才能に恵まれすぎたドMが魔法界で百合逆ハーレムを目指す話 作:ひさなぽぴー
その日の放課後。わたしはハーミーやダフネと一緒に必要の部屋に移動しようとしたところで、ハリーとロンに呼び止められた。
なんだろうって思ったけど、要約するとパンジーにいじめられてるなら力になるよってことらしい。お前もかハリータス。
このままあれこれ勘違いしたまま突き進まれても面倒だから、仕方なく誤解は解いておくことにした。
ちゃうねん。わたしは全部納得づくでパンジーに従ってるねん。
「でもあんな理不尽な命令……」
「いや、あれはわたしもパーキンソン様に全面的に同意してたから」
「ええ……?」
「……僕、君とかダフネ見てて、スリザリンにも話のわかるやつはいるんだなって思ってたけど、そういうところはやっぱスリザリンだよな」
「誉め言葉として受け取っとくね」
そんな会話を交わす後ろで、ハーミーとダフネがチベットスナギツネみたいな顔でわたしを見てたからちょびっと照れる。
とはいえハリーたちの誤解は解け……解けたかな? 完全には納得してないっぽいけど、まあ下手に助けようとしてくれなければそれでいいや。
それはともかく、ハリーたちとはそれで解散……にはならなかった。どうやらもう一つ本題があるらしい。
「その……リンに守護霊の呪文を教えてほしくて」
ハリーのお願いに、わたしはこれまた小さいながらも原作からの変化が生まれたなぁと思うなどした。
原作だと、ハリーが守護霊の呪文に取り組み始めたのは確かクィディッチの試合中にディメンターに乱入されて、気絶してケガしただけじゃなくニンバス2000まで失う羽目になってからだ。3か月近く展開が早い。
「僕だけディメンターの影響で気絶しちゃったんだ。もうあんな目には遭いたくないんだよ」
ハリーはそう言って肩をすくめたけど、なんでかその顔はうっすらと赤い。なんていうか、照れてる?
なんでだろう、って思って小首を傾げつつ、レジリメンスってみようかなと思ったところで、ロンがネタばらしするみたいににやりと笑った。
「ジニーの前でいい恰好したいんだよ」
「ちょっとロン!? なんで言っちゃうのさ!?」
「ジニーと付き合いたいならそれくらいはしてもらわないと困るからね」
ふふんとなぜか得意げなロンにハリーが非難するものの、正直わたしの心境は「なるほど」以外なかった。
たぶんハーミーもダフネも一緒だと思う。夏休みを終えたわたしたちが久々に会ったハリーとジニーは、どこからどう見てもそういう関係だったからだ。
それを告げると、ハリーは愕然とした。どうやら隠してるつもりだったらしい。
君、隠し事向いてないから気を付けたほうがいいよとは言わないでおいてあげた。
まあ、両親公認ではないらしいんだけどね。
そしてジニーとのお付き合いの条件として守護霊の呪文の習得を、というのはウィーズリー家の総意らしい。言い出したのはアーサーさん。
守護霊は、習得難易度のかなり高い魔法だ。それをわざわざ13歳の少年にぶつける辺り、娘はやらんぞというアーサーさんの意思が透けて見える。男親ってやつァよ。
「……うんまあ……そんな感じです……」
真っ赤になっちゃった。初心だねぇハリー少年。
こんな時期がわたしにも……なかったわ。前世にはあったかもしれないけど昔すぎて覚えてないし、少なくとも今世は皆無ですわ。うーんこの。
まあわたしのことはともかく。
「そういうことなら、わたしから教わるのはやめたほうがいいんじゃない? これでもわたし、女の子なんだから」
ハリーもロンも、そういう目でわたしを一切見てないことはわかる。性別とか関係なく、友達だって思ってくれてることはちゃんと理解してるけど、周りがどう思うかは別問題なわけですよ。
年齢的に仕方ないことではあるけど、それぞれの状況で自分の言動が周りからどう思われるか。そういう想像力はきちんと養っていくべきだ。わたしがそれをできてるかどうかはさておき。
もちろん、わたしの守護霊の特殊性を隠したいってのもある。ディメンターがいる今、特殊性を発揮する機会はそこら中に転がってるもの。もう手遅れかもだけど、少しでもリスクは減らしておきたい。
「だから、そういうのはちゃんと防衛術の先生に教わったほうがいいと思うな。ルーピン先生なら大丈夫だよ、列車の中でも守護霊出してたし」
わたしの提案に、二人はそれもそうだって思ってくれたようだ。早速防衛術の教授室に行くことにしたらしい。ありがとうの言葉と共に、小走りで立ち去っていく二人。
うーん、即断即決。グリフィンドールの鑑ですなぁ。
「……私も覚えたいわ」
「わたくしも」
と、そこに二人が両側に立ってそう言った。
二人に教えるのに、否はない。むしろ手取り足取り腰取り教えてあげようじゃないか。
「いいよ、それじゃ練習時間作ろっか」
そういうことになった。
にしても、やることが……やることが多い。悪いことではないんだけど、マジで時間が全然足らないんだよな。
タイムターナーがあったとしても、本当にやりたいことが多すぎる。タイムターナーを使って、過去でさらにもう一度使って……ってのは危険だからできないしなぁ。
交互に使うのならありかもしれないけど、今回わたしたちに貸し出されてるタイムターナーには人数制限がある。一つのタイムターナーの有効範囲は二人までみたいで、三人で遡るにはどっちにしろ二つとも使わないとなんだよね。
かくなる上は、必要の部屋の時間引き延ばし作用をもっと強くするよう本気でイメージするしかないかもしれない。
今までは必要と考えつつも、本気の全力でイメージを固めてたわけじゃない。今、そのイメージを強くする
大丈夫、わたしならきっとできる。できるに違いない。そうに決まってる!
