才能に恵まれすぎたドMが魔法界で百合逆ハーレムを目指す話   作:ひさなぽぴー

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4.隠れ穴にて

 ハリーはロンドンに来ることを選んだ。ダーズリー家とそこでの自分を見せたくないみたいだ。

 あそこでの彼の扱いはあんまりにもあんまりすぎるし、子供にだってプライドはあるもんね。

 

 ということで、日時を指定してハリーには漏れ鍋に来てもらうことに。

 ついでにロンともやり取りをして、ダーズリー家にも連絡。ハリーはここから新学期まで、ウィーズリー家に泊まるってことで話をつけることに成功した。わたしの社会人経験がうなるぜ。

 

 合流当日。子供のハリーがどうやって一人でロンドンまで来るかといえば、答えはずばり夜の騎士(ナイト)バスだ。本来は迷子の魔法使いを乗せるためのものだけど、ロンドンへの行き方がわからないってのは迷子みたいなもんだしいけるでしょ。そう思って教えた。

 で、実際いけたってワケ。

 

「ハリー、久しぶり……やせたわね?」

「ハーマイオニー、久しぶり。……うん、まあその、色々あってね」

 

 出迎えたわたしたちが見たのは、学期末よりもやせたハリーだった。入学直後と同じくらい。本当にろくに食べさせてもらってないんだなぁ。

 

「ハリー、これお土産。日本の……えーと、栄養食品。お菓子みたいに食べれるやつ」

「カロリー……メ〇ト? ありがとうリン、おなかすいてたんだ」

 

 なおチョコレート味。ハリーにはめちゃくちゃ好評だった。そういうつもりで買ってきたものじゃなかったりするんだけど、まあ喜んでもらえたならいっか。

 

「ハリーお待たせ!」

 

 ハリーがメイトをひと箱食べきったところで、タイミングよく暖炉からロンが現れた。

 

「ロン! 来てくれてありがとう!」

「気にするなよ、僕たち友達だろ」

 

 気取るわけでもなく、さらっと言ってのけたロンにハリーが感動してる。性別が違ったら、フラグの一つくらい立ってそう。

 

「キャー! ロナルドくん素敵!」

「かっこいいわ! 抱いて!」

 

 直後、ぬっと後ろから現れた双子がロンをサンドイッチにした。

 セリフを見ればわかるかもだけど、シナを作った動きと裏声のセットだ。やけに様になっていて、思わず笑っちゃったよ。

 

 ロンからしたらたまったもんじゃないだろうけど、これはもうウィーズリーに生まれた宿命みたいなもんだろうなぁ。

 

「やめろよ! ていうか、来なくていいって言っただろ!? 大人しく待っててくれよ!」

「まあまあそうおっしゃらずに」

「俺たちだってそのつもりだったさ」

「でもママがな」

「一人でロニー坊やを漏れ鍋までやって大丈夫かって言うもんでね」

「「お優しい母上様のため、かわいい弟のためなら我ら双子、たとえ火の中水の中ってね!」」

 

 交互に延々話す双子は本当に楽しそうだけど、間に挟まれたロンはげんなりしてる。ステレオであれこれ言われまくるのは、確かにちょっとうっとうしいかもではあるけど。

 グリフィンドールでは日常茶飯事な光景らしく、ハリーもハーミーも楽しそうに笑ってる。これも一つの寮風なんだろうね。

 

「煙突飛行の火なんて熱くないのに、何言ってんだよもう!」

「きゃあこわい!」

「暴力反対!」

 

 そしてロンが腕を振り上げるや否や、やっぱり裏声でキャーキャー言いながら離れる双子。タイミングははかったように一緒で、実に見事な双子っぷりだ。

 彼らの様子に深いため息をつくロン。でも、その顔に嫌悪感は浮かんでなかった。なんだかんだで、兄二人のこういうところは嫌いじゃないんだろう。

 

 いい家族だなって思う。ウィーズリー家のこういう仲良しなところ、いいよね。ハリポタって複雑骨折してる家族関係が多いけど、ウィーズリー家にはそういうのないから安心して見てられるし。

 

 ……物語後半のパーシー? それは、まあその、なんていうか……うん……(目逸らし

 

「ったくもう……。二人はほっといて、さっさとうちに行こう。フレッドとジョージはあんなだけど、ママもパパもみんなを待ってるんだ」

 

 ともかくそういうわけで、わたしたちは隠れ穴に行くことになったのだ。

 

***

 

 隠れ穴での時間は楽しかった。原作とタイミングが違ったのか、隠れ穴に今住んでるウィーズリー家が勢ぞろいしてたこともあって、熱烈な歓迎を受けたのはちょっとびっくり。

 

