世界の隙間を埋める1%の閃き ~あるいはTSして手当たり次第にバッドエンドフラグを叩き折る天使~   作:信頼できる語り手

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小生に言わせれば押し付けの善意でしかない。


【補綴戦姫】に関する隙間

 セントレアのホテル街では、多数の人型ロボット──客体が瓦礫の撤去作業を行っていた。

 

「良い意味で正気とは思えない戦跡ですね。未だに高濃度のマナが滞留しているとは……やはり超越者(あなたがた)は俗世に放つには危険過ぎる」

 

「汝らだけでこの世界を護り切れるのならば、余は今からでも喜んで隠居するかえ」

 

「これはこれは、良い意味で耳が痛い」

 

 褐色肌が目立つ銀髪の女性はおどけたように笑うと、異能戦の被害を免れた建物へ足を踏み入れる。

 

「おや、内装も小洒落てますね。俺は色町には詳しくないのですが、こんなパーティー会場のような施設もあるのですか?」

 

「……1階で舞踏会や食事会を催し、気が合った者同士がペアになって上階に行く仕組みかえ。特に高位階の異能者にはそういう形式の店が好まれやすい」

 

「なるほど、博識な事で。良い意味で勉強になりました」

 

「馬鹿にしておるのか?」

 

 常に皮肉げな響きを含んだ同伴者の語り口に、プレイスホルダーは軽く睨むような視線を向ける。

 

「いえいえ、滅相もない。俺はこういう場所に縁がないので、素直に感心しただけですよ。何せ、この女体(からだ)ですから」

 

「汝も、元は男か」

 

「はい。死後に長い時間をかけて直魂へと昇華し、補綴戦姫の義体を入手しました」

 

 補綴戦姫シリーズ。

 

 直魂の器となる義体の中でも隔絶した性能を持つ7体。超越者の祝福にも匹敵する耐久性と適応力を併せ持つ逸品。

 

 唯一の欠点は、女性型のボディしか存在しない事である。

 

「しかし、まさか超越者が補綴戦姫(おなかま)になるとは思いませんでしたよ」

 

 補綴戦姫の纏め役──リリパットは壁際に並んだ椅子に腰かけ、LITH端末を開いた。

 

「無涯のプレイスホルダー。女王の時代を生きた第0位階。遺失支族との交戦により死亡した後、長い眠りを経て直魂として再起。……合ってます?」

 

「連盟のデータベースには、そこまで載っておらんはずだが?」

 

「個人的に教えて貰いました。タフな義体を持つ補綴戦姫(おれたち)は良い意味で酷使されているので、連盟側にも負い目があるのですよ」

 

 自身の過去を調べられた事に対して、プレイスホルダーに思うところはない。経歴を流し読みしたくらいで見通せるほど浅い人生は送っていないからだ。

 

 それに、補綴戦姫には借りもある。彼女達が加勢してくれたおかげで、クラシーヴィに痛撃を与えて撤退させる事ができた。

 

 リリパット以外の補綴戦姫は挨拶もせずに飛び去ったので、礼を言う暇もなかったが。

 

「貴方の経歴を見るにもっと騒がれても良さそうなものですが、地味な裏方に徹していらっしゃるようで。超越者にしては珍しい傾向ですね」

 

「地味だろうが構わんよ。救世主(どうし)の背中を守ってやるのが守護者の役回りかえ」

 

「……梧桐志鳳ですか。最近、高位階の間で何かと話題になりますね。今回の一件がこの程度で収まったのも、彼が居合わせた事が大きいでしょう」

 

「この程度、かえ?」

 

 窓の外。半壊した都市に目を向ける。

 

「第0位階が暴れて都市1つで済んだのなら破格ですよ。俺に言わせれば、満点に近い解決です」

 

「円卓の連中は頭を抱えておったが」

 

「あれだけ星に影響が出てしまえば、目撃した未能者を言い包めるのは良い意味で大変だったでしょうね。せめて迷宮都市なら事後処理が楽だったのですが」

 

