才能に恵まれすぎたドMが魔法界で百合逆ハーレムを目指す話 作:ひさなぽぴー
ダンブルドア先生からの課題をわたしはあっさりクリアしてしまったわけだけど、これは才能をくれたイザナミ様がすごいんであって、断じてわたしがすごいわけじゃない。そこはきちんとわきまえてないとなって思います。謙虚堅実をモットーに生きていきます。
一方ハリーのほうはてこずってる。エクスペリアームスは原作でも彼の代名詞だっただけあってか、わりと早々と習得できてたんだけど、プロテゴがね。
そもそもの話、プロテゴって結構難易度の高い魔法だからこれはしょうがない。神様から才能をもらったわたしでも、習得するのにそれなりに時間(一時間弱)かかったから間違いないんだよね。
どれだけ難しいかって、魔法省に務めてる官僚でも使えない人結構いるくらいには難しい。ヴォルデモートとの内戦が終わって平和になった時代だから、優先度が下がってるんだろうけど……こんなに危ないものごとであふれかえってる魔法界で、プロテゴの習得は後回しでいいやってのはわたしにしてみれば正気の沙汰じゃないよ。
そんな日々の中、ジニーの様子も注視し続けてる。今のところ変化なしっていうか、おかしい状態のまま。
魔力量が全体的に少しずつ減ってるなってのはなんとなくわかるけど、はっきりとは……って感じ。あれくらいだと、まだ魔法の発動には支障は出てないと思う。
あ、ちなみになんだけど、ジニーがバジリスク出るようになったタイミングから様子がおかしいってことと、ヤバげなものを持ってるっぽいことはダンブルドア先生に報告済みだ。古代魔法のあれこれを使って調べたって名目で今の状態についても報告してるし、様子を確認し続けるって旨も伝えて了解ももらってる。
報連相、大事。
策士の一面も持つダンブルドア先生だ、正確な情報を与えておけば色々となんとかしてくれるだろうって考えもある。まあ今年の事件に関しては、ちょっと難しいかもではあるけど。
そんな中、ようやくダフネが快復したから休暇のときから打ち合わせてた通り、久しぶりに三人揃って書斎に集まった。
スリザリン寮入口目の前から人通りが絶えなかったから、今回は通常の入口から入室してる。もちろん三人揃ってのハグももっかいやった。
ついでにキスとかもしたりして。いつか三人でシてみたいなって思うわたしです。前と後ろを同時に攻めてほしいです。後ろはまだ今世では開発できてないけど、そのうちしたいよね。
「あれ、そっちから入ってくるって珍しいね」
「出口側に人がたむろしておりまして、使えなかったのですわ」
「……ミス・レガシーのおかしな格好には慣れたつもりだったけど、今日のはまたとびっきりね……」
出迎えた今日のレガ主は、ハッフルパフの女の子……だと思う。たぶん。
言い淀んだのは、何もかもニーズルを思わせる着ぐるみパジャマが悪い。ちょこんと縫い付けられた黄色い模様から、たぶんハッフルパフだろうなって判断しただけで実際のところはわかんない。
っていうか、そんなのどこで調達したんですかね……。いやかわいいけどさ……。
「いいでしょ。ポピーちゃんとお揃いなんだよコレ」
コレに付き合わされるスウィーティングさん……。一体何歳のときに付き合わされたんだろう……。本人が楽しかったならいいんだけど……。
「そう胸を張られましても……別に羨ましくはありませんのよ」
「まあ待ちなよダフネちゃん。これをたとえば、妹ちゃんが着てるところを想像してごらん?」
「言い値で買いますわ。どこで売っておりますの?」
あまりにも早い手のひら返し。わたしじゃなきゃ見逃しちゃうね……。
「ホグズミードのボクのお店で売ってるよぉ! まだお店が残ってればだけどネ!」
「来年は是が非でも行かなければなりませんわね……!」
「はいはい、二人ともバカなこと話してないで本題に入るわよ」
「何をおっしゃいますの、大事なことですわよこれは!」
「ダフネが重度のシスコンってことは理解したわ……」
「……まあその、アストリア様は確かにとてもかわいらしいお方でしたし、とても似合うかと……」
とまあ、そんな脱線を初手でかましたりもしたけど、それはともかく。
用意した椅子にそれぞれ座ったところで、ダフネが家から持ってきたっていう古い手紙や日記帳などなど、色んな資料を見せてきた。
「これが今から500年くらい前に、ご先祖様がホグワーツのとある教授の方から古代魔法による治療を受けたと記されていた手記ですわ」
彼女からそれを受け取って、ハーミーはレガ主と一緒に中身をのぞき込む。
