才能に恵まれすぎたドMが魔法界で百合逆ハーレムを目指す話 作:ひさなぽぴー
ご注意ください。
やっちまったぜ。
【悲報】コリン・クリービー、石になる。
……まあ、残当というか。空中の箒から落ちて骨折した上に、物理的に骨を抜かれたハリーを写真撮影しに深夜の寮を抜け出したんだから、それくらいされても文句言えんやろって思う。
コリンはマグル生まれだ。いよいよマグル生まれが標的になったんだってことで、ホグワーツ中が大騒ぎになってる。
にもかかわらず、生徒を家に帰そうって話がどこからも出てこない辺り、ホグワーツのヤバさがよくわかるよね。
いや運営体制どうこうって話じゃなくってさ。
だって毎年、何かしらの理由で石化する生徒はいるんだもん。そりゃあ石化
で、この事件のすぐあとにわたしはハリーたちに呼び出された。用件は単純で、ドビーっていうハウスエルフについての相談と、主は誰なのか。それからスリザリンの継承者は誰なのかって話だった。
もちろん知らないって答えたけど、スリザリンのいけ好かない純血──たとえばドラコとか──をかばってるんじゃないかってあんまり信じてもらえなかった。リンちゃんショック。
仕方ないからダフネにご登場願うことになった。こちらにおわすお方をどなたと心得る。聖28一族が一つ、グリーングラス家のご令嬢だぞ。
「あいにくと、継承者はスリザリンにはいませんわよ。少なくとも誰がそうなのかは誰にもわかりませんわ」
「本当かよ? いまいち信じられないな……」
「悪魔の証明を求められても困りますわね。グリフィンドールの誰かが犯人かもしれないではありませんか」
「グリフィンドールに闇の魔法使いがいるはずないだろ!」
ロンは食い気味にそう言ってのけたけど、残念ながらロンの近くに普通にいるし、なんなら今回の共犯者は乗っ取られてるとはいえロンの妹なんだよね。おいたわしや兄上。
まあそれはともかく、証拠もないのに痛くもない腹を探られるなんてたまったもんじゃない。この件に関してはハーミーも明確にダフネの肩を持ったし、わたしもダフネの味方だ。
ハーミーとわたしがスリザリンに味方したことが、ハリーもロンもそこそこショックだったみたいだけど待ってくれ。わたしもスリザリンなんだけどね?
「うーん、どうすればいいんだろう……。なんとかして継承者を探さないと、また誰かが犠牲になってからじゃ遅いよ」
「スリザリンの寮に忍び込む方法とか、あればいいんだけどな」
「スリザリン生の目の前でそういうことを話し合うの、やめていただけませんこと? あと、継承者イコールスリザリンの人間、という決めつけも不愉快ですわ」
この二人、こういうところで迂闊だよね。デリカシーがないって言えばいいのかな。
にしても、この様子だとポリジュース薬は作ってなさそうかな。まあ当然っちゃ当然か。
だって原作でそれを提案するのはハーミーだけど、この世界の彼女はスリザリンのわたしとラブラブだし、最近はダフネとも名前で呼び合う仲になってる。わざわざ何十もの校則を破ってまで、危険を冒す必要がまったくないもんね。
「そういうことなら一つ調べるのを手伝ってほしいんだけど」
まあ、だからって見捨てたりしないのがハーミーだよね。
そもそも人が一人石になったんだ。間違いなく事件で、それを解決しなきゃって思ってるのは彼女も一緒だもん。さすが、グリフィンドールだ。
揃って期待の顔を向けたハリーたちに、ハーミーが説明する。
「どんなこと?」
「本を使わないことなら任せてくれよ」
「大丈夫よ、足を使うタイプの調べものだから。……二人にはトイレを調べてほしいの」
「「トイレぇ?」」
「実はわたくしたちも独自に調べておりましたのよ。ハーマイオニーに頼まれてあれこれ探しているうちに、こんなものを見つけましたの」
ハーミーがトイレの捜索を任せようとしてることに気づいて、ダフネが嬉々として乗っかりに行った。あっちこっちのトイレを探して回るのが本当に嫌なんだろうね。気持ちはわかるけど、こういうの見るとなるほど俊敏狡猾スリザリンって感じ。
ただ、独自に調べてたってことに嘘はない。これまでもそうだし、コリン石化の知らせを聞いてこっちにシフトしないかって話し合ってたところだからね。
そんなダフネが取り出して見せたのは、スリザリンの書斎にあったコルビヌス・ゴーントの手記だ。
