才能に恵まれすぎたドMが魔法界で百合逆ハーレムを目指す話 作:ひさなぽぴー
明日からは色んな意味で楽しい楽しいクリスマス休暇。事件の影響ですさんだ雰囲気が漂うだけに、今年のホグワーツではクリスマス休暇に対する熱気とでも言うべきか、期待度がめちゃくちゃ高い感じがする。休暇を前に学生が浮かれるのは古今東西共通だけど、こんなにってのはなかなか見ない。
ハリーは今年もホグワーツで過ごすらしい。ウィーズリー家も、諸事情あって全員が残ることを決めた。
同じようで若干異なる諸事情で、ドラコたち数人のスリザリン生も残留する。この辺りは原作通りだね。
ただ、ハーミーはわたしと一緒に帰省するからそこは原作と違う。本来この時期にある、ポリジュース薬を使ってスリザリン寮に潜入するっていう原作イベント自体が最初っから吹き飛んでるもん。当然っちゃ当然だ。
まあ、それ自体は特に問題じゃない。わたしが心配してるのは、このクリスマス休暇中にジニーがどう動くかわかんないってこと。
前にも触れたけど、ジニーが原作と微妙に違うんだよね。今日までの約4か月弱の間それとなくジニーを観察してたんだけど、原作みたいに石化した面々に対してあからさまな動揺はしてなくってさ。
出だしから自分を疑うような状況になってなかったから当たり前っちゃ当たり前かもなんだけど、第三者が身近な事件に怯えるような感じなんだよね。とても自分に対して疑心暗鬼になってるようには見えないわけ。
時折憂鬱そうな表情を浮かべてはいたけど、それもどっちかって言えば恋煩いのやつ。だって視線はハリーに釘付けだったし、わたしほどのえっちウーマンになれば瞳に宿るハートマークくらい見えるってもんよ。
でも事件自体は起きてるし、魔眼で彼女を見ると魔力の流れがおかしい。他の人と違ってつぎはぎだらけで、どこかに漏れ出てるような、そんな風に見えるんだよね。そしてそんな人は今のところ他にいない。
そして何より、ジニーの懐にはやべー色の魔力の塊みたいな冊子が視えるのね。本とは言えないくらいの冊子はノートに見えるわけで、こんな吐き気を催す邪悪みたいな色してるノートとか、リドルの日記以外にありえないでしょって感じ。
そういうわけでリドルの日記の所在は、原作通りにジニーのところ。そのはずなんだけど……あちこちが微妙に原作と違うせいで、どうなるかよくわからない。
最近になって、ハリーがいないところだといつも疲れたような様子を見せてる辺り、日記の影響はあるはずなんだけど……本当にわかんないのよ。
あと原作と違うって言えば、ハリーとの距離が既に近いのも原作との違いなんだよね。なんか、ハリーが第一容疑者にされた頃……つまりジャスティンが石化した頃から急接近してるらしい。ハリーのそばにいて甲斐甲斐しくお世話したりして、ホグワーツ中の生徒から白眼視されてる彼がふさぎ込まないようにあれこれ手を尽くしてるんだとか。
おかげでわりといい雰囲気してるわけだけど、これは明らかにおかしいのね。ジニーは確かにハリーのことが好きな女の子だけど、同時に大好きな人の前ではシャイな女の子でもあったはずだもん。のちのちそれは克服するけど、少なくとも今ではないはずで……。
でも実際は、ロンがやきもきする程度には仲良さげにしてる。まさかとは思うけど、これって夏休み中にわたしとハーミーがお節介焼きすぎた結果だったりする?
だとしても、こんなに変わることってあるかな……(フレクサトーンの音)……いや待てよ。
わたしたちが焼いたお節介の結果ジニーの恋愛に対するスタンスが変わって、それに連動する形でトムくんの対応も変わってたりする? たとえば、まじめに恋愛相談に乗ってたりとか。
学生時代、引くほどモテてたよなアイツ。少なくとも学生時代はカリスマある優等生だったわけで、相手の感情を引き込む手練手管はある……か……?
