才能に恵まれすぎたドMが魔法界で百合逆ハーレムを目指す話   作:ひさなぽぴー

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33.クィディッチシーズン

 それからおよそ半月ほど。今のところ、ダフネの呪いが進行する様子はない。

 

 だから時間を見つけてはホグワーツの周りを見て回ってるけど、今のところシリウスの姿は見当たらない。

 それっぽい痕跡もない。呪いと人狼症の観察がてら、ルーピン先生の周辺も探ってきたけど、こっちも当たりはナシ。

 

 マジで今どこにいるんだろう……。ていうか、そもそもホグワーツ近くまで来れてなかったりする……?

 

 呪いのほうも今のところ成果はない。つまりどの方面も進捗はほぼない。うーん、力不足を感じる。

 

 数少ない進捗と言えば、ヴォルディス・ソムネクスを自分に使えるようになったくらいか。これでこの魔法は、完成したって言っていいだろう。

 あとは、時間のあるときに、わたしからこの魔法とピーターにあれこれしたことの記憶を消し飛ばせば、こないだの後始末は本当の意味で完了だ。

 

 八咫鏡がある以上、何かの拍子にこの記憶が漏れる可能性はゼロじゃないからね。そうじゃなくとも、別の何かからそういう魔法があるって判断されて、捜査が始まったりしても困る。

 実際あれ、誰がどう見たって闇の魔法だもん。そうなるのも仕方ない。

 

 だからもったいないけど、これについては封印じゃなく、完全に闇の中に葬るべきだと判断した。

 まあわたしのことだから、また再発明する可能性はそれなり以上にありそうなのが、我ながらやべーなって思うけど。思うだけで、たぶんやめないだろうとも思うけど。

 わたしを度し難いって即断した組み分け帽子は、さすがの慧眼だよなって思います。

 

 ……ってところまで考えてふと気づいたんだけど、ひょっとしなくてもわたし、今だいぶ人の心ない感じだよね?

 何がヤバいって、そのことに対してわりと「ふーん」くらいにしか思わないことだよ。もうちょっとなんかあるやろって、我ことながらに思うなどする。

 

 うーむ、前世はもうちょっと真っ当に生きてたと思うんだけどな。もしかして、これも「ありとあらゆる才能」の範疇かしら。こう、外道の才能的な……。

 もしそうだとしたら、もうちょっとそこら辺意識しておいたほうがいいかもしれない。今さら遅い気もするし、気をつけたところでどうにかなるかわかんないけど、やらないよりはマシでしょ。たぶん。

 

 ……えっちなことされたいなぁ。

 

 それはそれとして毎日は過ぎていく。

 そんな中、ホグワーツはクィディッチシーズンを迎えた。今年度も、初戦は例年通りグリフィンドールVSスリザリンだ。

 

 ……原作だと、グリフィンドールVSハッフルパフなんですけどね。これはわたしの影響だ。

 諸々巡り巡ってドラコが魔法生物飼育学でケガをしなかったから、順番が入れ替わらずそのままスケジュールが進んだ形だね。

 

 どこからどこまでがわたしの影響かはわからないけど、今年度のドラコはガチだ。すごく真面目かつ濃密に練習に取り組んでるし、なんだか最近は生活態度も大人になった感じがする。成長したねフォイ……。

 

 ただ、天気は原作通りだ。わたしの行動は色んな形で原作との乖離を起こしてるけど、さすがにそれで天気までは変わらないらしい。数メートル先もろくに見えないレベルの土砂降りが、選手や観客を出迎えてる。

 たぶんだけど、日程が原作通りなんだろうな……。一日でもずれてれば、また話は違ってただろうに。

 

 当たり前だけど、そんな雨の中でダフネを外に出すわけにはいかない。呪いの影響で頻繁に体調を崩す以上、これは譲れない。パンジーもそうだそうだと言っています。

 

 これに合わせる形で、わたしも行かない……つもりだったんだけど、ハロウィンの日にシリウスが現れてくれなかったので、次の出現ポイント(正確にはそうだと思われる)のこの日は、動かざるを得なかった。

 まあ、試合を見に行くわけではないんだけどね。シリウスが観客席に普通にいるはずはないから、わたしは競技場の周辺を見て回るつもり。

 

「それでは行ってまいります」

「ええ、吉報を待っておりますわ」

 

 ダフネに送り出されて、わたしはスリザリンの寮を後にした。

 