英語だけど古い文体に、のぞきこんだ二人が揃って首を傾げる。うん、200年以上前の文章とかガチめに古文だよね。
ちなみに現代語訳はクィレル先生がやってくれました。さすがレイブンクロー。
まあ、一度お辞儀に乗っ取られた経験から事件にお辞儀の気配を感じるのか、秘密の部屋のことは触れたくもないしわたしにも絶対に関わっちゃダメだって雰囲気を全身から出してたけど。
……ごめんね先生。心配してくれてるのは本当に嬉しいしありがたいけど、関わります。
「……これ英語?」
「そうですわ。ただし18世紀のですが」
「おっどろきー、200年以上前の文章ってこと?」
「そうよ。ここにはこう書いてあるわ……『愚かなことに、マグル界からホグワーツにトイレを導入するという。ふざけた話だ。しかし私にそれを止めるすべはない。であれば、何はさておいても秘密の部屋だけは隠さなくては』……」
「秘密の部屋!」
「やっぱりあるんだ……!」
「そうよ。細かいところは省くけど……つまりトイレを作るときにより深く隠されたってことは、トイレ自体が蓋になってる可能性が高いと思わない?」
「……すごい、さすがハーマイオニーだ!」
「うん、そういうことなら任せてよ。トイレに入口になりそうなものがないか、調べればいいんでしょ?」
「ええ。私たちはその間、犯人を捜すわ。ね、リン、ダフネ」
というわけで、そういうことになった。
まあ、ハリーたちは女子トイレも含めたマジで全部のトイレお願いねって言われて、愕然としてたけど。授業でフィグ先生流レベリオ習っただろうし、いけるいける。
がんばれがんばれ♡
「とは言っても、犯人の目途なんて立っていませんわよ?」
「そうなのよね……実際問題、スリザリンでそれらしい人は本当にいないのよね?」
「うん、いないよ。いろんな人がそれとなくマルフォイ様やパーキンソン様といった歴史の長い純血の方に聞いたりしてるけど、知らないって」
「ただ、ドラコのお祖父様の代に秘密の部屋が開かれて、マグル生まれの生徒が一人亡くなったらしいとは聞きましたわ。手がかりとしては、それくらいでしょうか」
「……調べてみる価値はありそうね」
こうして、原作とは違う流れではあるけど継承者探しは始まった。
ダフネの呪いの調査は中断することになるけど、どっちにしても呪いについては今のところできることがほとんどないしね。それなら、マグル生まれが犠牲になりそうな事件を解決するほうが優先度が高いだろう、って判断だ。
スリザリン的には、解決したら加点もらえるだろうって思惑もあるけどね。
……まあわたしは犯人知ってるわけだけども。まだもう少しだけこのままで行きたい。
リドルの日記を。つまりは分霊箱を、魔眼できちんと見ておきたいんだよね。あれが魔法的にどういう仕組みになってるのか、魔眼で見れればはっきりわかるかもしれない。
それはこの先呪いであったりお辞儀であったりと対峙するとき、役に立つと思うんだ。
ただ、今のところ魔眼をまともに運用できるのは、約15秒が限界。それ以上は大声上げちゃう(隠喩
しかも約15秒ってのは、それだけに専念した上での数字なんだよね。目の才能を拡張オンオフするの自体は一秒程度でできるようになったけど、使うってなるといまだにそんなだから、日常的に使うなんて夢のまた夢でさ。
実験台に使ってるカメラの解析自体はかなり進んで、いよいよ動画撮影もできそうなところまで来てるんだけど、そっちは本題じゃないわけで。
せめて一分くらいは使えるようになっておきたい。ジニーには悪いけど、それまでどうか我慢してほしいんだ。
***
ある日、決闘クラブが開催されるって話が回ってきた。そういえばそんなのあったな、なんて思いながらわたしはこれをスルーした。
理由はクィディッチのときと同じ。ダフネが面倒がってパスって言ったから、それに付き合う形だね。
まあどっちにしても、このときの決闘クラブはロックハートの主催であんまり身になるものはない。原作と違って助手にクィレル先生が追加されてるけど、展開自体に影響はないだろうしね。
ハリーにとってはまたしても面倒なことに巻き込まれるきっかけではあるんだけど、彼が今後知っておくべき情報や、のちのち彼の代名詞になる魔法を知るきっかけでもあるし、邪魔はしないほうがいいと思うなわたし。
まあ、スネイプ先生とクィレル先生が無言魔法の応酬っていう高度なデモンストレーションを見せてくれたらしいって聞いて、もったいないことしたとも思ったけど。
