もう一話ウィッチファームに行った短い話を書いて掲示板に戻れるといいな(願望)
母屋に入り夕食の席に着く。戸がどこも二重になっているのが寒い北海道の建屋であることを主張している。
暖房が十分にいきわたった内部はとても暖かく、上着を着たままでは暑いほどだ。
時間としては午後5時だというのに陽は落ち切り、もう真っ暗。
建物が少ないこの地域では晴れ間に満天の星空が光っていた。
外から帰ってきた男三人は体の埃を落とし、念入りに手を洗いうがいをし卓に着く。
卓の上には
他にどの地域でも変わらない炊かれた白飯。北海道らしい塩が効いた赤味噌を溶いた味噌汁がそこに並ぶ。
味噌汁の具材は鱈、じゃが芋、人参、玉葱、長ネギ。材料の種類に三平汁につかった具材の残り物が伺われた。
内地(本州以南の事)の具材が少ない上品な汁物とは異なる労働者の味。手に入る具材を使った家庭の味である。
動物の相手をし日々忙しい職業柄、正月と言ってもいつもと変わらない日々の糧。
いただきますの声を唱和し箸を取る。
ご飯を一口放り込み、味噌汁に口を付ける。
阿里川勇樹にとって久々な家庭の味だ
黒札には”前世”の家庭の味がある。だが阿里川勇樹にとってそれはもはや忘却の彼方である。
家を出て偶にしか帰省しなくなり、帰省したとしても外食などを選べば家庭料理から遠ざかる。
嘗て確かにあった、だがそれはもはや手に入らない夢幻(ゆめまぼろし)。
この世界では、これが実家の味であった。
うま煮に手を出した時、微かな違和感を抱く。
いつもより味が濃い……いや染みている?
同じように思ったのか父茂樹が疑問を口をする。
「なあかーちゃん、味付け変えたか?」
「あん?ああ、今日のうま煮はデュランダルさんに手伝ってもらったの。
すごいわよデュランダルさん、ちゃんと具材を同じような大きさに切りそろえるなんて、きっとご家庭の教育が良かったのね」
その意味するところは、母加奈の切り口は雑であるという事。
家業(牧畜)をこなしながら食事の世話までするのに必要なのは時短。口に入れば上等だろうの精神で兎に角乱雑に切られていた。その為煮物などでは味の染みこみ方が疎らになる。
逆にシキガミたるデュランダルは、まっさらな状態から阿里川が基礎を教え、本などからの自己学習をした結果、基礎的な部分をちゃんと行う様になっていた。
「その……デュランダルさんは自宅では料理とか……フランス料理とか作ってるのかい?」
兄春樹が興味深そうに聞く。
その口調は突然できた義妹に対して、どの程度砕た話し方をして良いのか分からない用であった。
「自宅では日本の食事……和食?が多いですね」
「へー、フランスの料理が恋しくならないの?」
その口調は兄が弟に、嫁さんに配慮しろよと言っているかのようであった。
「兄貴、別にフランス料理もなくはないよ。キッシュとかキュルティヴァトゥールとか」
主に俺が作っているけどねとは言わない。シキガミに対する幻想は必要だ。
「え、なに??キス???」
だが兄は突然の知らない横文字に混乱していた。
父母もどんな料理なんだ?と不思議そうな顔をしている。
「キスじゃないって、キッシュだよ、キッシュ。フランスのパイ料理。うちだとほうれん草か小松菜をメインにベーコン・卵・生クリーム・チーズを入れてオーブンで焼くんだよね。
作り立ても美味しいけど、冷蔵庫なら数日保存できるから、添え物としても食べるかな」
芸人みたいなボケするとかマジかよと呆れながら答え、他にも調理するものを上げる。
「スープだと さっき言ったキュルティヴァトゥール(農夫風スープ)が多いかな。ポトフなんかも食べるけど……後は肉になると牛豚鳥どれでもローストしてソースは適当にかな。
パンはまあ餅は餅屋ならぬパンはパン屋って事でお店で買うけど、何分住んでるところが田舎だからね、店に無かったりすると自分で作ったりもするね、カンパーニュとか」
一通り喋る終え、家族をみれば皆ぽかーんとしていた。出てきた言葉が指し示す食事がどのようなものか想像もついていない。