 何者も拒まないというユマン・グリューワインの主義により、この都市は迷宮外に設置されていた。

 

 色町で超越者同士の戦いが勃発する事を想定しろと言うのも無理な話なので、それに関しては仕方ない。

 

「まあ、円卓は普段から甘い汁を啜っているのですから、その分だけ苦労すれば良いと思います。未能者(ガキ)共に現実の理不尽を突き付ける時ほど楽しい瞬間はありませんね。良い意味で」

 

 リリパットの露悪的な言葉選びに、プレイスホルダーは肩を竦めた。意識のシグネットを極めた彼にとって、表向きの言動など人間の判断材料にはならない。

 

 リリパットの意識パターンは善寄りだ。人並み以上の責任感と良心が備わっている。

 

「ところで、汝は……補綴戦姫の体に違和感などはないのかえ?性別が変わっておるのだぞ」

 

「俺はもう慣れましたよ。ああでも、まだ女体を受け入れていないメンバーもいるので、発言には気を付けて下さいね」

 

 彼ら直魂にとって、補綴戦姫の身体スペックは魅力的だ。男の尊厳を捨ててでも使用する価値がある。

 

 勿論、生前から女性の補綴戦姫もいるし、女体化した事を喜んでいる変わり種もいなくはない。 

 

「補綴戦姫の設計者が男性型もデザインしておればな……」

 

「モデルになった人間が女性だったという説があるらしいですね。大昔に異様な耐久力と適応力を生まれ持った女性がいて、彼女の肉体を複写した為に性別を変更できないとか」

 

 どうやらリリパットも多少は気になって調べていたようである。プレイスホルダーは僅かに仲間意識を抱いた。

 

「それでは、俺はこの辺で失礼します。……いえ、最後にもう1つ、聞きたい事がありました」

 

 リリパットは端末をポケットに仕舞いつつ、折り目正しい所作で立ち上がる。

 

「梧桐志鳳は大丈夫なのでしょうか?随分と『お疲れ』のご様子でしたが」

 

 濁した言葉の裏側にあるものは明白だ。

 

 人の身に余る力に手を伸ばした代償。戦いを終えた志鳳は何度も気絶を繰り返している。まともに異能を使える状態には見えなかった。

 

「うむ、その問題に関しては余に考えがある。あそこに連れていくのは迷っておったが、今の同志なら次の段階に進めるはずかえ」

 

「連れていく?何処に?」

 

 リリパットは純粋な好奇心から訊ねる。プレイスホルダーが深刻に捉えている様子はない。ならば、何らかの解決策があるのだ。

 

 超越者だけが利用できる療養施設でもあるのだろうか?それとも、他の超越者に治療して貰うのだろうか?

 

 結論から言うと。

 

「──幻界」

 

 リリパットは超越者という存在を、何も理解できていなかった。

 

「!?……げ、幻界!?」

 

 幻想生物の住む、実体のない世界。迷宮の発生源。眷属や隷獣の故郷。

 

 そして。

 

「あ、あの場所は……!誰も辿り着いた者がいない、文字通りの幻なんですよ!?」

 

「そうか。遅れておるな」

 

 金髪の守護者は眠たげに欠伸をする。

 

「教科書は改訂しておくと良い。幻界は前人未到の場所ではない、と」

 

「馬鹿げてる……。これだから超越者(バケモノ)は嫌いなんだ……」

 

 リリパットは後悔した。超越者を心配するなど、実に愚かな事である。

 

「……ああ、勿論。良い意味で、ですよ」

 

 

 

 羽帽子に仮面の男性──白頁のサメフ・ラタンペランスは、真説大陸の果てに存在する『端緒』の輝きに称賛の拍手を贈った。

 

「嗚呼、美しきかな。これほど近くから星々を愛でられるとは、世界の端というのも悪くはない」

 

「秩序立った綺麗な配置だよね~。自然現象なんだからもっとグチャグチャになってもおかしくないのに、不思議~」

 

