才能に恵まれすぎたドMが魔法界で百合逆ハーレムを目指す話 作:ひさなぽぴー
ダフネ、まさかの素材全部買いを敢行するの巻。
まあどっちにしても、そんなに大量の素材を手に持って移動なんてできるわけないから、次回まで取り置きって形だけど。
「これが前に実際に着て見せた着ぐるみパジャマだね。ニーズルモデル以外にも、ニフラーモデルとかヒッポグリフ(幼体)モデルとかもあるよ」
「全部買いましょう」
「さすがに使いすぎじゃない!?」
ただ、素材にそれなりの金額を放出した直後、服でもう一度散財しようとしたのはさすがにとめた。純血のお嬢様はお金を使うのに躊躇がなさすぎる。
確かにどれもかわいい仕上がりで、アストリアが着たらすごい似合うだろうけどさぁ。お姉ちゃんさぁ。
まあそう言ってストップかけたわたしも、ビキニタイプの水着とか置いてあったの見た瞬間に財布出したんだけどね。
いやだって、海水浴とかしたいじゃん。今年はもうシーズン終わってるけど、次の夏休みはみんなで海かプール行きたくない? なんなら必要の部屋をそういう風に使うのもアリだろうし。
いやまあ、泳ぐとかそんなことより、単純にハーミーたちの水着姿が見たいだけなんですけどね。
あとは、たまには屋外でヤるのも悪くないよねって。
「今さらあなたがたの前で水着とかいります?」
「……わたしたち相手に隠す必要ないとか、裸だろうと別に気にしないとか、そんな感じのこと言いたいんだろうけど、それすこぶるキテる発想だから言う場所とタイミングには気をつけてね?」
「……!?」
「そんなバカな、みたいな顔されてもなぁ」
ダフネはその後、相当思考がわたしに寄ってることに気づいてめっちゃショックを受けたらしく、しばらく凹んでた。
それはそう。でも朱に交われば赤くなるって言うし……。
仕方ないので、ダフネがほしいって言った服は全部わたしが払うことにした。
まあね、今やわたしもそれなりのお金持ちなのでね。毎月グリンゴッツから届くわたしの口座残高、マジで右肩上がりだからね。これくらいはね。
あと、なんとか話題を逸らすために気になってたことへ話を持って行くことにした。
いやさ、レガ主たちが見せてくれた服、普通に全部現代風のデザインだったのよ。一部妙なのもあったけど、マグル界的なのも魔法界的なのも、どっちもちゃんと今に即したものがほとんどだった。
レガ主の話を総合して考えるに、50年近くオーナー不在だったはずなんだけど、最近のデザインの服が出てくるのはちょっとおかしいなって思ってたんだよね。
答えは、ペニーが定期的にマグル界に行ってファッションを観察したり実際に手に入れたりしてるから、らしい。彼女はそれを参考にして、服を作ってるんだとか。
なお、デザインが古いものも一応取ってはあるらしいけど、大体は糸や布に戻して再利用してるらしい。エコだなぁ。
「買い手もいないのに……?」
「ペニーの趣味なのでございます」
嬉しそうにペニーはそう言って、控えめながらも胸を張った。
納期なんて一切ない上に、コスト的にも採算度外視でやってるらしい。
なるほどそりゃ趣味だ。出来がいいのも納得。原作のドビーが目指すべきは、ここだったんじゃなかろうか。
……そういや、今ってドビー何してるんだろうな。結局去年の事件では、フォイ家から解雇されなかったよなぁ。まあ、気にしたところで何かできるわけでもないんだけど……今でもパパフォイにいじめられてるだろうし、そこはちょっと申し訳ないかも。
「──様はペニーを自由な妖精にしてくださいました。ペニーは好きなことをできるハウスエルフなので……す……」
と、ここでペニーはやらかしたって顔をしながら、両手で口をふさいだ。息もとめてる。
ゲームでも見たことのある仕草だ。確か言っちゃいけないことを言おうとした、言っちゃったとき、こうするんだったっけ。
だとしたら、今ペニーがやらかしたと判断したのは