「おまえさぁ、中学までここにいたから分かるだろ。俺たちにフランス料理なんてハイソなものに縁がないのをよ」
北海道の田舎で且つ零細牧場であれば外国の料理などとんと縁がないものだ。両親や兄からすれば内地*1でずいぶんいいもの食べているのだなぁ、うちの義娘/妹は故郷の料理(フランス家庭料理)に加え和食も作れて偉いなぁといったものであった。
だが実際は阿里川勇樹の前世の嗜好である。今回はシキガミの出身地となっているフランスの料理を上げたが、どちらかというとヨーロッパ各国の料理を食べたり作ったりしていた。
まっさらなシキガミが最初から料理を作れるはずも無く、彼が作り教えたのであった。
「まあ
俺の家に来るのは難しいだろうけど、どっかのタイミングでサキガケのレースを見に来たら店に連れていくよ」
予約するようなとこだと早めに言ってくれると嬉しいなと言い添えれば、あんたもちゃんと連絡しなと反論され、はーいと言う他無かった。
「はーごちそうかぁ……そういや
だから身軽な俺が行くべきじゃないかな?」
「まてまて、そういうことなら社長の俺だろ」
思いがけず食べた事のないご馳走のチャンスに、父と長男二人でぎゃーぎゃー言い合うのを眺めながら阿里川勇樹はそういえばと疑問を口にする。
「そーいやじーちゃんばーちゃんはどうしたん?」
言い合いがピタリと止まり、兄と父はお互い無言で見つめあう。お前が言えよと押し付け合っているようだ。
そしてままあって、父茂樹が口を開く。
「じーちゃんが腰悪くしてたのは知ってるだろ?年末にさらに悪化してな、
「え、まじ?」
前に仕事中に腰をいわしたのは聞いていたが、さすがに入院ともなると寝耳に水である。
「お医者さんがいうには悪化を防ぐ為に手術しましょうって事でな。さすがに年末三が日はお医者さんも休みだから手術は週明けだとさ」
祖父一樹は元々この牧場の社長をしていたが力仕事で腰をやってしまい、そこから高負荷な仕事を避けてきた。さすがに若い時ほど働けないということで社長職を息子に譲り、自分は補助仕事をメインとしていたが年が年だけにまたやってしまい、救急車で運ばれ札幌の大き目な病院に入った形だ。
「勇樹がいくらか稼いでくれたからばーちゃんも付き添いで札幌だよ。ホテルに泊まって手術終わったら帰ってくるぞ」
安いホテルだがなと言うが、余裕のない零細牧場で労働力が欠けてもなんとかなるのは阿里川勇樹がレースで稼いだ(生産牧場賞など)からである。
「そんなわけで勇樹、うちの
「あいよ」
阿里川勇樹は気安い雰囲気で引き受けた。
彼は転生者ではあるが今生の家族に情が無いわけでは無かった。ガイア連合内の黒札と言われる人間の中ではやや変わり者かもしれないが、家族に何かを返せるなら返すくらいには人の情があった。
そんな雰囲気のなか久々の家族揃った食事の時間は過ぎていった。
食事後、母加奈は片付け、シキガミデュランダルは風呂に入っていた。
残った男たちは勇樹が持ってきたお茶(割と高価)を飲んでいる。
この光景が令和なら怒られそうである。だがまだ平成であり、世の中の流行に疎い田舎だからこそ、力仕事を男が許されていた。
机を囲んでいる男たちには男の会話が……あるわけでもなかった。
「それでだな、ガイアさんの牧場と付き合いあるらしい勇樹に聞きたいんだが、うちの馬をもっと高く売る方法ないか?」
結局、どこまでいっても馬産の話であった。
「あー、そう……だねぇ」
視線が宙をさまよう。阿里川の脳内で様々案が浮かぶが、それを言うべきか通じるか。
自分が持っている前世の知識から、今進めているガイアでの案件まで競走馬の生産育成に関する話は色々有る。
ややあって口を開く。
「
息子の言葉を興味深そうに父は先を促す。が、その横に座っている兄は眠たそうで、うつらうつらと舟を漕いでいた。
「まず……餌かな」
「餌かぁ……」
プロのアスリート、あるいはそれを目指す若者たちはタンパク質を中心に摂取し、よりスポーツに向いた肉体を作る。
同じように競走馬も成長に良いものを配合した食事をとらせることによってより良い体づくりを行わせる。
