才能に恵まれすぎたドMが魔法界で百合逆ハーレムを目指す話   作:ひさなぽぴー

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57.邪神に愛を歌う少女

 グリフィンドールVSハッフルパフのクィディッチは、見事グリフィンドールが制した。その点差はさほど大きくなかったものの、ハリーがスニッチを取るまでハッフルパフにリードされてたことを考えればそこはしょうがないと思う。

 そしてその程度の点差であったとしても、グリフィンドールは対レイブンクロー戦での貯金があった。かくして今年度のクィディッチ優勝杯は、グリフィンドールの手に渡ることになったのでした。

 

 ギリギリの試合を制したハリーは、チームメイトにもみくちゃにされながらも心底嬉しそうにしていた。あれは相当に幸福な記憶が充填されたに違いない。

 試合後は、特例でグリフィンドール寮にシリウスが突撃した。元々シリウスはグリフィンドール生だし、グリフィンドールのノリには慣れたもの。後見人である彼を交えて、優勝の夜は楽しく賑やかに過ぎていったらしい。

 

 そしてその勝利の宴のさなか、ハリーは遂に守護霊を有体で呼び出すことに成功した。シリウスとジニーに囲まれて呼び出された守護霊は、原作同様に牡鹿。シリウスがその場で号泣したのは言うまでもないでしょう。

 聞いたところによると、これを見たウィーズリー家一同は無事にジニーとの交際許可を出したらしい。

 

「ハリーが守護霊を成功させたのを、あんなに嬉しそうに見て寄り添ってるジニーを見たからにはね」

「まあまだパパとママの説得が残ってるけど」

「そこは俺たちに任せてくれよな!」

「ハリー! ジニーを幸せにしないと許さないからな! くそぉ、おめでとう!」

 

 順にパーシー、フレッド、ジョージ、ロンのセリフだそうです。

 本当によかったね。末永くお幸せに。

 両親の説得については、最強のカード「でもあなたたち、学生時代禁じられた森でやることやってましたよね?」を伝授しておくので、好きなタイミングで速攻魔法として使ってくれ。

 

 いやあ、思うようにいかなくてハラハラした三年目だったけど、無事に納まるべきところに納まったみたいでなによりだね。ディメンター相手の切羽詰まった状況で使えるかどうかって問題はまだあるけど、ひとまず成功できたことは大きい。

 

 まあ、翌日に「ハリーにかけられている愛の魔法を持続させるために、長期休暇中しばらくはダーズリー家にいなければならない」って知らされたハリーは、また有体の守護霊が呼び出せなくなったっていうオチもつくんだけどね。

 そこはご愛敬ってやつさ。出せなくなったって言っても、内面を変えるほどの衝撃的な経験によるものじゃないんだ。あくまで一時的なもので、年度末試験を乗り越えた解放感と喜びでまた出せるようになってたしね。

 

 その年度末試験で。

 

 原作だと、占い学の年度末試験でハリーはトレローニー先生から予言を聞くことになる。ハリーの試験中、突然トレローニー先生がトランス状態になって、普段やってるような的外れなものじゃない本当の予言を口にするんだよね。

 

 内容としては、要するにお辞儀の復活だ。忠実なるしもべ、つまりピーターが解き放たれ、お辞儀のもとへ。そしてその手を借りて、お辞儀が復活する……って感じのね。

 

 ただ、この世界じゃ色々と状況が変わってる。この状況で、どんな予言が繰り出されるのか……それとも、何もないのか。どっちなんだろう、ってわたしは試験よりこっちのが心配だったわけですよ。

 だからどうなったのかなーって思って、試験後にハリーに聞いてみたんだけど……。

 

「え、トレローニー先生? 確かにいつもとちょっと違ったこといきなり言い出したけど、予言とか占いとか、そういう感じはなかったよ? だって『おのれ淫蕩! この運命もお前によって破壊されてしまった!!』って叫んだだけだし……」

 

