才能に恵まれすぎたドMが魔法界で百合逆ハーレムを目指す話 作:ひさなぽぴー
試合はスリザリンの勝利だったらしい。ただ、その経過は若干原作とは違う。
ディメンターの接近で気絶したハリーが箒から落ちたところまでは、原作と同じ。
だけど、そこからスリザリンがスニッチを取るまで少し時間があったらしい。点数も、ギリギリの僅差だったみたいだし。
ここはドラコとセドリックの腕の差か……と思ったあなた、それは違う。いやそうかもしれないけど、ドラコがスニッチ獲得に手間取った原因は主にわたしだ。
これは仕方ない。だってドラコいわく、ハリーが落下するのを見た直後、視界に飛び込んできたのが全裸のわたし(イザナミ様)だったらしいからね……。
ドラコだって思春期の男の子だ。いくらわたしがロリボディだとしても、同級生の女の子の全裸なんて見たら動揺するに決まってる。
ハーミーたち? まあわたしのすることだし、そんなこともあるよねってリアクションだった。
「どうせ解放感がすごいってテンション上げてたんでしょ」
「世界の真理に目覚めたとか言ってそうですわよね」
「二人ともすごいや、なんでわかるの?」
「あなたの考えることなんて丸っとお見通しよ!」
「わたくしは半分くらい冗談のつもりでしたけどね……」
とまあ、そんな感じ。
「あたしも脱いだら世界の真理に目覚められるかな?」
「やめなさいルーナ。いや本当に、この子のマネはしちゃダメだからね!」
「そうですわよルーナ、早まってはいけませんわ!」
「わたしはいいと思う。一緒に裸で出歩いてみようか」
「ん、行ってみる」
「「リン!! ルーナ!! ステイ!!」」
「わんっ!」
「わん?」
……なんて一幕もあったりしたけど、最終的にはわたしが二人にひっぱたかれたりして、一方的に気持ちよくなって終わりました。
ちなみに試合後、わたしは血相を変えたドラコに思いっきり説教されてます。
「なんて恰好をするんだ!! 君は女の子だろう!!」
と、吼えメールもかくやの音量で。すごい剣幕だった。シーカーとして高いところに陣取ってた彼には、しっかり見えちゃったってことらしい。逆に言えば、目撃者はそんなに多くないみたいでそこは安心か。
あれは守護霊でわたしじゃないんですって言おうかとも思ったけど、ドラコの言うことはもっともだったので、わたしはしおらしくしゅんとしておいた。
全裸で暴れまわってたのは主にイザナミ様だけど、わたしも雨の中全裸で徘徊してたし、まあ仕方ないかなって。
なおこの一連の流れを受けてか、ドラコに「オカン」ってあだ名がついた。本人はものすごく嫌そうにしてた。
おまけにこのあだ名が寮外に流出して一人歩きし始めたものだから、主にグリフィンドールの人たちが日ごろの鬱憤を晴らすみたいなノリで使いまくってる。
もちろんこれには大層ご立腹のドラコだし、ロンはめっちゃ楽しそうにしてました。本当に水と油だよねあの二人。
なおわたしは、あだ名の由来を聞いたロンからもお説教された模様。「まさかこの僕が、マルフォイに全面的に同意する日が来るとは思ってなかったよ」で締めくくられました。ハリーもそうだそうだと言っています。
ま、イザナミ様がディメンターをノックアウトして、あまつさえ消滅まで行けるってところは見られてないっぽいから、実質わたしはノーダメージみたいなもんよ。
で、これ以降わたしを見る目……特に男子からの視線に、相当数のエロ目的な色合いが混ざったのは言うまでもない。イザナミ様が見えた人はほとんどいないみたいだけど、話の経緯を聞いて色々と妄想たくましく膨らませた結果だろう。
その中には、パンジーも含まれてる。男子たちほどギラついた目ではないけど、明らかにわたしを意識してる様子が窺える。わたしを見てる頻度も上がってるぽいし、これは今後の展開に期待できるかも。
ちなみになんだけど、実はわたしを手籠めにしようと考えてる生徒がいないわけじゃない。らしい。
でも今のところ、被害は出てない。半純血以下に対しては純血たちがバカなマネするなよって牽制してるし、純血たちは常に隣にいるダフネに遠慮して動こうとしないし。
入学直後なら、別に襲ってくれても構わなかったんだけどね。今はもう、ハーミーたちがいるからさすがに襲われるのはNGだ。
だから今の均衡した状態は、わたしとしてもありがたい。ここまで純血の皆様にしっかりお仕えしてきたかいがあったってもんだよねぇ。
それで……えーっと、なんだったっけ。
ああそうそう、クィディッチね。
そんなわけでスリザリンがギリ勝ったんだけど、勝ち方がアレだったからか、ドラコは素直に勝利を喜べない心境らしい。グリフィンドール生に対しては尊大に振る舞って勝ち誇ってるけど、スリザリン寮内ではそういうそぶりは見せてないんだよね。
彼以外のスリザリン生の大半は、勝ちは勝ちだと普通に盛り上がってただけに意外だ。
