才能に恵まれすぎたドMが魔法界で百合逆ハーレムを目指す話   作:ひさなぽぴー

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27.守りの古代魔法

 バジリスクを再び朝になるまで隠し部屋でやり過ごした翌日。

 ダフネが体調崩したから呪いについての会合は延期、って連絡をハーミーに入れたらめっちゃカチキレられた件。

 

「どうせリンが何度もおねだりしたんでしょ!」

「はい……わたしはえっちなことを我慢できないダメな子です……」

 

 一回戦以外はその通りなので、わたしは土下座するしかなかった。

 

「あのねリン。別にするなって言ってるわけじゃないのよ? あの子が丈夫じゃないのはあなたが一番知ってるはずでしょう。なのにそのあなたが、大きな負担をかけるようなことさせるなんてどういうことなのって言ってるのよ」

「うん……それは本当、わたしもとても反省してる次第で……」

 

 これは本当の本当にマジだ。あれは絶対にやりすぎだった。

 最後とか、ダフネ気絶しちゃったもん。あれはマジで焦った。

 確かにとっても盛り上がったけど、そういう問題じゃないってことはちゃんとわかってる。

 

 本心だから、演技するまでもなくわたしの顔も態度も本気のもの。それがわかるから、ハーミーもこれ以上は何も言わないでおいてくれた。

 

「ダフネが治るまで、私とのえっちもなしだからね」

「えぇっ!?」

 

 まあ刺せる釘は躊躇なく刺すところは、ハーミーだなぁって思ったけどもね。

 

「当たり前でしょう、フェアじゃないもの」

「はい……仰る通りで……」

 

 くっ、この頭グリフィンドールめ……! そこはチャンスって割り切ってたくさんシようよ……!

 それを口にしようものなら思いっきりわたしの株がブラックマンデーだろうから言わないし、そんなまっすぐなハーミーだから大好きなんだけどさ。

 

 何はともあれ、おバカな話はここまでにしよう。視線でそう訴えると、ハーミーはしょうがないなぁって顔で笑みを浮かべてくれた。

 

「ミス・レガシー、もういいですよ」

「ほいほい。長いお説教だったねぇ」

「ええまあ……そ、それより。リン、結果はどうだったの?」

 

 ハーミーが言う「どう」ってのは、ルーナの依頼のこと。

 つまりジニーのことだ。この日一日かけて、ジニーの様子を魔眼で観察することになってたんだよね。

 

 ダフネの看病であんまり時間は取れなかったけど、それでも遠目から見るだけで一発でおかしいことはわかるから、一旦は十分だと思う。

 だからわたしはしびれる足を我慢しながら立ち上がって、視たものを話すことにした。

 

「……確かに、ジニーはおかしい状態だったよ。魔眼で魔法族や魔法生物を視ると内包してる魔力の量も見えるんだけど、ジニーはそれがスッカスカだったんだ」

「つまり、常時魔力切れに近い状態ってことかい? それは確かにヘンだね」

 

 いつかのように、レイブンクロー生のローブを着た薄い本の八尺様みたいなレガ主が相槌を打つ。

 

 ウィザーディングワールドでは、なろう小説によくある魔法を使いすぎて魔力が尽きると命に関わる、みたいなことはない。

 でも魔法が自身の中にある力によって引き起こされる技術であることは間違いないから、使い続けるとだんだん疲れる。

 

 体力と似たようなもので、言うなれば今のジニーは常にマラソンしてるみたいな感じ。そんな状態が続いてれば、そりゃあ様子もおかしくなるってもんだよね。

 

「それだけじゃないよ。ジニーの体内の魔力、流れがおかしかった。普通の人は血液みたいに循環して見えるんだけど、身体のあちこちから漏れてるみたいだったの」

「それは……つまり、魔力に関わる臓器なり何かが病気ってことかしら」

「いや……それよりは、誰かもしくは何かに吸われてるって可能性のほうが大きいと思う。闇の魔法にはそういうの結構あるから」

 

 人から苦痛と共に感情という名の力を奪う魔法の副産物を見てきたレガ主が言うと、説得力があるな……。

 

「……待って。ジニーの様子がおかしくなり始めたのって、確かハロウィンを過ぎた頃からよね。まさかジニー、バジリスクを操ってる何者かと関係が……!?」

 

 おっと。そんな一気に答えに辿り着かんでもろて。

 もっと段階を踏んでくれんか。さすがハーミーではあるんだけど。

 

「うーん。確かにその可能性は否定できないなぁ。一番あり得るのは、ジニーちゃんの意思はともかく操られてるってことかな。単純に魔力を奪われてるだけってのもなくはないだろうけど、操られてるよりは可能性低いと思う」

 

 レガ主もそんな一気に答えに辿り着かんでもろて……。

 

 とりあえず、明確な答えを知っちゃうとハーミーは突撃しかねないから、リドルの日記については伏せておこうかな。そういうのは本来学生のやることじゃないって思います。

 