もちろん他と変わらぬ食事を取っていても天然の筋骨隆々な体を持つ人間が居るように、競争に向いた体をもつ競走馬もいる。
だが経営者の父からすれば、息子の言葉から想定されるのは費用の増加だ。
良い食事は高い。同じように良い競走馬向けの食事が高いのも道理だ。
わりとかつかつな経営状況でその費用増加に耐えらえるか、スパッと導入するとは言えないジレンマがそこにあった。
「
「そうだなぁ……買えるとは約束できないが、紹介してくれると嬉しいな」
実際、ガイアファーム代表四木谷は異界を使った飼料作成に一枚噛んでいた。
終末後、広い土地をつかった農業は難しくなる。人間の生存にすら結界が必要な世界で、養うためですら1頭あたり広い土地が必要で、食べさせるためにさらに広い土地が必要となる牧場など簡単にできようか。
これは人が口にする肉になる牛豚鳥ですら同様である。
ガイア連合の非公式キャッチコピー、”終末後でもファミチキを”。
これを実現する為に何が必要か。
必要な鶏肉を育成する牧場だけでなく、食べさせるための大量の穀物・水・労働力。
特に穀物の輸入元の大半はアメリカ合衆国である。世界が終りかけている今、その代替が速やかに求められた。
神の力を借りた異界内での農業*2は、人が口にする米・麦が中心とはいえ、その他の作物育成も試みられていた。
異界での生産が軌道に乗れば、流通コスト次第では逆に今より安くなる可能性すらある。
そしてそれですら足りない事を考え、サーバーを使った電脳異界にも手を出そうとしていた。
(そういう訳で四木谷は競馬を存続させるためいろいろ忙しい)
「ガイアファームが食べさせている飼料をうちもつかってます、はそれなりに宣伝になると思うよ」
「つっても最近
腕を組んで皮算用をはじめる父茂樹。
仮に導入したとしてどの程度で生産馬が売れるようになれば元が取れるようになるか、そんなことを考え始める。
苦笑しながら阿里川勇樹は話を続ける。
「あとは、ガイアファームが育成牧場も始めるからそこに預ける事かな。
ガイアさんは今の所勝ち馬出してるし、そこを通った馬が走り始めて勝てば価値が上がると思うよ。
今なら俺の口利きで1頭くらいならねじ込めると思うしね」
「あー……ガイアさんの育成かぁ」
阿里川牧場のような零細牧場では、馬を買った馬主が育成牧場に委託し、基礎的な育成後、JRA/NARの競走馬登録をするといった流れである。
ガイアレーシングは外厩の育成で有名になりつつある新興クラブであり、彼らが始める育成牧場の価値はまだわかっていない。
だが都会の子供が小さいころから教育をうけるように、若いころからの教育は有効である。外厩であれなら育成牧場からアレコレ育てられるなら強い……のでは?と考えられていた。
委託すればガイアファーム育成牧場で育成された馬は、阿里川牧場生産馬としてでは無くガイアファーム育成馬として出てくる。
ガイアファーム/ガイアレーシングの馬が勝てば勝つほど育成牧場の価値はあがる。
名前が隠れるとしても委託すれば馬の価値が上がるのであれば意味はある。
父茂樹もそれが分かっているから悩むのだ。
「金もそうだが、
「いや?受け入れるって話はないよ」
「え、じゃあお前が契約しているから特別にって?」
「まあ、そういうことかな」
うーむとさらに唸り始める父茂樹。
金の件もそうだが、嫉妬などの有無もあるかと頭を悩ませ始める。
小さい牧場が、外からの厳しい目にさらされながらやっていくのは厳しい。
人であるからこそ嫉妬や妬みなどの感情は無視できない。
自分の生産馬の価値と同業他社からの目、そのバランスを悩み始め……そして唐突に止まる。
「あっそうだ、勇樹に言わないとなことがあったんだわ」
ちょっとまってろと席を外し、事務所から何かを持って帰ってくる。
「これだ」
そう言って差し出されたのは一枚の名刺。
『ウィッチファーム』という牧場名とその所在地が書かれ、代表者として『アルウェン・エバンス』と書かれていた。
「小畑さんの所の息子さんが