「ああ……っ! ペニーはダメなハウスエルフです……!」
この世の終わりみたいな顔をして、被っていたハンチング帽を手に取って胸元で抱きしめるペニー。まるで懺悔するみたいだ。
「……あなた、そういうお名前だったのですね」
「あらら、バレちゃった」
一方のレガ主はと言えば、大して気にした様子もなくけろりとしていた。
「ペニー、大丈夫だよ。元々ボクたちの間に主従関係はないだろう? 口止めにしたって強制してるわけでもないし、気にしてないよ」
「ですが……」
「それに、ミス・ゼンポウジは結構情報通だし、魔法の腕もいいからね。ボクの名前がバレるのも時間の問題だったと思うよ」
レガ主はそう言うと、わたしに向けてウィンクをしてきた。
彼女の指摘はさほど間違ってない。わたしはレガ主に会ってから、ずっと彼女の名前を探ってたからね。
と言っても、彼女が言うほど答えに迫ってたわけじゃないんだけど。ここら辺は、散々彼女の想像を上回ることをしてきたからかな。
まあ訂正するのも面倒だし、適当にイエスともノーとも言ってない顔でドヤっておこう。
それより、並べられた服がペニーの手作りだとしたら、追加で気になることがある。
というのも、マグル風のデザインの服にも魔法が宿ってるんだよ。魔法界側のデザインの服がそうなのは当たり前だけど、マグル風のでこれは普通じゃない。
魔眼で視た感じ、身に着けてる人の放出できる魔法力を微増させる効果があったり、特定の種類の魔法の効果を底上げする効果だったりがあるのが視える。
そして、効果にはどれも心当たりがある。もしかしてこれは、ホグレガで言うところの装備品特性では? この効果があるってことはもしかして。
「もしかしてここ、魔法の織機があったりします? 服に魔法を組み込むようなやつ」
「わあ、そんなことまでわかっちゃうんだ? 本当に色々見えてるんだねぇ。答えはイエスだよ」
あってた。ホグレガだと、装備品をアプデしたり特性を付け加えたりする道具だったけど、現実世界じゃ名前の通り、布を織ったり服を作ったりもできるみたいだ。
だとしたら、ますますほしくなっちゃったぞ。
「魔法の織機の呪文クラフトがあったらほしいんですけど。言い値で買うので」
「リン!?」
「わたしは! もっといろんな服を着たいし着せたいの!」
たとえばコスプレ衣装とか!! 魔法界のファッションセンスは好みじゃないし、かといってマグル界のファッションも2020年代に比べるとどうしてもね!!
まあわたしがほしいのは、主に人前ではあんまり着ないほうがいいようなやつなんだけどさ。たとえばゴールデンマイクロビキニとか。
そういうのはともかく、ルーナのステージ衣装とか作ってあげたいよね。うんとかわいいやつ。それでみんなでかわいがってあげるんだ。
「仕方ありませんわね。アストリアによく似合う、かわいい服を作りますわよ」
「うん。一緒にがんばろうね、ダフネちゃん……!」
そう言ったら、ダフネはすぐに理解が及んだんだろう。キメ顔で妹を推してきた。そういうとこ。
でも二人とも、誰かにかわいい服を着せて愛でたいってところで意見が一致してるわけだから、これ以上の言葉はいらないだろう。わたしたちは、力強く頷き合ったのだった。
あ、魔法の織機の呪文クラフトはファイアボルト並みの値段でしたと言っておく。一括で払おうと思えば払える額だったけど、ちょっときつかったから分割払い。
特許使用料でガンガンお金が入って来るけど、さっきの服爆買いと合わせるとさすがにきつい。まあ、次に来るときには回復してるはずだから……これは必要な先行投資だから……!
それと、ついでにペニーにはせっかくだから服を一つ仕立ててもらうことにしたよ。こっちにもお金を払う必要があったから、仕方ないね。
ちょっと顔がひきつってたけど、次のホグズミード休暇までには仕立てておきますと言ってくれたから、次に来るのが楽しみだなぁ!
