才能に恵まれすぎたドMが魔法界で百合逆ハーレムを目指す話   作:ひさなぽぴー

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11.一年目の終わり

【朗報】クィレル先生、生き延びる。

 

 ……朗報かな? ユニコーンの呪いは普通に残ってるから、これから死ぬほどつらい目に遭い続けることになるだろうけど。心がもつだろうか。

 彼のケガを治すために賢者の石が生み出す命の水を使ったのに、呪い自体には何にも影響ないんだもんなぁ。

 

 あ、そう。クィレル先生が生き延びたのは、賢者の石のおかげだ。原作みたく灰になって死んだならともかく、この世界の彼は普通に身体無事だったからね。

 

 それに、温情もある。あれだけ頼みにしていたはずの主に捨て置かれたってこともそうだし……ユニコーンを殺害したことはそれなりの罪ではあるけど、逆に言えばそれしか被害は出ていないわけで。それで死ねというのはさすがにちょっとな、ってみんななったんだよね。

 なおダンブルドア先生はクィレル先生を諦める気満々だったみたいで、子供たちの言葉に軽くだけど驚いてた。同時に嬉しそうでもあったけどね。まっすぐな子供の主張が眩しかったのかも。

 まあわたしはちょっと探るような目を向けられてたけど、知らなーい。わたし何も知らなーい! 気づいてないもーん!

 

 ただ、ユニコーンの血を飲んだことで受けた呪いを治す手段は、魔法界にだって存在しない。あるならユニコーンの血はもっとお手軽な延命手段として有名だったはずだし、ユニコーンだって絶滅するくらい狩られてただろうね。

 でも今ここには、賢者の石がある。飲み続ける限り不死を維持する、命の水を生み出す魔法界の至宝がここに。

 

 だからダンブルドア先生はクィレル先生にきちんとした裁きを受けさせるためにも、また子供たちに残酷な現実を見せないためにも、クィレル先生に命の水を与えることを選んだ。

 

 たぶん、そこには彼なりの計算があるとは思うけど。どういう過程があったにしても、クィレル先生が生き残ったって結果に変わりはない。彼はしばらくホグワーツの保健室で療養したのち、ダンブルドア先生預かりになる予定とのこと。賢者の石も、まだしばらく破壊されないことになるんじゃないかな。

 

 クィレル先生の人生がその後どうなるかは誰にもわからないけど、せっかく拾った命だ。有意義に使ってほしいところさん。

 

 ……ただの手駒ルートじゃなきゃいいけどね。そこはダンブルドア先生のGG値が低いことを祈るしかない。

 

「──また一年が過ぎた!」

 

 そして少し時間は過ぎて、いよいよ今学期の最後の日。大広間に集まった生徒たちを前に、ダンブルドア先生が声を上げた。

 

 大広間の飾りつけは、緑色。今年の寮杯もスリザリンに決まったってわけだ。

 でもわたしは知っている。ここから駆け込みの得点があるってことを。そこはたぶん、原作と変わらないはず。

 

 違う点があるとすれば加点対象者にわたしがいるだろうってことで、それがどういう風に影響するのか正直ちょっとわからない。本命は、スリザリンとグリフィンドールの同率一位にする形だろうけど……。

 

「しかし、つい最近の出来事も勘定に入れなくてはなるまいて。駆け込みの点数をいくつか与えよう」

 

 ほらな。同時に、今まで誇らしげに胸を張っていたスリザリン生たちの顔がかげる。

 ドラコが、パンジーが、スリザリンの一年生たちがすがるようにわたしを見る。大丈夫だ、と言う代わりにわたしは頷く。

 

 ダメだったとしても、鬱憤晴らしには付き合うからさ。そのときは目いっぱい魔法を打ち込んでくれ。狙い目はみぞおちだ。

 

「えへん。まずはロナルド・ウィーズリー君……この何年間かホグワーツで見ることができなかったような、最高のチェスゲームを見せてくれたこと。

 そして自らの犠牲をいとわず仲間を守った騎士道精神をたたえ、グリフィンドールに30点を与える」

 

 グリフィンドールから歓声が上がった。顔を真っ赤にして照れているロンを、フレッドとジョージが両脇から挟んで嬉しそうにからかっている。普段は厳格で真面目一辺倒なパーシーも、どこか誇らしげだった。

 点数が原作とは違うのは、まあ当然だろう。原作とは辿った経緯がだいぶ違うもんな。

 

「次にハーマイオニー・グレンジャー嬢……正確な知識を正しく用いて仲間の窮地を救い、また大人ですらつまづく難問を解き明かした頭脳と努力をたたえ、グリフィンドールに30点を与える」

 

 もう一度、グリフィンドールから歓声。ハーミーがどこか誇らしげに胸を張った。

 ただ、顔は嬉しそうな色が隠しきれていないし、同級生たちにあれこれ言われてすぐに照れて縮こまってしまった。

 

 はー、かわいいかよ。その子はわたしのなんだから、誰にもあげないからな。

 