「まあ知ってるよ、結局畳むから馬をどうするか悩んでるって前に聞いた気がする」
それに頷き続きを話す。
「イギリスの実業家が日本で馬産をやりたいが拠点となる牧場が必要っていうんでな、ちょうど小畑さん家が畳むからそれをそっくり譲り受けるという話になったらしい」
「へー、それで俺となにか関係が?」
勇樹はそう答えながら、あれ関係だろうなと自分自身の知り合いのことが浮かんではいた。
「この名刺を持ってきたのは書かれた名前の白人のにーちゃんだったんだが、牧場やるからと挨拶まわりにきた時、お前の名前を出してよろしくと言ってきたんだよ」
「あー」
「なんか知ってるのか?」
「まあね」
どこまで言ったものかとやや思案しながら言葉を選ぶ。
「数年前に俺がイギリスに競馬しに行ったのは覚えてると思うけど、ガイアさんの関係でお伺いした人の関係者じゃないかな」
「はえー、そういやお前いつの間にか英語できてたんだったっけか」
「まあね」
父は競馬関係のコネと思っているし、実際そういう側面もある。だが実際はオカルト関係の付き合いであり、そしてガイアのほうが立場は上であった。
「ただまあこの名刺の人はあったことないと思うんで明日帰りがけに寄ってみるよ。ちょうど手紙も貰ったしね」
「手紙?」
「さっきの関係者、イギリス貴族の方なんだけど、その人から俺に当てて、関係者が牧場やるからよろしくって手紙が来てるんだ」
「貴族ぅ?……まあイギリス競馬は貴族のものか……勇樹すごいな、そんな知り合い作ってたのかよ。
それだとお前の名前を出してよろしくもするか……」
父は表看板の貴族というところに感心し、そしてそんな所から挨拶されるほどだとはと感心していた。
だが実際はケツモチしてくれというお願いであった。
イギリスはメシアとの戦闘で大分まずい状況であり、イギリスに残ったオカルト関係者の生存は厳しい状態である。
牧場経営をだしに実質亡命してきた人たちの後ろ盾になってほしいという白旗でもあった。
「そんなわけで、挨拶はしておくよ。親父の同業他社になるわけだしね」
本当であれば先触れでも出すべきなのだろうが、阿里川勇樹は内心大丈夫でしょ?と思っており、いい加減な部分が見て取れた。
そんな事を会話していれば誰かが入ってくる。
「わ……ゆーきさん上がりましたよ」
阿里川のシキガミ、デュランダルである。
風呂上がりにパジャマに着替え、火照った顔は美しさを見せ、水分を含んだ髪の毛のテカリは天使の輪っかにようにも見えた。
そして一番目を引くのはパジャマ越しにですら主張する豊かな胸部装甲。
父茂樹は思わず震え、そして、うおデッカ……と呟いてしまった。
父のたじろぎに反応して船を漕いでいた兄もなんだ?と目を覚まし、目を吸い寄せられ呟く、うおデッカ……
奇しくも父子のシンクロニティにいつの間にか入ってきた母親が青筋をたてる。
「あんたたちどこ見てんのよ」
バチンという大きな音を立てながら夫と息子の頭を叩く。
二人ともあいたぁと悶える。
「だめよデュランダルさん、風邪ひくからこれ着なさい」
悶える夫と長男を無視し、半纏を渡す。
むろんここは北海道の建屋である。暖房をガンガン効かせており一般的な本州の建屋より温かい。
だが孫が期待できる義娘に何かあっては事であるし、見た目が細い事から寒さには弱そうに見えた。
なによりバカタレな夫と長男のせいで、気分を害した義娘がよりつかなくなれば孫が見れなくなる恐れがある。
残念ながら長男には嫁の当てがなく、このご時世一次産業に女は寄り付かなかった。
「ありがとうございます義母様」
そんな母の懸念を他所に義娘は素直に感謝した。
「あんたたち明日もあるんだから早く寝な」
「叩くこたねーだろうがよー、ったく」
抗議の言葉を残し、頭をこすりながら父茂樹は馬の見回りの為部屋を出ていく。
一方兄春樹ははたかれた頭を擦りつつ風呂へ行った。
「勇樹は客間だけど、デュランダルさんをちゃんと寝かせるのよ」
「はいよ」
過去に自分の部屋だった場所はもう倉庫になっており、寝るところでは無かった。
