才能に恵まれすぎたドMが魔法界で百合逆ハーレムを目指す話   作:ひさなぽぴー

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14.必要の部屋再び

 マグル学が終わった。

 結論から言おう。あれは魔法族から見た、マグルという生き物を観察する授業だ。マグルが魔法を使わずにどう生きているか、を理解するための。

 

 なんていうか、生物学に近いように感じる。今あるマグルの文化や歴史、考え方、科学といったものに寄り添うところはほとんどないって言ってもいいだろう。

 魔法族らしい、って言えばらしいんだろうけど……道理でマホウトコロのマグル学とは教科書の内容が全然違うはずだよ。

 

 マホウトコロのマグル学は、マグル界と関わっていく際に必要な知識を身に着け具体的に実践する実学だ。

 ホグワーツのニュートレベル相当まで進級すると、大学入試クラスの基本5科目を扱うというクソムズ教科でもある。

 

 どんだけむずいかって言うと、最終学年の期末試験は実際にマグルに混ざってセンター試験を現地で受けることって設定されてるくらいむずい。

 基本5科目すべてが一定以上の点数じゃないと単位は取れないから、マジで国立大学とか有名私大に合格するくらいの能力が求められるらしいよ。筆記と実技を同時にできる実に合理的な試験ではあるんだろうけど、いくらなんでも難易度が高すぎる。

 

 ところでこれは完全に余談なんですけど、マホウトコロのマグル学ではいわゆるえっちな風俗に関する情報も出てきたりします。主に下手に近づかないようにって警告の意味で。

 ドスケベ目的だと思った人は、ちゃんとわたしと一緒に反省しようね。

 

 まあ現代の吉原には、今もマグルから隠れて魔法族が性風俗を経営する裏吉原とでも言うべきえっち界隈があるんですけどね。日本人ェ……。

 

「正直に言いますと、期待外れですわ」

「日本のマグル学の教科書を先に見ちゃってたもんねぇ……」

「学問としてはわりと面白いと思うわよ? そういう見方があるんだって思ったもの」

「わたしもそれは思うんだけど、大体の魔法族にとってマグルは見えてはいても興味はないんだなってのが透けて見えたから、あんまり気分はよくないかなぁ」

 

 ハーミーの言う通り、マグル出身としては魔法族がマグルをどう見てるのかがわかるから、ホグワーツのマグル学も興味深くはある。

 

 ただ、授業を受けてる生徒の大半に熱意が感じられなかったんだよなぁ。なんていうか、持ってれば将来就職で選択肢が増えるからとりあえず持っとくかみたいな、そんな感じなんだよね。

 気持ちはわかるし、わたしも人生一回目だったら似たようなことしてたとは思う。というか、前世のわたしが大学で取った教員免許なんてまさにそんな心境だったし。

 

 でも人生二回目を始めて、大人の視点で学校を見てるとどうしても……ね。

 大体の場合、知識ってのは有用なものだけど、こういうときはちょっともんやりする。水戸黄門見てたら、麺のそばが出てきたときにもんやりするのと似たような感じかもしれない。

 

「リンが先生の疑問にどんどん答えを出していくのは、痛快で面白かったですけれどね」

「いやぁガマンできなくてつい……」

 

 そんな態度の人間が、よりにもよって教授職にいたものだからつい思いっきりツッコミまくっちゃったよね。うっかり公開処刑みたいになっちゃったのは、反省しないとだ。

 

「それについてはノーコメントだけど……あの先生、次のマグル学大丈夫かしら。最後は半泣きで教室から飛び出して行ったじゃない? 心が折れてなきゃいいけど」

「その場合はクィレル先生がなんとかしてくれるんじゃないかな。ていうかしてほしい。クィレル先生、元はマグル学の先生だったんだしきっとしてくれるはず」

「そういえばそうだったっけ。どんな授業をするのかしら。それはそれで楽しみだけど」

「……いっそのこと、リンがマグル学の教授になればいいのでは?」

「もしわたしがマグル学の教授になったら、まずは色んな銃火器を実演するところから始めるけど大丈夫かな?」

 

 マグルを軽視してる魔法族に、マグル学が必要だって思ってもらうためにはそれくらいのカンフル剤がいると思うんだよね。

 さすがに核はダメだろうし、そもそも信じてもらえなさそうだけど、ロケットランチャー辺りどうだろう?