 ちなみにこの日は、ダフネ以外にも何人かが談話室に残ってる。やっぱりこの雨の中に屋外でってのは、さすがにためらう人もいるらしい。

 まあ、それでも9割近くの人が観戦に行ってるわけだから、魔法族がクィディッチに狂ってる事実に変わりはないわけだけど。

 

 アストリアも、ドラコの応援のために喜び勇んで雨の中に飛び出して行った。その背中を見送るお姉ちゃんの視線は複雑そうだった。

 ニコ殿下が雨対策はバッチリです、なんて言いながらスーツケースを持ってついてったから、ずぶ濡れになる心配はないだろうけど……ダフネが気にしてるのはそこじゃなさそうなのがねぇ。

 

 まあ、ニコ殿下以外でガッツリした雨対策を持っていった人はあんまりいないっぽいから、お風呂の準備は万全にしておきましょう。きっとずぶ濡れで戻ってくるだろうからね。

 男子は申し訳ないけど、各々気合いで耐えていただく方向でなんとか……。いやだって、わたしのお風呂は女湯専門だし……しょうがないじゃん……?

 

 とはいえ、そこらへんの準備は備え付けの機能で自動でやってくれる。わたしがやるのは順番待ち対策とか、誰もが洗い立てのバスタオルが使えるようにしておくとか、そういう段取りの確認くらいだ。

 それにしたって、普段からやってることとさほど変わらない。今年度も、お風呂は純血のお嬢様たちに人気なのだ。

 わたしとしても、介助で一緒に入って彼女たちの美しいお身体を眺められるって役得があるから、がんばらないわけがないんだよねぇ。

 

 さてその辺の準備も終えたわたしは、全身に防水魔法をかけてから大雨の屋外へ出た。

 

 マジでろくに見えないけど、魔眼を起動すれば大まかなことはわかる。魔法の気配を感知するこの目は、閉じてても周辺の様子がわかるくらいの精度を持ってる。土砂降り程度じゃわたしの視界は塞げないのぜ。

 これにレベリオを組み合わせれば、シリウスも見つけられるだろう。そう思いながら、移動する人について闘技場に向かいつつ、途中で道を外れる。

 

 で、定期的にレベリオを使いながら闘技場の周りを調べて回る。念のためレベリオの才能も拡張してあるから、効果範囲はかなり広がってる。これならきっと見つけられるはずだ。

 ……シリウスが本当にいるなら、だけどね。いくらわたしでも、この場にいない人間を見つけるのはできない。

 

「……試合が始まったっぽいな」

 

 雨音でろくに試合の様子は聞こえないけど、それでも試合開始を告げるホイッスルの音が雨を切り裂くようにして聞こえてきた。

 原作にはなかった対戦カード。はてさて、勝敗はどう転ぶんだろうね。

 

「それにしても……こんだけ降ってると正直服が邪魔だなぁ」

 

 防水魔法をかけたけど、この雨脚だと完全には防げない。動きづらいし、濡れた服が身体に張り付く感じが気持ち悪い。

 身体全体を包み込むような環境フィールドみたいなのを展開できればいいんだろうけど、さすがにそういう魔法は使えないんだよな。

 

 と、ここでわたし閃いた。

 

 服が濡れるのが面倒なら、最初から服がなければいいじゃない!

 

 ということで、すっぽんぽんになってみた。どうせ周りには誰もいないし、仮に誰かいても魔眼とレベリオがあれば不意打ちは絶対受けない。

 それでもし見られても、興奮するスパイスになるだけだし。最悪どうにもならないってなっても、催眠すればいいしな。

 

 雨で身体が冷える点に関しては、暖気の呪符があれば解決する。触れてないと効果が出ないから、身体に貼り付ける必要があるけど……これは股間に貼っておけば解決だ。前貼り的なね。ふふふ、えっちだ。

 

 それに、既に雨以外のアレでそこそこ濡れてるけど、糊とかそういう物理的なものでくっついてるわけじゃないから大丈夫!

 服自体はかさばって邪魔になるから、変身術で別のものに変えて身に着ける感じで。えーと……首輪にして、装備っと。

 

 すると首輪だけを身に着けた、素っ裸のロリ(前貼りアリ)が爆誕した。

 

「か、完璧だ……!」

 

 うーん、解放感がすごい……!

 夜のホグワーツを全裸徘徊したときもかなりヤバかったけど、屋外でこれは……なんだろう、言葉に言い表せないすがすがしさを感じる。透明化はないほうがよりアガるってのもありそうだ。

 

 もしかしたらわたしは、ここに来て世界の真理に到達してしまったかもしれない。これが悟りの境地か……!