よくよく考えれば、針の筵状態のところにつけこむってだいぶスリザリンっぽいやり口のような……。
……い、いやまあ、ハリーとジニーの仲がいいのはいいことなんだけど。いいことなんだけど……ねぇ? なんか釈然としないなぁ。
とはいえ、それ以外はひとまず心配事はない。少なくともジニーの手元にリドルの日記があるなら、クリスマス休暇中にヘンな動きがなければそれで。ここ、お祈りポイントです。
そんな中、深夜に寮を抜け出すことにしたわたしだよ。クリスマス休暇直前の今なら、深夜の校内で人に出くわす可能性はほぼゼロ。普段入室時間をめちゃくちゃ厳しく制限するマダム・ポンフリーも、石化した人以外がいない今は医務室に常駐してはいないはず。
そう、向かう先は医務室。目的は一つ。石化したゴーストのニックを調べるためだ。
前に言った通り、石化したゴーストなんてレアもの、視る機会があるうちにしっかり魔眼で視ておきたいのだよね。誰にも邪魔されず、できるだけ早いタイミングでってなると、今日がベストってわけよ。
「……本当に行くんですか?」
「当たり前ですわ。ニックの石化はゴースト……つまり霊魂という存在が、物質的な影響を受けた事例として非常に稀有なものでしょう。我が家の呪いの型が何か厳密にはわかりませんが、わたくし個人は肉体も魂も呪われている複合型の可能性が高いと思っておりますの。であれば、彼を調べることは大いに意義のあることですわ」
だけど、その道行にダフネが押しかけてきた。どうせモノを見れるのはわたしだけなんだし、一人で調べてあとで報告するつもりだったんだけどな。
まあ彼女の気持ちもわからなくはない。たとえ自分にはわからなくっても、実際にその場でどんなものか自分の目で確かめてみたいってなるもんね。
「……それに、もしもあなたが保健室であられもない姿と声を晒して、退学や休学ということになったらわたくしが困りますから」
あと、付け加えられた理由にわたしは「それな」ってなるしかなったよね。
わたし自身は別にそうなっても苦痛には思わないけど、困りはするもんね。さすがに退学はしたくないし。
「それで? 目くらまし呪文は使えるのでしょうね?」
「もちろんです、お任せください。……あの、もうちょっと厚着していきましょう。深夜の廊下は寒いですよ。それと、これもどうぞ」
「何ですの、この薄い紙?」
「これは日本固有の魔法である呪符です。魔法の和紙に魔法の筆と魔法の墨で書かれてるんですけど、ここに魔法力を注ぐと札に込められた魔法が発動するって仕組みです。仕組み的には魔法薬に近いので、これを使っても未成年の“匂い”に引っかからないって利点もあります」
「へえ、日本には呪いの研究以外にも面白いものがあるのですね。……あら、全身が暖かくなりましたわ」
「カイロ代わりの呪符ですからね」
ということで、わたしたちはもっこもこに厚着をして、懐に暖気の呪符を装備。そして目くらまし呪文と共に、スリザリンの寮を出発した。
適度にレベリオをしての警戒をしながら深夜のホグワーツを進んで、そのまま特に何事もなく医務室に到着することに成功する。
「……それじゃ、やりますね」
「ええ」
石になってるニックの前に立って、魔眼を開放する。手順はダフネを見たときと同じだから、省略。今回は彼女がタイムキーパーだ。
「30秒ですわ。……いかがですの?」
「とても興味深いです。今のニックは魔法的に固定された状態みたいです。魔法的に視たゴーストは常に不安定で変動し続けていて、この世界そのものからもズレた位置にいるみたいなんですが……そうじゃなくなっています」
「……つまりどういうことですの?」
「ええと……つまり、そうですね。ゴーストとわたしたちは、箒で空を飛んでいる人を地面から見ているような関係なんだと思います。互いに姿を見ることはできるし、会話することはできるけど、干渉しあうことはできない……というような」
「なるほど? そのたとえに従うなら、今のニックは箒を停止させられた状態、といったところかしら」
「はい。ただこのたとえだと、魔法でなくとも投石とかで影響を及ぼすことはできるわけで、正確なたとえではないとも思いますが……」
休憩中はそんなことをこそこそと話しながら、できるだけ休めるために目は閉じておく。休憩が終わればもう一度目を開ける。
それを繰り返して、見える範囲の情報は大体得ることができた。ついでにコリンやジャスティンの状態も確認したことで、なんとなくだけどバジリスクの魔眼の仕組みの推測が立った。
「恐らくですが、バジリスクの邪視は対象の目を通じて肉体と魂を過剰に共鳴させ、魂を破壊することで死を与えるものかと思われます」
声だけでワイングラスを割る、なんて動画を見たことがある人もいると思う。アレと同じような現象だ。
アレは特定の周波数の音を浴びせることで共鳴を引き起こし、それをより強く、長く与え続けることで発生する仕組み……だったはず。
動画とかでよく使われるワイングラスは単に割れやすいからと、絵的に映えるから選ばれてるだけで、この現象自体は石とかでも起きる。石でも起こるなら、肉体でも起こるだろう。
魂だって、ゴーストが実在するならこの世界に存在する何らかの物質だろうし、まあ起こってもおかしくないんじゃない?
