才能に恵まれすぎたドMが魔法界で百合逆ハーレムを目指す話 作:ひさなぽぴー
「レベリオ!」
バジリスクの声が聞こえた瞬間、わたしは即座に杖を振った。まだ身体は火照りまくってるけど、さすがにそんなこと言ってる場合じゃない。
視界の隅に映る赤、つまり魔力を持つ敵対的な生物の場所は……結構近いな! このまままっすぐ大階段に向かうと、そこで出くわしそう。下から大階段を上ってきてる。
あいにくと、スリザリンの寮は地下にある。さてどうしたものか……。
「リン? バジリスクがいますのね?」
「はい。大階段を下から上ってきています。このまま行くと、鉢合わせに」
わたしの様子からそれを察したダフネが、表情を硬くしつつも懐から伊達メガネを取り出して装備した。続けてわたしがそうしないのを見て、わたしの懐にガッと手を突っ込んで伊達メガネを取り出すと、わたしに装備させてくれた。
ありがと。こうしておけば、最悪目が合っても死ぬことはないもんね。
ここはまっすぐな廊下だ。隠れられる場所はない。実はないわけじゃないけど……と、その場所に視線を向けてつかの間考える。
ここからなら、グリフィンドール寮に逃げ込むのがたぶん一番無難だと思う。
合言葉は? って思われるかもしれないけど、魔眼+レベリオがあれば合言葉はわかる。肖像画は生き物じゃなくって、言うなれば故人を模したAIみたいなもの。グリフィンドール寮の入口を守る太った貴婦人なんて、ちょっと手間がかかるだけのドアでしかない。
ただここに避難すると、あとが面倒だ。ハーミーを筆頭に、ハリーたちはかばってくれるだろうけど……合言葉はなんでわかったんだとか聞かれるだろうし、そもそも深夜徘徊してたんかって詰められると思う。主にパーシーとかパーシーとかパーシーとかに……。
それは避けたいんだよねぇ。ただでさえ秘密の部屋騒動で必要の部屋に行ける機会がごっそりなくなってるのに、これ以上それを妨げられるのはちょっと。
あとそれとは別に、そもそもそこまで逃げ切れるのか? って問題もある。わたしのセリフ、読みやすく修正してお出ししてるからわかりづらいけど、今もわたしは絶賛快感に打ち震え続けてるわけで、走るのはちょっと……いやほぼ無理なんですわな。
バジリスクがどれくらいの速度で動けるかわからないけど、蛇界でも俊足で名を知られたブラックマンバが確か50メートルを11秒くらいで移動できたはずだ。それに、蛇はわりと瞬発力にも優れてる。魔法使い殺しに分類される毒蛇の王なら、これより速くても不思議じゃない。
であれば……と、ここまで一秒ほどで考えたわたしは、ダフネの手を取った。
「ディセンディウム!」
向かう先は、隻眼の魔女の像。その台座に触れて合言葉となる魔法を唱えれば……像が動いて隠し通路が現れた。
「こんなところに隠し通路があったなんて……」
『そこにいるな? 今すぐ殺してやる、そこを動くでないぞ!』
「グリーングラス様、早く!」
どうやら毒蛇の王は耳もいいらしい。できる限り声を抑えてたけど、ばっちり聞こえたみたいだ。かすかに這う音と共に、こちらに大きなものが近づいてくる気配がある。
このままじゃ普通に追いつかれる! 突然の隠し通路に思わず足を止めたダフネを急かして、わたしたちは中に駆け込んだ。
そうして隻眼の魔女の像が元の場所に戻って隠し通路の入口が閉じられると同時に、そこに大きな何かがぶつかる音と振動が響いてきた。恐る恐る振り向けば、何度も何度もそれが響いてくる。
『逃げるな! ここを開けよ! ええいこんなもの!』
バジリスクくん、バチクソキレてるやん……。そんな執拗に魔女さんをぶん殴らないでもろて……。
けれど、そこはさすがホグワーツの隠し通路を隠してるだけあるのか。巨体のバジリスクがどんどこ攻撃を繰り返しても、時折埃が舞う程度でびくともしない。
それを見て、とりあえず当座はしのげたと思ったわたしたちは忘れていた呼吸を再開した。したんだけど……。
