才能に恵まれすぎたドMが魔法界で百合逆ハーレムを目指す話   作:ひさなぽぴー

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4.衝動に従う

 聞いた限りは原作通りだった決闘騒ぎの日以来、ハリーとロンの二人(特にロン)とハーミーの折り合いがよろしくない。グリフィンドール内でも他に友達がいないみたいで、いつ見かけても一人でいる。

 

 まあ、そうだろうなって感じだ。ウェイなパリピが多いグリフィンドールで、規則と秩序を特に重視するハーミーはどうしても浮いた存在だもの。

 朱に交われば赤くなるとはよく言ったもので、歳を重ねるごとに彼女もだんだん規則破りに寛容になっていくけど、今はまだそうじゃないもんね。

 

 これ自体は原作通りだから、さほど気にすることじゃない。ただこの世界だとわたしが彼女の幼馴染の枠にいて、そのわたしがハーミーの直接的な物言いや正論パンチを素直に受け取っていた(おまけにそれを彼女のいいところだって煽るまでしてた)ものだから、原作以上に自分の側にも問題があるってことに気づくのが遅れてるっぽい。

 

 おまけに、何かあってもわたしに相談することもできる。寮が違う上に不仲なグリフィンドールとスリザリンだからいつでも気楽に会えるわけではないけど、それでも方法や機会自体はある。だから原作よりは疎外感も薄いんだろうなぁ。

 

 何よりわたし自身、幼馴染がつらそうにしてるのはつらい。わたしはわたしが痛かったり苦しかったりするのは大歓迎だけど、他の人がそういう目に遭ってるのは好きじゃないタイプのMなのだ。

 特に一度身内判定しちゃった相手の場合それが顕著で、大望を理由にスリザリンに振り分けられたわたしだけど、大望を持ってなくてもこの身内への甘さからスリザリンに入れられてそうだなって思う。

 

 ともかくそういうわけだから、わたしも余裕があるときはハーミーにちょくちょく声をかけにいっている。これもあってか、ハーミーがグリフィンドールの生徒に対してだいぶ頑ななんだよねぇ……。

 

 だからなのか、彼女に対するグリフィンドール生からの当たりも原作より強い気がする。

 これはどうも、わたし(スリザリン生)と仲良くしてるからっぽいんだよな。マジでヴォルデモートとかいうハゲの罪さぁ……。

 

 ともかくそんな現状、わたししか愚痴をこぼせる相手がいないことには変わりなく、最近のハーミーは距離感がバグり始めてる。わたしとしてはご褒美なんだけど、この調子だと原作みたいな仲良しトリオが結成されるのかかなり不安だ。

 原作におけるハーミーのポジションは結構唯一無二で、彼女がいないと突破できなかった問題はかなり多いんだぞ。今はよくても将来的に問題になる可能性が結構高いんだ。困りものだよ。

 

 ……そして、運命の日はやってきた。

 

 10月31日、ハロウィンの日。この日は原作イベントが起こる日だ。具体的には、ハーミーがトロールに襲われハリーとロンがこれを助けたことで三人が友達になる、ってイベントだね。

 なんでそんなことになるのかって言うと、授業でいつものように正論パンチをロンに食らわせ、おまけにメンツをつぶすように得意げに魔法を成功させたことから真っ正面から悪口を食らってドチャクソ凹むから。そんな彼女が引きこもった場所がトイレなんだけど、そこになんでかトロールが入っていくんだよな……。

 

 さてここで問題です。この世界のハーミーに、今言ったようなことが果たして起こるでしょうか?

 

 答え。起こらない。

 

 ……そう、起こらなかったんだよなぁ! 原作からズレるのが早すぎるわい!!

 

 事件自体は起こった。きちんと原作通り、夜のハロウィンパーティ中にクィレル先生が走りこんできて「地下室にトロールが出た!」と報告する、ってところから始まる形だった()()()

 ただ事件の最中、ハーミーは原作通りの場所にいなくってさぁ……。

 

 じゃあどこにいたかっていうと、ずばり天文台でして。そこで厨房から持ち込んだ食事を食べながら夜景を楽しんでいたのね。

 

 なんでそんな詳しいかって? わたしもそこにいたからだよ!