 小柄な白衣姿の人物──アスナヴァーニイが、マナと瘴気の衝突によって起こる光に目を細めて率直な感想を呟く。

 

「何にせよ、コレがこの世界のデッドライン~。超越者(キミたち)が全滅した時、瘴気を押し返すマナは減退し、世界は攻略完了する(ボクたちのモノになる)~」

 

「……野暮でしかない」

 

 絶景に浸っていたサメフは現実に引き戻す言葉に辟易した。咳払いを1つ挟んで仕切り直す。

 

「摂理が崩壊した終末の、更に先。生物が死に絶える瘴気の世界に残響するのは、肌を刺すような無音の退廃か」

 

「別に全生物を虐殺する気はないけどね~。むしろ将来の領民になるから、キミ達以外は生かしておきたいかな~」

 

 実際のところ、黙示録がどうしても全滅させたいのは超越者だけだ。

 

 世界を支える柱。彼らが消えてしまえば、端緒の均衡は崩れる。後は全てが瘴気に呑まれて終わりだ。

 

 逆に言えば、瘴気に抵抗できる超越者が1人でも生きている限り、世界の攻略は完了しない。

 

 最後の超越者を殺害(ラストアタック)した者が、世界を手中に収める。それが黙示録のルールである。

 

「キミ達からすれば黙示録は非道な侵略者かもしれないけどね~。一応、丁重に扱ってはいるんだよ~。慈しみ~」

 

「領民……しかし、それは人ならざる者に変貌するという事。小生に言わせれば押し付けの善意でしかない」

 

 瘴気に呑み込まれた生物の辿る末路は2つだ。すなわち、戮辱者か烙印者か。

 

 自壊の激痛に苛まれ続ける戮辱者。人間の原型すら留めない烙印者。いずれも、異形。とても尊厳のある生き方とは言えない。

 

「アレも一種の進化だよ~。瘴気という過酷な環境に適応した、新人類~」

 

 アスナヴァーニイは人差し指を立て、右手を下に、左手を上に向けた。

 

「攻撃的な人間は瘴気と馴染んで戮辱者(じごく)に~。理性的な人間は瘴気に適応して烙印者(てんごく)に~。最後の審判だね~」

 

 サメフが仮面越しに頬を撫でる。最初に接触した遺失支族──ミセリコルディアは、世界の攻略に関して強い信念と美学を持ち合わせていた。

 

 だが、アスナヴァーニイの態度は全く違う。世界を滅ぼす事を誇りも悪びれもしない、冷酷なまでにフラットな俯瞰。

 

「ボク達はシステムなんだよ~」

 

 あるいは。

 

「育ち過ぎた世界を終わらせるシステム、それが黙示録~。性格や信条に関係なく、ボク達は世界を滅ぼす本能を抑える事ができないんだよね~」

 

 諦観。

 

「タヴ・モンド~。ザイン・ラムール、レテ・ダーム、ヤザタ・スプンタ~」

 

 アスナヴァーニイが数えるように指を折り、また開く。

 

「サピエンティアに改編された超越者達は、少し理解できたんじゃないかな~。世界の敵である事を本能に刻まれる気持ちが~」

 

 その手で1本の杭を握り締め、地面に突き立てた。

 

「だけど、666の世界を手に入れれば、下らない使命からも解放される~。それがボクの……」

 

 その先の言葉は弱々しく風に流される。

 

「……その杭は?」

 

「事前準備ってヤツだよ~」

 

 アスナヴァーニイが軽く蹴ってみせても、杭はびくともしない。代わりに、子供のような矮躯が反作用で後ろにコテンと転がった。

 

「痛た~!あ~も~、上手くいかないな~。アガルタ遺構の『封書庫』は空だったし、今日は厄日だ~」

 

 厳重に封鎖された、立ち入り禁止の封書庫。太古の時代、そこには世界各地の危険な書物が隔離されていたという。抜け駆けして盗みに行く価値はあった。

 

