家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話   作:XX(旧山川海のすけ)

89 / 106
第89話 シドの目的は

「古過ぎて口伝にも残っていない怨霊……?」

 

 幾月は頷いた。

 

「まぁ、つまり。大和王権が成立する以前に誕生した怨霊だよ」

 

 元々日本は百以上の小国の集合体で、あるとき急に統一された。

 中国の方に残ってる文献に記されている、外から見た歴史ではそうなってる。

 

 ……つまり。

 日本が国として背負って来た怨霊では無い、構成要素のひとつが背負っていた怨霊か。

 

 両面宿儺や温羅のような鬼神。

 彼らも見かたによっては怨霊のはず。

 

 元々は大和王権に従わなかった人々のはずだし。

 

 そんな感じの立ち位置の、無名の怨霊……

 

「それがどうして、神社の破壊に話が繋がるんだ?」

 

 幾月の言葉は面白かったが、それがどうして神社の破壊に繋がるのか理解できなかった。

 

 この国にある神社は、そんな古過ぎて名前も残っていない怨霊とやらにも有効なのか?

 誰も覚えていないような、そんな存在に?

 

 どうもピンとこなかった。

 

「アンタが壊した神社がその怨霊を封じていたのか?」

 

 なので、聞いて思ったことをそのまま口にしたら

 

 幾月は首を振った。

 

「違う違う……神社が封印に関わっていたわけじゃない。目的は別さ」

 

 言いながら笑みを浮かべる幾月。

 彼本来は、他人にモノを教えるのが好きなのかもしれないな。

 

 彼は言った。

 

「目的は……この土地の神に、人間のために仕事をする気を失わせることさ」

 

 その超太古の怨霊の封印は、この土地に存在する全ての神々の総意で行われている。

 

 例えるならブロックチェーンみたいな感じだね。

 

 特定の強力な神が封印に対する要になって、強力に押さえ込むのではなく。

 無数の神々が少しずつ負担を負って、全体で抑え込んでいく感じ。

 

 集中型より分散型。

 1つ1つの力は弱くても、数の暴力で非常に解除が難しい封印さ。

 

 ……幾月の説明は分かりやすかった。

 

 そして

 

 色々、つながった。

 

 何でシドがインスタントサマナーの指輪を配って、一般人を悪に走らせたのか。

 全ては、そういうことだったんだ。

 

 この土地の人間たちを悪の道に引きずり込み、土地の神々に「こんなどうしようもないやつらどうでもいい」と思わせる。

 そうすることで、数の暴力であるブロックチェーン式の封印の維持を困難にさせて、封印を解く……

 

 それが目的だったのか。

 

「分かった。ありがとう」

 

 俺は幾月に礼を言う。

 幾月は

 

「お役に立てて嬉しいよ」

 

 そんなことを言って来た。

 ある意味本心なのかもしれないな。

 

 負けた腹いせで最後の嫌がらせをしたという俺に対する誹りは、これで無効だからな?

 そう言うための。

 

 だから俺は

 

「……最後の用事が済んだからと自決するのはやめてくれよ? それは立派な俺たちへの嫌がらせだからな?」

 

 別れる前に最後にそれだけは言っておいた。

 そして言われた幾月は、少しだけ顔を顰めた。




これにて第9章は終了。
次回から最終章です。

本作を読んでいただき感謝です。
続きが気になる、面白かった。
その場合は評価、お気に入り、コメント等を頂けますと嬉しいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。