才能に恵まれすぎたドMが魔法界で百合逆ハーレムを目指す話 作:ひさなぽぴー
わたしたちはその後、やってきたマクゴナガル先生に怒られて寮に戻された。でもトロールがやってきたことをそもそも知らなかったし知る手段もなかったから、わりと控えめな怒り方だったと思う。減点もされなかったしね。
トロールについてだけど、ハリーたちが撃退したらしい。ハリーがハーミーが行方不明ってことに気づいて探したほうがいいって声は上げて、ロンもさすがにこれには同意して寮には戻らず探しに出たみたいだから、始まり方は原作通りだ。
でも地下に現れたトロールに対してわたしたちはホグワーツで一番上の階にいたわけで、その先は原作通りになるわけないっていうね。
それと撃退方法は原作と違ってトイレに閉じ込めただけっていうから、正確には撃退じゃない。トイレに入っていくトロールを見つけたものだから、入るまでやり過ごして入ったあとに施錠呪文で閉じ込めたんだってさ。ここで放置を選ばないあたり、二人ともグリフィンドールだよなぁ。
そのあとは普通にマクゴナガル先生に見つかって怒られつつも、事情を説明してトロールをダンブルドア先生が退治。二人は寮に帰され、マクゴナガル先生がわたしたちを探し始めたって流れで事件は終わったらしい。
で、問題はここから。原作のように絶体絶命のピンチで救われたわけじゃないから、いまだにハーミーはロンとの間に溝があるらしい。ハリーとは名前で呼び合うようになったのに、ロンとはいまだに名字で呼び合ってるんだってさ。謝罪はされたし、助けにこようとしてくれたことには感謝もしたらしいんだけどね。
ただ、グリフィンドール生たちは行方不明のハーミーをちゃんとみんな心配してて、寮に戻ったときは歓声まで上がったらしいから、ハーミーも少しは態度を軟化させた。やっぱりなんだかんだで友達はほしかったんだと思う。
特にルームメイトとは、普通に会話できるようにはなったみたいだから大きな進展だ。わたしは二人で過ごす時間が減って寂しい想いをした……ような態度を取って気を惹いたけどね。
「……でも、たまに言い方がキツいからやめたほうがいいって言われるの。そんなにキツいかしら私……」
「わたしはそうは思わないけど……集団の中でやっていくためには、周りの意見も少しは取り入れたほうがいいのかも? でも、わたし相手にはいつものハーミーでいいからね」
他にも、わたしにだけは素で接してくれていいんだからね、とけん制しておくことは忘れないわたしである。アイアムスリザリン。
ということでお互い時間が合わないことも増えたけど、それでも二人だけでの秘密の逢瀬は重ねている。誰もいない部屋で身を寄せ合って、近況報告だったり勉強だったりをして。たまにキスをして、っていう、わたしとしては驚くことにかなりプラトニックな関係だ。
なんていうか、たまにはこういうのもいいかなって。ビシバシやられるのが好きなわたしだけど、まっとうに気持ちを重ねていくのもこれはこれで乙っていうか。王道……っていうんですか、こういうの。
そしてわたしは、例の魔法をもう使ってない。あれはまだ未完成だ。現状では主にきっかけくらいにしか使えないし、魔法って同じものを食らい続けてると耐性ができる(原作だとクラウチジュニアが服従の呪文を慣れで突破してた)っぽいから、当面は決め打ちできるときしか使わないつもりでいる。
それに、じりじりしつつもゆっくり足並み揃えて進むのを、案外楽しんでるわたしもいる。次に使うとするなら、本格的に
だから思いっきりいじめてもらうのは他の人に任せて、ハーミーとはこういうまっとうな関係を築くってことでいいのかもしれない。せっかくハーレム作ろうって決意したんだし、相手ごとに違う関係性を楽しむってことで?
