才能に恵まれすぎたドMが魔法界で百合逆ハーレムを目指す話   作:ひさなぽぴー

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5.不思議ちゃん

 教科書の買い出しの日は、おおむね原作通りだった。暖炉飛行が初体験じゃないハリーがノクターン横丁に飛ばなかったり、ハーミーがロックハートに入れあげてなかったり、細かいところで違うところはあったけど、展開自体は原作通り。

 

 パパフォイがジニーのところにトム・リドルの日記を紛れ込ませたのも確認できたから、原作ヨシ! ってところだ。

 ジニーには悪いけど、愛しのハリーが必ず助けてくれるはずだから、がんばってもらうしかない。一応全部わかってる身として、わたしもできる限り手助けはするつもりだしさ! ね!

 

 ……ただ原作通りなのはいいけどさ、ロックハートも原作通りなのはうんざりするんだよなぁ。生で見るとびっくりするくらい鬱陶しくて騒がしいんだよね。

 特に顔。人間、あんなに顔だけで騒がしくできるんだなって思った。あれに比べたら宮野〇守はマジで正統派のイケメンだよ。

 

 ……とにかくそんなわけで、9月1日は無事にやってきた。

 

「去年が懐かしいね。コンパートメントで再会したときのハーミー、いきなり抱き着いてきたからびっくりしたの覚えてる」

「そのことは忘れてほしいわ……」

 

 二人で列車に乗り込みながら去年の思い出を話せば、ハーミーはぷいと顔を背けた。

 

 前にも言ったけど、このときハーミーはたった一人の友達と離れ離れになって、遠いスコットランドの全寮制学校に行くってんですごく不安だったわけで……ふたを開けてみれば、わたしもホグワーツだったってことがわかって本当に心から安心したんだろうなぁ。

 彼女としては黒歴史なんだろうけど、かわいいもんだよねぇ。愛されてるなぁって思ったし、わたしがハーミーに対してこの子は他とは違うんだって自覚をはっきりと持ったのは、実はそのときだったりするから、わたしとしてはいい思い出なんだけどねぇ。

 

 そんなことを口にすれば、ハーミーは背けていた顔をこっちに向けなおして「それは反則よ……」なんて言って照れるもんだからぼくはわたしは。

 いやもうね、どっちが反則って話ですよ。反射的に抱き着きそうになったじゃん。相変わらず荷物が多いせいでできなかったけどさ。

 

「……忘れなくていいでしょ?」

「んもう、わかってるわよ。でも恥ずかしいのは恥ずかしいの」

 

 待って待って、今日のハーミーどうしたの。ずっとかわいいじゃない。こないだわたしをメス堕ちさせてくれたかっこいいハーミーどこ? ここ?

 どっちも彼女なのはわかってるし、誰にだってそういう二面性はあるものだと思うけど。だからってそんな、破壊力がアトミック級なんよ。反射的にキスしそうになったじゃん。相変わらず荷物が以下略。

 

 とはいえ、今世のわたしはポーカーフェイスもお手の物。そんな心の中の嵐をおくびにも出さず、もじもじするハーミーをまあまあなんてなだめることができるのだ。

 

 そうこうしてるうちに、空いてるコンパートメントが見つかった。できるだけ早いところ荷物を置いて落ち着きたかったから、ちょうどよかった……おや?

 

「見てハーミー、ジニーがいるよ」

「あら、本当ね。せっかくだし、挨拶くらいしていきましょう。……ハァイ、ジニー」

 

 見つけたコンパートメントから割と近いところに、見覚えのある小柄な赤毛が見えた。案の定それはウィーズリー家の末娘のジニーだったので、わたしたちはそっちに顔を出すことにした。

 

「あ、ハーマイオニーにリン! こんにちわ!」

「うん、こんにちは。元気そうだね。改めてホグワーツ入学おめでとう」

「ありがとう!」

 

 ひょっこり顔を出したわたしたちを見て、にっこりと笑うジニー。

 いいね。やっぱり女の子は笑顔でいるのが一番よ。これから一年かけて曇りが続く予報だから、どうか気を確かに持っててくれ。

 

