才能に恵まれすぎたドMが魔法界で百合逆ハーレムを目指す話 作:ひさなぽぴー
不幸中の幸いと言うべきか、ダフネは翌朝には完治した。やっぱ魔法界の薬はすげーや。
ただマダム・ポンフリーは相変わらずのバーサーカーで、完治したと断言できるまで医務室から出してくれなかった。
おかげでダフネ分が不足してる。ダフネもきっと、わたし分が不足してることだろう。
まあいくら治ったとはいえ、病み上がりでえっちするのはやめるべきってことくらいはさすがのわたしもわかってる。
最初みたく、冷たい冬の隠し通路とか隠し部屋でヤるなんて論外だ。絶対NG。屋外もアウトだよね。
え? 普段からNGだろって? それを言われたら何も言えないから、禁止カードにさせてくんない?
まあ屋外に関しては、必要の部屋を使えば疑似的にそういうプレイは可能だから、そこは除外せずに考えるとして……。
「お騒がせいたしましたわ」
「誰も騒がしかったなんて思ってないから、気にしなくていいのよ」
いつもの必要の部屋。全員集合して最初にダフネは謝ってきたけど、ハーミーがすぐさまそんなことないって言い返してた。相変わらずかっこいい子だ。
ダフネはこれににっこりと笑みを浮かべて、こう言った。
「ありがとうございます。パンジーと同じことを言ってくださいますのね」
ダフネ的には、パンジーも仲良しな友達だからその発言に他意はない。
だけどハーミーにしてみれば、パンジーのことはやっぱり好きになれないんだろう。ちょっとだけ嫌そうな顔をした。一瞬だったけどね。
でもそこについて、ダフネが指摘することはなかった。藪をつついて蛇を出すようなマネ、賢明なスリザリン生はしないのだ。
「……改めて確認しますわ。血の呪いはまだ進行していない……ですわよね?」
ということで、話題が切り替えられた。これにわたしは頷いて同意する。
と同時に、魔眼を起動する。あのときは急いでたからすぐに魔眼を収めたし、お見舞いのときもポンフリーが長時間の面会を禁止してくれたから、現状をじっくり視ておかないとね。
そうやって視てみて、改めて呪いに変化がないのがわかる。ダフネの身体を覆っている呪いの光は相変わらずあるけど、その強さは変わらない。服で邪魔されて見えない程度の、ぼんやりとした光だ。
……何度見ても思うけど、本当にパッと見は神聖なんだよなぁ。この見た目で呪いって、詐欺かなんかだよね。
とはいえ呪いは呪いだ。見た目がいくら光属性でも、その構造が対象に不条理を強いる形になってる以上、間違いなくこれは呪いなのだ。わたしたちが打破すべき敵だ。
念のため、ダフネには服を脱いでもらってしっかりと視ていく。ぱっと見変化がなくっても、何かがあるかもしれないからね。
そうやって、裸のダフネを全方向からためつすがめつ、ねっとりと眺めること数分。わたしは結局、今回も「問題なし」と診断を下した。
「相変わらずいやらしい目ですこと」
直後にそうからかわれた。
やだなぁ、これはれっきとした診察ですよ。そんなつもりなんて、これっぽっちしかありませんよ。
……なんていうのも、ほとんどいつものやり取りなんだけどね。これも現状維持できてるからこその軽口だ。
「けれど、ここまで変化がないのも少しもどかしいですわね。いっそ呪いの全容がもう少し視えるくらい、症状が進行してしまっても……なんて思ってしまいますわ」
「気持ちはわからなくはないけど、素直には頷けないわ」
「ん」
「わかっておりますわ。戯言です、お許しくださいな」
ハーミーとルーナの声を受けてダフネは笑ったけど……わたしにはわかる。今の、わりと本気だったでしょ。
自分の身体で色々と検証できるなら、それだけアストリアの治療は進んだものが使えるかもしれないとか、そういう発想の発言だと思う。ダフネにはそういうところがある。
実際、わたしがアイコンタクトで「そうでしょ?」って問いかけたら、苦笑しながら肩をすくめたもんね。あれはイエスのリアクションだ。スリザリンの同胞愛は重いのだ。
それに対してわたしが何か言うことはない。そういうことは、主にハーミーが言ってくれるからね。
だからわたしにできることは、血の呪いの研究を進めることだ。たとえカタツムリよりも遅くても、前に進み続けないと。
そんな中、わたしは改めてダフネに向きなおる。彼女がまだ裸のままなのは、これからやることがあるからだからね。
「それじゃ最後に、魔眼レベル2でも視てみるよ」
ただ、ルーナ以外の二人からわりと胡乱な目を向けられた。
残念だけど当然ではある。前回呪いの症状が出たときは、まだ魔眼レベル2は一秒か二秒程度しか使えなかったもんね。
でも今回は、もうちょい長く使ってられる。