と言っても、さすがにわたしたちも500年前の英語を読むことはできない。勉強すればできるだろうけど、すぐには絶対無理。
ってわけで、一緒に渡されたのが翻訳文を書き込んだノート。なんでも、グリーングラス家のハウスエルフたちが一晩でやってくれたらしい。
思わずそのハウスエルフの名前はジェバンニでは? って聞いたわたしは悪くないと思うの。
で、その翻訳文を読んだところ。
「あー、うん、間違いないね。このイシドーラ・モーガナークっていう防衛術の先生、ボクの前任者の一人だよ」
案の定、グリーングラス家のご先祖様に治療を施したのはイシドーラだった。つまりこの場合の治療は、
「やっぱりそうですのね! このご先祖様が受けたという治療魔法は、リンにも使えますの?」
「使っちゃダメだ」
だからだろう。期待に満ちた表情でレガ主に問いかけたダフネに対して、レガ主はいつものおちゃらけた雰囲気を一切封印した真面目な、しかも低いトーンで断言した。
その態度が普段の彼女とはまったく違うものだったから、ダフネもハーミーも絶句する。
そうだろうなって思ったのは、わたしだけだろう。この世界のレガ主は、闇堕ちルートを選ばなかったレガ主だからね。
……まあ、今の見た目との落差がひどいんだけどさ。こんなの笑ってはいけないホグワーツレガシーじゃん。
「イシドーラの魔法は、確かに苦痛を取り除くことができる。だけどそれは、同時に感情も抜き取ってしまう危険な魔法なんだよ。
ただ感情をなくすだけじゃない。人っていう生き物が生きていくうえで、とっても大事なものを……恐らくは、心とか魂とかそういうものまで抜き取っちゃうっていう、大きな副作用がある。だから、使っちゃダメなんだ」
「……そんなに、ですの?」
「そんなに、さ。この魔法を乱用された人を、ボクは見たことがある。ペンシーブでだけど。完全に廃人だった。生きてない、ただ死んでないだけだった。まるでディメンターに魂を抜かれたみたいにね」
ハーミーかダフネか、あるいは両方か。ヒュッ、という悲鳴のような息を呑む声がやけにはっきり聞こえた。
「あとね、これ一回くらいならあまり影響はないんだ。むしろ本当に快復したみたいに見える。でもね、時間が経てばまたぶり返すんだよ。この手記にも書いてあるでしょ、治療を受けてしばらくは本当に治ったみたいだったけど、半月ほどで元に戻ったって」
「あ、はい……そこが疑問で。もしかして未完成でしたのかしらと思っていたのですが」
「この魔法は、あくまで結果を取り除くもので原因を取り除くものじゃない。だから血の呪いに対しても、解決策にはならないよ」
そう言い切って、レガ主は沈黙した。この件については、これ以上話し合う余地はない。そう言いたげな態度で天井を仰いでる。
だけど……って、わたしは思うんだよな。なんでって、わたしには魔眼がある。魔法を、魔力を、その姿を正確に読み取る魔眼が。だから、あるいは。そう思うんだよな。
「……その魔法、わたしの魔眼で視たら詳しく解析できないですかね」
「正気かい、リンちゃん」
「この上なく。聞いた限りだと、その魔法は恐らく魂に干渉してるように思うんです。つまり、魂をしっかり認識した状態であれば適切に使えるんじゃないかって。マグルの医者が、病巣を取り除くときに使うメスみたいに。あれも使い方を間違えたら、身体を傷つけてしまう。本質的には同じじゃないかなって、そう思うんです」
「……確かに君の魔眼は興味深いし、可能性は否定しないけど……」
この魔眼の才能を拡張していけば、できるんじゃないかって思ってる。
だって、わたしの身体は冥府の女神……言ってしまえば死をつかさどる神たるイザナミノミコト様の似姿だ。この眼が魂を見通す力を持っていても、おかしくない。わたしが願った「あなたと同じような」が、権能まで含んでいるのなら……もしかして。
何より、魂に干渉する魔法の研究も、少しずつだけど進んでる。そのためのサンプルになる魔法も、集まってきてる。
適切に扱えるようになるはず、ってのは根拠のない話じゃないんだ。
「教えていただけませんか。あなたは最初にお会いしたとき、言いましたよね。『使い方間違えないでね』って。お約束します、この力を私利私欲のためには使わない、と」
だからわたしは、踏み込むことにした。イシドーラの魔法は確かに恐ろしいけれど、それこそ使い方の問題であると思うから。
「……イシドーラもそこから始まったんだよ。苦しんでる大切な人を助けたくて、そのためにあの魔法を作った。彼女はあれを、私利私欲のために使っていなかったんだよ。彼女は本気でそう思ってた……彼女の闇は、完全な善意から始まったんだ」