「それから、ハリー・ポッター君。その完璧な精神力と並外れた勇気をたたえ、グリフィンドールに50点を与える」

 

 ざわりと大広間内の喧騒が大きくなる。そりゃそうだ、この世界のハリーは原作と違って目立った失点をまだしていない。

 ……いやしてるけど、みんなの話題に上がるようなことはなかったから、いまだにホグワーツではハリーを英雄「生き残った男の子」って見てる子が一定数いる。

 

 そんな彼への加点に、グリフィンドールからみたび歓声が上がった。ハッフルパフやレイヴンクローからも。点数がスリザリンを超えたんだ。

 

 彼らとは逆にスリザリンの席は、お通夜みたいな状況だ。中にはグリフィンドールとダンブルドア先生を、憎むようににらみつけている子までいるけど……これは正直当然だと思うよ。ここのシーンは、原作見ててもそりゃちょっとどうなんだって思ったもん。そんなだからスリザリンと他寮の軋轢が強くなるんやぞ。

 

「そして、リン・ゼンポウジ嬢」

 

 けれど、さらに続けてわたしの名前が呼ばれたことで、大広間が水を打ったように静かになった。

 

「まさに寮を体現するかのような周到な準備と根回し、またときに大胆な行動も辞さない決断力をたたえ、スリザリンに50点を与える」

 

 何を言われているのかわからない。そんな空気が一瞬だけ漂った。

 だけどそんな雰囲気を吹き飛ばすように、スリザリンから歓声が上がる。ドラコもパンジーも、ほっとした様子を見せつつも当然と言いたげに腕を組んだり頷いたりしてる。こっちはこっちでなかなかかわいいんだよな。

 

「──勇気にもいろいろある」

 

 が、再びダンブルドア先生が口を開くと、大広間の空気がまたしてもころりと変わった。おいバカやめろ、とスリザリンの先輩の声が聞こえた。

 

「敵に立ち向かっていくには大いなる勇気がいる。しかし、味方の友人に立ち向かっていくのにも同じくらい勇気が必要じゃ。そこでわしは、ネビル・ロングボトム君に10点を与えたい」

 

 かくして得点は、スリザリンとグリフィンドールが同値となった。

 

「したがって……飾りつけはちと変えねばならんのう」

 

 ダンブルドア先生が手を叩くのにあわせて、わたしたちから反対側の位置にかかっていた垂れ幕が緑から赤に変わった。縁取りも銀から金に。

 さらに、教員席の後ろ側に大きく掲げられていたスリザリンの旗がすすすっとこちら側に移動し、その正反対の場所にグリフィンドールの旗が出現した。

 

「うむ、うむ。両者ともによく学びよく成長した。この二つの旗を並べて掲げることができたこと、わしは嬉しく思う──同時優勝じゃ!」

 

 そしてその言葉を合図に、大広間に歓声が上がった。ただし、先ほどまでとは異なる、どこか白けた空気もある。

 

 けれどそんな空気を切り裂いて、ハーミーが盛大な拍手をこちらに向けてきた。ぎょっとした視線が彼女に突き刺さるけど、彼女はそんなこと意に介さない。正しい、と思ったのならそれを曲げない。まさにグリフィンドールの姿がそこにあった。この世界の彼女は、もしかしたらあの剣を引き抜けるかもね。

 

 だからわたしもにこりと笑って、拍手を返す。わたしたちが幼馴染ということは、既にホグワーツで知らないものはいない。二人揃って、とびぬけて成績がいいってことも。

 

 それを知っているからか、まずハリーが拍手にならった。渋々、と言った様子でロンも。やがてその雰囲気は大広間全体に広がり、遂には大歓声となった。

 

 教員席では、マクゴナガル先生とスネイプ先生が握手を交わしている。スネイプ先生はいつもの仏頂面だけど、機嫌は悪くなさそう。

 逆にマクゴナガル先生は何年も待ち望んだ優勝が単独でなくなったにもかかわらず、嬉しそうだ。公平な彼女ならそうだろうな。スリザリンだってホグワーツなんだってことを理解している、数少ない大人だもの。

 

 かくして物語の最初の年は、終わりを迎える。

 

***

 

「むぅ……来年は負けないんだからね」

「私だって、次も負けないわよ!」

 

 帰りのホグワーツ特急の中。入れ代わり立ち代わりに人が出入りしていたのも落ち着き、二人だけになったコンパートメントでわたしは改めて唇をとがらせていた。ホグワーツ一年目の成績で、ハーミーに初の敗北を喫したからだ。

 

 わたしたちはプライマリースクール時代、常に同率一位の学年首席だった。二人ともテストはすべて100点満点だったから。それはホグワーツに来ても変わらない。

 

 ただし、ホグワーツのテストは100点満点じゃない。一つの線引きとして100点満点と表現はされるけど、目を見張るような結果を残した場合、記述でも実技でも満点を超えて加点されることもある。