 しかし、ディザイアを活用して侵入を果たしたアスナヴァーニイが目にしたのは、埃を被った空の書庫と、壁に刻まれた混成語の簡潔な1文。

 

『気が向いたら返す』

 

 サメフの補足によると、それは女王ベート・バトゥルの筆跡であった。

 

 

 

「手が足りんな」

 

 背に担いだ梧桐志鳳の寝息を聴きながら、プレイスホルダーは現状を確認する意味を込めて独りごちる。

 

 あまり猶予はない。一刻も早く、志鳳の意識を幻界に連れていくべきだ。

 

 だが、幻界に行っている最中はどうしても肉体の方が無防備になる。プレイスホルダー自身も付き添うので、志鳳の体を守る者が他に必要だ。

 

 遺失支族が襲ってきても確実にやり過ごせる程度に、信頼のおける実力を持つ超越者。

 

 摂理の守護者である彼が、その人選に妥協を挟む余地はない。万が一にも志鳳が黙示録に討たれれば、救世の希望が潰えてしまう。

 

「しかし、この時代に生きていそうな余の友人など、それこそ『ダレット』くらいしか……」

 

 街路沿いの花壇が目に入ったからか、ふと古い友人の顔が思い浮かんだ。あの女性がいれば、安心して任せられるのだが。

 

『──輪の真名を呼んだね、あ』

 

 瞬間。プレイスホルダーの足元で青い菊の花が揺れる。

 

 ふわりと鼻腔を擽る甘い香りが弾けた。周囲の草花が次々に舞い上がり、根を靡かせながら1箇所に集合し始める。

 

「ぬ、お……っ!」

 

 とある超越者が世界各地に植えた、色鮮やかな花々。それらは友好の証であり、彼女が広げたアンテナでもある。

 

『プレイスホルダー。今回ばかりは卿の遅刻だよ。一緒に女王を倒そうって約束したのに、勝手に死ぬなんて、あ』

 

 寄り集まった植物が1人の女性の全身を形作った。

 

 毛先の黒い銀髪。ヘッドドレスと青い薔薇のコサージュ。スカートをパニエで膨らませた、黒い花模様のゴシック・アンド・ロリータ。 

 

「本人登場、みたいな?」

 

 花唇のダレット・ランペラトゥリス。

 

 シグネットは植物。ライフワークは園芸。文字通り世界各地に『根を張る』超越者。

 

 彼女以上に生物系を極めた存在を、プレイスホルダーは他に知らない。

 

 

 

 擬態のレーシュ・ソレイユがLITH端末を操作すると、目の下に隈を湛えた紫髪の女性が画面に表示された。

 

『はい、こちらメリディエース。急患……じゃなさそうだね。まったく、寿命が1分は縮……』

 

「アナタに縮む寿命なんてないデショウ。惑星踏査用超耐久型原初生命体・プリモ。アナタは生存能力のみに特化して製造された個体なのデスカラ」

 

 治療院の総裁──メリディエースは諦めの溜め息を溢す。レーシュの指に力が入り、作業机を軋ませた。

 

「やっと見付けマシタ。ワタシよりも先に在界に送られておきながら、地球との連絡を断った、裏切り者……!」

 

『裏切り者とはご挨拶じゃないか、統合共生模倣型多機能知性生命体・ミメシス。確かに私は遥か昔に任務を放棄したが、そもそも元から地球に対する忠誠心なんて持っていなかった』

 

「それを裏切りと言うデスヨ!」

 

 レーシュは通信回線越しに術式を流し込み、メリディエースの胸をマナのナイフで貫く。

 

『こ、ふっ……!……あ゛、われ、だね。人間の都合で製造されて、死地に捨て駒として送られる。その事に不満すら抱けないとは』

 

「……旧型の癖に、一瞬で再生しマスカ。生存能力のみに特化して造られた体は伊達ではありマセンネ」

 

 レーシュは吐き捨てた。

 