 

 ……原作通りのレヴィオサーのイベントのあと、落ち込みはしても泣くほどじゃなかった彼女は原作と違って午後も普通に授業に出たらしい。

 でも堪えてはいたみたいで、この日の授業が全部終わるや否やわたしのところに突撃してきて、今日はロンと一緒の場所で食事なんてしたくない! わたしと一緒にいたい! って言ってきまして。美少女にそんなん言われたらホイホイついてくしかないやろ、常識的に考えて。

 

 で、ハーミーには場所を探してもらう間にわたしは厨房でご飯を作りました。入学直後から、厨房で働くハウスエルフたちには日本の食材をどうにかして調達するように依頼してて、この日ちょうど届いてたのもあってこの日の夕食はハロウィン一色のホグワーツで掟破りの純和食となりました。

 

「リンの日本食、久しぶりだわ。やっぱり日本の食事っておいしい!」

「喜んでもらえたなら嬉しいなぁ」

 

 天文台の一番上で、スコットランドの美しい夜空を見ながら食べる味噌汁は最高だった。約二か月ぶりの白米がうめぇのなんのってな……。だし巻き卵も、こう、日本人の魂だよなって……。

 

 ちなみにハーミー、プライマリースクール時代にちょくちょくわたしのお弁当(マッマ特製の100%日本仕様)を分けてたからか舌が肥えてる。うちに遊びに来たときも日本食をごちそうしてたし、久しぶりってのはそういうことだったりする。

 しかもお箸も使えるんだぜ。わたしが教えた。最初にぎこちないながらも箸を使えるようになったとドヤ顔で見せつけてきた彼女は、最高にかわいかったなぁ。

 

 ……原作開始前から原作壊しまくってたんじゃねーかって? そ、それを言っちゃあおしまいだろ!?

 

「今日という今日は本当に愛想がつきたわ! 何よ『そんなだから友達がいない』って! おあいにく様! 私にはリンがいるもの!」

「あー、まあ、男の子って基本デリカシーないもんねぇ」

 

 そして食後は怒涛の愚痴大会である。今日ずっとため込んでた鬱憤を、思いっきり放出される未来の魔法大臣閣下の姿があった。

 こういうときって単に感情を吐き出すのに付き合ってもらいたいだけで、別に解決策を求められてるわけじゃないからわたしは相槌を打つのに終始する。わたしは犯罪とかでもしない限りは基本ハーミー全肯定botなので、うんうん頷きながらハーミーは悪くないよってささやき続けた。

 

 ……こういうのが原作乖離の原因なんだろうな。実を言うとこういうの、プライマリースクール時代もわりとあったんだけど……そのたびにわたしはハーミーにそのままでいいとか、そういうまっすぐなハーミーが好きだよって言い続けてきたし。

 

 今になって思うと、これって体のいい洗脳では? ちょっとゾッとした。

 でもひとしきり愚痴を吐き終わって、今度はテンション下げてわたしに身体を凭れかけてきたハーミーを見ると、わたしは「まあええか!」ってなっちゃうんだ。

 

「はあ……。実を言うとね、ちょっと期待してたの。ホグワーツでなら、もっとたくさん友達ができるかもしれないって。リンくらいじゃなくっても、仲良くできる子ができるかも……って。でも、やっぱりダメみたい。私、ここでもガリ勉で口うるさい厄介者なんだわ……」

「……なんでなんだろうね。ハーミーはこんなにかわいくって、頭もよくって、悪いところあったらきちんと指摘してくれる優しい子なのにね」

 

 そしてわかっていても、わたしは弱っているハーミーに毒を注ぐことをやめられそうにない。本当に彼女のことを想うなら、よくないところはちゃんと言うのが正しいんだろうけど。

 

「もう私、リンだけいればそれでいいわ……他はもうなんにもいらないから……」

 

 そう言ってわたしを抱きしめて、頬を寄せてくるハーミーに心が満たされていく。いつも罵られたり叩かれたりするときとは、方向の違う昂りが身体の奥から湧いてくるのがわかる。

 

 正直、自分で自分に驚いてる。わたし、こういう面もあったのかって。それとも、これも「あらゆるものごとの才能」の範囲?

