才能に恵まれすぎたドMが魔法界で百合逆ハーレムを目指す話   作:ひさなぽぴー

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29.スニーキングミッション

 さて、レガ主から解呪用古代魔法の真相を知らされたわたしたちだったけど、そっちの更なる研究は後回しだ。

 発見から今日までの間にそこそこ進んでるってこともあるけど、何せ秘密の部屋事件が解決してないからね。まずはそっちだ。

 

 ほら、ダフネが回復したらグリフィンドール寮に潜入して、ジニーの様子や彼女に悪影響を与えてる何者かを間近で詳細に観察するって予定だったでしょ。だから予定通り、今度はこっちに取り掛かろうってわけ。

 

 んで、どうするか。当初の作戦だと、ハリーから透明マントを借りて堂々と寮内に潜入するってことになってた。

 力業って言うなかれ。一番確実な方法がそれならそれでいいじゃろ。ダンブルドア先生も、こういうのはシンプルに考えるのがいいって言ってた。

 

 ただ、この作戦は失敗だった。

 なんでかって言えば、透明マントをかぶった状態で魔眼を使っても、視えるのは透明マントに込められた魔法やその構造ばっかりで、外の様子がまったくわかんなかったのね。透明マント自体が高度な魔法道具ってこともそうだし、目の至近距離にそれが来るってこともあって、本当に全然視えなかった。

 

 たぶんだけど、普通の透明マントだったらそこまでならないんじゃないかな。何せハリーの透明マントはただの透明マントじゃないもん。

 

 これ、ウィザーディングワールドで伝説のアイテムとして語り継がれる死の秘宝なんだよね。通常時間経過で効果を失う透明マントの中で唯一、何百年経っても効果が失われてない逸品っていう。

 そんなの間近で魔眼で視たら、そりゃあめちゃくちゃ膨大な量の魔法で視界がふさがれるに決まってますわ。

 

 まあ解析自体は結構できたから、無駄じゃない。色々と勉強になりました。いつか何かに活用したいところさん。

 

 いろいろと調べた結果、目くらまし呪文なら魔眼を使っても阻害されないのはわかってる。わかってるんだけど、目くらまし呪文は透明マントほど完成度の高い透明にはなれないんだよね。特に人目が多いところに行くと、どうしても誰かが違和感を覚えちゃう。

 もっと魔法の腕を磨けばパーフェクトな透明になれるのかもだけど、今は無理。ってことで、最終的には深夜にこっそり忍び込むことになった。

 

 これまでのことを考えると、真犯人に遭遇する可能性があるからやめたほうがいいってダンブルドア先生は言ってたんだけどさ。

 数日観察を続けた結果、ジニーは日記を持ち歩いてはいても人目のあるところで使う気配がないし、日記がヤバい闇の魔力を宿してることは視えても具体的にジニーに対して何かしてる様子もないってことが改めてわかっただけ。手がかりにならなかったんだよね。だから他に方法がなかったんよ。

 

 というわけで仕切り直して。一月の終わりが見えてきたタイミングで、今度こそ作戦は決行された。

 

「大佐、こちらスネーク。グリフィンドール寮に潜入した、これよりミッションを開始する」

「なにそれ、スパイごっこ?」

「……まあそんなところ」

 

 出迎えてくれたハーミーにネタが通じなくて、リンちゃん悲しい。当たり前ではあるんだけどさ。

 

 ちなみにダフネはお留守番。こればっかりは仕方ない。死地に赴く出征兵の夫を見送るような顔とキスで送り出されたよ。

 

 ともかく、わたしはハーミーに案内されて女子寮に向かう。二人とも、念のため姿は隠してだ。おまけに足音も極力立てないよう、靴も脱いでる。

 こういうときは普段歩くときみたいにかかとから接地するんじゃなくて、足の親指の付け根……種子骨から下ろして次にかかと、って感じで少しずつ全体をなじませるように接地させていくのがコツだ。

 

 ハーミーにはなんでそんなの知ってるんだって聞かれたけど、日本はサムライとニンジャの国だからって言ったら信じちゃった。

 いやまあ、元をたどれば落第忍者乱太郎で山田先生だったか土井先生だったかが言ってたのを見ただけだから、間違いってわけでもないんだけどさ。

 

 ともかくそうして歩くことしばし、目当ての部屋が見えてきた……ところで、わたしたちはさっと物陰に身を隠した。

 

 人影が見えたからで、さっきも言った通り目くらまし呪文は完璧じゃないから、念のため隠れたわけだけど……隠れて正解だった。

 何せ現れたのは、ジニーだったからね。わたしとハーミーは思わず顔を見合わせた。

 

 ……いやでも、違うな。ジニーとは全然表情が違う。乗っ取られてますねこれは……。本当に真犯人に遭遇しちまいましたぜ先生……!