『このッ、穢れた血め! 逃げるな! 戦うことから逃げて何になる!!』
バジリスクくん、なんでそんな血気盛んなん……? 一向に諦める気配がないんですが、それは……。
「……ここからどうしますの?」
「どう、しましょうねぇ……」
バジリスクくんが諦めてここを離れるまで待機するつもりでいたけど、マジで全然諦める気配がない。さすがに途切れることなく攻撃を続けてるってことはなくって、時折休憩も挟むけど、それでも別の場所に移動しようって意思はまったく感じられないぞ。
さてどうしたものか。原作知識があるわたしは、この先に危険がないことをわかってるから進もうって提案してもいいんだけど、ダフネにしてみればこの先はまったくの未知なんだよね。
動く大階段みたく、ちょこちょこ判断をミスると危険なものがあるのがホグワーツだ。ましてや隠し通路ってことを考えればその可能性は否定できないから、彼女は先に進むのも躊躇するだろうなぁ。
あと、先に進むとホグズミードまで行くから、シンプルに戻ってくるのが面倒ってのもある。バジリスクはここに入ってこれそうにないことを考えれば、ここにとどまるほうがマシかな?
暖気の呪符のおかげで、少なくともすぐに凍えることはない。それにここの通路、人を感知して自動で火が付く燭台が随所に掲げられてるから、その燭台の近くに行けばまず大丈夫なはず。
さすがのバジリスクも、朝には退散するしかないだろうから今夜はもうここで明かすしかないかもしれない。
でもそれは置いといて、やってみたいことがある。わたしは手にしていた杖の先を掲げると、ひょいと振った。
「レベリオ」
「……何をしていますの? ちょっと、リンあなたもしかして!」
「はい、そのもしかして、です……!」
魔眼とセットでレベリオだ。バジリスクの邪視をどうしても視ておきたかったんだよ。
隠し通路の入口そのものが障害物になるし、そこにかけられた魔法もあるから、邪魔されて見えづらい。でもかかってる魔法は単純なものだからか観察に支障ないくらいには見えるし、逆に直視することはない。バジリスクがそこから移動しないのであれば、結構な時間視続けていられるはず。
……よし、視える。視えるぞ。
となれば一番のネックは、今夜は既に結構な時間魔眼を使ってるわたしがどれだけ耐えきれるかだ。もってくれよ、オラの身体……!
「もう! わたくしとめましたからね! どうなっても知りませんわよ!」
なんやかんや言いつつ、付き合ってくれるダフネは本当にいい子だ。ありがとう。
あとでいっぱいシようね。そのための魔眼でもあるからね……!(新世界の神の顔
まあお楽しみはあとに取っておくとして、バジリスクの邪視は魔力を目から照射するタイプの魔法みたいなものみたく見える。魔眼+レベリオの視界には、バジリスクの顔から二筋の魔法の光が放たれ続けてるのが映ってるんだよね。
バジリスクって生物が生態として持ってるものって考えると、目そのものにものすごく複雑な魔法的な機構を持っているのかも。そこも見てみたいけどそれやると死あるのみだから、やるとするなら倒すか完全に手なずけるかのどっちかしかないかなぁ。
どっちにしても、わたしの目的は邪視そのものじゃない。この邪視が持つ性質の一つ、魂に影響を及ぼすってところだ。それさえ理解できれば、あとは最悪まったくわからなくてもいい。
だから思いつくまま、とにかくなんでも紙にメモをしまくっていく。休憩を挟みながら、ひたすら即興的な研究を進めていく。
……ところで、今メインで視たいのは邪視だからそっちに集中してるんだけど、それ以外にもなんかバジリスクくんの身体に魔法の痕跡が視えるんですよね。それも額の辺り。これ、なんか呪いっぽく見えるんですがそれは……。
物理的にも魔法的も障害物で阻まれてるから詳細はまったくわからないんだけど、これ、もしかしてもしかします? ねえ、ゴーントさん? ねえ?
