才能に恵まれすぎたドMが魔法界で百合逆ハーレムを目指す話 作:ひさなぽぴー
年度終わりを目前に控えたある日。原作と違って早い段階で事件が解決した影響で普通に進級試験が行われ、結果も無事に出た日のこと。わたしたちは三人でスリザリンの書斎にいた。
あ、ちなみにハーミーとの成績バトルは僅差でわたしが勝った。面倒くさくはあったものの、去年の宣言通り仕方なく全力で挑んだけど……思ったより点差がなくて驚いてる。
ハーミーはめちゃくちゃ悔しそうにしてて、来年こそは勝つんだって意気込んでる。わたしも受けて立つって返しておいた。
わたしたちに半ば巻き込まれる形で成績が爆上がりし、挙句の果てに選択科目を全部取る羽目になったダフネだけがげんなりしてた。
まあそれはともかく。なんでこんな日にわざわざ書斎まで来てるのかって言うと、答えはデスクの上に置かれた均整の取れた小型の瓶にある。
白と黒が入り混じった不思議な液体が収められている小瓶。それが3本だ。いずれもラベルには、日本語で「陰陽薬」の文字が達者な毛筆で書かれてる。
そう、陰陽薬が遂に日本から届いたんだ。このタイミングなら夏休みでもいいんじゃないかって思ったけど、魔法が使えるホグワーツにいる間にできるだけ検証しておきたかったんだよね。
正確に言えば試験が始まる直前には届いてたんだけど、さすがにこれを試験前に試すのはね。ってことで今日だ。
「……ようやく試せますわ」
「長かったわね……解析のほうは?」
「ハーミーが来るまでの間にばっちり。材料は全部わかったよ。代替できそうなのも見つけた」
「じゃああとは手順を探るだけか。この調子なら、意外と時間をかけずにできちゃうかもしれないわね」
「だといいですわね」
ダフネの声が少し弾んでる。長年解決のめどが一切つかなかった血の呪いに、進展があるかもしれないんだ。無理もないよね。
しっかしまあ、自分のことだけどこの魔眼、だいぶチートだよなぁ。材料だけじゃなくて、分量までおおよそ当たりがついちゃうんだもんね。この使い方を閃いたわたしを褒めたい。
もちろん、それができるのは魔法薬学の授業を真面目に受けてるおかげだ。色んな魔法薬を魔眼で視る機会を、無駄にすることなく知識として取り込んできたから今それができてる。勉強ってやっぱり大事よね。
ま、さすがにどういう手順で調合するのかは探っていくしかないけどさ。
それでも、ここまで来たらあとはさほど難しいことじゃないと思う。詰まったときはスネイプ先生に意見を聞くのもアリだろうし。
「それじゃあ……早速飲んでみましょうか」
「効果の具合がリンの魔眼にどう映るのかしら。いい方向に進むといいんだけど」
ということで、試飲タイム。わたしとハーミー、それに肖像画からレガ主(レイブンクローのすがた)が見守る中、ダフネが意を決した顔で陰陽薬を飲みほした。
同時にわたしは魔眼をオン。そのまままっすぐダフネをじーっと見つめる。
十秒ほどは、特に何も起きる気配がなかった。だけどその先の変化は劇的だった。
いや肉体的に目に見える変化が起きたわけじゃないんだけど、魔力の流れやダフネの身体を覆ってる呪いが視えるわたしには一目瞭然だったのね。
ダフネの身体を覆う呪いの各所に、穴が生じたんだ。それがあちこちにある。
呪い自体が消えたわけじゃないけど、間違いなく呪いの規模が小さくなってる。おまけに穴の影響か、呪いが揺らいでる。
これなら薬の効果が効いてるうちはだいぶ体調も改善されるんじゃないかと思うし、この状態なら普段より解呪しやすくなってるんじゃないかな。
「じゃあ、成功ってこと?」
「うん、そう思う。ちゃんと効いてるよ」
「本当ですの!?」
「うん。あとは、ここから呪いに直接アプローチできれば」
問題はそれをどうするか、なんだけどねぇ。
「とりあえず、フィニート・アナテモースを使ってみるかい?」
レガ主にそう提案されるけど、恐らくは複合型のこの呪いはフィニート・アナテモースだけじゃ足りないと思う。呪いの根本まで辿って効果を及ぼせるようになったら……完成させることができたならあるいは、って思うんだけど。
「……うん、やっぱりダメみたい」
実際、血の呪いを解くまでには至らなかった。呪いの輪郭が少し揺らいだのは視えたから、一切の効果がない、ってわけじゃないっぽいけど。
たぶん、これだけじゃ足らないんだろうな。他にも色んな解呪方法を組み合わせて、ようやくなんとかなるかもしれない、っていうのが血の呪いなんじゃないかな
「これでもダメなのは残念だけど……でも、これである程度の時間は稼げそうよね」