であれば、たとえちょっとでも得られる情報が多い魔眼レベル2をためらう理由なんてない。
「……今どれくらい維持できますの?」
「10秒弱くらいかな。だいぶ延びたし、多少は意義あるでしょ」
「10秒弱か……それなら確かに、がんばってみる価値はあるかもしれないわね。何でもいいから情報がほしいのは確かだし。……でも反動が大きいのは変わらないんだから、やるなら少な目でね」
「魔眼レベル2ってなに?」
「あ、そういえばルーナには言ってなかったね。かくかくしかじかで……」
ひとまず、一人よくわかってない顔で首を傾げてたルーナに説明するとして(神様ポイントを稼いだらしく、キラキラした目で見つめられた。照れるぜ)。
魔眼レベル2は、相変わらずの負担をわたしに強いる。10秒はものすごく短く感じるけど、これでもマジで成長したほうだからね。
元の魔眼がもう5分以上展開しっぱなしでも余裕なことを思えば、どれほどの負担かわかってもらえると思う。
ただ、使えるようになってからの感覚としては、訓練してもほとんど使用時間は延びてない。
っていうか、ルーナに
このことから、魔眼レベル2に関してはわたしが得ている信仰の力がかかわってるのはほぼ確定な気がするんだよな……。神様としての能力が影響してるっぽいっていうか……。
ルーナアイドル化計画はこのまま続行として、ここからさらに、祈りを捧げるタイプの儀式魔法をコンプリートしてみたくなってきた。
でもって神としての才能を拡張できるようになったら、才能拡張と組み合わせてみたりね。そしたら倍ドンでパワーアップできるかもしれない。
と、話を戻して。
そんな魔眼レベル2を8秒ほど発動して、ダフネを確認する。前は本当に一瞬しか見れなかったけど、一瞬であっても記憶は記憶。
であれば、八咫鏡で確認できる。ついててよかった一時停止機能。
つまり8秒も見れば、ダフネの様子があのとき見た記憶と比較できるし、状態が一致することまではっきりとわかるってわけ。
そして前回より長く視たからこそ、追加で分かったこともある。ダフネに刺さったドリルのようなものから、ダフネの心身に白い光がじわじわと注がれてる様子が視えたんだよね。
この白い光は、ダフネの身体を包んでる呪いの光と同じ色だ。雰囲気も同じ。だとすればやっぱり、この呪いの核になるのはここなんだろう。
その注がれてる光が普段より強く見えたのは、呪いの症状が出た直後だからだろうか。それとも、呪いの進行が迫ってる兆候?
ま、それがわかってもできることなんてほとんどないんだけど。これはちゃんと共有してておかないとね。
もうすぐ進行するかもしれない、って身構えてられるなら、精神的なショックも多少は少なく済むかもしれないし。プッチ神父じゃないけど、覚悟があれば耐えられることもあるはずだ。
あとは……核らしきドリルのようなものとは別に、何か大きなものがダフネの魂によりかかっているのも視えた。よりかかっているっていうか、のしかかってる? 子泣き爺的な印象を受ける。
何かの形をなしてるわけじゃないし、輪郭もぼやけてて、ただぼんやりした光の塊にしか見えないからよくわからないけど。何かなこれ……?
目を素に戻してそう説明して、最初に口を開いたのはやっぱりハーミーだ。
「のしかかってる……うーん、その刺さっている何かとは同じなのかどうかで、答えも変わりそうね。違う場合は……二種類の呪いが複合している、とか?」
「どうなんだろう。一応色合いは同じだから、同じ由来の可能性も十分あると思うけど……ねえダフネちゃん、何かそういう記録って残ってたりしない?」
「どうかしら。家の資料は去年一通り漁りましたけど、あなたがたほど記憶力に自信はありませんので……」
「そういうことなら、もう一度見直したほうがいいんじゃないかな。ねえダフネ、重要度低いからって精査する対象から外したやつとかない? 本当に全部見た?」
「ルーナの指摘はもっともね。今度みんなで、本当に全部の全部を確認する時間を設けたほうがいいかもしれないわ」
「っていうか、血の呪いに関係しないものも集めたほうがいいんじゃない? そういうなんでもないところにヒントがあったりするんだって、パパ言ってたもン」
「……ぐ、グリーングラス家歴代の資料を全部集めて、しかも読むというのはさすがにちょっと……」
なんでもないように言うルーナに、ダフネが引いてる。
だけどここにいるのはレイブンクロー生のルーナと、そこに振り分けられる可能性があったハーミー。そしてそんなハーミーに知識トークでついていけるわたしと、軒並み文章を読み込むことに抵抗がないメンツばっかりだ。
なのでダフネには申し訳ないけど、最終的にはそういうことになった。まあ向き不向きもあるし、ダフネに無理はさせられないから、作業の振り分けは色々と考えるけど。
