才能に恵まれすぎたドMが魔法界で百合逆ハーレムを目指す話 作:ひさなぽぴー
「なるほど、こういうことなのね。やっとコツがわかってきたわ!」
「はぅ……っ♡ ふぅ、ふぅ、さ、さすがですパーキンソン様……♡」
【朗報】パンジー、デレない。
週末を目前に控えた金曜日の放課後。とある空き教室で、わたしはレヴィオーソで宙に浮かされた状態でパンジーの基礎呪文を防御せずに食らいまくっていた。復習がしたいっていう彼女のために、試し撃ちの標的になってるんだよね。
ろくに身動きが取れない、身構えることもできない状態で連打される基礎呪文は実にいいものだ。ロックハートの授業での一件をきっかけにして、扱いが変わったらヤだなぁって思ってただけに、これにはわたしもにっこり。空中で縦に横に斜めにとくるくる回転しながら、内心でうんうん頷くわたしだよ。
元々大したことない威力の基礎呪文だ。まだまだ成長過程にある少女のそれは、ハードプレイのときの平手より弱くてそれ自体はそこまで気持ちよくはない。
これが素肌に直接だったら素直に気持ちよくなれたんだろうけど。服の上からだからね、仕方ないね。
でも復習中の彼女の基礎呪文には、一貫性がない。まったく予想してないタイミング、場所、威力の魔法がランダムに飛んでくるのがね、もうね、それはそれはたまらないのよ。
おかげさまで、何回かに一回くらいのペースでわたしは無言無杖のスコージファイを使わないといけなかった。正直今もヤバい。何がとは言わないけどこぼれそう。
おまけに、逆さになったときとかはずみでスカートも逆さになるから中が見えるわけで、そんな状態で基礎呪文を食らおうものなら、回転した拍子に乙女の尊厳が飛び散りそうで……本当に本当に興奮しますね!!
バレたらバレたできっとものすごく冷たい目で見下してくれるだろうから、わたし的にはどっちに転んでもおいしい。きっとその瞬間、わたしは派手に昇り詰めるんだろうなって確信がある。めちゃくちゃ気持ちいいんだろうなぁ。
でもまあ、そこでドン引きされて、以降一切かかわってくれなくなったらちょっと寂しい。
文字通りの意味じゃなくて、いじめてもらえなくなるのが寂しいって意味。それ以上でも以下でもないよ。わたしはもう、パンジーのおしおきがないと生きていけない身体にされちゃってるのだ。
だからわたしのマゾっぷりがバレたあともちゃんといじめてもらえるように、必要の部屋であれこれやってる準備が終わるまでは、もうしばらくバレてもらっちゃ困る。今はまだそのときではない……! ってこと。
目先の快楽に身を任せず、物事を長い目で見られるタイプのドMがわたしです。
「オ゛ッ♡」
と、ここでわたしにかけられていたレヴィオーソが切れて、どさりと床に落ちる。これも予期しない一撃になるから、本当にこのプレイめちゃくちゃはかどるわぁ。今後もぜひやってほしい。
ハーミーはこんなことしてくれないだろうから、こういうことしてくれるパンジーには切実にご主人様になってほしい。すき。
まあお尻から無防備に落ちたせいで、普通に汚い嬌声が漏れちゃったけどさ。それ以上は我慢できたから大丈夫なはず。
実際、パンジーは気にした様子もない。魔法をぶつけるためにある程度距離があったから、わたしの下半身の件も含めて気づかれてはいないんだろう。今はまだそうであってくれ。
「またなの? おかしいわね……なんでアンタにかけた魔法そんなにすぐ切れるわけ?」
そのわたしをじろりとにらみながら、パンジーが言う。
確かに、わたしはやたら魔法の効きが悪い。
悪いっていうか、パンジーが言う通り効果が切れるまでの時間がかなり早い。これでもパンジーの上達に合わせてだいぶ時間が伸びたんだけど、最初は本当に数秒しか続かなかったくらい早く効果が切れるんだよね。
実のところこのことは、去年から薄々気づいてはいた。何かあるたびに、魔法をぶつけられてたからね。
当時は単純に、一年生の魔法なんてそんなものだろうって思ってたんだけど……ルーナやゴーストたちから妙な反応をもらってることを考えると、これももしかしたらわたしの持ってる転生特典の影響なのかもしれない。呪文への抵抗力が生まれつき高い……とか?
