四国立教大学文化サークル夏山登山獣害事件脱出期   作:四国の探索人

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準備会議

授業を終えた山中は、サークルの部室へと向かった。

 

「窓から見えたけど、もう集まってそうだったな」と呟きながら、どこか心が浮き立つ。

 

部室の扉を開けると、すでに数人のメンバーが集まっていた。

 

「授業、終わったんか」

 

寺内がリラックスした様子で声をかける。

 

「終わったよ。あれ、細井先輩もいたんですね」

 

山中が声をかけると、部室の隅でスマホを見ていた細井が顔を上げた。

 

「うん。家でくつろいでたら鍋島さんからLINEが来てさ。バイトなかったし、暇だったからね」

 

携帯をポケットにしまいながら、細井は話に加わる。

 

「それで、登山の話は聞いてます?」

 

山中が尋ねると、細井は目を丸くする。

 

「登山? え、何それ、初耳なんだけど?」

 

その反応に、隣の畑中もやや驚いた様子で口を開いた。

 

「あー……LINEで“集まりたい”って言ってたの、それか。なるほどな」

 

寺内は落ち着いた口調で言う。

 

「まぁ、ノープランってことはないでしょう。今日はその話をするんじゃないですか」

 

「LINEで聞くって言ってましたけど、他には誰が来るんでしょうね」

 

山中が興味深そうに言うと、寺内がスマホを確認しながら答える。

 

「山口さんと濱口さんも来るらしいよ」

 

「その2人、仲いいもんね」

 

細井が納得したようにうなずく。

 

「予想以上に集まるな。文化系サークルなのに、やる気ありすぎでしょ」

 

山中が苦笑すると、畑中も同意する。

 

「杉山も来るって言ってたよ」

 

「ってことは……俺、寺内、鍋島さん、畑中先輩、杉山、細井先輩、濱口さん、山口さん……合計8人か」

 

山中が人数を確認すると、細井がやや戸惑ったように聞く。

 

「待って、俺も参加確定なん?」

 

「まぁ、細井。やることないやろ?」

 

畑中が笑いながら茶化すと、細井も肩をすくめて苦笑した。

 

「まあ……そうだけどさ」

 

そんな中、部室の扉が再び開く。発起人の鍋島が、元気よく姿を現した。

 

「お、集まっとるやん、君たち!」

 

「鍋島さん、お疲れさまです」

 

畑中が声をかけると、鍋島は部室を見渡してうなずいた。

 

「山中くんと寺内くん、登山の話は聞いた?」

 

「今ちょうど聞きました」

 

細井が答え、山中が補足する。

 

「それに、この2人も参加みたいです」

 

「よっしゃ! これで何人や?」

 

「8人ですね」

 

「ええやん! じゃあ今日は活動はなしにして、登山の計画について話そうか」

 

鍋島が目を輝かせると、寺内がやや不安げに問いかけた。

 

「ていうか、なんで急に登山なんですか?」

 

「いやな、俺らもそろそろ就活で忙しくなるやろ? もうあんまり部室に来れんようになるからさ。今のうちに、みんなで思い出作りたくて。まぁ、大学生って急に動くもんやろ?」

 

その言葉に、寺内も小さくうなずいた。

 

「まあ、確かに……そうですね」

 

「ちなみに車は、俺と濱口さん、山口さんが出してくれるから。それで学校に集合して現地へ向かう予定や」

 

「聞いてませんでしたけど、どこの山に行くんですか?」

 

山中が尋ねると、鍋島が少し誇らしげに答えた。

 

「徳島の熊山や」

 

「熊山……また大きなとこ選びましたね」

 

山中が目を見開く。

 

「熊山って、あれでしょ。デカいやつ」

 

細井が言うが、畑中がすかさずツッコむ。

 

「語彙が足りてないな、細井」

 

「どうせならスケール大きい方が思い出になるやん」

 

鍋島は笑いながら、皆を鼓舞するように言う。

 

「熊山って、グループで行ったら1日じゃ下山できないですよ?」

 

「ええんや、それくらいの方が楽しいやろ」

 

山中は苦笑しながらも言う。

 

「他の登山客も少なそうですし、意外と快適かもですね」

 

「それで、今日は持ち物の確認も含めて集まってもらったんや。何が要ると思う?」

 

「山に行くなら、タオル、飯、飲み物……とかですよね」

 

寺内が挙げはじめると、山中も続ける。

 

「1泊以上なら、テントに寝袋、皿や箸、コンロも要りますね。あとカイロと懐中電灯とか」

 

畑中はノートを取り出し、言葉をメモしながらうなずいていく。

 

「大体は家にあるもんで何とかなりそうやな」

 

鍋島がうなずくと、山中が言う。

 

「テントと寝袋なら、家にいくつか置いてあります。家族が泊まりに来た時用に」

 

「お前、親を外で寝かせるんか?」

 

寺内がツッコむと、山中は笑って答える。

 

「いや、室内で寝袋使ってもらってただけです。あと、テントは趣味で集めてます」

 

「なるほど。でも8人やったら僕のもいくつか持って行きますわ。倉庫にあるやつで」

 

「助かるな。山中くんと寺内くんの道具は、前日に俺が家に取りに行って、部室に置いておこう」

 

「当日に慌てるより良いですね」

 

「よし、持ち物と車も確保できた。日程はどうする? 一泊二日?」

 

「いや、どうせ素人ばっかですし、二泊三日を想定しといた方がいいですよ」

 

「……モバイルバッテリー大量に持ってかなあかんやつやな」

 

細井が不安げに言う。

 

「いや、山奥やから電波繋がらんと思うぞ?」

 

畑中が現実を突きつける。

 

「畑中さん、俺はオフラインでもゲームしますから」

 

「ブレへんな、細井先輩……」

 

山中が苦笑する。

 

「じゃあ、この話まとめてLINEで流しておくよ。男ばっかやけど、気は楽やな」

 

「そうですね。なんだかんだで二時間近く話してますし、今日は解散しますか」

 

「うん。足りない物あったらまた連絡回そう」

 

こうして話し合いは一区切りを迎え、メンバーたちはそれぞれ登山の準備へと動き出した。

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