家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話   作:XX(旧山川海のすけ)

82 / 106
第82話 背に腹は代えられぬ

「歴史上の人物が、人々に語り継がれることで悪魔に変わることがあるのです」

 

 なるほど……それが英雄種族か。

 

 ……俺の知らない悪魔の知識。

 

 とすると……

 

 ギロチンと縁深い人物なら、フランス革命あたりが怪しいんじゃないだろうか?

 

「フランス革命か……」

 

 俺は頭を整理する。

 

 ギロチンと言えば、あの粛清の時代だろ。

 

 ギロチンの発明者、確か……アントワーヌ・ルイ?

 

 もしくは革命の中心人物で、ギロチンを多用した人物……マクシミリアン・ロベスピエールとか。

 革命の指導者で、恐怖政治の象徴になってる人物。

 ギロチンの刃で反対勢力の命を奪った独裁者。

 

 ……まぁ、今は考えてもしょうがないか。

 俺は

 

「……この木見北市の神社破壊ってどういうことなんですかね?」

 

 他に疑問に思ったことを訊ねる。

 これはどういうことなんだ?

 

 本当に意味が分からない。

 

「……神社の破壊は……祭神にダメージを与える行為では無いですしね」

 

 メアリさんも困惑気味だ。

 

 神社を破壊しても、神様は別にダメージを受けない。

 ムカつくだけなんだ。

 

 何故なら、神社は人間のためにあるものであって、神の力の源泉ではないからだ。

 祀り、祈る場所を作ったのは人間の側で、無くなって困るのは神では無く人間なんだよな。

 

 だからそんなことをしても意味は無いし、やったとしてもやった奴が神に「我に無礼を働いたくだらぬ人間」として呪いを受けるだけ。

 

 破壊された神社はまた再建すればいいし。

 一方的に自分が呪われるだけで、意味無いんだよ。

 

 なのに何故?

 分からない……!

 

 

 

 その日、木見北市は混乱に包まれていた。

 脱獄死刑囚が市内に潜伏している疑いがあると報じられたからだ。

 

 テレビでは外出自粛と市外退避の呼びかけが流れ、学校は休校。

 パトカーのサイレンが街に響き、住民が不安げに囁き合っている。

 

 

 

「くそっ、どうすりゃいいんだよ……!」

 

 俺たちは先回りして幾月を捕まえようと、神社を回った。

 外出自粛が呼びかけられている関係で、誰も居ない。

 

 そう、誰も居ないんだ。

 

 幾月も。

 

 そして俺たちが向かったこの街の大きな神社には襲撃は無いのに。

 

『……神主が居ないような小さな神社が壊されています』

 

 メアリさんからそんな連絡が来た。

 クソッ!

 

 ……確か。神社の数ってコンビニより多いんだよな……?

 そんなもん、どう守れと……?

 

 

 そう思い、その破壊された神社に向かっていると

 

 途中の路上で、俺たちの足が止まった。

 

 そこには……

 

 斬首された高校生くらいの男子学生の遺体があった。

 首が地面に転がり、血がアスファルトを染める。

 目には涙の跡。外出自粛の中、何でこんなところに……?

 

 遊びに出たわけじゃないんだろう。

 制服を着ていたから。

 

 俺の胸が締め付けられた。

 

「くそっ……!」

 

 俺は拳を握り、怒りに震えた。

 志乃も同様だった。

 

 涙を浮かべながら

 

「こんなの……酷過ぎる!」

 

 そのときだった。

 

 アリスが遺体を見つめ、ポツリと言ったんだ。

 

「お兄ちゃん……この子を友達にして良い?」

 

 ちょっと待て。

 流石にこの状況で、それは無いだろ。

 

「良いわけないだろ!」

 

 俺はアリスを怒鳴りつけていた。

 この少年の死を、自分の眷属を増やすチャンスと捉えるなんて

 

 俺は

 

「アリス! 俺の仲魔でいるうちは、そういう死人を玩具にする行為は……!」

 

「ちょっと待って」

 

 さらに怒鳴り付けようとする俺を、志乃が手で制したんだ。

 俺はそこで少しだけ冷静になり

 

「待てってどういうことだよ?」

 

 そう訊ねる。

 志乃は

 

「……アリスちゃん、何かあなたに褒められると思って発言したみたいに見えた」

 

 そんなことを言ったんだ。

 えっ

 

 俺がアリスに目を向けると。

 反省しているって感じじゃ無いんだよな。

 悲しんでいるという風な表情だった。

 

 俺はそれを眷属を増やすチャンスに許可が下りなかった悲しみと取ったけど……

 志乃は違ったらしい。

 

 志乃は

 

「アリスちゃん、説明して。……この子をどうしてお友達にしようと思ったの?」

 

 そう促す。

 すると

 

「……アリスのお友達になって復活してくれれば、やった人がどこにいるか案内してくれると思ったの。恨みで」

 

 ……あ

 

 なるほど。

 

 怨霊は、恨みの相手がどこにいても見つけるものだ。

 アリスはそれを利用して、幾月を見つけようとしてくれたのか。

 

 ……それを俺は……

 

「……悪かった。頼む」

 

 俺は許可を出す。

 ゾンビを自分の指示で作ることに抵抗はあったけど……

 

 幾月を早く見つけないと犠牲者が増える一方なんだ。

 

 ……スマン。少年。

 

 俺はゾンビにされる少年に詫びた。

 全部終わったら……

 

「志乃、幾月をブッ倒したら、この少年をハマで昇天させてあげてくれ」

 

 先に彼女に頼んだ。

 後始末を丸投げするみたいで心苦しいけど、俺にはどうしようもないし。

 

 彼女は

 

「……ええ。任せて」

 

 そう、アリスが首なし死体の少年をゾンビとして蘇生させるために、その遺体に触れているのを見ながら。

 約束してくれた。




屍鬼ゾンビくんにされてしまう少年。

本作を読んでいただき感謝です。
続きが気になる、面白かった。
その場合は評価、お気に入り、コメント等を頂けますと嬉しいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。