***
「ところでミス・ゼンポウジ。きみ、このお店のオーナーになってみる気はないかい?」
一通り買い物を済ませたあと、レガ主はわたしにそう提案してきた。
「いやさ、ボクはもうこの世界にいないじゃない? 子供もいなかったから相続する人もいないし、でもここを任せたペニーに申し訳ない気持ちもあるんだよね」
ということでの提案だったんだけど、わたしはこれについて一つ懸念がある。
「わたしとしては構わないですけど、それってミス・レガシー以外の承認がいるんじゃないですか? たとえば、地下にいるポルターガイストとか」
「おっと! まさかファスティディオのことも知ってるなんて、ボクもびっくりだ!」
「ええ……ピーブズみたいなのが他にもいますの……」
ものすごく嫌そうな顔をするダフネはともかく、相手がポルターガイストとなるとわたしの体質が問題になって来るじゃんね。
「わたし、ゴーストやポルターガイストみたいな霊魂に属する存在からめちゃくちゃ怖がられますけど、そのファスティディオさんは大丈夫ですかね?」
「大丈夫じゃないんだよねぇこれが。実は今も地下で震えてるんだよ。あのファスティディオがこんなにも怯えるなんて、ボクも初めて見たよ」
ファスティディオがレガ主に語ったところによれば、なぜだかわからないけど本能が拒む恐ろしい何かを感じるらしい。
このリアクションは、ホグワーツにいるゴーストやピーブズの反応と大体同じ。だからやっぱりわたしは、霊魂に対して神の威圧的な何かを与えてるんだろう。
「だとすれば、わたしがここに入ると先住のファスティディオさんに迷惑になります。学生のうちはいいかもですが、ここを保有している状態で成人したとしたら、魔法界の拠点と言えばここになるでしょうし、そのときは迷惑じゃ済まない可能性もありますよ」
「やっぱりそう思う? ボクもそこがね……ネックなんだよなぁ」
定期的に遊んであげられる人じゃないとダメなんだよなぁ、なんてつぶやくレガ主に対して、わたしは嫌だなぁって内心思う。
わたしえっちなことは大歓迎だし、痛めつけられるのも大好きだけど、ホラーめいた演出込々な謎解きとかは別に好きじゃないんだよね。
っていうか、謎解き自体がそんなに好きじゃない。明確な答えが求められるクイズとかは好きなんだけど、なぞなぞとかそういう……知識じゃなくって一瞬の閃きが求められるのはちょっと。
脱出ゲームとか秒で思考がとまるし、ホグレガやってるときもデパルソの間とか実は苦手だった。
今は神様謹製の才能がどうとでもしてくれるけど、前世で培った感覚や感性や基本そのままだからね。好きじゃないのは変わらない。
だからそれに時間を費やすのは、正直勘弁願いたいわけで。
……いや待てよ? 魂に影響を与える手段は、今まさに研究中だ。そしてわたしに向けて捧げられた祈りによって生まれたゴーストは、わたしを恐れなかった。
それどころか、めちゃくちゃ懐いてくれた。あれをうまいこと組み込めやしないだろうか。
もちろん、失敗するわけにはいかないから慎重に考えないとだけど……可能性はありそうだよね。よし、今後の課題ってことにしておこう。
まあどっちにしても、レガ主の店を引き継ぐ件については現時点では保留ってことで。できることがなさすぎる。
あ、でもフレッドとジョージなら、ファスティディオとうまくつきあえるんじゃないか? 将来的に、彼らの店のために紹介するのはありかもしれない。
原作通りに進んだとしても、ホグズミードに二号店があるってのは色々強みじゃないかな。距離は魔法族にとってさほど問題でもないし。
うん、今度機会があったら連れてきてみよう。もちろん、古代魔法が絡む可能性があるから、レガ主とのすり合わせは必要だろうけどね。
まあそこら辺は追々考えよう。
ともかくレガ主のお店での買い物は、そんな感じでいったん終わった。色々と得るもののある、いい機会だった。
「それじゃあ、三本の箒でバタービールでも飲んで帰りましょう」
「はぁい」
ということで、少しずつ太陽が傾きつつある中向かった三本の箒で飲んだバタービールは、あいにくとわたしの口には合わなかった。
原作からしてホグワーツの生徒に大人気って話だったし、実際みんな絶賛してたから期待してたんだけどな……。ファンタのメロンソーダのほうがわたしの好みでしたね……。
……はっ、もしやこれもイザナミ様の似姿であることの影響が?
いやそれは不敬か……。望んでこの身体になったんだから、こればっかりは受け入れるべきか……。
いやでもな……何か理由でもつけないと、自分が納得できないっていうか……。
とはいえ、すべての人間が口を揃えておいしいって言う食べ物なんてこの世に存在しないしな。大体の人が好き、っていうやつでも苦手な人はいたりするわけで。
日本人のソウルフードである米ですら嫌いっていう日本人も少数ながらいるんだし、わたしみたいにバタービールが苦手って人間もまあいるだろう。
いるはずだ。いてくれ、頼むから。じゃないとわたしの心がもたない!
「難儀ですわねあなたも……」
「次行くときは素直に紅茶にしとくよ……」
帰りの空の上。わたしはそんなことをこぼしながら、しわくちゃピカチュウの顔をしたのだった。
そして、この日の夜。原作が動き出す、ハロウィンの日の夜。
ダフネが持って帰ったお土産の着ぐるみパジャマに、アストリアがニコ殿下と一緒に大喜びでパジャマパーティをする横で。
でもって、ニコ殿下のそんなパジャマ姿を目撃してしまった男子たちの性癖がぶっ壊れる横で。
シリウス・ブラックによるグリフィンドール寮入口の襲撃事件が、遂に──起こらなかった。
……あれぇ??
遂に衣装の調達先まで見つけてしまったドM。夜の運動会がますますはかどるハッカドール。
レガ主の名前については、プレイヤーの数だけ名前があるだろうってことで明かさないスタイルで行きます。
え、シリウス?
うん・・・ボクもね・・・この章を書き始めた当初はね・・・まさか30話も書いて、影も形も出てこないとは思ってなかったよね・・・。