時間による移り変わりを感じつつ客間に布団を引き、床にはいる。
冬の北海道は静かだ。
春から秋にかけては大小の生き物たちの大合唱が聞こえる。
だが雪の積もるこの時期は生き物だけでなく、音すら死んでいるかのようであった。
そんな静寂にもぞもぞと音がすれば、シキガミが自分の布団に潜り込んでくる。
一応布団を二つ引いたのだが、茨城の自宅ではもちろん一つのベッドであることから我慢できなかったようだ。
潜り込んでくると同時に抱き着いてくるが、それに合わせて抱き着き返す。
文字通り人のぬくもりを感じる。
勿論この部屋も暖かい。暖房をケチる内地の部屋よりもずっと暖かい。
だが物理的な温かさとはまた別の、心の温かさというべきモノも感じていた。
小さい声がする。
「我が君、私はちゃんと妻をやれていますか」
確認するような、縋るような声。
「そうだね……ちゃんとやれてるよ、花丸二重丸かな」
答えを返せば、シキガミはむふーという鼻息と共に頭をぐりぐりと押し付けてくる。
阿里川勇樹は思った、まったく男って言うのは単純だなと。
自分の事を好いていてくれる異性が横にして、それを抱きしめているだけで心が満たされる。
『だからシキガミのパートナーが必要なんですね』
そうショタおじの声が聞こえた様な気がしたが、まったくもって正しいと思った。
胸元の温かさを感じながら阿里川勇樹は意識を手放した。
朝、といってもまだ日が上がらない時間に目を覚まし、実家の手伝いを行った後次の目的地へ出発する。
行先は、ウィッチファーム。
日本に来た(避難してきた)人達のその人となりを見極めねばならない。
見送りは父だけ。
祖父母が抜けた穴は大きい為、母も兄もやる事が山積しており見送りには来れない。
見送りの父だって仕事は多い、だが息子に一言言わなくてはならなかった。
「次は……また年末年始あたりか?」
「帰省はそうなるかな。まあ北海道で競馬することもあるからそこで時間があれば……ね」
「そうか……」
しばし逡巡。
「ガイアノサキガケ号がG1に出走するなら
「あー、
お前はいい加減なのにこっちには事前連絡かよと苦笑する父に、阿里川勇樹はそれが息子だろと返せば、まったくと呆れる。
「ま、
「がんばるけど、確約はできないなぁ」
阿里川勇樹は確実に遂行できない事自体は確約しない人間である。
そういう部分が騎手界隈でも変わり者として見られる一因であり、また覇気が無いとも捉えられていた。
彼自身まだ気づいていない事であるが、彼やガイア連合の黒札持ち達の中身は悪魔である。
悪魔は少なくとも契約を遵守する存在であり、その因子が影響を与えていた。
最大限の努力は行うが、確定できないものは確約しない。
そんないい加減とも捉えられる発言に、お前らしいなと苦笑する父は、もう一人に向き直る。
「デュランダルさん、うちの息子はちょっと変わってるかもしれませんが、悪い奴じゃないんで、今後とも末永くよろしくお願いいたします」
そんな懇願染みたお願いにシキガミデュランダルは快闊に答える。
「おまかせくださいお義父様、ゆーきさんは私がお守り致しますので、大船に乗ったつもりでご安心ください」
胸を叩いて言い切る言葉と態度に父茂樹は、「そ、そうですか」としか返せなかった。
もしかしてこの娘さん、ちょっと変わってるのでは?
とちょっぴり思ってしまった。
走り去る車を見送り父茂樹は独り言ちる。
「あの娘、勇樹の何処にほれたんだろうなぁ。……金だけって訳じゃなさそうに見えるし……」
そんな疑問を浮かべながら仕事に戻る。
とは言え、息子が稼いでいるのは知っていたが、その額が億に届いているのまでは知らなかった。
上位騎手だし稼いでいるのだろうなと、知っている地方騎手の上くらいを想像していた。
お父さん、そいつ獲得賞金20億超えてるから5%でも億行きますからね。
業務内容変わって疲れて帰ると時間あってもなかなか書けませんね
とりあえず小説書いていると時間掛かってしょうがないのではよ掲示板に帰ろう!って感じですが、とりあえずぼちぼち感想返ししたいですが、時間かかるかも?