鉛筆をベシッ! とへし折るように! できて当然だと思うことですじゃッ!
オラッ! 出てこい精神と時の部屋ッ!!
***
できたわ。
さすがに一日を一年に引き延ばすなんてできなかったけど、精神と時の部屋のデメリットは一切持ち込まないまま、引き延ばし効率を1.5倍から2倍に増やすことに成功した。
いやあ、さすが神様謹製の才能。これで一回のタイムターナーでマックス10時間を確保できる。やったぜ。
やっぱり人間、信念さえあれば不可能はないんやなって。
成長できる、してみせるッ。これが人間賛歌ってやつよ。
とはいえ、毎回毎回10時間ってやるつもりはない。あくまでタイムターナーは勉強のためっていう名目で貸し出されてるものだから、使うにしてもその勉強の範囲から大きく逸脱するわけにはいかない。
たとえば2時間程度で終わる宿題や予習復習のために、わざわざ最大の10時間確保する必要はないよね? って話だね。
この辺、ハーミーは規則にわりと忠実だから、毎回毎回ってわけにはいかないわけよ。わたしとかダフネはそこらへん気にしないんだけど、まあ三人で歩調を合わせるのが総意なので、ここはハーミーに従う形で。
もちろん、10時間まで行かなくても時間を多く取れるのは単純に強い。だから引き延ばした時間であっても、わたしたちは無駄遣いはせず有意義に活用していく所存である。
今回はまず、守護霊の呪文をハーミーたちに伝授することにした。もちろん宿題は全部片づけたあとにね。
「……ダメね、うんともすんとも言わないわ」
「右に同じくですわ……こんなにうまくいかないのは久しぶりですわね」
とはいえすぐにできるものじゃない。マジで守護霊の呪文は難易度の高い魔法なのだ。そのくせ利便性が高いってわけでもないから、無理に覚える必要のない魔法でもある。
一般的には闇の魔法使いではないことを証明できるって言われてるけど、別に闇の魔法使いでも使うことはできるし……。
現代じゃこの魔法、マジでディメンターを遠ざけるくらいしか、基本的に使い道がない。だから覚えようって気になる人が少ないんだよね。
それとハーミー? うんともすんとも言わないって言うけど、銀色の煙が出てるのはどっちかっていうと成功だからね? その無体の守護霊でも、出せない人がどれだけいることか。
「幸せな記憶を思い浮かべる、と言われましてもねぇ……」
「ね。ちなみにリンはどういう記憶で成功させたの?」
「…………」
い、言えない……! かわいい女の子たちに囲まれて前も後ろも上もまとめて思いっきり犯されてるところを想像した悦びで守護霊の呪文を習得しましたとか、口が裂けても言えない……!!
いや改めて言葉にすると、我ながらマジでひどいな! そんな記憶、しかも妄想で守護霊呼び出すとか、野獣先輩並みに汚くないか!?
「……その、わたしが初めて成功したときはハーミーと付き合い始めた頃で。ハーミーとイチャイチャしてるときの記憶で」
こ、これでどうだ? 嘘はついてないぞ。あのとききっかけになった妄想で、わたしの前を使ってるのはハーミーって想定だったもの。
あ、ハーミーが真っ赤になってうつむいた。かわいいね。
「今はダフネちゃんもいる記憶で呼び出してるよ。三人で一緒にいろんなことしてる記憶」
一方、ダフネがうらやましそうにしてるたから付け加えておく。ダフネも頬を染めて顔をそむけた。こっちもかわいいね。
言っておくけど、これも嘘じゃないんだよ。三人でいろんなことしてる記憶、もほぼ真実だ。
その「いろんなこと」ってのは要するにいろんなえっちではあるんだけど、嘘じゃない。そうではないですか、あなた?
ともあれ、大好きな人と一緒に何かしている記憶、ってのは二人にとっても想像しやすい記憶なんだろう。それを起点にして呪文を唱えれば、二人はあっさりと守護霊の呪文を成功させることができた。
しかもまさかの有体だ。予想を大幅に上回る結果だけど、わたしとのイチャラブの記憶で出せたってのは素直に嬉しい。それだけわたしと過ごす時間が幸せってことだもんね。
だから思わず二人に抱き着いちゃったよ。キスもした。深いのはまだダメって言われたけど。まだってことはあとではしてくれるんですよね? うふふ。
にしても、なるほど。これが愛じゃよってことですねダンブルドア先生……!