対するレガ主は、渋い顔のままだ。
気持ちはわかる。抽出された感情は同時に純粋な魔力の塊で、魔法のリソースとしては最高級の一品になる。しかも消費するまで決して消えない。
だけどそれは、悪用されたらとんでもないことになるのとイコール。どうあがいても消すことができなかったからこそ、ラッカム先生たちは後世に託すしかなかったし、レガ主もこの世界から去らざるを得なかったんだよな。
おまけに魔法そのものも、過剰に使えば相手を廃人にできる代物だ。一気に大量の苦痛を抽出すれば、それはもうアバダケダブラとさして変わらないだろう。
そんな危険すぎる魔法を、わずか12歳の子供に教えていいのかって話よ。魔法族はマグルに比べて倫理観が緩いけど、これはマジで冗談抜きで世界を滅ぼしうる力だから悩むのも当然だよね。
何より、自分なら適切に使うことができるはずという言葉は、闇堕ちルートのレガ主の言葉でもある。恐らくはその並行世界を見たこともあるだろうレガ主にしてみれば、なおさらためらうってもんだろう。
「……なら、破れぬ誓いを契るというのはいかがでしょう。他ならない、わたしが今この世で最も愛する二人になら誓えますよ。そうですね……その魔法の使い方を誤っていると二人のどちらか一方にでも指摘されて、それでも行動を改めなかったそのとき、わたしは死ぬ……というのでどうですか?」
「ちょっと、リン!?」
「そこまでせずともよろしいのですよ!?」
二人が慌てて左右からわたしを抱きしめてきたけど、本気だ。
「だって大好きな二人にそれはいけないことだって言われて、そんなわけないって言い切っちゃうようなやつにはなりたくないもん」
異能力バトルトーナメントで勝ち取ったとはいえ、おまけで得たような二度目の人生だ。不本意に短命に終わるのは望んでないけれど……こんなに大好きな二人の善意や厚意を無視するようなやつになるくらいなら、死んだほうがマシだ。
「リン……あなた、そこまでわたくしたちのことを」
「安心して。そうなったらダフネと二人で力ずくでもとめるわ」
「……ええ、そうですわ。もしダメだったとしても、そのときは一緒に地獄に堕ちますわよ」
「二人ともありがと。大好きだよ」
普段えっちなことばっかり考えてるわたしだけど、この「好き」は本気なの。ちょーっとばかし、特殊な形してるかもしれないけど。
……催淫魔法で二人をえっちな子にしようとしてるやつが何をぬかすんだ、って? もっとたくさんの子に手を出してほしいって思ってるやつが何をほざくか、って?
まあその。うん、それは……。
うん、申し開きできねぇな!! マジですまん!!
「はあ……そこまで言われちゃ仕方ない。ああうん、破れぬ誓いまではしなくてもいいよ」
と、ここでレガ主が折れてくれた。両隣から、二人分の心底ほっとした息が漏れた。
「……ただし、ボクに教えることができるのは別の魔法だよ。でもって、君たちはもうそのために必要なものを手に入れてる」
「え? ど、どういうことですの? いじわるしないでくださいまし!」
「今、まさに君たちが重点的に調べてるボクの
「ええ!?」
「……そうか。つまりこの未開発のままで終わった解呪用魔法は、イシドーラという人が使っていた魔法を元にしたものというわけですね?」
「正解! スリザリンに5点あげよう」
わたしの推測に、レガ主は嬉しそうに笑った。
「と言っても、知っての通り完成はできなかったけどね。ボク感覚派だからなかなか進まなくって……結局間に合わなかったんだ、そこからはもう、使う必要もなかったから」
……そっか。やっぱりアン・サロウの解呪は間に合わなかったのか。
セバスチャンは……どうなったんだろう。アズカバンで一生を終えたのか、それともホグワーツに残留はしたのか。
気になるところではあるけど、今はそこを掘り返すべきじゃないんだろう。
だからわたしは、あえてすねたような態度で言葉を返すことにした。
「……そういうことでしたら、最初からそう言ってくれればよかったじゃないですか」
「ごめんごめん。でも、元がものすごく危険な魔法なのは本当なんだよ。使い方を間違えたらとんでもないことになるってのもね。そこは一切誇張してない。だから、もうヒントは見つかっちゃってるけど、試すこと自体はやっておかないとなって思ったんだ」
これでも守護者だからね、と言って胸を張ったレガ主は……どこか自嘲気味な笑みを浮かべていた。
久々のほぼシリアス回。
ドMだってたまには真面目になるし、二人のことはちゃんと本気。
この辺の重さはちゃんとスリザリンっぽくできたんじゃないだろうか。