 

「いや完璧じゃないか。この首輪にリードをつけて、誰かが引いてくれたら完璧か」

 

 首輪をちょいちょいと触って着け心地を確かめながら、そうつぶやく。

 

 いや本当、このままペットとして扱われたい。それを思うと、犬に変身できるシリウスが急に羨ましくなってきた。

 ズルい。わたしも犬になって首輪着けられて、そこらへんを裸で連れまわされたい。

 

 シリウスにそんな趣味はない? あるかもしれないだろ!

 アニメーガスの変身先は自分で決められないけど、だからこそ気質とか潜在意識とか、そういうのが理由で決まってるかもしれないじゃん!!

 シリウスはドM! その可能性をわたしは信じるッ!(風評被害

 

「アニメーガス、覚えるか……? いやでも、あれクソめんどいしな……。自分がなりたい動物になれるわけでもないし……。

 何より一か月もの間、葉っぱ口の中に入れ続けるのがしんどい。えっちのとき口使えないじゃん。恥も外聞もなくオホ声上げまくるのも気持ちよさの一因なのに、それ封じられるとか……。それで失敗したらまたやり直しだし……よっぽどの動物が変身先じゃないと、コストに見合わないよなぁ」

 

 わたしも犬になりたい。なりたいけど、習得中にえっちの選択肢がクソ狭くなるのは絶対イヤだ。えっちできないくらいなら、アニメーガスなんていらない。

 うーん、だとしたら七変化に期待するしかないかなぁ? あれ、極めたらアニメーガスみたいな使い方できたりしないだろうか。でもどうやって練習すればいいんだろう。トンクスにコツとか聞きたいな……。

 

 と、そんなアホみたいなことを考えながらも、わたしの捜索は続いてる。

 ぶっちゃけ裸足で屋外の整備されてない場所を歩くの、足裏が結構痛いんだけど……そこは気合で我慢する。この解放感には代えられないんだ。

 

 ただ、成果は芳しくない。通常の視界ではもちろん、魔眼を通じても人の姿は一切見当たらない。人が変身したと思われる生き物すらいない……どころか、そもそも生物がろくにいない。

 天気が天気だけに、しょうがないとは思うけど……こうも成果がないとがっくり来る。

 

 なんだろう、やっぱりシリウスはホグワーツまで来れてないんだろうか。ここまで影も形もないなんて、そうじゃないと考えられないけど……。

 

「……一周しちゃったなぁ」

 

 結局、マジで何もないまま競技場まで戻ってきてしまった。

 ここまで何もないと、本当にマジで何もないんだろう。今日はもう切り上げるとしよう。

 

 競技場のほうに意識を向けてみれば、まだ試合は続いてる模様。この雨の中、よくやるなぁ。

 わたしにはとてもできない(この雨の中、全裸で屋外徘徊している変態の発言

 

 だけどそんなこと考えるまもなく、わたしは杖を構えた。ディメンターが競技場に群がってるのが見えたのだ。

 

「いよいよ来たかぁ」

 

 原作通りの出来事が起きてないんだから、こういうイベントも起こらないでほしかったよ。対戦相手が違っても、これは起きるんだね。

 

 このままだと、ハリーが箒から落ちる。その箒も、暴れ柳に衝突してぶち壊される。しかも試合に負ける。

 ケガをしても即死じゃなきゃどうとでもなる魔法界だから、そこは一応許容できなくはない。

 

 ただ、ディメンターの影響を受けるのはハリーだけじゃない。ハリー以外にも気絶したりする人が出る可能性はある。それは許容できないよね。

 

「エクスペクト・パトローナム!」

 

 ということでイザナミ様にお越しいただき、ディメンターどもにはご退場いただくことに……したのはいいんだけど。

 

「……やっべ」

 

 現れたイザナミ様は、全裸だった。正確に言えば、首輪と前貼りだけは着けてるけども。

 それはまさに、今のわたしの姿そのものだった。そういえば、いつも守護霊の呪文で呼び出すと今のわたしと同じ格好でお出でくださってましたね?

 

 だけどわたしが事態を把握してどうこうしようとする前に、イザナミ様は任せろと言わんばかりにキリッとした真顔を見せると、どこからともなくデカくて分厚い剣……剣? 一応剣か。それを持った右手を突き出しながら、炎をまとってディメンターに向かってすっ飛んでいった。相変わらず、全裸のままで。

 あまりにも面白すぎる絵面だけど、自分と同じ姿の人がやってると考えるとわりとシャレにならない。

 

 いや全裸を人に見られるのは別にいいんだけど! それはそれで興奮するけど!