 そんなことを考えてたけど、関心はもう一つ。ジニーの向かいの席に、同じくらいの女の子がちょこんと座ってるんだけど……奇抜なデザインの髪飾りを隠すことなく身に着けるこのいでたち、もしやこの子は。

 

「それと紹介するね、この子ルーナよ。さっき友達になったの」

 

 あ、やっぱりこの子がルーナ・ラブグッドか。知ってる通りの不思議ちゃんだなぁ。こんな強烈な個性の持ち主、なかなかお目にかかれないぞ。

 

「…………」

「まだ制服に色がついてないから、ジニーの同級生ね? 私はハーマイオニー・グレンジャーよ。それから」

「幼馴染のリン・ゼンポウジ。よろしくね」

「…………」

「ル、ルーナ? どうしちゃったの?」

 

 ところがわたしたちが挨拶をしても、ジニーが声をかけても、ルーナは何も言わない。

 口を開けてないわけじゃない。むしろ彼女の口はあんぐりと開きっぱなしだ。だけど彼女、わたしのことをまっすぐ見つめていて、微動だにしない。

 

 待てよ、もしかしてわたしの後ろに何かあるのかも? なんて思って振り向いてみたけど、特に何もない。

 ええ……? なんなの……?

 

「……神様だ」

「え」「は?」「んん?」

 

 改めてルーナのほうに向き直ったタイミングで、ようやく彼女は言葉を発した。だけどその内容のわけわからなさに、わたしたちは三人揃ってぽかんとするしかなかったよね。

 

 だけどルーナが土下座する勢いでわたしを拝み始めちゃったものだから、慌てて三人揃って辞めさせようとおろおろする羽目になった。

 

「だって、すごい大きな力の塊に見えるんだもン。神様ってきっとこういうんだなぁって」

「少なくともわたしは人間だし、そんな大それたことはできないよ……」

「魔法族から信仰の話って聞いたことないけど、神様の概念は一応あるのね……」

 

 隙あらば拝もうとしてくるルーナをなだめつつ、わたしは苦笑する。その隣で、ハーミーがすごく斜め上な感想をつぶやいてる。そんなマイペースなあなたが好きよ。

 

 とはいえ、実を言うと心当たりはあったりする。それも三つもあるんだ。

 

 まずは当然かもだけど、わたしが持ってる転生特典だ。何度も言ってるけどこれ、神様から直々に与えられたものだから……そりゃまあ、神様を連想されてもしょうがないかなって思うわけ。

 

 それからその特典からの派生だけど、古代魔法関係ね。わたしが宿してる古代魔法の才能が、神聖視されてる可能性はあるんじゃないかなって思うのよ。

 ホグレガのムービーを見る限り、古代魔法の使い手たちがやってることってホント神業っていうか、既存の魔法と比べても魔法魔法してるもんね。実際、()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()し。

 

 最後に……これが一番可能性高いと思うんだけど、()()()()()()()()()()()()()()()()姿()()()()()()()()()

 わたしが前世で死んだあと、あの世でイザナミノミコト様主催の異能力バトルトーナメントに参加して、転生特典を勝ち取ったことは前にも話したと思うけど。そのイザナミノミコト様の姿がとってもかわいかったから、転生特典の一つとして「来世は()()()()()()()美少女になりたいです」ってお願いしたんだよね。

 

 この副作用で合法ロリ確定コース(日本人が相対的に幼く見えるのは、地母神である彼女が幼女だからとかなんとか)だけど、そこはわたし的には構わない。体格差があればあるほど、えっちするとき抱き潰してもらえるからね。

 

 ……神様に対する不敬? それは……その、えっと。正直すまんかったと思ってる。

 でも今のところ天罰とかなんにもないし、許されてるものかと……毎日ちゃんと祈り捧げてるから、許し亭許して(震え声

 

 ちなみに不躾な他の参加者がゾンビじゃないのかって聞いてたけど、本神いわく「何万年前の話?」とのこと。神様界隈にも色々と物語があるらしい。

 

 ともかくそういうわけで、神様呼ばわりされる理由はわからなくはないんだよね。どれが該当するかはわからないけど。

 ああでも、ルーナ・ラブグッドっていう人物が他の人には見えない何かを見ようとしている人物であることを考えると、案外全部かもね。

 

 ははは……え、どうしようこれ?

