこから残り2日でシドを探し出して倒すのは無理筋だ。
そんなことを淡々と言ってくる。
それに脳の血管が切れそうなほどの怒りが吹き上がり
「お前、マジでふざけんなよ! お前がしないならお前が国に連絡とって国が責任を持つのか!?」
怒りのままに言葉を吐いた。
こいつは国に仕えるデビルサマナーだと言ってた。
そんな奴に、こんな仕打ちを受けるなんて……!
俺の中に、国に対する憎悪が吹き上がって来る。
だけど
「まぁ、待て。落ち着け」
キョウジは全く取り乱さず
「……言っただろ。望みはある、って」
スゥ、と浮かび上がり。
ヒュッと。
妹の……晶の背中に飛び込んで。
次の瞬間
「……やれやれ。女の身体に入るのは嫌なんだがな。面倒なことが多いから」
ムクリ、と
うつ伏せに倒れていた状態から、手を突いて起き上がって来たんだ。
「え……」
ペタンと地べたに座ったまま、絶句する志乃。
何が起きたのか理解は出来てると思うけど……
受け止めきれてないのか。
俺は
「……お前が妹の中に入るのか。そうすれば、1週間の時間制限が消える」
「ご名答。理解が早いな。そういうことだ」
首周りの関節を気にしつつ、晶の姿をしたキョウジがスカした表情でそう返して来た。
シドは魂の無い身体は1週間放置すると植物人間の状態から戻れなくなると言っていた。
ならば代わりの魂をその間、空っぽの肉体に入れておけば、問題を回避できる。
……少し光が見えた気がした。
時間の問題がクリアできるなら、解決の目は……
そう思い、安心しようとしたとき。
葛葉キョウジは
「……だが、この状態で1カ月過ぎると、この身体の所有者がお前の妹ではなく俺になる。だから時間制限があることは変わらない」
その安心を叩き折って来た。
つまり、1カ月過ぎたらやっぱり妹の魂を元の身体に戻せなくなるってことか……!
そんな……
絶望する俺に、葛葉キョウジは続けて言った。
こんな、無理難題を
「その間に、お前がアイツを倒すんだ」
……何の責任も感じていない声音で。
うーむ。
葛葉キョウジがDQN過ぎるかもしれぬ。
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