 ホグワーツのほぼ全生徒と全教師陣の前で全裸を見せるのは、さすがにあとが面倒くさすぎる!

 

 だけど今からキャンセルして、服を着なおしてからもう一度召喚しなおす時間があるかどうか。ディメンターの影響が迫る中では、一秒だって惜しいわけで……。

 

 と思った瞬間、競技場から何か棒状のものがものすごい勢いですっ飛んでいくのが見えた。たぶんだけど、ハリーのニンバス2000だと思われる。

 

「……ええいままよ!」

 

 だからわたしは開き直った。あのイザナミ様は消さない。このまま裸の状態で、ディメンターをとっちめていただく!

 

 もちろんわたしは服を着ます。この状況でわたしに気づいた誰かがこっち来たら、色々と面倒なことになる。

 首輪を元の服に戻して、早着替えの魔法で身に着けて……っと。

 

「ケンカの時間だ! コラァ!!」

 

 そしてわたしは意識して大声を上げると、ディメンターたちに向けて追加でイザナミ様をけしかける。先にいたほうは、人の視界に入らない辺りで行動してもらう感じで……。

 

 ところがどっこい。守護霊の呪文追加発動で現れた二人目のイザナミ様は、相変わらず全裸の恰好だった。なんでさ!?

 

「そんなわかってるから、みたいな顔で肩ポンされてもねぇ!?」

 

 二人目のイザナミ様は、にっこりと笑みを浮かべたあと、どこからともなく取り出したヨーヨーをディメンターにぶん投げた。

 ヨーヨーはそのまま空中にとどまったかと思うと、次は投げた本人がそこめがけてローリングして突っ込んでいく。糸で引っ張られる形でだ。

 

 今回はギルティギア縛りですか? 本当、なんなんですかねイザナミ様……。

 

 っていうか、絶対わたしのこと普通にちゃんと認識した上で、あの世からマニュアルで操作してるでしょ? そうじゃないとこれらの挙動は説明がつかないんですよ!

 

 ……まあわたしの心境はさておき、数の増えたイザナミ様がディメンターたちに後れを取るはずなんてなくて。戦い自体は順調に推移してる。

 さながら無双ゲーのごとく。これもうあの方だけでいいんじゃないかな。

 

「……ハリーのピンチだってのにシリウスらしい人影も見当たらないし、もう帰っちゃおうかな……」

 

 なんていうか、どっと疲れた気分だ。全裸で暴れまわる二人のイザナミ様を見てると、やる気がどんどん削がれていくってのもある。

 このままここに留まって、あれやこれや注目を浴びるのも面倒だしな……。全裸のイザナミ様が目撃されることで、全校生徒から色々とあらぬ噂を浴びる可能性はかなり高いけど、この場で面倒ごとに巻き込まれるよりかはナンボかマシでしょ。

 

 そういうことでわたしはため息をついて、土砂降りの中をくたびれたサラリーマンの心境で校舎内に戻ったのだった。

 

 ま、そんなしょぼくれた状態でも、服や髪の毛が肌に張り付いた水も滴るいい女になった皆様を見ればすぐ回復するし、介助のために一緒にお風呂に入ればむしろハイテンションになれるんだから、わたしは単純な女ですけどね!

 みんな違って、みんないいよね!!




ドMも気づきましたが、神様に与えられた「ありとあらゆる物事の才能」には悪人としての才能も含まれています。「ありとあらゆる」なので。
そしてこれまでドMのこいつが、時折状況に引っ張られてドSの要素を垣間見せてた通り、才能の発露は無意識で行われます。
つまりこのチート、意識的に善人であろうとしない限りそっちに寄っていく可能性を常に持ってるんですよね。まあ与えたイザナミ様は、そこまで深く考えてないんですけど。
魔法が使えるようになってから、趣味に突っ走り続けてたからそりゃあ・・・ってわけですね。

チート要望時、自分が欲しいと思った才能を都度獲得する能力、みたいな希望を出してれば、ハーミー相手の純愛を貫くドMが見れたかもしれない。
だけどそんな未来は来ない。来ないんだよ、残念ながらね・・・。

ちなみに今回急に脱ぎだしたのはマジで作者も意図してなくて、ドMの完全なる暴走です。
キャラが勝手に動くとはよく言いますが、今回の話はマジでドMが勝手に脱ぎだしたのでどうしてくれようかと思ったよね。
やるかやらないかで言ったら絶対やるから、ドMの意思を尊重せざるを得なかった・・・。
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