そして肉体と魂魄の共鳴で死に至らしめるなら、逆に言えばバジリスクの邪視が効果を十全に発揮するには肉体と魂の両方が必要って言えるはず。だからニックは石になるだけで済んだ……ってのがこの日わたしが立てた仮説。
コリンやジャスティンが石で済んだのは、ガラスやゴーストの身体などを介したことでこの共鳴させる力が弱まったとか、周波数的なものが変質したとかそんな感じなんだと思う。
「改めてですが、アバダケダブラと似ているように感じますわ。あれは魂を直接引きはがすと言われておりますし、目など必要ないですが……」
「バジリスクを最初に発見したのは紀元前の魔法使い、腐ったハーポです。案外、この邪視を参考にしてアバダケダブラが生み出されたということかもしれませんよ? 効果だけで見れば、バジリスクの邪視の上位互換ですし」
「あの魔法がいつからあるかわからないことを考えると、ありそうですわね……」
なんて会話もあった。アバダと似てるって感想は興味深いね。
だとしたら、アバダもきちんと見ておきたいな。去年お辞儀に使われたけど、あのときは魔眼なかったからなぁ……惜しいことをした。
ついでだし、クルーシオやインペリオも見ておきたい。一般的な魔法はもう何回も見てるけど、この辺は禁じられた魔法だから普段見る機会がないんだよな。
気軽に使ってくれる人が現代には死喰い人しかいないことを考えると、すぐには無理だ。直近だと、四年次の偽ムーディが見せてくれるからそこまで待つしかないかなぁ?
まあだとすると、ペティグリューには逃げおおせてもらうのがマストになって、シリウスの冤罪は晴れなくなるんだけど……。
ちなみに、ここまで挙げた会話のわたしのセリフは前回同様読みやすく整えたものであって、実態は息も絶え絶えでハートマークも大量だ。立ってるのもやっと、ぱんつどころか厚手のタイツすら役目を果たせてない状態です。
ダフネを見たときと違って医務室に長居したくない以上、一度に見る時間を増やすしかない。でもそうすると、限界がぐっと近くなる。
限界を超えた先にあるのは頂点周辺で反復横跳びするみたいな世界なわけで、こっそり人前で魔眼を使ったときとか、ダフネを見たときに比べると、相当瀬戸際のところにいるのが自分でもよくわかるぜ。
「はあ……何度見てもバカみたいな話ですわよねこれ……」
そう言う割に、ちらちらわたしを気にしてるのはわかってるんですよ。気まずそうじゃなくって、興味あるって雰囲気なのもわかってる。股をもじもじさせてるのもな。
いやあ、何度も何度も催淫魔法をちょっとずつかけたり、至近距離で無防備な姿を披露したかいがあった。これは相当そういう目で見てますよ!
そしてこの状態のわたしは、普段よりもタガが外れてるので……いつも以上にそういうことに積極的だ。
つまり、今すぐめちゃくちゃにされたいって気分なわけ。ダフネ相手ならなおさらだ。すき。
で、生まれたての小鹿みたくぶるぶる震える身体をおして医務室を後にしたわたしは、彼女に身体を支えられてるわけです。つまり接触してるんですよね。
ということは? そう、催淫魔法の出番だ!