ちなみに二人の守護霊は、ダフネがライオン、ハーミーがヤタガラスだった。
スリザリンのダフネが、グリフィンドールを象徴する生物であるライオンってのも驚きだけど、何よりハーミーだ。まさかの原作からのチェンジである。
原作だと、彼女の守護霊はカワウソだったはずなんですけどね……。ヤタガラスって、明らかにわたしの影響だよなぁ。わたし、っていうより伊勢神宮か?
まあ守護霊の呪文って、呼び出すもの次第で効果に差があるわけじゃないし、別に原作と違うのが出てこようと別に気にするほどのことでもないか。ハーミー、ヤタガラスって気づいてないっぽいし。
で、思ったよりあっさり守護霊の呪文ができちゃったものだから、時間が余った。
ということで次にわたしは、できるようになってはいたけど念のため今日までやらないでおいたことを試してみることにした。
「それじゃ順番にやってみるね」
ハーミーとダフネに見守られる中、わたしは才能の拡張を実施する。
まずは単純に、目の才能。いつもの魔眼の起動だね。これで視界が魔法の気配で満たされた。
ただでさえ魔法の気配が濃いホグワーツの中で、ここ必要の部屋は突出して多くの魔法を観測できる場所だ。あまりにも複雑精緻で、こうやって視てもわからないところが多すぎる。古代魔法の色があちこちに視えるから、関係があるのは間違いないのはわかるけど。
でも、これは序の口。わたしの魔眼には、まだ上がある。そう、才能の拡張をさらに上乗せるのだ。
目の才能拡張、第二段階。言うなれば魔眼レベル2ってとこかな……!
ただし、単純に目の才能を拡張するだけだと身体がついてこない可能性が高い。普通の魔眼でも、わたしの身体には相応の負担がかかってるのだ。
わたしはドMという特殊な才能とかみ合わせることで快感に無理やり変換してしのいでるけど、それでも肉体に対する負担であることには変わりない。
というかそんなだからこそ、魔眼レベル2に至ったらいつぞやみたくひどいことになる可能性が高い。
じゃあどうするか?
ふふふ……残念、対処法はありません。
ないので、これからわたしは一人で勝手に何もないのにイキ散らかします(くもりなきまなこ
え、去年度のクリスマス休暇前、ダフネに脳周り強化して見たらって指摘されてただろって?
いやうん……脳の才能拡張自体はできたんだよ。ちゃんとできた。思考能力が上がって勉強とか魔法の訓練とかの効率がバチクソ上がったし、魔眼の負担も抑えられていいことだらけだったんだけどさ。デメリットも相応にあったのよ。
特に大きなデメリットは二つで、まず一つは知覚能力が上がった結果、時間の感覚がゆっくりになっちゃって。
要するに、マユリ様に超人薬を食らったザエルアポロみたいなことになってさ……。
あれはさすがのわたしもコリゴリだ。他人との会話もままならないし、身体を動かすのも一苦労だった。
おまけにもう一つのデメリットは、脳の才能拡張を切ったあとに来る。拡張した脳の才能に任せて獲得した情報の処理が、能力が元に戻った脳じゃ処理しきれなくて一気に負担になるんだよね。つまり、結局身体にかかる負担は変わらないっていう。
ああそれと、脳の才能拡張には必要なリソースがかなり多い、ってのもデメリットかな。ごめん大きなの三つあったわ。
そんなわけで、デメリットがあまりにも重いってんで、身一つで魔眼レベル2によってもたらされるであろう快感に耐える道しかわたしには残されてない。
正確に言えば、ホグワーツ特急内での事件から、わたしの身体が神のそれってはっきり理解したから、わたしが持ってる神の力の才能を拡張するって選択肢がまだあるんだけど。
こっちはまだ拡張できる気がしないんだよね。たぶん、ホグレガで言うところの才能ポイントがめちゃくちゃいるんだと思う。
……と、ここまでいろいろ言ったし、さっきイキ散らかすって言ったけど、なんだかんだでわたしもこの魔眼とは一年近く付き合ってきてる。
これでも魔眼にはだいぶ耐えられるようになったんだ。ずっと訓練を続けてきたから、今となっては魔眼解放状態だって余裕で3分くらい持つんだぞ。
限界まで行っていいなら、5分まで持っていける。我ながら、数秒でアヘアヘしてた頃が遠い昔みたいだ。
あんなこと言っておいてなんだけど、別に耐えきってしまっても構わんのだろう?
大丈夫、これだけ耐性を高めた今なら行けるはず。そんな確信がある。
ということで、いよいよ本番と行こう。ハーミー、ダフネ、それにあの世からわたしを見守ってくれてるであろうイザナミ様。あと画面の向こうのみんなたち!
魔眼レベル2を華麗に使いこなすリンちゃんの雄姿をとくとご覧あれ!
イクゾー!(例の効果音
「……あっ♡」
次の瞬間、大きな声を上げてその場に崩れ落ちたわたしの足元の床は水浸しになった(およそ一年ぶり二度目
ドMは特殊な訓練を受けています。
絶対にまねをしないでください。