 

 ダメ? そう……。

 

「さすがにホグワーツにそういうの持ち込むのはダメでしょ……というか、どこから調達してくるつもりなの……?」

 

 それはそう。

 

 ともあれそんな感じで本日二つ目の授業を終えたわたしたちは、ニコ殿下と普通に談笑してるアストリアがスリザリン一年生男子の尊敬と畏怖を集めてる様を尻目に隠し部屋に入り、時間を2時間巻き戻してから必要の部屋に向かっていた。

 

「……こんなところに本当に隠し部屋があるの?」

 

 辿り着いた廊下には、バカのバーナバスの絵画くらいしかめぼしいものはない。ここに来るまでの間にある程度説明はしたけど、何もなさ過ぎてハーミーは半信半疑みたいだ。

 

「ここでね、必要とするものを思い浮かべながら三回往復するんだよ。そうすれば……ほら、壁に扉が出現するってわけ」

 

 出現した扉を開き、二人を促しながら部屋の中に入る。現れたのは、どこからどう見てもマグルの家だ。

 二人にとっては、既視感のある風景でもあるだろう。何せここは、大阪にある善宝寺家を再現したものだからね。

 

 内装だって正確に再現されてる。玄関からわたしの部屋、それにリビングとそこと繋がってるダイニングキッチン、お風呂、さらには客間と、必要の部屋先生の仕事は完璧だ。

 

「す、すごいわ! 日本のリンの家が完璧に再現されてるなんて!」

「本当ですわね。まさか人の想像に応じた部屋を作るなんて……もしかして古代魔法かしら?」

「たぶんそう。かなり複雑な魔法だから、魔眼で視てもなかなか解析しきれないんだよね」

 

 まさに魔法と言わんばかりの必要の部屋に、興味津々の二人。わかるよ、わたしも今に至るまでずっと興味津々だからね。

 

 本当、この部屋をなんとかして再現したいんだけど、マジで複雑な魔法だから成果はまだ上がってない。出入り口を出したり消したりする機能だけなら、なんとか解析できたんだけどね。

 

 と、それはともかく。

 

 わたしは二人をダイニングキッチンに案内すると同時に、ばっちり再現されてたエプロンを取ってキッチンに入った。

 

「それじゃ二人とも、わたしご飯作るから待っててね」

「わ、リンが作ってくれるの? なんだか久しぶりね」

「ああ、それで昨夜厨房で食材をもらっていたのですね」

 

 ダフネが言う通り、昨夜秘密の部屋からの帰りに厨房に寄ったのはこのためだ。

 わたしが日本の食材を求めて厨房に顔を出すのは、入学当初からよくあること。ハウスエルフたちも心得たもので、準備は万端。食材も調味料もバッチリってわけ。

 

 今回のメインはオムライスにしよう。卵は新鮮なうちに使うのが一番だもんね。付け合わせは……コンソメスープのもとを使ったスープでいいかなぁ。

 

「……えっと、そんなに見られてるとなんか気恥ずかしいんだけど」

「いいではありませんか、減るものでもないでしょう?」

 

 なんでかダフネが、すごく楽しそうに料理風景を眺めてたのはちょっと不思議な気分。悪い気分じゃないけどね。

 

 まあ、日本から持ち込んだコンソメスープのもとにはめちゃくちゃ驚いてくれたけど。マグルも捨てたもんじゃないでしょう?

 味〇素さんは神。はっきりわかんだね。

 

***

 

 料理もできて、三人での楽しいお昼ごはん。

 話題は色々あるけど、まずは必要の部屋についての情報共有だ。この部屋を見つけた経緯を捏造しつつ説明して、実は去年色々と使ってた話をしたらハーミーが何かに気づいた顔をした。

 

「こんなに色々揃う上に、普段より長く時間を使えるなんて……リン、さては去年ここを勉強で使ってたでしょ」

 

 さらに、必要の部屋を使うと時間の流れさえも捻じ曲げられるって聞いたら、彼女は驚きながらも確信を込めてわたしに推理を突きつけてきた。

 もちろんわたしは素直に肯定する。

 

「うん、そう。去年はハーミーに勝ちたくって、黙ってたの。ごめんね」

「ううん、気にしてないわ。だってそれだけたくさん勉強したってことでしょう? リンが努力したことを否定なんて絶対しないわ」

 

 それでこれだもんね。できた子だよ、本当に。

 

 まあ本当は、初年度からガンガン使ってたわけですけどもね。それについては言わぬが花ってやつだ。

 

「それに、今年は対等な条件だわ。正々堂々勝負よ!」

 

 そして実にグリフィンドールらしい宣言ももらっちゃった。隣でやってらんねー、みたいな顔を一瞬浮かべたダフネ共々印象的だったよね。

 

 わたしもどっちかって言うとダフネ寄りの信条なんだけど、ハーミーが相手となれば話は別だ。面倒って気持ちは確かにあっても、ハーミーにやろうって言われれば断る選択肢なんて存在しないのだ。ついでにヤろうって言われたい。

 

「……あの、時間を引き延ばせる上にわたくしたちはタイムターナーを持っているでしょう? これって相性が良すぎませんこと?」

 

 一方、ダフネの指摘にハーミーはこれまでとは別方向にハッとした顔を浮かべた。

 

 ダフネ……気づいてしまったようだね。必要の部屋とタイムターナーのシナジーの高さに。

 そう、それこそが今回の本題であり、肝だ。

 

「タイムターナーは最大5時間まで。わたしたちで合わせて2つあるけど、どっちにしても重ねて使うのは危ないでしょ。でもこの部屋を使えば、それを7時間半まで引き延ばせる。これだけあれば、タイムターナーを使い続ける問題も解決できるんだよね」

 