「ミス・レガシー。仮に魔力を奪う魔法とか道具があるとして、それって遠くから使えるかしら?」

「無理だね。通常、魔力は単体じゃそんなに長いこと存在できない。犯人は絶対、ジニーちゃんにかなり近いところにいるはずだ」

「ということはつまり、犯人はグリフィンドールの誰かってこと……よね? 信じたくはないけど……」

「ハーミー、まだそうだって決まったわけじゃないよ。闇の魔法道具をそうと知られず忍び込ませたって可能性だってあると思うし」

「……それもそうね。今のはちょっと早まってたかも。ありがとリン」

 

 とは言うけれど、現状では証拠も何もない。というか、なんならジニーの具体的な状態すらわたし以外の人間にはたぶんわからないよね。

 それは逆に言えば、わたしだけは何かわかる可能性があるってことでもあるわけで。となると、できることは一つだ。

 

「寮の中なら、ジニーちゃんの詳細はもちろん彼女に影響を与えてる誰か、あるいは何かが視えるんじゃない?」

「やっぱりそうなるわよね……。となると、リンには一度グリフィンドール寮に来てもらわないといけないけど……」

「もちろんやるよ。任せてよ」

 

 とまあ、そういうことになる。犯人、つまりリドルの日記に近づくことにもなるけど、虎穴に入らずんばって言うしね。

 

 あと秘密の部屋に同行する許可はもらえてるけど、リドルの日記……分霊箱を魔眼で観察できる機会は多いに越したことはない。この機会に、できるだけねっとり視ておきたい。あわよくば魂を吸われてみたい。

 

「いつやる? わたしはいつでもいいよ」

「まだダフネが快復してないでしょ。今はあの子のそばにいてあげて。治るまでにはリンがグリフィンドール寮に来る理由なり方法なり、なんとか思いついて見せるから」

「わかった。ハーミーも無理はしないでね」

 

 そんな会話をしながらなんとなく、今年度の事件もそろそろ終わりが近いかなぁ、って思うわたしだった。

 

「……ところで、これとは別にミス・レガシーに相談があるんですけど」

「ん、なんだい? 君がボクに、ってことは古代魔法関係かな?」

「はい。実はダンブルドア先生から、古代魔法を防御に使えないか考えるようにって課題が出たんですけど、何か心当たりとかありませんか?」

「ほえー、アルバスってば面白いこと言うね。……待って、ちょっと考えるから」

 

 わたしの質問を受けて、レガ主はうーんと考える人みたいなポーズを取りつつ肖像画の枠外に消えた。で、すぐさまスリザリンカラーのローブの幼女になって戻ってくる。

 

 ……また小さくなったな……これはもう小学校一年生くらいじゃないか。ローブも服も何もかもぶかぶかで、歩くのもぎこちない。絶対動きづらいでしょそれ。

 ていうか、本当にどこまで小さくなるつもりなんだろう……。

 

「まず前提として、ボクは完全に感覚で古代魔法を使ってたんだよね。だから小難しい理論の話はよくわかんないわけ」

「まあ、はい。それは今まで何度か聞いてるので理解はしてますけども」

「逆に言うと、小難しい理論とかぶっ飛ばしても、『えいやー!』でなんとかなっちゃうのが古代魔法でもあるんだよね」

「ええ……ってことは、まさか」

「うん、そのまさか。というか、古代魔法も結局は魔法だからね。まずは何をどうしたい、って具体的なイメージは必要でしょ。それをとにかくガッチガチに固めていくのが第一歩じゃないかな」

「ものすごい力業だわ……」

 

 本当にハーミーの言う通りなんだよな。

 でも確かに、ホグレガのレガ主が使う古代魔法って特に何か誰かから教わるでもなく、完全にその場のノリだけで使ってたっぽいもんな。イシドーラが使ってた例の魔法は、もう少し理論的な気配があったけど……それはあの魔法がシンプルなものじゃなかったとかそういうことだったり?

 

 よくわからないけど、とりあえず適当になんかそれっぽいことをやってみるか。

 問題は、古代魔法を使うためのリソースは通常の魔法とは違うってことだな。普通にしてるとほとんど溜まっていかないから、ちょっと面倒なんだよね。

 

「ああそれねぇ。防御や回避を成功させたらリソースがたまるように、才能を拡張すればいいよ。他にも特定の魔法を成功したときにも回復するようにするとか、色々あるから試してごらん」

「話を聞けば聞くほど、ワンマンアーミー目指してたの? って思うんですけど……あなたは一体何と戦ってたんですか」

「ランロクだけど」

「個体名を聞いたわけじゃないんですよね……」

「ランロクって、確か19世紀末に反乱を起こしたゴブリンの名前よね? 本で読んだわ。ホグワーツの教授たちに野望を阻止されたって書いてあったと思ったけど……もしかして」

「おっと、ボク用事を思い出したよ。ちょっと席を離れるねぇ!」

 