それとハーミーと会ってないときは、今まで通り過ごしてる。変わったところで言うと、料理かな。
厨房のハウスエルフたちから、日常的に日本食を用意するのはちょっと難しいって言われて凹んだりもしたけど、個人がちょっとした趣味の料理くらいに作る分には十分あるから、たまに厨房で腕を振るってるんだ。ハーミーからも好評である。
それ以外は本当に変わらない。必要の部屋で諸々の準備を進めつつ、純血の皆様に傅く日々だ。
とはいえ、三か月近く経ってもまったくしきたりやマナーを覚えられてないっていうのはいくらなんでも怪しまれる。
なにせわたし、授業では座学、実技共に優等生で通ってるからね。今までまったく縁がないものに初めて触れたってことを差し引いても、この辺りが引き際だろうってんで最近は完璧なメイドさんになりつつある。
こんなことならおバカキャラで行けばよかったってちょっと後悔もしたけど、終わったことはしょうがない。それだととたぶんハーミーとフラグ立たなかっただろうしね。この先いかに気持ちよくお仕置きしてもらえるかを考えていこう。
これに不満そうなのがパンジーだ。最近は朝令暮改な理不尽命令を連発しては、こなしきれないわたしをお仕置きするという流れができつつある。
正直大変興奮します。完璧だよパンジー。その調子でこれからもわたしをいじめてほしい。
逆にダフネのほうは、わたしを腐す機会が減ったからかそんなに進展はない。前ほど冷たい視線をもらえなくなっちゃったから、ご主人様レース的には後退した感じすらある。実際はパンジーが独走状態ってだけなんだけどね。
まあダフネの場合、よく体調を崩すからわたしに対して何かするような機会がパンジーより少ないってのもある。
崩すって言っても風邪とかその程度だけど、グリーングラス家が負ってる宿業を考えると、これも前兆の一つなんだろう。血の呪いとか考えたやつ、マジで死ねばいいと思うよ。いやもう死んでるだろうけどさ。
半純血やマグル生まれの多くは、この血の呪いが伝染しないものだって理解していないから距離を取るし、理解している純血貴族たちは裕福な子息令嬢だからこそ看病の仕方がわからない。結果、寝込んでいるときのダフネに積極的にかかわれる人間はわたししかいない。
これ自体に否はない。被虐趣味のわたしは、基本的に誰かに尽くすのが好きだし。
だけど、ダフネを本当に心配するパンジーにそうしろと命令されれば、一層身が入るってもんだ。だからダフネが体調を崩すたび、わたしはつきっきりになる。
パンジー、なんだかんだで悪い子じゃないんだよな。身内判定した人間に対してとことん甘くなるスリザリン気質で、その範囲が狭いってだけだ。
わたしも身内判定されたら、こういう扱いをしてもらえるんだろうか。できれば遠慮したいな……。
いやでも、身内に甘いっていうならそういうプレイであって望んでのことだってきちんと説明したら、やってくれないかな? どうかなぁ?