 

 とはいえ、これはある意味チャンスでもある。ジニーもとい推定トムくんが談話室へ向かっていくのとすれ違う直前、わたしは魔眼を解放した。

 

 ただし、相手は学生時代の記憶とはいえヴォルデモート本人だ。下手に動いたら気づかれかねない。

 だから魔眼を解放するだけして、そのまま背中を見送るにとどめた。大丈夫、これでも色々と視える。

 

 ハーミーも同じように考えたんだろう。息をひそめて成り行きを見守ってくれた。

 そのまま彼の姿が見えなくなって、談話室からも出ただろうってくらいの時間が経過したところでわたしたちは、逃げるようにしてハーミーの部屋に駆け込んだ。さらに彼女に貸したって体で預けてあった、お風呂用スーツケースの中に入って小声で話し合う。

 

「リン、さっきのジニー……!」

「どう見てもジニーじゃなかったね。魔眼で見ても間違いなかった、操られてるよ。意識がどうなってるかまではわかんないけど……あの感じだと、たぶん乗っ取られてるのかな?」

 

 わたしの言葉に、ハーミーが絶句した。そんな彼女にあえて声をかけず、説明を続ける。

 

 わたしの魔眼には、ジニーの身体を彼女のものじゃない魔力が包み込んでいるのが視えた。その魔力は、懐に忍ばされたノートのようなものからジニーの身体に流れ込んでいる。流れは複数あって、まるで操り人形がたくさんの糸に繋がってるみたい。

 逆にジニーの魔力は、身体から漏れ出て懐にあるノートらしきものに流れ込んでる。そしてそのノートらしきものの中で、ジニーのものだった魔力が別の魔力で染め上げられ、作り替えられているさまも視えた。

 これだけ視えれば、ジニーが闇の魔法道具に操られているって推測は誰でも可能だろう。

 

 わたしとしては、「ノートらしきもの、つまりリドルの日記はヴォルデモートの分霊箱であり、使用者から魂を奪って力を増していく」って原作情報から考えるに、まだ何か視えるものがあるんじゃないかって期待もあったけど……今のところはこれ以上は視えてない。

 もしかしたら、さらに目の才能を拡張すればその奪われている魂も視えるかもしれない。今はまだできないし、仮にできたとしても絶対まずいことになる(快感的な意味で)だろうから、しないけどさ。

 

「この情報はあとでちゃんとダンブルドア先生に知らせるとして……今日決行するってこと、事前に伝えといてよかったね」

「ええ。ひとまず、ここから先は先生がなんとかしてくれるはずよ……」

 

 推測と考察を終えて、緊張から解放されたわたしたちはどちらからともなく安堵の息をついた。この安堵の中には、ジニーがちゃんと原作同様にリドルの日記に操られてるってはっきりしたことへの安堵も含まれてる。

 

 ああそうそう。普通なら、あのままトムくんを追いかけてもおかしくなさそうなグリフィンドールのハーミーがそうしなかったのは、万が一のことを考えてダンブルドア先生が寮の近くで待機してるって知ってるからだね。

 やめたほうがいいってダンブルドア先生に言われた話はさっきしたけど、今日やるってことはきちんと伝えてあるんだよね。そしたら何があってもいいように、待機しておくって言ってくれたのだ。

 敵に回すと果てしなく面倒だけど、味方ならこれほど心強い人はいない。報連相は大事って、はっきりわかんだね。

 

 まあダンブルドア先生のことだから、泳がせるんじゃないかなって思うけどさ。現時点じゃジニーが操られてるってことを先生は知らないから、生徒相手にいきなり攻撃することはないだろうし。あえて声をかけて警戒を強めさせるよりは、様子見に徹してどういうことをしてるのか探るほうにシフトするんじゃない?

 とはいえどちらに転んだとしても、ここから大きく話が動くことには変わりない。わたしたちはそれに備えるだけだ。

 

 こうして、この日の小さな冒険を終えた。ちなみにこの日はグリフィンドール寮に泊まりました。厳密にはスーツケースの中でだけど。いち早い防音機能の実装が待たれる。

 

 で、翌日。情報共有のため、わたしは早速校長室に向かった。

 出席者はわたしとダンブルドア先生だけ。テーブルを挟んでマンツーマンで茶をシバきあう形は生徒に対する扱いじゃない気がするけど、これは今さらな気もする。

 

 倫理的には問題があるかもだけど、少なくともわたし自身は戦力として加味されることは了承してるし。来年以降の事件でも普通に戦力に組み込まれるだろうことは面倒だけど、戦わなければ生き残れないからね。仕方ないね。

 

 ということで、まずは調査の結果はどうだったのかと聞かれたから、ハーミーにも話したことをほぼそのまま説明する。

 

「……以上のことから、ジニーは闇の魔法道具に操られているものと思われます」

「うむ……わしもそう思う。そして恐らくじゃが、ジニーに操られている間の意識はないじゃろう」

「意識があるんだったら何かしらのアクションをしてるはずですもんね。ジニーは……なんていうか、あまりにも普通に生活しすぎています」

 