 ハーミーはこれをやってのけた。だからこそ、全教科満点のわたしと全教科満点オーバーのハーミーで成績に差がついたってわけ。

 

 何年も一緒にいて、ずっと引き分けだったのだ。初めて勝てた、という喜びは思いのほか大きかったようで、ハーミーは本当にずっと機嫌よくにこやかだ。かわいすぎる。

 ここまではしゃいでる彼女を見るのは久しぶりだ。直近だと、行きの列車でわたしもホグワーツだってことを知ったときくらいじゃないかな。それ以外だと冗談抜きに数年さかのぼる必要がある。

 行きでの件はあれだよ。魔法のことはみだりに広めちゃいけないってんでホグワーツのことは内緒だったから、わたしと離れ離れになるんだってめちゃくちゃ落ち込んでたところからの、だったから無理もないけど。

 

 こんなハーミーが見れたんだから、本当にわざと負けてよかったなって思う。

 

 そう、わたしが負けたのはわざとだ。すねて見せたのも演技。

 

 え、いや深い理由はないよ。単に答案に大量の筆記をするのも、実技で必要以上の魔法をたくさん使ってみせるのもだるかっただけ。

 だって100点満点じゃ負けるのはわかってたけど、人生がかかってるわけでもない、命がかかってるわけでもないただの進級テストでプルスウルトラすんのって普通にしんどくない?

 

 ちなみにわたしは前世の学生時代、テストにしろ模試にしろ、やることやったらさっさと教室から出て好きなことしてたいタイプだった。途中退室OKなタイプの試験とか、退室RTAやってたまである。

 

 まあハーミーに競り合おうとする態度を見せてしまった以上、来年以降は進級テストも本気を出さないといけないわけだけど。

 来年はうまくいけば(?)進級テストはナシになるから、まあいいんじゃない。どっちにしろ、やるのは今のわたしじゃないんだし。

 

 と、それは置いといて。

 

「夏休みは一旦日本に帰るのよね?」

「うん。このまままっすぐ空港に行く予定だって」

 

 両親の異動は、案の定覆らなかった。日本の年度初めは4月だから両親は3月末に日本に戻っていて、今は大阪の外務省大阪分室で働いてる。

 

 だけど娘の夏休みに合わせて、数日前から一時的にイギリスに来ている。グレンジャー夫妻と一緒にキングスクロス駅で待っているはずだ。

 

「7月末にはまたこっちに来るから、そこからはまたよろしくね」

「ええ。部屋、準備して待ってるから」

 

 そして帰省を終えてこっちに来たら、ホグワーツが始まるまではハーミーのところにホームステイ。それがわたしの夏休みの予定になる。

 

「せっかく日本に戻るんだから、日本の魔法界も見てくる予定なんだ。面白そうな本とか道具があったら買ってくるから、楽しみにしてて」

「それは本当に楽しみ! マグル界だって国ごとに全然違うんだし、魔法界だってきっとそうよね。どんなものがあるのかしら? あ、もしマホウトコロの教科書が手に入るならぜひお願いしたいわ! ホグワーツとは違う魔法が教えられてるかも!」

「うふふ、それはわたしも楽しみ。ハリーたちが聞いたら、信じられないって言われそうだけどね」

「なんでかしらね? 教科書って、読んでてあんなに楽しい本もなかなかないと思うんだけど」

「ねー。ついつい先まで読んじゃうよね」

「そうそう。……ふふ、やっぱりリンは私のことわかってくれてる」

「そりゃそうだよ。幼馴染で、……恋人、だもん」

 

 ふふふ、と二人で顔を寄せて笑いあう。

 

「……来年もよろしくね、リン」

「わたしこそ、よろしくハーミー。ずっと一緒だよ」

「うん。ずっと……ずっと、一緒」

 

 指と指が絡み合う。すり、と肌がこすれるかすかな音が聞こえた気がした。

 

 それをかき消すようにホグワーツ特急の汽笛が甲高く鳴り響く中、わたしたちはひっそりと唇を重ねた。

 




書いてて思ったけど、どうやらボクは章エピローグを主人公とヒロインが幸せなキスをして締めるのが好きらしい(旧作を振り返りながら

ということで、賢者の石編はこれにておしまいです。
書き溜めは現時点でまだ2年目のホグワーツにたどり着いたばかりなので、続きがいつになるかは正直まったくわかりません。最初に書いた通り、そもそもリハビリで書き始めた話ですしね。
まあでも、とりあえずえっちができるようになるまでは書くかもな・・・。ハーレムってタイトルつけてるし、ヒロインがもう少し増えるくらいまでは・・・。

ってところまで書いといてなんだけど、そこで主人公の目標大体達成できちゃうから、ハリポタとしての物語を終わる前に普通に終わらせるかもしれねぇ。お辞儀ナレ死とかそれはそれで新鮮じゃない・・・?

何はともあれそういうわけなので、続きは気長にお待ちいただけると幸いです。
またこの物語を見る機会があれば、そのときはよろしくお願いしますね。
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