才能に恵まれすぎたドMが魔法界で百合逆ハーレムを目指す話   作:ひさなぽぴー

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今日は更新再開日なので更新2回目です。
見る順番にご注意ください。


2.快適な生活のために

 7月末。

 わたしは無事にイギリスロンドンへ戻ってきた。オリンピックシーズンで、日本からヨーロッパに向かう飛行機が混雑してたし時間も惜しかったから、玄武大路からポートキーでテレポートしてきた。

 

 時差9時間以上の距離を、わずか一時間もかからずあっさり移動したのはさすが魔法。むしろマグル側のパスポートとかのすり合わせのほうが時間かかった。

 

 ちなみに、ポートキーも姿現しと同じく慣れないと独特の感覚があって気持ち悪くなったりもするらしいけど、わたしはそういうことは一切なかった。おかげでまったく遅延なしで移動できた。これも才能の一つかもしれない。

 

「リン! リン、こっちよ!」

「ハーミー!」

 

 そして魔法省を出たところで、待ち構えていたハーミーと熱烈なハグをかわす。

 

 うーん、約1か月ぶりのぬくもり。かすかに香る本の匂い、ハーミーだなぁ。

 

「ちょ、ちょっと? こんな人通りのあるところでそんな、匂いかがないでよ。恥ずかしいわ」

「あ、ごめん……久しぶりに会えたのが嬉しくって、つい」

 

 てへ、と笑って見せればハーミーは仕方ないわね、ともう一度ぎゅーっと抱きしめてくれた。

 優しいね。すき。できれば思いっきり、骨が砕けるくらいの勢いでやってくれたら完ぺきだった。

 

 でもあれだね? 人通りのないところでなら、かいでもいいんだ?

 かわいいね。口にしたら真っ赤になってツンツンしちゃうだろうから言わないけど。

 

「それじゃ、まずはうちに行きましょう。荷物もあるでしょ?」

「うん、お土産いっぱい買い込んできたから早く下ろしたいな」

「それは……そうね。本当にいっぱい買ってきたみたいね……?」

 

 ハーミーはそう言って、改めてわたしの姿を見て軽くため息をついた。ため息、って言ってもどっちかっていうと感嘆とかそっち方向だと思うけど。

 

 何せわたしは今、両手にスーツケースを抱えているんだよね。さらにはいつものショルダーバッグも肩から下げてるから、日本人ってこともあってどこからどう見ても旅行客。

 

 でもこれじゃ、ハーミーと手が繋げないな。腕も組めないし、ちょっと失敗だったかなぁ。

 だけど検知不可能拡大呪文がガチガチにかかったスーツケースに、同じく検知不可能拡大呪文がガチガチにかかったスーツケースを二重でしまうのはあんまりよくないよって言われたし……。なんか、拡張された空間同士が干渉しあうんだってさ。

 

「片方持つわよ。それで……はい。行きましょう?」

「! うん、ありがとうハーミー!」

 

 と思ってたら、ハーミーがスーツケースを一つ持ってくれた。

 でもって、空いたほうの手を差し出してくる。すごく嬉しくって、思わずにっこにこでその手を取っちゃうわたしである。

 

 うーん、今まで自覚してなかったけど、これわたし実は結構浮かれてるねぇ。

 

「リンって、5歳からずっとこっちだったのよね? 7年ぶりの日本はどうだった?」

「うーんとね、7年ぶりって言っても元いた家はもう残ってないんだよね。イギリスに転勤するとき引き払っちゃったみたいで。今の実家はそのときとは縁のない大阪にあるし。だから小さかった頃の思い出の場所、とかそういうところには行ってないんだ」

「帰省っていうのもなんだかおかしな感じね。違いはしないでしょうけど……」

「そうだねぇ。向こうに今でも親しい友達がいるわけでもないし、余計にそうかな。お父さんたちに会いに行ったって言ったほうが正しいかも。でもあちこち観光はしたし、おいしいものもいっぱい食べたよ」

「夏休みを満喫できてるみたいでよかったわ。いいなぁ、いつかちゃんと日本に行ってみたい」

「いつでも歓迎するよ。わたし案内するから。……あ、それとね、お土産に食べ物系も結構買ってきたから、おじさんおばさんたちとも一緒に食べようね」

「本当? 嬉しいわ!」

 

 なんて、きゃいきゃい話しながら電車で移動するわたしたち。

 話題は尽きない。何せ、一か月も別々だったんだ。お互いがお互いに話したいことがたくさんある。

 

 ふふふ、今夜は寝かさないぞぅ。

 

***

 

「お邪魔します。これから一か月、お世話になります」

「やあいらっしゃい。歓迎するよ」

「自分の家だと思ってくつろいでくれていいからね」

「はい、ありがとうございます! ……あ、これ、お口に合うかどうかわからないですけど、お土産です」

 

 ということで、グレンジャー家に到着。ハーミーのお父さんは歯科医なので、医院に併設されてる形のおうちはなかなかに立派なおうちだ。さすが、高級住宅街であるハムステッドに居を構えてるだけはある。

 

「リンの部屋はこっちよ、案内するわ」

「うん、よろしく」

 

 そうして案内された部屋は、十畳くらいの広さかな。ベッドにテーブル、本棚などなど、生活に必要なものは大体揃ってる感じだ。ハーミーの部屋は隣だから、いつでも自由に行き来できる。

 まあ、たぶんわたしの部屋のベッドは使わないだろうけど。

 

 この部屋に、持ち込んだスーツケースの一つから私物……特に服とか筆記用具とか、日常生活で使うものを出していく。

 とは言っても一か月もすればホグワーツに行くわけで、全部を出すわけじゃない。むしろ出さないもののほうが多い。

 