 あるいは、やっぱりハーミーが特別なんだろうか。前者だとさすがにわたしの度し難さが限界超越するから、後者だと信じたい。

 

 うん、信じよう。元々深いこと考えるのは得意じゃなかった。今はできるけど、やりたいかどうかは別の話だから。

 

 わたしにとって、ハーミーは特別。この子を独占したいし、この子にどろどろに煮詰まった愛を思い切りぶつけられたい。それでいいよね!

 

 それはそれとして、他にもご主人様を作って刺されるのもアリだなって思いついちゃったしな。NTRになるかもとか、そんなことは今のわたしにはどうでもいいぜ!

 

 っていうかそうだよ、逆ハーレムを作ればいいんだよ! なんで一人にこだわってたんだわたしは!

 たくさんのご主人様に囲まれたペットライフ! 場合によっては刺されるかもしれない環境! 最高じゃないか!

 

 間違いない、それで行こう!(シャキーン

 

 台無しな発想って自覚はある。すまんなハーミー、こんなやつを唯一の友達になんかさせちまって。

 でも、もう自重するつもりはこれっぽっちもなかった。今世はもう、自重なんてしない。最初のうちは一応あったけど、こんなすがるような顔でくっつかれたりなんかしたら、自重なんてできるわけないよねぇ!

 

 細かいことは知らん! 将来のことはそのときのわたしに任せる!

 

「うん……わたしはいつだって、ハーミーの味方だよ」

 

 ってことで、わたしはいまだに完成はしていないオリジナル魔法を発動した。名前もない魔法を、今まさに抱き合っているハーミーにぶつける。

 

 わたしが魔法界に触れてから三年間、ずっと開発を続けていたこの魔法の効果は、使用者に対する欲情を対象に植え付けるというもの。つまり一種の催淫魔法で、もうすっかりわたししか見れない状態になってるハーミーだけど、ダメ押しだ。

 

 とはいえ、未完成なだけあって効果はそんなにない。対象者の性知識次第ではほとんど意味をなさないことだってあるし、長続きもしない。にもかかわらず魔力はかなり使うし、相手に接触してる必要もあって、使い勝手は正直微妙だ。

 

 だけどこの魔法、目で見てわかる現象は何も起きない。杖は必要ないし、魔法らしい光は一切出ないし、なんなら魔力の発露すらほとんど起きない。それは隠密性を最重視して開発したからで、この魔法に気づける人間はほとんどいないだろうって自信がある。

 

 何より最大の特徴は、欲情を植え付ける相手が使用者に対する好感度を一定以上持ってないと効果を発揮しないってところだ。

 ちょびっとじゃダメで、一定以上必要ってところがミソだ。アモルテンシアのように持ち合わせていない感情を無理やり作るものじゃないから、効果が切れたあともかけられた側は違和感をほとんど抱かないんだよね。

 

 そして一度でもそういう感情を、自然とわたしに覚えたことがあるって自覚を持ってしまったら、人間はわたしを意識せざるを得なくなる。こっちは単に人間の心理の話で魔法は一切関係ないから、たいていの人間には振り払うのが難しいって寸法だ。

 

 我ながら、だいぶやべー魔法を作ったなとは思ってる。この魔法の最終目的地点は獣欲をわたしに思いっきりぶつけてもらうことだから、個人的にはまだ足りないんだけどさ。

 

 あ、この魔法が作用する「好感度」はちゃんと性愛じゃないといけなかったりする。

 だけどその辺りの感覚が未発達で、愛の区別が曖昧な年齢の子供に対しては、友愛であったとしても効果を発揮するって特徴もある。性愛への認識が生まれ始めていて、愛の区別がまだきちんとできていない二次性徴期直前から突入してすぐくらいの子供にはガン刺さりするんだよね、これ。