とりあえずダフネには家に手紙を飛ばしてもらって、資料の整理と古いやつの翻訳だけでもハウスエルフに指示しておいてもらう。
で、次のクリスマス休暇のときにみんなでグリーングラス家にお泊りして、資料の精査をするとしよう。
それまでにホグワーツでできることもやっておかないとね。血の呪いじゃなくても、色んな呪いを調べることには意義があるはずだから。
今だと、やっぱりルーピン先生かな。クィレル先生も呪われてるけど、クィレル先生は今後もホグワーツにいるだろうからルーピン先生のが優先度は高い。
何せ防衛術の教授は、ほっとくと年度内に失職するもん。有能なルーピン先生を放置するつもりはないけど、彼の場合は持病が持病だけに、教授職の呪いに関係なく自主的に辞めちゃう可能性あるからね。
「? 神様、なんでルーピン先生が出てくるの?」
「ルーピン先生が防衛術の教授だからだね。ルーナも聞いたことあるんじゃない? 防衛職の教授職は呪われてるって話」
「あ、知ってる。みんな一年で辞めちゃうってやつだ」
「そうそれ。あれ、ヴォルデモートがかけた呪いなんだよね。時間経過で蓄積するタイプのやつ。去年もロックハートは年度末とんでもない規模の呪いにまみれてて、魔眼だと姿が見えなかったくらいだったんだから」
この話はハーミーとダフネにはしてあるから、初耳なのはルーナだけだ。
だから、そういえばこれも初耳だろうとフィニート・アナテモースの説明もしておく。どっちも規格外の魔法だからか、ルーナもなかなか驚いた顔をしてた。
ちなみに残念ながら、今のところフィニート・アナテモースの改良にも進展はない。
「……それにしても、なんで例のあの人はそんな呪いをかけたのかな」
「自分に対抗する人間が増えるのを防ぐためじゃないかしら。防衛術ができない生徒が増えれば、それだけ将来的に戦いが楽になるって思ってたんじゃない?」
「あり得ますわね。闇の帝王……やはり恐ろしい相手ですわ……」
「いや、防衛術の教授職就任を断られた腹いせだけど」
「「嘘でしょう!?」」「えー?」
残念ながら事実です。経緯をかくかくしかじか、と話せば三人が三人ともなんとも微妙な顔を浮かべた。
「……なんか、ヴォルデモートって案外ちっちゃいんだ? 赤ちゃんのハリーに負けるはずだよね」
けど直後にルーナがぶちこんだセリフに、全員がきょとんとして、それからどっと笑った。
言うじゃん。でもそれは本当にそう。
そのくせ魔法の腕だけは無駄にいいんだから、本当に参っちゃうよな。
「呪い自体も無駄に高度なんだよねぇ……」
「概念自体が呪われているから、教授自体を解呪しても根本的な解決にならないってたちが悪いわよね」
「せめて概念から流入する呪いをシャットアウトできればいいのでしょうけれど」
「んー……お祓いはどうかな。神様にもらった本の中にあったよ。今覚えようとしてるのとは違うやつ」
「えっちしないほうのやつだね。でもあの本に載ってたのは簡易版だからなぁ……」
ガチなやつもあるにはあるけど、儀式としてかなり大規模になるから現実的じゃないんだよな。確か、儀式をする人間が複数人必要って本に書いてあったはず。
だから指南書も、それだけで一冊になる。広辞苑級のやつ。おまけに儀式魔法自体が廃れかけてる技術だから、その一冊を入手するのもかなりの手間とお金がかかるんだよなぁ。
それでも皇室にかかった血の呪いは解けないから、効果も期待していいものかどうか……。正直、どうせやるにしても簡易版を試してみるだけでいいような気もしてる。
「簡易版でもなんでも、まずはやってみましょうよ」
「ルーピン先生は誰が見ても『当たり』の先生ですもの、できれば続けていただきたいですわ」
「次に来る人がロックハート級だったら困るもんなぁ……」
「うん。あの人、ひどかったよ。寮の先輩って聞いて、余計がっかりしちゃった」
いずれあれよりもひどいやつが来るんだけど、それはまだ言わなくていいか。
まあ、ルーピン先生で調べたいのはむしろ、彼が罹患してる人狼症のほうなんだけどね。教授職の呪いは彼相手じゃなくても調べられるからさ。
もちろんこの件は生徒には秘匿されてる話だから、わたしからそれを口にすることは今のところないけど。
ともかくそういうわけで、呪いを解くための研究を当面の第一目標に掲げることになった。そのために、それぞれができることを分担していく形になる。
まあ、集中力が切れたりして作業が全然進まない、ってなったときにえっちに流れるのはご愛敬ですけどね!
えっちすぎてすまんな!
八咫鏡を初めてちゃんとした目的で使ったかもしれない。
なんで初めてなんですか??