問題はいつ使うかだ。さすがにバジリスクが徘徊する深夜のホグワーツの廊下で、ってのはちょっとね。いくらなんでもシチュエーションがひどすぎるし、真冬のホグワーツは普通にクソ寒いんだよ。
たぶんだけど、こんなところでヤろうもんなら、翌朝マッパで死んでるなんて可能性がそこそこある。暖気の呪符が効いてるうちは大丈夫だろうけど、あれもそう長持ちするものじゃないし、もうちょっと場所にはこだわりたい。
「それで? 呪いに関して何か手がかりはつかめましたの?」
「はっきりとは……。ただ、肉体と魂魄の関係性というか、繋がりというものについては少しだけ分かったような気がします。魔眼の才能をさらに拡張することができれば、生きている人間の魂もはっきりと見えるかもしれませんし、そっちも挑戦してみたいですね」
「……そのザマでそれを言いますの?」
ダフネの指摘はごもっとも。床に点々と雫の跡を残してるやつが何言ってんだってなるよね。何も反論できない。
ただ、挑戦したいって言葉に嘘はないんだよね。だって魂まで視認できるようになれば、きっと呪いの研究はもっともっと進められそうじゃない。
「目の才能を拡張するより、身体……特に脳辺りの強度を拡張するほうが先ではありませんの?」
「……その発想はなかったです。できるようになったらそうしましょう……」
で、まさかの指摘にわたしは頷くしかなかった。コロンブスの卵だね!
ただ、今のところそういう面での才能の拡張はできそうにないんだよなぁ。
魔眼を使うようになってから今日までの間に、才能ポイントを獲得したなって感覚は何回かあったんだよ。でもポイント的に言うと3くらいで、これだけだと身体そのものの強化はできないって謎の確信があるの。
魔眼の解放に5くらい使ってる感覚もあるから、たぶん目のように肉体そのものを強化しようとすると、ポイントを大量に消費するとかそんな感じなんじゃないかな。
まあ、のちのちレガ主にそれを聞いてみたら「なにそれ知らん……怖……(意訳」って言われるんだけどさ。
言われてみれば確かに、ホグレガでできたのは才能……つまり魔法の技術とかそっち系が中心で、肉体そのものを強化するものはなかった気がする。
これは「ありとあらゆるものごとの才能」の範囲っていうよりは、わたしの身体そのものとの相性がよすぎるからな気がするなぁ。
以前にルーナに指摘されたときに触れた通り、この身体は神様の似姿だから。
ただ神様の似姿ってだけじゃなくって、神様的な強い力も秘められてるのかもって最近は思ってる。
というのもコリンが石化する前、つまり単独行動がまだそこまで制限されてなかったときに必要の部屋でこっそり古代魔法の攻撃を練習したとき、えげつない規模の雷を起こしちゃったんだよね。そのとき展開してた部屋の内装のほとんどがそれで使い物にならなくなった。
確か、イザナミ様は雷神の母でもあったはずだ。それも産んだんじゃなくて、身体の各部位に雷神が生じた形で。そりゃあ雷の扱いもうまくなろうってもので。
こんな感じで、わたしの身体はたぶん古代魔法の力とかみ合う。その結果、相乗効果で歴代の使い手とはまったく異なる次元のことができてるんじゃないか。今のわたしの状態になってるんじゃないかなぁって思うわけ。
わたしはただ単純に、性癖ど真ん中な女の子になりたくて「
まあ考えたところでどうしようもないし、悩むだけ無駄だともわかってはいるし、何よりあって困るものでもないから、素直に開き直るしかないんだけどさ。
ただ、普通に寿命迎えられるのかどうかだけは心配だよ。あと、子供産むときあそこが焼けて死ぬのはさすがに嫌だ。
『殺してやる……殺してやるぞ!』
…………。
……えーと。
うん……そうね……。そりゃあ深夜にうろついてたら、遭遇する可能性だってあるだろうさ。
やれやれ……話の途中だけどバジリスクだッ!
今回もシリアスとエロの間を反復横跳びする回になりました。こんなんばっかだな。
あと設定のバラマキ回でもあるんだけど、バジリスクの目を見たら死ぬ理屈はわりといい感じに仕上がったんじゃないでしょうか。
JKRがこう考えてるかはわかんないです。