 

 それと、眠ってる相手にこれを使うと高確率でわたしを夢に見る。夢の中で何をしてるかはその人次第だからだいぶ差が出るけど、わたしと()()()ことをしているのは共通してる。

 

 なんでそんなことわかるかって? そりゃお前、プライマリースクールでマグル相手に実験かましまくったからだよ。うちの学校11歳で卒業だったし、卒業後のわたしはホグワーツ一択だったから、もうこいつらに会う機会はほぼないしあと腐れないやろ! って思って卒業直前に。なかなかの数の駆け込み告白をいただきましたわ。

 

 大丈夫、ヤってはいないし教師陣に逮捕者も出てない。全部振ってきた。実験もごくごく弱い効果しかかけてないから、時間がわたしを初恋の同級生として彼ら彼女らの思い出の一部に変えてくれるはずだ。

 

「……ありがとう、リン……」

 

 ハーミーの目がとろんと緩む。間近でわたしを見つめる瞳の奥に、ハートマークが見えた気がした。成功だ。

 

 そうして彼女の顔がどんどんわたしの顔に近づいてきて、それで、

 

「……ん……」

 

 唇が重ねられた。何度も、何度も。だんだん勢いが増していって、わたしは仰向けに押し倒される形になる。

 両手が絡められる。まるで押さえ込まれてるみたい。でも抵抗なんてしない。どんどん強引になっていくハーミーにわたしの背中はゾクゾクと粟立って、下腹部がうずき始める。

 

 けれど、その先に進む気配はなかった。たぶん、今のハーミーにはこれ以上の性知識がないんだろうな。もったいない……とは思うけど、欲張りすぎるのもよくないか。

 

 そうこうしているうちに、魔法も切れたらしい。ハーミーがゆっくりと顔を離して身体も起こした。その目の色は、普段通りの知性溢れる色に戻っていた。三分、ってところかな。

 

「……ご、ごめんなさい! わ、私……!」

 

 そして彼女はわたわたと離れようとするけど、もうわたしは彼女を離す気はなかった。仰向けのまま彼女の背中に手を回して、そっと抱き寄せる。

 

「り、リン?」

「大丈夫だよ。わたし……ハーミーになら、何されても嬉しいから」

 

 そう言って、にこりと微笑む。うっすらと喜びをにじませながら。

 今世では演技の才能にだって恵まれてるから、これくらいは簡単なのさ。そもそもほとんど本気だし。

 

 これを見て、ハーミーの身体から強張りが抜けた。そのままわたしの背中に手を伸ばそうとするものの、今は仰向けなのでなかなかできない。

 

 ということで、わたしはそっと横向きに体勢を変えてハーミーがやりやすいように促す。一瞬目を丸くした彼女だったけど、すぐに察してくれて、改めて私の背中に両手を回して抱きしめてきた。

 

「ふふ、ハーミーあったかい」

「ん……リンも、あったかいわ」

 

 そうしてわたしたちは、今度は魔法の影響下にない素の状態で、キスをした。

 

 これが、この世界におけるわたしとハーミーのハロウィン事件の顛末だ。

 




ということで一人目はハーマイオニーです。
一人目っていうか、正妻ポジション。
ろくに友達がいないところにすべてを受け止め続けるやつが隣にいたら、一桁の子供はまあ依存するだろうっていうところから発想を飛ばした結果ですが、なんのかんの言いつつ6年一緒にいた友達を特別視することから逃れられないスリザリン気質なオリ主ちゃんでした。
まああらゆる才能の中にドSの才能もきちんと(?)含まれてるわけですけども。

ちなみに、一人目と言いつつ現在書き溜めできてる範囲ではハーレム要員となることが確定したキャラはまだ他に誰もいない模様。
たぶんだけど、各章ごとに一人ずつ増えるとかそんな感じになるんじゃないかな・・・。
ええ、今作はプロットほぼない状態で書いてます・・・。
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