家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第95話 解放

 アリスの導きで山を登り、進み。

 

 辿り着いた。

 

 そこだけ木が生えておらず

 

 開けた場所。

 

 そこに大岩があって。

 

 その前に、体格のいい神父が居た。

 頭髪の無い、分厚い筋肉を備えた神父が。

 

 ……1か月近く前のあの日。

 この街の海沿いの道で出会った敵。

 

 俺の妹の魂を奪った男。

 

 ダークサマナー・シド……。

 

「……とうとう見つけたぞ。大人しく妹の魂を返せ」

 

 俺の言葉にシドは振り返る。

 

 その顔は……

 真顔だった。

 

 笑みが無い。

 そして怒りも無かった。

 

 シドは

 

「……ちょっと前まで、簡単に捻り殺せる素人だったはずなのに。ここまで来るとはな……」

 

 呟くように言った。

 その声には……

 

 俺を讃えるような響きがあった。

 

「妹を救わないといけないんだ。必死にもなるさ」

 

 別に見栄じゃない。

 本心だ。

 

 妹を見捨てるなんてあり得ない。

 やれることは何でもする。

 その覚悟でずっとやってきたんだ。

 

 俺のその言葉に

 

「……その覚悟が本物であることは認めよう」

 

 シドは穏やかな顔でそう呟き

 

 その手に持っていた聖書……多分、そういう形状のCOMPを開いた。

 

 そして

 

「来い……堕天使ネビロス」

 

 穏やかなその声と共に

 

 緑色のローブを身に纏った、骸骨のように痩せた悪魔を呼び出した。

 俺の方もそれに合わせるようにGUMPを構えるが

 

 その後に続いたやり取りに硬直した。

 それは……

 

「……シドよ。今日は何の用だ?」

 

 地面に描かれた魔法陣の中に出現した悪魔……堕天使ネビロスが立ち上がり。

 言ったその言葉に。

 

「1カ月くらい前に奪った魂を解放してやれ」

 

 ……シドがそう言ったんだよ。

 

「……承知した」

 

 俺は驚いていた。

 声も出せなかった。

 

 信じられなくて。

 

 ネビロスは両腕を高く掲げた。

 

 するとシドの掲げた手の中から光の球が出現し、どこかに飛んで行った。

 

 ……解放された……?

 晶の魂が……?

 

「……これでお前の妹の魂は自分の肉体に還った。お前たちがまだ戻っても問題が起きないように手を打ってるなら、話はここで終わりだ」

 

 そう淡々と言い

 

 そして

 

「さぁ、帰るがいい。目的は果たしたはずだ」

 

「……何で返したんだ……? お前、前に言ってたことと……」

 

 俺の問いかけに

 

「ここまで俺と戦うためにやって来た。それだけでもう、お前の妹の魂を握っている意味が無くなった」

 

 驚くほど落ち着いた声で返して来る。

 

「ただの素人だった男が、ここまで短期間に急成長を遂げ、俺の居場所を割り出し、辿り着いた……認めざるを得ない」

 

 そしてこの状況で人質めいたものを握っているのはあまりに無粋。

 俺のプライドが許さない。

 

 だから解放した……

 

 そう語る。

 

 ……こいつは善人では無い。

 ダークサマナーだ。

 

 だけど……

 ワルなりに、譲れないものがあるのかもしれない。

 

 けれども

 

「……アンタ。ここに封印されている怨霊……ディーグイを解放してどうするつもりなんだよ?」

 

 言われた通り「妹を解放してくれてありがとう。帰ります」なんて言えないんだよ。

 

 俺のその言葉にシドは

 何だか楽しそうに口元に笑みを浮かべた。




シドの真の目的とは……?

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