 予想の斜め上の回答が来て、思わずその場で爆笑しちゃったわたしは悪くないと思うんだ。

 トレローニー先生は一体どこから誰の、あるいは何の電波を受信したんでしょうねぇ。明らかに何かの意思ある存在が、運命という名の操り糸を垂らしてるような言い方なんだよなぁ。

 

 ていうか、わたしは一体いつ、通りすがりの仮面ライダーになったんです? もちろん淫蕩なのは、あまりにもその通り過ぎて何も否定できないから、そんなこと言ったら歴代のライダーたちにスゴイシツレイだとも思うけどさ。

 

 ただギャグみたいな展開とはいえ、この出来事はわりと重要な意味があるように思う。

 何せ原作を見てる限り、ハリポタ世界における予言って結構強制力がある気がするんだよね。

 なんだろう、予言がされることによって未来が確定する、みたいな? そんな雰囲気を感じるんだよね、個人的に。

 だって原作で登場する主な予言は二つあるけど、どっちもドンピシャ当たってるんだもん。

 

 いやまあ、創作物における予言ってのは大なり小なり当たるものだけどさ。

 物語の中で意味深に予言が出てきて、全部軒並み外れるとかギャグにもならないでしょ……なんてメタな話はさておいて。

 

 そんなわけで、わたしはわりとトレローニー先生が放つ予言に強制力があるかどうかを意識してたんだよね。あるいは運命ってものが存在するかもしれない、って。

 世の中には、そういう強制力が物語の鍵になる物語だってあるもんね。

 

 だけどトレローニー先生のセリフから考えるに、わたしは予言……あるいは世界に刻まれた運命みたいなものを、既に複数破壊してる。

 つまりそれは、わたしならそういうものをぶっ壊してしまえるってことが明らかになったわけでさ。

 

 元々原作に固執するつもりはなかったけど、これがマジなら、来年度はもっと積極的に運命を破壊しに行ってもいいんじゃないかって思ってるところだ。

 

 具体的には、来年度にもうお辞儀をぶっとばしちゃうとか。何も作戦は思いついてないけど、狙ってみてもいいんじゃなかろうか。やってみる価値はありますぜ。

 今年は原作と違って物騒な事件はなかったけど、それを知ることができただけでも意義のある三年目だったなぁ、なんて思う次第です。

 

 とはいえ、ですよ。今大事なのはそれじゃない。

 何せこれから、ルーナのライブなんだからね。

 

 そう、今年度最後のライブは試験最終日の夕方、夕食前の約一時間となったのだ。

 

 日程は色々と話し合ったけど、クィディッチ最終戦から期末試験までの間はやっぱりライブとか聞いてる場合じゃない人が多いからね。

 かといって、試験の後はさほど日を置かずに夏休みに入っちゃう。となると、色んな意味でみんなが解放感に浸ってる試験後すぐが一番いいだろうってなったんだよね。

 

 あとはまあ、イシュカのための改造両面鏡が出来上がるのが、この辺りになりそうだったから、ってのもあったりするけど。

 なんとかギリ間に合いましたので、今回のライブはイシュカもリアルタイムで観ております。

 

 ともかくそういうわけで、くしくも原作ではシリウスとの邂逅から始まる、一年の総決算となるイベントが繰り広げられたのと同じ、6月6日の夕方から夜にかけてのタイミングでやることになったわけ。

 

 そして今、玄関前の屋外広場に用意された特設ステージの上では、この日のために用意したかわいらしいアイドル衣装に身を包んだルーナが立っている。

 ()()()の衣装は、レイブンクローのシンボルカラーである青と、白を中心に据えたセーラー服っぽいものだ。肩先からがっつり肌を露出させてるから、イメージとしてはウマ娘のヴィブロスの勝負服が近いかも。

 

 彼女がステージの上からまっすぐに、観客席の中央付近にいるわたしに向かってにこりと笑みを浮かべれば、自分が笑顔を向けられたと思った観客たちが歓声を上げた。

 

 ふっ。どんなにラブコールを飛ばそうと、この子の笑顔と視線はわたしのものさ。

 