ダフネもまさか、何かあるたびに献身的に看病しているわたしが、そんなことを考えているとは夢にも思うまい。
とはいえ、わたしだって彼女を案じていないわけじゃないんだ。だってベッドの中でこの世の理不尽を嘆く美少女の姿は、とても切ないものがある。
一度45年生きたことがある身としては、ティーンにすらなってない子供がこうも世を儚んでいる姿を見るのはつらい。せっかくのご主人様候補なんだし、なんとかできないだろうか……。
「応援に行くわよ! ついてきなさい!」
「はい、お供いたしますパーキンソン様」
そんなある日のこと。ホグワーツではいよいよ、クィディッチシーズンが始まった。
初戦はグリフィンドールVSスリザリンということで、わたしは寒い中パンジーに連れ出されて競技場までやってきた。今日はダフネも体調がよく、なんだかんだいいながらも一緒だ。
わたしの役目は、純血の皆様方の周りで暖を用意することだ。イギリスでも北のほうにあるホグワーツの十一月は、既に結構寒いからね。
パンジーからは、ダフネのためにもなんとかしなさいの一言で無茶ぶりされたんだけど、当てはあった。原作でハーミーがやっていた、空き瓶に魔法の炎を込めてカイロにするっていうやつを配って回ることにしたんだ。炎の色はスリザリンカラーの緑で、結構評判がよくて何より。
別にお仕置きしてもらう口実にしてもよかったんだけど、ダフネのためと言われちゃわたしだって全力を出すさ。
それに、魔法族の大半がクィディッチに狂ってることを考えると、その邪魔になりかねないことをするのはさすがにまずい。
いや物理的にお仕置きされるのはいいんだけど、社会的に抹殺されるようなことになるのはいくらなんでもちょっとね。マジでクィディッチ狂いの魔法族は、それくらいしてきてもおかしくない迫力がある。何が彼らをそうさせるかはわかんないんだけど、魔法界には後ろ盾が何もない穢れた血だからここは念のため避けた感じだ。
ま、それはともかく。この試合、どうなることやら。
このクィディッチ試合も、原作イベントだ。ハリーの記念すべきクィディッチデビューのシーンであり、同時に彼らがタイトルにもなっている賢者の石に一歩近づく最初のきっかけになるシーンでもある。
原作通りに進むなら、ハリーの箒に妨害の魔法がかけられてハーミーがそれをやめさせるって流れになる。まあそのための魔法を当てる相手は間違ってるんだけど、これについては一貫して怪しい言動ばっかするスネイプ先生が悪い。
ただ……なぁ。この世界のハーミーは、ロンから距離を置いたところでハリーを応援してるから、原作のようにはならなさそうなんだよなぁ。
そうだよまただよ。わたしのせいだよ。どうしよう?
と、そんなことを考えながら、試合を見守る。展開はスリザリン有利だ。彼らはラフプレイに躊躇がないからブーイングを頻繁に受けているけど、知ったことかとばかりに暴れまわっている。
でもクィディッチは試合を終了させる金のスニッチゲットで、一気に150点も加算されるゲームだ。現状そこまでの点数差がない以上、スリザリン側も気を抜いてはいられない状況だけど……おっと。
「なんだ? ポッターのやつ、満足に箒にも乗れないのか!」
「ニンバス2000が泣いてるぞ!」
「降りろ降りろ!」
ドラコがヤジを飛ばして、何人かが追従してる。どうやら、ハリーへの妨害が始まったみたいだ。
視線を教員席のほうに向ければ……ハリーに向けて呪文を唱えているクィレル先生の姿があった。
一方で、勘違いされる先であるスネイプ先生のほうも対抗呪文を唱えているのが見える。この辺りは原作通りか。まあ彼らには特に干渉してないし、当然と言えば当然なんだろうけど。
じゃあ肝心のハーミーは? というと……普通に気づいてない。ハリーの応援に集中してる感じだ。
あ、わたしの視線に気づいてにっこり笑って手を振ってきた。かわいい。わたしも微笑んで手を振り返しとこう。えへへ。
……いや笑てる場合か!
でも待てよ、これはチャンスでは?