どっちにしても、この決闘クラブの間はダフネと寮で二人きりだったんだけど、やってたことが漫画の読み聞かせってんだから世の中何が起こるかわからないもんだよ。
ただ、今彼女はわたしを足の間にすっぽり収めた状態で後ろからぎゅっと抱きしめていて、落ち込んでいた。
なんでかって、さっきジョジョ第一部を読み聞かせ終わったところって言えば、なんとなくわかってくれるんじゃないだろうか。
スリザリンに配属された彼女にとって、見知らぬ誰かのために命を散らした上に遺体すら愛する家族のもとに帰ることができないって最期は、かなりしんどかったらしい。
ただ、それはダフネ自身にも当てはまるんじゃないのかなぁって思ったりもする。
「……あの、グリーングラス様? 僭越ながら……グリーングラス様に何かあったとき、きっと妹様も同じように思うと思いますよ」
「……そうですわね……。わたくしに何があっても、あの子さえ無事ならそれでいいと思っておりましたが、きっとそれだけではいけないのですわよね……」
原作だと、ダフネはほぼ出てこないキャラだ。名前がついてるモブって言っていいレベル。だからか、その後どういう人生を送ったかは語られない。
妹のアストリアがドラコと結婚したあと早逝することは明示されてるけど、ダフネはこのときまで生きてるかどうかすらわからない。だけど二人ともスリザリンに配属されていた以上、家族を失うことに対して思うところがありまくるのは間違いないと思うんだ。
だからダフネ。ちゃんと生き抜こうね。そのための手段が見つかるように、わたしも一緒にがんばるから。
がんばるから……ちょっとだけ、ちょっとだけでいいからおいしい思いをさせてくれると嬉しい!
いやこれはその……そう、落ち込んでる人間を元気づけようってそういう思惑があってだね! 即物的だろうとなんだろうと、性欲って元気と連動してるじゃない? だからさ、ね!!
ということで、催淫魔法ドーン!!
まあとはいえ、最初からお互いいい雰囲気だったハーミーのときとは違う。今回は全然違うシチュエーションだから、ちょびっとだけだ。さきっちょだけ。
軽ーくかけてみて、きちんと効果があるかどうか。まずはここがわからないとね。年齢的に、まだ普通に効くとは思うんだけど、どうかな?
「……すんすん……」
「ん……っ」
十数秒後。後ろから抱きすくめられた状態のまま、うなじに鼻が当てられた。そのまま匂いをかがれるに身を任せる。
少し、呼吸が荒くなってるかな? 後ろを振り向ける状態じゃないからはっきりとわからないけど、たぶん効いてる。わたしを抱きしめてる腕が、正確にはその先にある手が、所在なさげにわたしの身体の表面をあちこちなでようとして、でもためらってる。
かなり弱くかけたから、その分自制は利いてるってところかな?
でも、うん。効果確認ヨシ! ダフネさん、脈ありです! やったね!
となれば、これからは直接肌に触る機会があったら、積極的に催淫魔法を使っていくとしよう。わたしたちと一緒にえっちになろう!
「……ねえゼンポウジ……」
「はい、なんでしょうか?」
「あなたも、いなくなってはダメですわよ?」
「ありがとうございます。光栄です」
「……もう。あなたはいつもそうなのですね……」
ふてくされた様子で、ダフネがこぼした。
わたしは別に、鈍感系主人公じゃない。その言葉に込められた想いがどういうものか、察してるつもりだ。
だけどわたしはあえて、一旦見なかったことにする。その気持ちには応えてあげたいし、わたしの気持ちももう決まってる。
それは、当初彼女に期待していた関係ではないと思うけれど。だけど、それでもいい。それでいいって、ちゃんと思ってる。
でも、まだだ。まだ慌てるような時間じゃない。ごめんよ。
「……
……ッスゥー。
あのね、ダフネさん。うっかり好きって言いそうになったじゃないですか。ここでそれは、ズルいんですよ。レギュレーション違反ですよ。催淫魔法を全力でぶっぱしかけたよ!?
誰かが寮に入ってくる気配を感じなかったら、たぶんしてた。マジで危なかった。
これはあれだね? わたしが我慢できるかどうかって話になってきたね? 焦らすつもりが焦らされてた……ってコト……!?
相変わらずシリアスとエロの間を高速で反復横跳びする女である。