 わたしの返事に、ダンブルドア先生は大きく頷いた。全面的に同意、ってところだろう。

 

 彼はそれから、昨夜ジニーがどこで何をしていたのかを語ってくれた。

 

 それによると、どうやらジニー……というかトムくんは、秘密の部屋には近寄りもしてないらしい。地下の隠し部屋でバジリスクと落ち合って、餌をあげたり報告を聞いたりしてたんだとか。

 ただし当然というべきか、その会話は全部蛇語。ネイティブじゃないダンブルドア先生にとって、全部を聞き取るのはさすがに無理だったらしい。それでもきちんと要点となることは逃してないんだから、さすがだよね。

 

 彼が聞き取れた内容としては、主に五つ。

 

 秘密の部屋の場所がバレていることを、トムくんたちが把握していること。

 基本夜だけとはいえ、バジリスクが自由にホグワーツ内を徘徊できる状況にあること。それをバジリスクが喜んでいること。

 そろそろ次の事件を起こそうと考えているいうこと。

 そして、次に落ち合う日取りだ。

 

 秘密の部屋がダンブルドア先生たちに見つかってることは、ハリーから聞いたジニーから聞いたのかな。秘密の部屋じゃなくて、わざわざ別の隠し部屋で落ち合ってるのは罠を警戒してるんだろう。

 

 実際には罠は仕掛けられてないんだけど、人を感知して起動するカメラは設置してある。トムくんの警戒は正しい。そういうところはさすがだ。

 

 あ、ちなみにカメラの提供もわたし。前にもちらっと触れた、動画撮影が可能なようにしたカメラで、たぶん魔法界初のビデオカメラだ。かなりの時間の動画が撮れる上に音声もバッチリ入るから、ダンブルドア先生はかなり喜んでた。

 物騒なのとそうじゃないの、両方の使い道が浮かんでそうな様子だったのはここだけの話。

 

 ちなみについでにもう一つ。

 この魔法のビデオカメラ、ダンブルドア先生の厚意で現在特許申請中です。これが通れば、様々な薬の特許で莫大な財産を築いたポッター家ほどとはいかなくても、かなり金銭的に楽ができるようになると思うから、ぜひともいい感じに通ってくれるとありがたい。

 

「できれば次の事件を起こす前に、カタをつけてしまいたいところじゃ。実は最近、理事会からの突き上げが激しくてのう」

 

 話を戻そう。ダンブルドア先生はなんてことないように言ったけど、そういえば原作では実際に停職喰らってましたね。

 

 つまり、パパフォイはバッチリ動いてる。となると、このまま新しく犠牲者が出れば、実際にこの世界でもダンブルドア先生は停職になるんだろうな。

 ついでにハグリッドはアズカバンに送られる。こっちは別にいいんじゃないって思うけど、それはともかく。

 

 そうなると対処が面倒になるから、わたしとしても早いうちに幕を引きたいところだ。さて、どうすればいいかな。

 

「……まずは夜中に改めて忍び込んで、ジニーを操ってる魔法道具を回収するのがいいと思います」

「ふむ……となると、またしても君に頼まなければならないが……」

 

 ホグワーツの女子寮は、男子禁制だからね。ただ禁止ってだけじゃなくて、入ろうとすると物理的に排除されるんだよ。これは校長であっても例外にならないから、女子寮にいるジニーのところに行くのにダンブルドア先生の力は借りられない。

 ちなみに逆は普通に出入りできる。男女の扱いの差ェ。

 

 ……ていうかよくよく考えると、元男のわたしが普通に出入りできてるのはどうなんだろう。わたしはまあ、メス堕ちし切ってるからわからなくはないけど……たとえば性自認が肉体と一致してない生徒の扱いはどうなるのか。

 そこらへん、どうなってるんですかねホグワーツのセキュリティ。判断基準はシンプルに身体の性別なんだろうか。今度ちょっと調べてみるかな?

 

「わたしなら大丈夫です、お任せください」

「君はそう言ってくれるが、いかに心が成熟していても君の身体は子供のそれじゃ。闇の力は心身を蝕む……無理はならんぞ」

「はい、ありがとうございます」

 

 ともかく、そういうことになった。もちろんダンブルドア先生のバックアップつきだ。勝ったな、ガハハ!

 

 それにしても、わたしの精神年齢が実年齢に比例してないのは見抜かれてるんだな。ホグワーツでは隠してはいないけど、さすがの観察眼だね。

 まあ、わたしの心が本当に成熟してるかって疑念は自分でもあるんだけどさ!

 




ホグワーツ各寮にある、女子寮で男を物理的に排除する仕組みについて実はずっと気になってます。この仕組み公式なんですよね。
TS転生者は普通に入れるのか。性同一性障害の持ち主はどうなるのか。
あくまで肉体準拠なのか、精神準拠なのか・・・。
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