 そんな優越感に浸るわたしの耳に、拡声呪文(ソノーラス)で大きくなったルーナの声が届く。

 

「みんな期末テスト、お疲れ様。がんばったね。えらい。どんな結果になるかは人それぞれだけど……今は、今だけは忘れて、あたしと一緒に音楽楽しんで。これから一時間くらいかけて、がんばって届けるから」

 

 ルーナのその言葉に、さらに歓声が上がる。

 そんな中、ルーナが一瞬だけソノーラスを切ったのが見えた。口の動きからして、彼女はこう言った。

 

「神様、見てて」

 

 うん、もちろん。ずっと見てるとも。

 

 わたしがそう想いを飛ばしながら頷いたのに合わせて、ルーナも頷いて再度ソノーラスをかける。

 そして、空に向かって彼女の人差し指が突き立てられた。

 

「一曲目、行くね。『ABC』」

 

***

 

 キングオブポップ、マイケル・ジャクソンが幼い頃に兄弟と共に歌った名曲から始まったルーナの期末ライブは、無事成功したって言っていいだろう。

 企画段階からずっと手伝ってくれてたフレッドとジョージ、それにロンには大感謝だ。三人とも見返りはいらないって言ってくれたけど、やっぱり何かしらの形で報いてあげたいって思う。

 

 彼ら以外にも、要所要所でハリーやジニーも手伝ってくれたし、お祭り好きでルーナのファンになってくれた生徒たちもちょくちょく手伝ってくれた。

 みんなに支えられて、みたいなことをステージの上で語るアーティストは多いけど、これはそういうことなんだろうなぁって改めて思ったよね。

 

 ああそうそう、受け入れてもらえるかちょっと不安だった音楽たちは、いずれも好評でほっとしてる。

 やっぱりホグワーツ生は、ノリのいい曲と相性がいいんだろうね。特にロック調の曲は、グリフィンドール生にウケてたように見えた。他の寮にも好まれるような曲を、今後作っていけたらいいのかもしれない。

 

 そんな中、最大の懸念点だったパパキンソン肝いりの曲はどうなったかというと、これもそんなに悪い反応じゃなかった。

 

 色々とあったんだけど、まずメロディに少し手が加えられて、声楽的な要素を残しつつ、ポップな色合いが加わってる。パパキンソンも、まあこれくらいなら許してもらえるだろう。アイドルが歌う曲としても、さほどおかしくない出来栄えだと自負してるんだ。

 

 そこに加えてこの曲には、わたしたちがこれまで培ってきた儀式魔法の要素が組み込まれてる。苦労したけど、なんとかなった。

 これにより、まさにマグルにはマネできない魔法界の音楽って形に仕上がったのだ。

 

 まず儀式魔法の理論を組み込んで作詞したことで、歌詞そのものに魔法的な意味合いが込められた。

 その歌詞に合わせて、この曲のためだけに用意した和洋折衷な巫女っぽいドレスローブ(ペニー渾身の力作。えっちではないけど、わたしみたいな人間は叡智を感じる)を着たルーナが、かわいらしく舞い踊りながらステージを行き交う。これはまさに、儀式魔法そのものだよね。

 ただし、普段やってる儀式魔法よりテンポは早め。振り付けもアイドルを意識したものになっていて、そういう意味ではこの曲は現代に適応した新しい儀式魔法って言えなくもないかもね。

 

 おまけにステージそのものも魔法陣としたこの曲は、連続した一曲の音楽でありながら要所要所で魔法を区切ることで、途中様々な魔法効果が発揮されていく仕組みになっている。

 これによってこの曲は、ルーナのかわいらしさと、知的でクールな雰囲気を後押しするエフェクトがきらめく、壮大な一曲となった。

 

 要するにこの曲、歌い手の魔法力を使うことですべての視覚的、音響的効果をほぼ自分一人で完結できる、そういう魔法なんだよね。歌って踊ってるだけでアイドルに必要な演出がされる、ってわけよ。