「こっちのケースは? さっきからまったく手を着けてないみたいだけど……」

「うん、そっちには荷物はほとんど入ってないんだ。……ふふ、見る? びっくりすると思うよ」

「? 見るってどういう……」

「それはこういうことなのでした」

 

 ハーミーが指摘したスーツケース──区別としては小さいほう、もしくは鍵の部分に丸に剣片喰の家紋が刻印されたほう──を、えいやと開ける。するとその中には、階段が見えた。

 

「え? え、リン、これ……」

「さあ入った入った。ハーミーが最初の招待客だよ」

「これ……お風呂じゃないの!?」

 

 そう。階段を下りた先にあったのは、何を隠そうお風呂だ。それも露天風呂を再現している上に、魔法で景色を自由に操作できる仕組みつきという代物だ。

 もちろん魔法のお風呂であるからして? どこからお湯を出すのかとか、排水はどうするのかとか、マグルが思いつくようなことは全部問題ない。このスーツケースを開けば、いつでもどこでも温泉気分が味わえる優れものなのさっ!

 

 ……まあ、すこぶる高かったけどね。日本円にして15万円くらいだ。わたしが玄武大路で使った金額の、およそ7割がこいつだけで生じたものだと言えば、いかほどかある程度わかってもらえるんじゃないだろうか。

 

 魔法で大体なんとかなるぶん物価が基本めちゃくちゃ低い魔法界でこれは、相当高額だって言っていい。おかげで今年のお年玉は全部吹っ飛んだ。

 これでも神様にもらった才能にものを言わせて、値引き交渉したんだよ。ちなみに交渉前の値段は約20万。わたし頑張ったと思わない?

 

 でもそれくらい払っても一切後悔してないくらい、ガチでお風呂はほしかったんだよ。

 

「……このおバカ! お風呂にそんなにお金かけるなんて!」

「いやだって、わたしやっぱり日本人だもん。シャワーだけじゃ満足できないんだよぅ」

 

 これは本気で切実な問題なんだ。ホグワーツにも浴室はあるけど、監督生しか使えないから普段はシャワーなわけ。

 前世はもちろん今世でも、ホグワーツに行くまでは毎日湯船につかってた身としては、一年のほとんどで入浴ができないのは冗談抜きにきつかったんだよ。

 去年一年で一番しんどかったのは、勉強でも純血たちへの靴ペロでもなく、なんならヴォルデモートですらなく、これだったと断言できるくらいなのだ。

 

「そ、そんなに……?」

「そんなに! せっかくだから、ハーミーも入ろうよ。気持ちいいよお風呂。すぐにでも使えるようにセッティングしてもらってるからさ、一緒に入ろ?」

 

 まあ、この持ち運びできる露天風呂スーツケースを買った理由に、下心が一切なかったと言ったらウソになるんだけどね!

 

 だってほら、女の子と一緒にお風呂入りたいじゃん。裸の付き合いしたいじゃん。

 あわよくばそのまま裸の付き合い(意味深)したいじゃん。

 

 ねぇ?

 

「じゃ、じゃあせっかくだし……物は試しで……」

 

 そういうことになった。

 

***

 

 この日の夜。

 

「……いいわね、これ……」

「でしょー?」

 

 檜の香りがかすかに漂う湯船の中で、わたしとハーミーは互いに互いの身体をもたれさせてお風呂を満喫していた。

 

 即堕ち2コマと言うなかれ。魔法で周囲の景色は日本の景勝地に設定されていて、眺めは抜群。それでいて室内であることには変わりないから、湯船から出ても室温は適温。おまけにお湯を好みの温泉に設定できると至れり尽くせりなのだ。

 もちろん持ち込んでいる石鹸とかタオルも、魔法界の逸品。効果だけじゃなくて、使い心地まで抜群なのだからこれで落ちないやつはいないと断言できる。これぞ日本人の魂ってやつよ。

 

 まあわたし的には、お湯であっためられて赤みを帯びたハーミーの身体こそが何よりの絶景だなと思うわけですけどもね!

 まだまだ成熟には遠い、子供らしい体つき。だけど確かに感じられる成長の兆し。大人には遠いけど、子供から脱し始めた刹那の美しさがそこにある。いやあ、たまりませんな。

 

 そしてわたしが授かった才能にかかれば、そういう下心を感じさせずに隣の彼女を眺めるなど造作もないこと。才能の無駄遣いと言いたきゃ言うがいいサ、わたしは勝ち組だ!

 

「日本人って、毎日こんな気持ちいいことしてるの……?」

 

 言い方。いや何もおかしなところはないんだけど。

 

「うん、大体は。アパートとかはともかく、普通の一軒家にはたいてい浴室があるよ」

「そんな……ずるいわ、そんなの! どうしてイギリスにはこういうお風呂がないのかしら……」

「風土の違いかなぁ。日本は高温多湿で夏なんて汗すごくかくし、洗い流すことが衛生的にも大事な土地柄だから。あとは火山が多いから、温泉も多いってのもあるかな。ああ、水が豊富な国ってことも大きいと思う」

「……そっか。確かにイギリスとは全然条件が違うわね。……うーん、でも……でもやっぱり、これはずるいわよ……」

「魔法でズルしてるってのは確かにあるけどね」

 

 ふふふ。食事だけじゃなく、入浴まで日本文化に染められてしまったとあれば、ハーミーはもう絶対にわたしから逃げられまい。

 このままホグワーツに行けば、入浴するにはわたしと一緒にいるしかない。だからホグワーツでも、二人で行動する機会も増えるって寸法よ!

 

 我ながら、いくつもの意味を持った恐ろしい作戦を考えてしまったものだぜ……!

 




ヴォルデモート<越えられない壁<風呂

こんなことほざく主人公はこいつくらいじゃなかろうか・・・。
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