 あ、逃げた。ハーミーも同じことを思ったみたいで、結構大きめに「あっ!」って言ってた。

 

 でもまあ、どっちにしても表向き出回ってる書籍にレガ主の名前は載ってないんじゃないかなぁ。そっち方面より、きっと動物保護で活躍しただろうポピー・スウィーティングとか、他の関係者から辿ったほうが近道な気もする。

 レガ主の名前なんてどうでもいいって思われそうだけど、気になるんだよね。たぶん、名前がわかれば当時彼女が使ってた必要の部屋を呼び出せるんじゃないかって思ってて。

 

「……それはまあいっか。ねえハーミー、わたしの魔法練習に付き合ってもらってもいい?」

「え? あ、うん、もちろんよ!」

 

 ということで広さを求めて、わたしたちは書斎から地図の間に場所を移すことにしたのだった。

 

***

 

「……できちゃった」

「できちゃったわね……」

 

 で、まさか一時間程度でできるようになるとは、この海のリハクの目をもってしても。

 

 今、わたしはオーロラのように様々な色にきらめく球のようなものに包まれている。プロテゴにFFのリフレクの性質を追加するイメージで考えて推し進めた結果、こんな感じになったんだけど……本当に「えいやー!」でできちゃうやつがあるかよ。

 

「と、とりあえず、試してみる?」

「そ、そうだね。ハーミー、ごめんけど何か適当な魔法を撃ってみてくれない?」

「わかったわ。んーと、そうね……レヴィオーソ! ……っきゃ!?」

 

 ということで早速試し撃ちしてもらったところ。

 

 ハーミーが放ったヘキャット先生流のレヴィオーソは、オーロラのバリアに当たった瞬間逆流してハーミーの身体を打ち据えた。結果、彼女の身体がふわりと浮き上がる。

 

「フィニート・インカンターテム! ……ハーミー、大丈夫?」

「ありがとう、大丈夫よ。……それ、つまり魔法を跳ね返す魔法なのね?」

「そうみたい。どんな魔法も全部、ってわけにはいかないかもだけど……」

 

 有名な話だと、アバダケダブラはプロテゴを貫通する。盾の魔法さえ使えれば安心、ってならない辺りもアバダが禁じられた呪文筆頭の理由なんだと思う。

 

 そんなアバダをこの魔法で防げるなら、かなり完璧に近いって言えるだろうけど……アバダの魔法的な構造はまだ見たことないからなぁ。そこらへんは要研究っていうか、要才能拡張っていうか。

 

「とりあえず、試せるだけ試してみましょうか」

「大丈夫? 全部跳ね返されたら、その分受けるハーミーにかなり負担かかると思うけど……」

「跳ね返ってきたものを避ければいいのよ。要は当たらなきゃいいんだから」

 

 そんなシャアみたいなこと言われても。理屈の上ではその通りだけどさぁ。

 

「避ける練習って思えば、どってことないわよ。私はたぶん秘密の部屋にはついていけないだろうし、これくらいはできるようになっておかなきゃ」

「ハーミーがいいならいいけど」

 

 ということで、三年生までで習うすべての魔法とアクシオをはじめとする四年生で習う一部の魔法(二年生のハーミーがなんで使えるかなんて、考えるまでもないよね)を一通りぶち込んでもらったところ。

 

 この反射魔法は、今のところすべての魔法を情け容赦なく反射するってことがよーくわかった。何せただ反射するだけじゃなくって、威力も上げて跳ね返してるからね。マジで攻性結界かよって。

 

 あとは、この魔法がどれくらいの威力のものまで対応できるのかってところまで調べてみたいところではあるけど……それをやるとなると、ダンブルドア先生クラスに出張ってもらう必要がある。そこらへんの検証は今は難しいかな。

 

 ……とりあえずは習得できたってことでいいかなこれ? まさかたった一日で終わるなんて思ってなかったけど。

 

「……よーし。じゃあこの魔法には、プロテゴ・レフレクティスと名付けよう」

「呪文を唱えなくても発動できてたように見えたけど……まあ名前があったほうがわかりやすいわね。ところで……」

 

 命名も済んで、今日は万事うまくいったなって思ってたわたしに、ハーミーが怪訝そうな目を向ける。

 

「……その魔法、いつになったら解けるのかしら?」

「確かに、まだ残ってるね。一回目に張ったやつはどれだけ残ってたっけ……単純に時間経過って思ってたけど、どうなんだろう」

「反射した回数とか? ……あ、消えた」

「今消えろって念じたんだけど、ある程度はわたしの意思に対応してるのかな……どういう理屈なんだろう……」

「古代魔法にあんまり理屈を求められても困るよ、たぶん!」

 

 わたしたちの練習と会話をずっと聞いてたレガ主がそう言いながら、なんでか楽しそうにケラケラと笑ってた。

 




ドMがどんどん手が付けられない存在になっていく・・・(色んな意味で
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