 別にわたし個人は神様扱いもやぶさかじゃないんだけど、こうも人目のある状況でそれはさすがに……ねぇ?

 

 とかなんとか思ってると、ルーナはおもむろに鮮やかなブルーの羽を差し出してきた。フウーパーの羽かな?

 

 ……あ、羽じゃない。いや羽なんだけど、よく見るとペン先がついてる。羽ペンだコレ。しかも新品だぞ。もしかしなくても、ルーナへの入学祝いでは??

 

「……あの、ルーナ? これ大事なものなんじゃないの? 受け取れないよ」

「神様には大事なものこそ捧げるンだって聞いたことあるよ?」

「どこ情報!? あのね、ホントわたしは神様じゃなくって……だからお供え物とかされても困るっていうか……」

「まあ、だよね」

「わかってくれたんだねルーナ」

「何が一番いい捧げものかな……」

「わかってくれなかったんだねルーナ……」

 

 ずっと差し出してた羽ペンをしまってくれたから、わかってくれたんだと思ったんだけどな……。

 そのままうーんうーんと考え込んでしまったルーナを、わたしは途方に暮れながら見やるしかない。隣でハーミーが、ジニーとひそひそ話し込んでる。気持ちはわかる。

 

 だけど、わたしも何をどうすればいいんだって考えようとしたそのときだった。ルーナがパッと顔を上げた。頭上にピコーン! って電球が見えそうな勢いで、その目はきらめいている。「閃」いてしまったか……嫌な予感がするんですけど……。

 

「神様、あたしをあげる」

「ルーナ!?」

「あなた自分が何を言ってるかわかってるのかしら!?」

「いい! いい! そういうの間に合ってるから!」

 

 ルーナってば、遂には自分を生贄に捧げてわたしをアドバンス召喚しようとするものだから、わたしたちは三人揃ってもう一度彼女をなだめる羽目になった。

 

 まったくもう。11歳の女の子がそんな、自分をプレゼント♡ なんてこと言っちゃダメでしょ。

 特にわたしみたいな煩悩の塊にそんなこと言うなんて、マジでやめたほうがいいよ。だって周りに人目がなかったら遠慮なくもらっちゃってたぞ、わたしは。

 

 でもって多少時間かけて神様と信者って関係を作ったあと、信じてた信者に裏切られて犯されまくって「嫌じゃ! 人間の子供なんて孕みとうない!」プレイに付き合わせたいとか現在進行形で思ってますからね! ホントそういうことは慎重にならないとダメだぞ!

 ……今度他に人のいないところでルーナと接触してみるかな。

 

 まあそれはそのときだとして。結局ルーナはなかなかとまってくれなかったから、神様への捧げものといえば御神楽でしょってことで、歌と踊りとかを披露してくれればいいよってことで手を打った。

 

 マジで歌いよった。肺活量が圧倒的に足りてないのか、全然声量出てなかったけど。

 これでオペラ歌手もびっくりな声量だったらびっくりだからまあ、なんていうか解釈一致って感じではある。

 

「学校に着く前からめっちゃ濃い子に会っちゃったね……疲れた……」

「本当にね……。悪気がまったくなさそうなのも余計、こう、本気なのねってわかってちょっと怖かったわよ……」

「魔法界の歌とか聞けたのはよかったけどね……」

「そうね……ルーナ、歌自体はうまかったし……」

 

 その後、どうにかこうにかルーナを振り切ったわたしたちは、二人揃ってげっそりした顔で確保してたコンパートメントの席に座り込んだのだった。

 




前章でちょびっとだけ触れられた、リンが持つもう一つのチート開示の巻。
なんとこいつ、冥界の神様と同じ姿をしていたんだよ!
この肉体がどういう効果や意味を持つかは少しずつ明らかになっていく・・・んじゃないかな。

ちなみに、こいつが経験したあの世での異能力バトルトーナメント。
実はボクの書籍化作品からの引用だったりします。
冥界の神は死をつかさどり、その魂を管理し、輪廻もしくは転生を直接行う権能を持つ神である、という設定が下敷きになっています。
まあ打ち切り喰らったんで1巻しか出てないんですけどね・・・。
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