家に帰ったら部屋にGUMPがあったせいでデビルサマナーになってしまった大学生男子の話   作:XX(旧山川海のすけ)

99 / 106
第99話 復活

「……なかなかあじな真似を……」

 

 指を失いつつも不敵に笑い。

 シドは脂汗を流す。

 

 指を4本無くした右手を押さえ、そう言うシドに

 

「……まさか卑怯とは言わんよな?」

 

 俺はそう訊ね

 シドは

 

「言うわけがない。腕比べで戦ったのでは無いのだから」

 

 俺に蛇の剣の切っ先を突きつけられつつ。

 シドは全く怯えずにそう返す。

 

「……ここは引くとしよう。君らは俺相手に油断はしない。そして俺は右手を実質失った。……勝ち目は非常に薄いな」

 

「悪の組織なら失敗は死じゃないのか?」

 

 シドの呟きに俺はそう訊いたら

 

 シドは鼻で笑った。

 

「……構成員を軽く扱う組織は長続きせんよ。そこは一般企業と一緒だ」

 

 ……そうなのか。

 まぁ、俺はまだ就職して無いから「なるほど」とは言えねえや。

 

 ……バイトと就職は違うだろうしな。

 

「サマエル!」

 

 俺のプロメテウスと魔法合戦を繰り広げている、自分の仲魔の邪神サマエルに呼び掛けるシド。

 宙を舞い、光の魔法でプロメテウスと撃ち合っていたサマエルは、その蛇体をくねらせて主に近づき

 

 シドは右手を離して左手でサマエルに掴まった。

 同時に羽ばたき、風を巻き起こしながら浮かび上がるサマエル。

 

 そしてシドは去り際に

 

「最後に2つ」

 

 器用に上空で、サマエルの背に乗ったまま左手1つで。

 止血のための帯を右手に巻きつつ

 

「1つ。……お前はこのままサマナーを続けてくれ。この右手の礼をいずれしたいからな」

 

 なるほど。

 そういう奴なんだな。アンタは。

 

 こだわるタイプかよ。

 

 シドは続ける。

 その続けた内容は……

 

「そして2つ。……怨霊の封印は既に完全破壊した。あとは自発的な目覚めを待つのみだ……」

 

 俺の「終わった感」を打ち壊すには十分なものだった。

 何だって……?

 

 俺のそんな表情の変化でいくらか敗北の屈辱が和らいだのか

 

「では、さらばだ……」

 

 去っていくときの表情は、愉しそうだったよ。

 

 シドが去って数秒後

 

「ではアリス。さらばだ」

 

 堕天使ネビロスも消える。

 

 シドが帰還させたんだ。

 

 取り残される俺たち。

 まずい

 

「秀司! メアリさんに連絡を!」

 

 焦り声の志乃に俺は頷く。

 メアリさん経由で、国に再封印が可能な魔法使いを速攻で派遣して貰わないと……

 

 そう思い、俺がスマホを取り出し

 

 業魔殿の電話番号をタップしようとしたとき。

 

 ゴッ、と。

 

 地面が揺れた。

 驚き、踏ん張るように腰を落とす。

 

 これは……復活の鳴動……?

 

「秀司!」

 

「志乃! こっちに!」

 

 俺たちは2人、寄り添って見ていた。

 

 目の前に存在していた大岩にヒビが入り

 

 砕け

 

 そしてそこから

 

 炎のような光の揺らめきと共に、地中から浮かび上がって来る存在を。

 

 それは高校生くらいの年齢の裸の少女で。

 長い黒髪で。

 病的に肌が白く。

 そして赤い瞳を備えていた。

 

 ……俺の脳裏に、縄文時代に目にした、ディーグイが育成していた存在……造魔の姿が蘇る。

 

 なんとなく、分かった。

 怨霊として復活したディーグイは、造魔と合体を果たして。

 自身を糧にして、同時に造魔そのものになり、蘇ったんだ……!

 

 揺らめく炎のようなオーラを放出しつつ、長い髪を風圧で揺らし

 ディーグイは俺たちを見下ろす。

 

 そして怪訝な顔をした。

 

「……何故お前たちがここにいる……? ただのヒトが存在できるハズが……?」

 

 こいつ……俺たちを覚えている……?

 

 だったら

 

「おい……!」

 

 会話すればなんとかなるかもしれない。

 そう思った。

 

 会話で解決できる目がある。

 そう、思ったんだ。

 

 だけど……

 

「おそらく空似よな。……覚悟せい。我はお前たちが気に入らぬ」

 

 そして少女の姿をしたディーグイは、残虐な笑みを浮かべた。




ラスボス出現。

本作を読んでいただき感謝です。
続きが気になる、面白かった。
その場合は評価、お気に入り、コメント等を頂けますと嬉しいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。