家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第93話 泥喰山

 イチモクレンは語る。

 あの縄文時代での戦いで、呪術師ディーグイを討った後。

 ずっとディーグイが怨霊化することを抑え込んで来たと。

 

「ありがとう」

 

 俺は礼を言う。

 約束を守ってくれたわけだし。

 

 イチモクレンは

 

「まぁ、辛かったぞ」

 

 他の神に声を掛け、協力を要請したこと。

 封印対象の呪術師がどういう存在かを説いたこと。

 そしてディーグイを討った俺たちが、時間旅行者だということを言ったこと。

 

 聞いている間に、話が長くなりそうになってきたので

 

「悪い、感謝はしてる。……でも時間無いんだ」

 

 少し言い辛かったが、そう言って話を打ち切った。

 イチモクレンは

 

「承知した。知りたいことは何だ?」

 

 その言葉に甘え、俺は

 

「ディーグイが封じられている具体的な場所を教えてくれないか?」

 

 

 

 ディーグイを倒したあの岩の洞窟。

 あの場所は、数千年経つ間に山になったらしい。

 

 少しだけ、感慨深いものがあった。

 時間の流れを感じたんだ。

 

泥喰山(どろぐいやま)……」

 

「変な名前の山だと思っていたけど、多分ディーグイが封印されているということが、山の名前として残ってたんだろうな。今思うと」

 

 傍を歩く志乃の呟きに、俺がそう返す。

 泥喰山……でいぐいやま。

 泥喰山はこの木見北市の北端に位置する山で。

 

 俺たちは今、そこに向かっている。

 イチモクレンによると、ディーグイに対する封印はかなり弱まっているらしい。

 それこそ、魔術の心得がある人間なら、強引に封印解除することが可能なレベルで。

 

 なのでその前に、別の封印を新たに掛け直すか、それとも不完全な状態で復活させ、誰かに完全復活させられる前に倒してしまうか。

 

 俺たちとしては、これからは地元の無数の土地神たちの自発的な善意によるブロックチェーン封印ではなく、国にお任せして強力な封印を新しく掛け直して貰おうと思ってる。

 

 ……ここまでやったんだ。

 後は国任せでも良いだろ。

 

 俺たちは泥喰山に向かっていた。

 俺と志乃、そしてアリスの3人で。

 

 キョウジとレイレイホゥは、封印の掛け直し作業に向けての下準備でここには居ない。

 俺たちには出来ないことだから、信じて任せるしかない部分だ……

 

「……あのさ、秀司」

 

 そんなことを考えつつ歩いていると、隣を歩いている志乃が俺に話し掛けて来た。

 

「何だよ?」

 

 俺の言葉に

 

「岩山が山になってるってこと……地形も変わってしまうんだね。数千年も経つと」

 

「地学は専門じゃ無いけど……国破れて山河在りって言うけどさ……山河も不変ってわけじゃないんだな」

 

 なんと言うか……無常というか……なんだか仏教で説いてるような精神性を感じた。

 ディーグイは滅亡した自分の国の再興を目指していたけど……

 

 数千年経っても、その望みは変わらないのだろうか……?

 

 そう、物思いに耽っているときだった。

 

「お兄ちゃん!」

 

 ……連れ歩いているアリスが、声をあげた。

 俺たちの視線が集中する。

 

 アリスは

 

「黒おじさんの気配……シドが居るよ!」




迫る最終決戦。

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