 わたしはスリザリンなんだけど、と言ってみたけど、そんなことは関係ないらしい。

 確かにわたしはマグル生まれだし、ハーミーとはよく一緒にいる。去年度の冒険の詳細は伝わってなくとも、ハリーやロンを助けて色々やったことは聞いてたみたいで、ちゃんと歓迎してくれたのだ。

 

 まあ、ホグワーツ内で「スリザリンの使用人」なんて揶揄されているらしい件については、あんまり……じゃないな。まったく理解は得られなかったけど。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()から、古いもの、伝統的なものに対する敬意が強いんだって言えば、とりあえずは納得してくれたっぽい。

 

 あとはあれかな。日本からマグルのおもちゃを持ち込んだのも、ウィーズリーポイント高かったんだと思う。

 特に家長のアーサーさんはマグル大好き魔法族だからね。本当にチョロかった。心配になるレベルだよ。モリーさんが怒るのも無理ないよ。

 

 持ち込んだのは、オセロとか野球盤とか福笑いとか、そういう大人数で遊べるのが大半。せっかく大人数いるご家庭に遊びに行くんだし、ってことで持ち込んだんだけど、中でも人生ゲームが思いのほか好評で凜ちゃんびっくり。

 真面目一辺倒のパーシーですら、日本のことを気にして勉強の手をとめて入ってきたくらいだから相当だ。

 

 どうやらウィーズリー家にとって、マグルの人生を体験できるってのは面白いことらしい。お辞儀とかそのシンパが聞いたら、狂ってるとか言いそう。なるほど、これが「血を裏切るもの」か……。

 

 まあ総理大臣になったパーシーがめちゃくちゃご満悦だったのは微笑ましかったし、株で成功して大金を入手したくせにギャンブルで素寒貧になった瞬間のフレッドとジョージのリアクションがまったく同じで、一同大爆笑だった。

 マスの内容に出てくるイタリアのスイーツ、ティラミスにジニーがすごい興味を示してモリーさんにねだったり、アーサーさんがいろんな職業を渡り歩くフリーターのまま最下位でゴールしたり、なんて楽しいひとときもあった。

 

 みんな楽しんでくれたなら持ってきたかいも、通訳と解説に専念してた(日本語版だからね、仕方ないね)かいもあるってものだよ。

 

 そうそう、ジニーって言えばやっぱり原作通りにハリーに憧れてるみたい。おかげでハリーの前だとうまくしゃべれなくって、もじもじしてたのはめちゃくちゃかわいかった。顔を合わせたときは寝起きでパジャマだったこともあって、余計にかわいかったです。

 

 今まで女の子と交流がほとんどなかったハリーのほうは、ちっともわかってないみたいで……まあ、これくらいの男の子ってのは大体そういうものよね。それでも別に険悪にはならないし、緊張しきりの女の子となんとか交流を広げようとしてた辺り、ハリーも悪印象はまったくなかったんだろうね。

 

 ちなみにジニーは当初、わたしとハーミーをだいぶ避けてた。同級生で、ハリーと一緒に遊びに来るくらい仲がいいなら、自分は勝ち目がないんじゃないかって思って劣等感を抱いてたみたい。

 

 だからわたしたちはそんなんじゃないから応援してるよ、って伝えておいた。もちろんっていうか、最初は信じてもらえなかったからハーミーと手を絡ませて、関係を匂わせてね。

 目を白黒させてたけど、恋敵になることは絶対にないって理解してからは素直に相談してきたり、経験談を教えてほしいって言われたりしたから、ハーミーと二人でめちゃくちゃお節介したよ。

 原作で二人が結ばれるって知ってることもあって、かなり強めに背中を押したと思う。最後のほうはハリーともある程度話せるようになってたから、やっぱ恋は押して押して押しまくるのが大正義なんやなって、実体験からも思います(その目は澄み切っていた

 

 ……ジニー、ジニーかぁ。今年度はどうしような。原作通りに進めるべきか否か。原作通りに進まない可能性については一度考えないものとして。

 

 いやだってさ。秘密の部屋編のカギを握るアイテム、トム・リドルの日記の所在を把握しつつハリーにしっかり経験値を与えるには、原作通りに進めるのが一番楽なんだよね。

 うっかりホグワーツの外に持ち出されて所在がわからなくなったりしたら、お辞儀の撃破がめちゃくちゃ難しくなる。ハリーの経験値が足りなくっても、もちろん将来困る。原作を遵守するつもりはもうないけど、こればっかりは失敗するわけにはいかないからさぁ。

 

 ただ、ジニーにかかる負担は結構なものになるんだよねぇ。

 前にも言った通り、わたしはわたしが痛いのや苦しいのは大好きだけど、他の人がそういう目に遭うのはちょっと……ってなるタイプ。ましてや美少女となれば余計にだ。

 

 うーん、やっぱこの件についてはわたしみたいなドMがやるべきなのでは? わたし自身が持ってれば、どこにあるか気にする必要もないわけわけだし。

 

 あと、魂を奪われる感覚がどういうものなのか、わたし気になります。

 エロ漫画だと、魂とか経験値とか、そういうのを吸い上げるドレイン系の技には気持ちよさを伴うのがお約束だもんね。この世界でもやっぱり気持ちよかったりするんですかね? どうなんですか、JKR! 教えてくださいJKR!