 選択科目を全部を取ってるわたしたちのスケジュールは過酷だ。ひどい日だと、一日に10コマもの授業を受ける日がある。

 これは時間にすれば15時間であり、授業ごとの移動時間や、各々出される宿題のことも加味すると、この日の起きてなきゃいけない時間は20時間を余裕で越える。あまりにもブラックすぎる。確実に労基法に引っかかるし、とても10代前半の子供が耐えられるものじゃない。

 

 特に身体の弱いダフネにとって、この時間割は絶対に大きな負担になるはず。睡眠不足や精神の乱れが、どれほど健康を害すかは日本人が証明してるもんね。

 だけど7時間ほど眠れることができれば、それはちゃんと睡眠になる。この世代の子供にとっては足りないだろうけど、それでも一晩の睡眠と言える量だ。みんなの健康のためにも、この措置は必要だと思うの。

 

「時差ボケになったりしない?」

「なるだろうから、そこは時間を調整するためだけの時間を作る必要があるだろうね。ただ時間を過ごすだけなのはもったいないから、そこは色々やれる自由時間ってことで」

「……マクゴナガル先生は、勉強以外には使ってはいけないって」

「あら、使っているではありませんか。勉強すれば疲弊するのですから、それを軽減するための措置は勉強のためでしょう?」

「んもう、スリザリンってそういう言葉の言い換え上手よね」

「じゃあやめる?」

「……やめない」

 

 でしょうね。それだけ、今年度の時間割はエグい。

 

 と、ここでダフネが一発でかいのをぶちかましてきた。

 

「そうすると、わたくしたちは三人で共同生活を送ることになるのですね? ふふ、なんだか結婚生活の予行演習みたいですわね」

「ぶっ!?」

「あらハーマイオニー、もしかして考えたことありませんの?」

「あるけど……あるけど!」

 

 くすくすとからかうように笑うダフネに対して、ハーミーは顔を赤くしてもー! って言う。かわいいね。すき。

 

「愛し合う女たち……誰にも邪魔されない密室……何も起きないはずがなく……」

「リンは何か起こす側でしょ……」

「白々しいこと言いますわね……」

 

 二人からアホを見るような視線を向けられた。気持ちいい。

 

「……あれ、二人ともシないの?」

「し、しないわけじゃないけど」

「あなた、今日は隠しませんわね」

「隠しても仕方ないし……性癖も昨日しっかりバレたし、じゃあもういいかなって……」

 

 今日からわたしはアケスケちゃんだ。元々ほぼ隠してなかったけど、もう隠す理由ないもんね。

 

「……だから、ね? いっぱいいぢめてくれると、嬉しいなって……」

 

 しょうがないにゃあ。

 そんなセリフが聞こえるような顔が二つあったという。

 

***

 

 ちなみに、なんだけど。

 

 わたしの意思をくみ取って構築されたこの必要の部屋は、まさに必要の部屋である。

 そんな必要な部屋先生は、わたしが意識してなかった……つまり無意識すらも反映することがある。

 

 これがどういうことかって言うと、

 

「このぶるぶる震えるピンク色の玉はどういうものですの?」

「感じるところに押し当てるんだよ。人が触るのとは一味違った気持ちよさが味わえるんだぁ」

 

 うん、アダルトグッズが完備されてたんだよね。

 二年前初めて必要の部屋に来たとき、前世由来の色んなアダルトグッズが魔法で再現されて存在してたけど、今回もそうなったっていう。

 

 まあ、部屋一つまるまるアダルトグッズの保管庫みたいになってるっていう……こう……だいぶ斜め上な形だったんだけど。意識しないでこうなるってのは、なんだかより性質が悪いんじゃなかろーか……。

 

「……この玉が何個も連なってるものは……? 犬……? か何かの尻尾がついているのは、一体どういう……?」

「それはお尻に入れるやつだね」

「……お尻に?」

「お尻に。こっちの犬耳とか首輪とかとセットにすると、ほら、ね?」

「……なるほど。そういうのもありますのね」

 

 あるんだよ。人間の業は深いのだ。

 

 興味があるなら、まずはわたしで試してみてくれると嬉しい。

 まずはお手軽なところで、首輪からいかがでしょうか。わんわん、へっへっへ。

 

「ところで、どうしてこの部屋にこれらの道具が現れたのかしら?」

「ナンデダロウネー」

 

 わたしの意識が反映されてるんだから当たり前ではあるんだけど、じゃあなんでって問いには、申し訳ないが黙秘権を行使させてもらうんだぜ。

 

「わっ、わ、わァ……っ!」

 

 一方ハーミーは、ずらりと居並ぶアダルトグッズの中、ひときわでかい存在感を放つ張形を見てちいかわみたいになってた。

 

 真っ赤だ。本物生やした上に、わたしで童貞卒業までしてるのに、なんて初心なリアクションなんだろう。

 いいね。かわいいね。好き。

 

 え、もしかして使いたい? わたしはいつでもいいよ、思いっきりぶち込んでくれていいからね!

 




新しい学園生活の紹介(なお
おとなはウソつきではないのです。まちがいをするだけなのです・・・。
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