 そういう意味でも、やっぱりこの曲は最新の舞歌踊を用いた儀式魔法って言えると思う。

 

 もちろんそれを十全に生かすには場を整えておく必要があるし、ある程度臨機応変に対応しなきゃいけない生ライブ中は、適宜外から修正を加える役はいたほうがいいけどね。

 ちなみにこれは、フレッドとジョージがしてくれてます。演出の大半は彼らが考えた(3割ほどは却下せざるを得ない代物だったけど)こともあってか、純血の方々にもある程度受け入れられたんじゃないかな。

 まあ儀式魔法の知識を得てしまった双子が今後どうするのか、ちょっと怖くはあるけど。

 

 でもそもそもの話、音楽はプロが作ったちゃんとしたものだからね。そりゃ曲がよければ一定数受け入れてくれる人は必ずいるもんだ。

 もちろん、発起人が聖28一族の一つであるパーキンソン家なんだって歌う前に感謝を表明したことも、受け入れられた理由の一つだろうとも思うけどね。

 

 欠点は一曲が長いことくらいかな。さすがに歌って踊る楽曲としては、10分近くはどうあがいても長い。

 

 ちなみにルーナが作った歌詞の内容は、神、つまりわたしに向けたものになっている。

 最初はストレートにわたし宛ての愛の歌だったし、かなりストレートにえっちだとわかる表現が入ってたから、何回か赤ペン入れざるを得なかったけどね。

 それを公衆の面前かつ多くの観客の前で高らかに歌われるのはさすがに恥ずかしいし、未成年が歌うのは倫理的にもまずいもん。

 

 それでも、ラブソングとしての体裁は保った歌詞に仕上がってる。「大好き」とか残ってるしね。この部分は、表示させた英訳もライクじゃなくてしっかりラブになってます。

 

 だから要するにこの曲をルーナが歌うって言うのは、公衆の面前で堂々と、わたしに向けて思いっきり愛を叫んでるのと同義です。

 改稿を重ねてもなお、一部に12歳が作詞したとは思えない表現がこっそり含まれてることを考えれば、「今夜えっちどうですか」っていうお誘いだとも言える。

 

 でもそれはその、ご愛敬というかなんというか……。だってほら、ドスケベな悪い神様に捧げる曲なんだから、仕方ないじゃない。ねえ?

 さっき触れた通り歌詞自体はほとんど日本語だし、大体のものは曖昧な……「あなたのリズムを受け入れる」とか、そんな感じの遠回しな言い方だから、大体のイギリス人にはわからないだろうし。安全確認ヨシッ!

 

 何はともあれそんなわけで、今回のライブは成功したと言えるだろう! これなら、きっと結構な量の信仰が稼げたはず。

 それに伴って、魔眼レベル2の展開できる時間も結構延びるんじゃないだろうか。

 

 そう思ってルーナにいっぱいご褒美で愛してあげて、後日。魔眼レベル2の展開時間を測ってみたところ、一気に30秒ほどにまで延びていた。

 

 これは快挙だ、ってことで改めてルーナにご褒美をみんなであげたよね。三人から目いっぱい愛されて、でろでろに蕩けるルーナは最高にかわいかったです。

 

 なお。

 

「もうすぐ今期も終わりだけど、それまでにできる限り色々調べたいな。特に強い呪いを負ってるルーピン先生とクィレル先生は重点的に」

「これで何かわかるといいんだけど……」

「ええ。期待しておりますわよ、リン」

「任せて。絶対何かしらの成果を上げてみせるよ!」

 

 散々に愛されつくして、一人先に気絶するようにして寝落ちしたルーナをよそに、ベッドの中でそんな真面目なピロートークをするわたしたちだった。

 




あまりにも好き放題やってるドMのせいで、予言を口にできず鳴滝と化すトレローニー先生。
ギャグにもかかわらずかなり重要なこと言ってるんだけど、罵倒された通りにえっちなことしか考えてないドMのせいで、影が薄くなってしまっている・・・。
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