家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話 作:XX(旧山川海のすけ)
「古過ぎて口伝にも残っていない怨霊……?」
幾月は頷いた。
「まぁ、つまり。大和王権が成立する以前に誕生した怨霊だよ」
元々日本は百以上の小国の集合体で、あるとき急に統一された。
中国の方に残ってる文献に記されている、外から見た歴史ではそうなってる。
……つまり。
日本が国として背負って来た怨霊では無い、構成要素のひとつが背負っていた怨霊か。
両面宿儺や温羅のような鬼神。
彼らも見かたによっては怨霊のはず。
元々は大和王権に従わなかった人々のはずだし。
そんな感じの立ち位置の、無名の怨霊……
「それがどうして、神社の破壊に話が繋がるんだ?」
幾月の言葉は面白かったが、それがどうして神社の破壊に繋がるのか理解できなかった。
この国にある神社は、そんな古過ぎて名前も残っていない怨霊とやらにも有効なのか?
誰も覚えていないような、そんな存在に?
どうもピンとこなかった。
「アンタが壊した神社がその怨霊を封じていたのか?」
なので、聞いて思ったことをそのまま口にしたら
幾月は首を振った。
「違う違う……神社が封印に関わっていたわけじゃない。目的は別さ」
言いながら笑みを浮かべる幾月。
彼本来は、他人にモノを教えるのが好きなのかもしれないな。
彼は言った。
「目的は……この土地の神に、人間のために仕事をする気を失わせることさ」
その超太古の怨霊の封印は、この土地に存在する全ての神々の総意で行われている。
例えるならブロックチェーンみたいな感じだね。
特定の強力な神が封印に対する要になって、強力に押さえ込むのではなく。
無数の神々が少しずつ負担を負って、全体で抑え込んでいく感じ。
集中型より分散型。
1つ1つの力は弱くても、数の暴力で非常に解除が難しい封印さ。
……幾月の説明は分かりやすかった。
そして
色々、つながった。
何でシドがインスタントサマナーの指輪を配って、一般人を悪に走らせたのか。
全ては、そういうことだったんだ。
この土地の人間たちを悪の道に引きずり込み、土地の神々に「こんなどうしようもないやつらどうでもいい」と思わせる。
そうすることで、数の暴力であるブロックチェーン式の封印の維持を困難にさせて、封印を解く……
それが目的だったのか。
「分かった。ありがとう」
俺は幾月に礼を言う。
幾月は
「お役に立てて嬉しいよ」
そんなことを言って来た。
ある意味本心なのかもしれないな。
負けた腹いせで最後の嫌がらせをしたという俺に対する誹りは、これで無効だからな?
そう言うための。
だから俺は
「……最後の用事が済んだからと自決するのはやめてくれよ? それは立派な俺たちへの嫌がらせだからな?」
別れる前に最後にそれだけは言っておいた。
そして言われた幾月は、少しだけ顔を顰めた。
これにて第9章は終了。
次回から最終章です。
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