「そうだね。普通にしてるよりは呪いの進行は緩やかになりそう。それはそれとして、わたしはもっと魔法としての完成度も高めないと」
「一定の水準には達してるし、一度アルバスに深く掘り下げてもらうのもありかもね。アルバスならきちんと精査と評価をしてくれると思うよ」
「そうですね、そうしようかなぁ」
と、そんなことをあれこれ話してるわたしたちだったけど、ふとダフネの様子がおかしいことに気づいた。
会話に参加する気配がないのもヘンだけど、なんか顔がうっすら赤い。おまけに自分の身体を恐る恐る触ってる。それも股間の当たりをだ。
傍目には変態っぽい仕草だけど、わたしはそれを見て勝利を確信した。コロンビアのポーズ取りそう。
「ダフネちゃん、どうしたの?」
わたしの声掛けに、ハーミーたちもダフネの様子に気づいたらしい。視線が集中する。
ダフネはこれにぴくりと小さく身体を震わせた。それからゆっくりわたしのほうに顔を向ける。
「あの……その……あの、ですね……」
「……もしかして」
「ぅ……は、はい……そのもしかして、ですわ……」
ダフネが顔を真っ赤にして、伏せる。一方で、そのリアクションの意味が分からなくて首を傾げるハーミーとレガ主。
そんな二人も、わたしの次の言葉には納得って顔をした。
「副作用、出ちゃったんだ?」
「はいぃ……」
「ああなるほど、そういうこと」
「この薬、副作用なんてあったの?」
「うん。そもそもの開発コンセプトが『肉体の
「大事じゃない! ダフネは大丈夫なの!?」
「痛みとか重大な問題があるわけじゃないんだけどね……」
とここで、わたしはあえて言い淀むふりをして言葉を濁した。視線を泳がせて、ちらちらとダフネを見る。彼女はなおも真っ赤で、下半身を押さえてる。
……ここまでの描写で、勘のいいガキはもしかしたらどういうものかわかったかもしれないけど、もうちょっとだけ引っ張らせてくれ。
「だけど? どうなってるんだい?」
「その……えっと、ね」
「リン、大丈夫よ。私、何があってもちゃんと受け止めるわ」
「……その……あの、ね。この薬は、ね……女の子が飲むと……お、
そしてハーミーは石になった。
もちろんそれは比喩だけど。マジで完全に硬直して、一切動かなくなっちゃったものだから……。
だけど数秒後、彼女の顔も真っ赤に染まっていった。状況を理解しちゃったんだろう。その赤い顔のまま、ぎこちなくダフネに顔を向ける。
「だ、ダフネ……そう、なの……?」
「は、はいぃ……その……い、今……わたくし……あの、アレが……は、生えてしまっております……」
真っ赤な顔で、消え入るようにぼそぼそと話すダフネはめちゃくちゃかわいい。
一方で、レガ主は肖像画から消えていた。口を押えて、吹き出す直前1秒前みたいな顔してたから爆笑するためにいったん席を外したんだと思う。
気持ちはわかる。わたしも気軽に見てられる傍観者の立場なら、同じことしてたと思うし。
でもわたしは! これを! 待ち望んでたんだ!
頼むから副作用出てくれって、神に祈ってた!! かつてないほど真剣に!!
何せちんちんを女の子に生やす魔法薬、市場に出回ってる量が少ないから! 陰陽薬でついでにちんちんが生えるなら、こんなにお得なことはない!!
叶えてくれてありがとうイザナミ様!! これからもついていきます!!
「えとね、その、説明書によると、生えるだけで何がどうかなるわけじゃないらしいの。実害はほぼないんだけど……その、違和感はどうしても、ね……あると思うから……」
「そ……そう、ね……そう、よね……。それはその、私たちには本来ないものだもんね……」
「あの、こ、これ、ど、どうしたらよいのです?」
「えっと、服用した人によって個人差はあるけど、陰陽薬の効果は最大でも8時間くらいなんだって。副作用も一緒に解けるみたいだから、別に放っておいても問題はないはずだけど……」
それをほっとくなんて、そんなもったいないことできるはずがないよなぁ!?
「……その。せ、せっかく生えたなら……さ。つ、使って……みない……? わ、わたしで……」
だからわたしは、いかにも恥ずかしがってる清楚な女の子みたいな風を装いながらも、すすすっとスカートをたくし上げて見せた。
その中を見たダフネから。のみならず隣にいたハーミーからも、ごくりと生唾を飲み込む音がやけにはっきり聞こえたような気がする。
二人のそんな様子を上目遣いに見ながら、わたしは勝利を確信した。いやあ、定期的に催淫魔法込みで誘惑してて正解だ。二人とも息を吸うようにわたしを意識してくれてる。
と同時に、わたしは前世でも今世でも故郷となる国に対して、深い敬意を抱かずにはいられない。
さすがは日本、HENTAIの国だな……と……!