 

 ……でも相手は若き日の、とはいえお辞儀だしなぁ。マグル生まれの身体やら魂なんて、欲しがりそうにないかな? どうなんだろうそこんところ。

 

 まあ、日記が原作通りジニーの手に渡るかどうか。そこ次第か。

 渡るようなら、原作に沿うように動こう。そうじゃないなら……まあ、なんとかして手に入れて、わたしが管理しよう。あわよくば色々してもらいたい。囚われの姫ポジションってなかなかにおいしいよね。

 

 ひとまずそう結論付けて、わたしはこの日隠れ穴をあとにした。教科書リストが公開されたらみんなで買いに行こうねって約束もしたから、その辺りの確認はできるはず。日程はちゃんと、ロックハートがサイン会をする日を指定しておいたから大丈夫だと思う。

 

 ……原作のことを考えると、ピーター・ペティグリューとシリウス・ブラックのことも今から考えといたほうがいいんだろうけどさ。この二人についてはまあ、それなりに自業自得なところもあるし、そこまで気にしなくってもいいかなって……。

 一応、ピーターのほうは隠れ穴で遊んでた間、そこらへんをうろついてるのは見たからどういう見た目をしてるかは把握できてる。ネズミは小さいから見つけづらいけど、とりあえず視界に入りさえすればそれが彼ってことはわかるはず。今はそれでいいってことにしておこう。

 

 どのみち一年目だって、それなりに原作と違うことが起きたんだ。今年だって何かしら違うことは起きるはず。

 来年のことを語るなんて、鬼が笑うってもんよ。来年のことは来年のわたしに任せればいいさ。きっとね。

 

「ねえリン……もしかして、何か悩んでる?」

 

 ところが帰りの電車の中で、ハーミーにそう言われてわたしは驚いた。確かにちょっと悩んではいたけど並列思考の中で処理してたし、顔にも出さないようにしてたはずなんだけど。

 

「わかるわよ、好きな人のことだもの」

「ふえぇ」

 

 え? かっこよ。すき。この子わたしの彼女ってマ??

 いや、めちゃくちゃ嬉しいな。そっか、そんなにわたしのこと見てくれてるんだ。えへへ。

 

 ……ただ、この件についてはあんまり話せないんだよなぁ。

 

「……ごめん、言えない。自分だけでなんとかしないとって思ってるとか、そんなんじゃないよ。ハーミーに気づいてもらえて、すごく嬉しいの。ただ……魔法界って人の心の中をのぞく方法がたくさんあるじゃない? だから……」

 

 開心術は言わずもがな、服従の呪文や愛の妙薬でも情報を抜くことはできる。真実薬なんていう自白剤だってある。

 だからそういうものへの対抗手段を持たない人に、わたしの持ってる原作知識を言うのはまだちょっと覚悟ができてなくってさ。

 

「……そう。わかったわ。今日のどこにそんな悩むようなところがあったのかわからないけど……でも、今は何も聞かないわ」

「ごめん、ありが──」

「それで、閉心術を覚えればいいのよね?」

「──とう?」

 

 嘘だろ承太郎。もといハーミー。

 まさかノータイムでその結論に達するなんて、思ってなかったんですけど?

 

「ハーミー? その……そんな簡単に覚えられるのじゃないんだよ?」

「わかってるわよ。でも、言ったでしょ。ずっと一緒だって。だから一人になんてさせないわ。こういうのも一緒に悩むって私決めてるの」

「ふえぇ♡」

 

 え?? 超かっこよ。だいすき。この子わたしの彼女ってマ?? わたしこの子の彼女ってマ???

 わたし女の子の身体はとっくに受け入れてるけど、普通にこんなのメス堕ちするしかないですやん。

 

 やば……めっちゃドキドキしてる。思わず抱き着いちゃった。

 

「……ありがと。嬉しい。すっごくすっごく嬉しい」

 

 この日の夜、わたしがベッドの上で激しく燃え盛ったことは言うまでもないだろう。

 




ハーマイオニーはどんだけ男前にしても許されると思ってる。

あと書いておいてなんだけど、JKRに「リドルの日記に魂吸われるのって気持ちいいんですか!?」って迫る12歳ってすげぇ嫌な構図だな・・・。
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