「う……っ♡」
だけど、それ以上は考えられなかった。やっぱりわたしの身体は既に十分すぎるほど酷使されていて、限界がやってきたからね。おかげさまでわたしはハートマークまみれの大声をあげながら、その場にへたり込むことに。
うん、もうダメ。魔眼をオンにするだけで即てっぺんだ。これ以上は無理、無理です!
面白かったのは、隠し扉の外で暴れ続けてたバジリスクくんが、わたしの大声に思いっきりびくってしたことだ。
ハートマークまみれだったけど、確かに大声は大声。今までまったく反応なしだったところに急にそんなのが来たら、めちゃくちゃびっくりしてもおかしくはないか。
『この……ッ、何を考えている穢れた血め!』
それはそう。そうは思うけど、こればっかりはどうしようもないんだよバジリスクくん!
「リン、大丈夫ですの!?」
「……大丈夫……じゃ……ない、かも、です……♡」
助け起こしてくれたダフネには、本当に申し訳ないんだけど。
色々ともう限界なんです。もうこれ以上小難しいことなんて考えてられないし、これ以外の何かをしたいとも思えないんですよ。
なので、わたしは全力で催淫魔法をぶっ放した。ダフネの瞳に、きっとわたしと同じようにハートマークが浮かんだのが見えた。みるみるうちにダフネの呼吸が荒くなっていき、私の身体を支える手にも力が入ったのがわかった。
だけど……。
「ふぅ……! ふぅ……! この……っ、おバカ……! 魔眼を使いすぎですわ……!」
驚くべきことに、ダフネは催淫魔法に耐えて見せた。ギンギンの視線をわたしに向けながらも、歯を食いしばってわたしを嗜めてくる。
これにはびっくりで、その意志の強さにはまったく頭が下がる思いだけど……繰り返す。
本当に本当に申し訳ないんだけど、わたしはもう限界なのだ。今すぐにでもめちゃくちゃにされたい、それしか考えられないのね。
だからわたしはスカートの中が丸見えになるように、一切ためらわずぐいっと蹲踞した。そのまま言葉だけじゃなくて行動でも態度でも、えっちなことをしてほしいんだって思いっきりおねだりする。
「おねがいです……おねがいしますぐりーんぐらすさま……♡ あさましい、どうしようもないへんたいのわたしを、めちゃくちゃにしてください……っ♡」
「……っっ」
ギリギリ、本当のがけっぷちでどうにか耐えていたダフネも、これはたまらなかったらしい。タガが外れたような音が聞こえた気がして……直後、わたしは思いっきり唇を奪われていた。
そのまま口の中を蹂躙され、さらには全身をまさぐられる。たったそれだけのことで、わたしの昇り切った身体は何回も激しく震えちゃうのだ。
「ぷはぁっ♡」
「はあ……っ♡ もう……本当……本当に、この、この子は……! わたくしが、わたくしが今までどれほど必死に我慢してきたのか、知りもしないでっ!」
とろけた視界の中で、壁に身体を押し付けられたのがわかった。燭台の炎の音が降ってくる。
ああ、ここはあったかい。催淫魔法にぐいぐい背中を押されてるのに、そこまで配慮してくれるダフネ、優しいね。すき。
「リンが悪いのですわよ……! わたくしの気持ちを無視して、そんな誘惑してきたリンが……っ!」
「はい、わたしが♡ ぜんぶ、わたしがわるいんです……だから……♡」
「もう……っ! もう、もうっ! どうなっても知りませんからね! リン……っ、ああリン……っ! ずっとこうしたかった……!!」
そこから先のことは、あんまり覚えてない。ただ、ものすごく幸せな時間だった、ってことと……。
『そ、そんなバカな……。妾に追われてるこの状況で、いきなり交尾しだすとか……頭おかしいのかこやつら……』
……恐れおののくようなバジリスクの震え声だけは、やけにはっきりと覚えている。
前話の終わりがけの緊張感から、急ハンドルでエロに持っていくバカがいるらしい。
これにはバジリスクもドン引き(当たり前田