わたしは閃きに従って、ハーミーに合図を送った。原作通りに進んでくれたほうが気楽なので、我が寮監殿には申し訳ないけどスネイプ先生を示しておく。
あの位置関係なら、原作通りクィレル先生にぶちかましてくれるはずだ。思い込んだら一直線なところは原作と変わらないからね。
果たして、ハーミーはわたしの思った通りに動いてくれた。クィレル先生を轢きつつ、スネイプ先生に火をつけるという流れを完璧に再現してくれたのだ。ハリーも妨害から解放されて、飛行の腕前をいかんなく発揮し始める。
やったぜ。わたしとしても、ちゃんと原作通りにいくときもあるんだと知れて満足だ。
まあ勘違いされたスネイプ先生には申し訳ないけど、一貫して怪しい言動ばっかするスネイプ先生が悪い(二度目
***
試合は無事、グリフィンドールの勝利で終わった。逆転で負けたスリザリンの面々はお冠で、わたしは寮に戻った後にパンジーの憂さ晴らしに付き合うことになった。おかげ様でわたしの一人勝ちである。
いやあ、今日のパンジーは同じ場所を執拗に攻めてくれて本当に最高だった。生まれ変わってからは初めて、人前で下着が大変なことになった。
スコージファイだけは無言無杖で使えるようになっておいて本当によかった。おかげでバレてない。スコージファイをとにかく最優先で覚える判断をした三年前のわたし、冴えてるぜ。
というわけでほくほく顔でベッドに入ったわたしだったけど、翌朝ハーミーに呼び出されて自分の詰めの甘さに気づくことになる。
「どうも4階の廊下の先には、ニコラス・フラメルって人に関係した何かが隠されてるらしいんだ。それをスネイプが狙ってるみたいで」
「君はスリザリンの生徒なのに、スリザリン寮監のスネイプを告発できる勇気がある。できれば手伝ってほしいんだ!」
ハリーとロンが、わたしに助力を請うている。どうやら、スネイプ先生がハリーを狙っていたという情報の提供元がわたしであることを、ハーミーは暴露してくれたらしい。特にとめたりしなかったし、する暇もなかったんだから当然と言えば当然だった。
クソッ、なんで無理をしてでもハーミーに口止めしておかなかった昨日のわたし!
箒の暴走がハリーたちのヘイトを普段から爆買いしてるスネイプ先生の仕業だと知ったら、彼らが自衛半分反撃半分で首を突っ込むなんて手放したリンゴが地面に落ちるくらい当たり前の話だ。
正義感の強いハーミーが、まだ収まってないロンとの確執をいったん飲み込んで解決に乗り出そうとするのも、絶対じゃないにせよ可能性は十分にあった。
なんでそこに思い至らなかったんだろう! 何も言わないでいたら、そこからハーミー伝いに自分も巻き込まれるに決まってるじゃないか!
……いやまだだ、まだ終わってない! ここから入れる保険もあるはずだ!
たとえば……そう。この段階では、まだ彼らはニコラス・フラメルに関する情報を集めようとしているだけで、大きな動きは何もない。最終的な突撃のときについていきさえしなければ、それで原作の流れは守られるはず……!
「ごめんなさい! リンのことは巻き込みたくなかったんだけど、本当にスネイプ先生が悪い人ならスリザリンにいるリンも危ないかもしれないって思って、私……」
ダメそうだ! ハーミーはマジでただの善意でわたしを巻き込んでくれてるから、同じく善意で普通にラストシーンに連れていかれそう!
「気にしないで。わたしも先生のことは信じたいけど、どういうことなのか気にはなってたし……本当に先生が悪い人なら、スリザリンの人たちだって危ないかもだし。なんとかしなきゃだよね」
……まあ、それでもいいか。ここまで原作の流れをできるだけ守ろうとはしてたけど、ほとんど守れてないし。
それに、うまくやれば悪魔の罠にいい感じに締め付けてもらったり、チェスにぶん殴られたりとかの役得もあるだろうし。
うむ。原作の流れなんてぶち壊す勇気!
ドラグナーも主題歌で、決められた道をただ歩くより選んだ自由に傷つくほうがいいって言ってるしな! 倒れるまで走るくらい熱く生きてみたいよわたしも!
「ニコラス・フラメルって言えば、錬金術の大家だよね。賢者の石の完全な作成に成功した唯一の人物で、ダンブルドア先生とも共同で論文をいくつか出してたはずだよ」
ということで、わたしは早速答えをたたきつけることにした。
ハリー・ポッターと賢者の石with転生者、あじまるあじまる。
我ながらこんなアホな歌詞引用があるかとは思ってるんだけど、思いついちゃったからさ・・・。