***
「また一年が過ぎた!」
そして翌日。わたしは大広間に掲げられた緑と赤の旗を眺めていた。お察しの通り、今年の寮杯も去年同様にスリザリンとグリフィンドールの合同優勝だ。
ダンブルドア先生のありがたいお話は全部スルーして教員席を見渡せば、スネイプ先生が去年とはちょっと違って、渋い顔。
あれだけグリフィンドール減点フェスティバルを開催したのに、ギリ逃げ切られたのが気にくわないらしい。それか、今年こそは単独優勝したかったのか。
マクゴナガル先生は去年と同じような顔してるのにねぇ。この差よ。そういうとこやぞスニベルスくん。
それから……と思いながら、わたしは魔眼を起動する。その状態でクィレル先生のほうを向けば、ユニコーンに思いっきりのしかかられてるように視えた。
秘密の部屋に関わるなって忠告してくれたにもかかわらず、ぶっちぎってお辞儀にバジリスクにと大立ち回りをやらかしたわたしは、クィレル先生と顔を合わせるのがちょっと気まずかったりする。
それでもそれはわたしの都合だし、「あ、あなたがぶ、無事でよよ、よかった、です」と言って青白い顔にうっすらと笑みを浮かべたクィレル先生には謝罪こそすれ、嫌う理由なんてない。
色々と知識を貸してほしいことはたくさんあるから、今まで通りの交流をしてるんだけど。いやあ……こんなの見せられると、先生のこともなんとかしてあげたくなるよね……。
クィレル先生にのしかかってるユニコーンの像は、呪いだ。揺らめいていて、実体がないことがすぐにわかる。
白い光でできたような感じだから、見方を変えれば神聖なものに視えるかもだけど……血まみれなんだよなぁ、これ。
おまけにまばたきゼロで、死んだ魚みたいな目でじーっとクィレル先生の顔をガン見してるんだよね。角も折れてて、クィレル先生の心臓あたりに突き刺さってる。見てるだけでも十分怖い。
だけど呪われてるのはクィレル先生だけじゃない。その先生の二つ隣には、ロックハートがいるんだよね。たぶん。
なんでたぶん、なんて曖昧な言い方したかって言えば、今にも爆発しそうな呪いを背負ってるせいで、魔眼にはほとんど真っ黒な靄に包まれた状態にしか見えないからだよ。
こっちはこっちで、見てるだけでも怖い。そんな二人が近いところにいるものだから、ここだけ切り取ったら呪術廻戦の世界かな? って感じだよ。
ダフネの呪いも今はなんか逆にきれいな感じだけど、進行したらこういうヤバい見た目になるのかな……ヤだなそれ。
とはいえ、この二つの呪いが終業式の最中に爆発することはなかった。まあクィレル先生のは既に爆発したあとではあるんだけど。
だからわたしたちは去年と同じように、何事もなくホグワーツ特急に乗ることができた。
去年と違うのは、コンパートメントにいるのがわたしとハーミーの二人じゃなくて、ダフネも加えた三人ってこと。
ただ、わたしたちの間に会話はあんまり多くなかった。なんでかって言えば、昨夜のことが思い出されてお互い何を言っていいのかあんまりわかんなかったからだ。
くっついてるのもなんか色々と意識しちゃって、普段みたいに身体を寄せてのイチャイチャになってないんだから、なかなかよ。一応手は握ってるんだけど。
いやあ、昨夜はすごかった。色んな意味で大人の階段をさらにのぼっちゃったもんね。本当、すごいすごかった。
おっと、わたしの「初めて」をどっちにあげたのかは秘密だよ。秘密の部屋だけにね。これについてはご想像にお任せしますってことで。
一つ言えるのは、ハーミーも陰陽薬で副作用が出たってことくらいかな。うふふふふ。
それはそれとして……。
「……ねえ、二人とも。陰陽薬の副作用に頼らないで
「……異議、ありませんわ……」
「……同じく……」
言葉少なだったけど、二人とも頷きながらそう言ってくれた。思わずにっこりしちゃうわたしだよ。
いまだに快感がじくじくとうずく下腹部をなでながら、ああ、夏休みが。来年度が楽しみだ……と思うわたしだった。
陰陽薬の名前が登場したときから既に感想欄でバレバレでしたが、はい、ずばり生えるお薬でした。てへっ☆
まあ必ず生えるわけじゃなくて、人によるんですけども。女性用に生える薬自体は別でちゃんと日本魔法界にありますよと、ここで声を大にして主張しておきましょう。
もちろん今後出てくる予定です。プレイの幅が広がるねリンちゃん。
それと、ロックハートがギリ今年度を耐え抜きましたが。
彼がこのあとどうなるのかは、アズカバンの囚人編に持ち越しとなります。
さて、そんなこんなで約一か月に渡って更新していた秘密の部屋編はこれにておしまいです。
明日からはまた書き溜め期間となります。更新再開がいつになるかまったくわかりませんが、気長にお待ちいただければ幸いです。
今後ともドMなリンちゃんと、彼女に絡めとられて百合百合の沼に引きずり込まれるヒロインたちをよろしくお願いいたします(人の心ないんか案件