『そうだよ。私は生存能力に重点を置いた実験作。だからこそ、君とは違って雑に使い潰される事を予期できた。在界の調査任務に志願したのも、最初から亡命が目的だったね』

 

 メリディエースはあっさりと明かす。

 

『宇宙船には裏切り防止の監視装置も付いていたけど、運命は私に味方した。私の乗ってきた艦船は瘴気に耐えられずに爆散し、今では宇宙の藻屑だよ』

 

 彼女は愉快そうに笑った。

 

『生存能力に特化した私だけが、どうにか在界に不時着できた。真の意味で自由になれたんだよ』

 

「もう……地球(こきょう)に戻るつもりはないデスカ……?」

 

『ないね。この在界が私の故郷だ。……だが、せっかく連絡をくれたからね。哀れな君に1つ、面白い情報を教えてあげるよ』

 

 メリディエースの言葉は皮肉ではなく、彼女の目には憐憫の感情が込められている。それがどうにも気に入らなかった。

 

『本来、全ての意識体は異能に覚醒する素養を持っている。それは、おそらく地球の人類も変わらない。だから、私は異能者以外の人間を『未能者』と名付けた』

 

「デスガ……。事実として、地球には異能者がいマセンデシタ」

 

『環境の違いだよ』

 

 メリディエースが野菜ジュースの缶をカシュッと開け、ちびちびと口を付ける。

 

『地球は『常識』に支配されてしまった。一種の信仰とでも言うべきかな。あそこまで社会が完成してからでは、その大元となる前提を誰も疑わないだろう?』

 

 在界と地球を比べた時の最大の差。人類が能力の限界を受け入れる前に、突出した『個』が現れたか否か。

 

『地球では世界規模の効率化と最適化の果てに、強い『我』を貫ける人間が淘汰された。無茶をする者がいないまま、正解を決め付けてしまったとも言える』

 

「……」

 

『君がシグネットを発現できないのも『我』が足りないからだよ。地球から捨てられた事実を認められず、縋るように通信を待ち続けて……』

 

「……通信」

 

 レーシュがぐわっと目を見開く。彼女の瞳はメリディエースを見ていなかった。

 

「通信が、入り、マシタ……」

 

『え……?』

 

「ワタシへの、脳波通信が……!今、この瞬間……!地球の、マスターから……ッ!!」

 

 レーシュの演算領域が久し振りに全力で回転する。圧縮転送されたデータファイルを脳内で解凍し、全ての情報を吸い上げた。

 

「在界の素材と技術に合わせた機材の設計図、特製スーツのグレードアップ、大規模演算装置への接続権まで……!ああ、マスター……!!」

 

 溢れ出る涙を拭ったレーシュは、ゆっくりと顔を上げる。満面のドヤ顔だった。

 

「何か、言いたい事はありマスカ?」

 

『……捨てられたなんて言って、悪かったよ。どうやら私のいない間に、少しは骨のある地球人が生まれたらしいね』

 

「負ーけー惜ーしーみーデースーカー?」

 

『有頂天の擬人化かな?』

 

 メリディエースは顔を顰める。

 

『ちっ、同郷だからって長話し過ぎたね。ぼちぼち移動しないと不味い。通信、切るよ』

 

「……?誰かに追われてるデスカ?」

 

『ああ、ソーク・ブル……』

 

 唐突に通信が切れた。

 

 レーシュは端末を眺め、メリディエースの身に何が起きたかを想像する。袂を分かった相手とは言え、数少ない同じ境遇の仲間だ。多少は心配に……。

 

「まあ、どうせ何されても死なないから良いデショウ」

 

 ならなかった。レーシュは冷血である。

 

「……マスターの事を悪く言いマシタシ」

 

 そして、根に持つ性格でもあった。

 

「そんな事よりも、この設計図デス!擬似的に意識を移動させられる機械!複雑な構造デスガ、アインに頼めば直ぐに……!キキキキキキッ!」

 

 レーシュは玩具を買って貰った子供のように高揚し、自室を勢い良く飛び出した。




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