チートとしては微妙かなって思わなくはないけど、別にこれ自体は悪いものじゃない。基本的に魔法界のものって殺意が高いっていうか、危険度がマグル界とは比べ物にならないから、早めに魔法が解けるのはむしろいいことって言えるくらい。幸運薬みたいな、ほぼプラスのみの魔法薬の効果がすぐ切れる可能性があるのだけは残念だけど。
今回にしても、頻繁にレヴィオーソを受けることになったわけだけど、効果が切れるたびに床に落ちてたわけで、それの分愉しませてもらったから問題ナシ。これはわたし限定のいいことだろうけどね。
パンジーだって、まだフィニートが使えない以上はわたしのこの体質のおかげでレヴィオーソの練習を何度もできたわけで、ウィンウィンのはず。だけどそれはそれとして、気に入らないんだろうね。
何せこの状況、パンジーの魔法力が弱いって考えるのが普通だからだ。魔法理論的にもそうなるはずだから、一般的な魔法族ならそう考えるに違いない。
でもそうだとしたら、穢れた血より大きく劣ってることになるわけで。そんなのは純血の魔法族としては認められない。だから気に入らないってわけだね。
「他の方にも試していただきましょうか? わたしが何か、他とは異なる体質という可能性もあるかもしれませんし……」
せっかくだし、なんて提案をしてみる。いろんな人に魔法をぶつけてもらえば、パンジーの魔法力が弱いわけじゃないって証明できるんじゃないかなって思うの。
もちろん、そのついでにいっぱいいじめてもらえるとなおよしです。むしろそうしてほしい。ぜひそうしてほしい。
「ふん。みんなやり返されるのを怖がって、やるなんて言わないわよ」
ところがそれは、他ならないパンジーによって否定された。でしょうね。
だってロックハートの授業での騒動以降、スリザリン全体にわたしの防衛術の能力が広まっちゃったからね。それを怖いって思われてるだけで、決してパンジーがデレたわけじゃない。
というのもあのときのわたしは、普通の二年生が使えないレベルの魔法を淡々と使いこなして、ピクシーをあっという間に無力化した。明らかに二年生を逸脱した実力がある上に、やるときはやるんだってことがはっきり伝わったわけで、そんなわたしをうっかり怒らせて、その魔法の技を向けられるんじゃないかってビビってる子が一定数いるわけよ。
自分が相応にやらかしてるからこそ、同じようにやり返されるんじゃないかって怯えてるわけ。これは純血の子に多い。
あと、あの騒動でわたしとパンジーが主従めいたやり取りをしたのもそこそこの影響があった。あれでわたしがパンジーの下僕……つまり所有物って認識した子がそこそこいて、その人たちにしてみれば、わたしに何かしたらパンジーっていう純血女性陣の筆頭格を怒らせるんじゃないかって、ビビってる子もいるの。
パンジーを怒らせるだけならともかく、怒ったパンジーにわたしをけしかけられちゃたまらない、って発想だね。これはマグル生まれや半純血の子が中心だ。
後者については、純血に対しては従順であってもそれ以外に対してはそうじゃない、って姿勢をわたしがずっと取ってるのもあるんだろうな。純血の人から何をされてもわたしはまず怒らないし反撃もしないけど、逆に言えばそうじゃない人に対してはするって思われてるんだ。
だからこそ、態度を変えないまま接してくれるパンジーはそういう意味でも希少な存在で、感謝してるんだよね。
「はあ? なんで私がアンタなんかに怯えたり、遠慮したりなんかしなきゃいけないのよ?」
一回だけ、「どうしてパーキンソン様は今まで通り接してくださるんですか」って尋ねたんだけど、そのときの返事がこれ。何があってもわたしが決して自分には逆らわないって確信してる態度だったし、実際そういう内心が見えたものだから、わたし本当に嬉しかったんだよね。すき。
遠巻きにされてるのが精神的に苦痛な中で態度を変えないことが嬉しい、とかじゃない辺り我ながら度し難いなって思うけど、それはもう今さらの話なのです。
とはいえ、最初にデレないって言ったけど、まったく変化がないわけでもない。今まではある程度近づくだけでも、それこそ視界に入れるのも嫌だって態度を隠しもしなかったパンジーと、今こうやって二人で空き教室にいられるんだから相当な変化だ。
これに伴って今はちゃんと会話してくれるようになってるし、これは正直デレてるって言ってもいいとはわたしも思ってるよ。
でもまあ、ずっと厳しく当たられてたのもそれはそれでゾクゾクしたけど、会話がきちんと成立するってのはやっぱり嬉しい。だって言葉責めしてもらえるようになるからね!
この調子で、二人っきりのときにはぜひともえっちなお仕置きをしてくれると嬉しいんだけど……そこは追々、かな。今はまだ時期じゃない。
「あ、そういえば。明日のお休みはグリーングラス様のお手伝いをすることになっておりまして……申し訳ありませんが」
今時期なのは、やっぱりダフネのほうだ。あの日以来、ダフネとはスリザリンの書斎探しで行動を共にすることが多くて、それに伴ってだいぶ打ち解けたなって感じてるんだよね。
ダフネ自身、自らの家系を蝕んでる血の呪いについて、わざわざ打ち明けてくれてるくらいだ。妹のためにわたしの協力が必要な以上、開示できることは開示しようってことなんだろうけど、秘密を共有してるからこそ仲良くなれてるってのはあるんじゃないかな。
でもその分パンジーに付き合う時間が減ってるのは、ちょっと残念。早く逆転時計が欲しい。そうすれば、必要の部屋と組み合わせて大量の時間が確保できるのに。
とはいえ、きちんと筋は通さないとね。ってことで予定が入ってることを伝えたんだけど、当のパンジーは興味なさそうに言った。
「ふうん? 最近多いわね。ま、アンタのことなんて別にどうだっていいけど、ダフネに何かあったら承知しないわよ」
くぅ……! 本音を言えば、ここでもうちょっとわたしに対する独占欲とか見せてほしいところだ……!
でもそんなつれないパンジーがわたしは好きだよ。スリザリンの気質的に、好感度を一定以上にしたら見られない期間限定の姿だろうから、今のうちにこの冷たさを堪能しておかないとね。
「えいっ」
「はぅ゛ッ♡」
次の練習はいつになるかなって想いを馳せながら、そんなことを考えるわたしのお腹に基礎呪文がぶちかまされた。
油断してたから、すごいいい感じの一撃になった。世が世なら、下のほうに会心の一撃ってテロップ出てると思う。
思わず顔をあげれば、そこにはいい笑顔でこっちを見降ろしてるパンジーが。あまりにも嗜虐心に満ちた、最高に眩しいご尊顔がそこにあった。
「……っ♡」
その様子に、身体がぶるりと震える。
ああ、お願いします。もっと、もっと。この卑しい犬めを躾けてください!
あ、あ。あああああ~~~~♡♡
シリアスが長続きしない女。