あんだけ真面目に練習してたし、トラブルなしに正面から勝ちたかったとか? 俺様にも気に入る勝ち方と気に入らねえ勝ち方があるんだよ、とでも言ったところだろうか。
それはそれとして、ハリーを派手にいじりに行くんだから、なんだかんだでドラコはやっぱりドラコだよなとも思うけど。
これまでハリーに散々してやられてきたからねぇ。気持ちはわからなくはないけど、大体は自業自得だし、勝ったことを幸いに一日一回絡みに行くのは相当だ。ルーナが改めて「やっぱ好きなンじゃない?」って言うのも無理はないっていうか。
一方のハリーは、これ以上ないってくらいの凹み方をしてる。こっちはこっちで無理もない。
ニンバス2000は原作通りの末路を辿ったし、原作と違って守護霊の呪文を練習してたにもかかわらず、実戦で使えずまたしても気絶したわけだもんね。
おまけにこの世界のハリーは、既にジニーといい雰囲気だ。たとえその関係をまだ認めないのがウィーズリー家の総意だとしても、実態としてハリーとジニーが付き合ってるのはもう間違いない。
思春期で彼女持ちの男が、いいとこなしで気絶して負傷までするところを見られるとか、そりゃまあ凹むのも当然だよね。わたしが人生一回目で同じシチュエーションにぶつかったら、冗談抜きに泣くと思う。
ややこしいのが、思春期ってこういうタイプの失敗は好きな女の子にこそ慰められたくないって心境になる子が一定数いるんだよな。ハリーもそうなるタイプだったみたいで、ジニーの言葉もあんまり響いてないご様子。
それでも二人の関係にヒビが入ってないのは、ジニーがずっと献身的にハリーを支えようとしてるのをハリー自身がちゃんと理解してるからだ。
根本的には優しい少年なんだよな、ハリーって。原作でも、こういう性格面ではリリーに似てる的なことはよく言われてたもんね。
ただ理解してはいても、感情がついてこないのが思春期ってやつだ。だからこそ、二人のことは時間に任せるしかないんだろう。
……ところで、一連の騒動を聞いてバチクソキレ散らかした人が一人いる。
ダンブルドア先生じゃないよ。いや彼もめちゃんこキレてる一人ではあるんだけど、彼を上回るキレ方をしてる人がいて。
『そんな危険な連中をホグワーツに入れるとか、魔法省の連中は頭にウジか何かでも湧いとるんか!?』
そう、真面目委員長系バジリスクのイシュカさんである。
彼女は今回の件を聞いた瞬間、怒髪天を衝いた。その大きな身体を目いっぱい使って秘密の部屋内を暴れまわり、何度も何度もその野太い胴体で床を叩きまくってヒビを入れたそうな。
ディメンターの件をイシュカに話したのは、たまたまお世話当番の日で顔を出したハリーだったから、その大暴れシーンを目撃したのも彼だったんだけど、去年度この状態のイシュカと戦わずに済んで本当によかったって真顔で言ってた。
真面目すぎるイシュカが聞いたら間違いなくキレるから、絶対にディメンターのことは話さないようにって新学期初めに言っておいたのに、なんで説明しちゃったんだ。ああでも、落ち込んでたからつい話しちゃったのかなー……。
知られちゃったからには仕方ない。そう思いながらも、イシュカをなだめるのを手伝ってほしいってハリーに請われたわたしが、秘密の部屋に入って最初にしたのが以下のやり取りです。
『来たなリン! 貴様、守護霊の呪文が使えるんじゃろ!? 殺るぞ! 今すぐに連中をこの世から消し飛ばすんじゃ!! 妾も出る!! 共に連中を殺して殺して殺しつくして、根絶やしにしてくれようぞ!!』
『あわわわ……ど、どうしようリン……! イシュカってばずっとこんな調子で……』
『うわあ』
長く生きた強力な魔法生物が本気の本気で激怒すると、こんなにヤバいのかと思ったよね。
魔眼で視ればわかるけど、魔法族で言うところの魔力暴走みたいな現象が起きてて立ってるのもやっとだったんですよ。魔法生物もカチキレると魔法力吹き出すんだね……。
ただその、気持ちはわからなくはないけど、普通の守護霊じゃディメンターは追い払うしかできないんですよ。わたしの守護霊は普通じゃないから倒せるけど、それは大っぴらにしたくないので内緒だ。
あとそもそもの話、ディメンターには目がないから、イシュカであってもどうにかできるようには思えないんだけど……その、心意気は伝わったよねって。
とりあえずそこらへんの相性的な話もあるし、イシュカを部屋から出すのは難しいから、吉報をここで待っててくれってなだめたけど……。
『ならば魔法省の連中じゃ! 責任を取らせてやる!! 主様の作りたもうたこのホグワーツに仇なす輩には死あるのみぞ!! まずは魔法大臣からじゃ! ファッジのバカはどこじゃ!!』
ダメでした。マジで本気の本気で怒っていらっしゃる。
ファッジなら研修で南の果ての島に行きましたとか言いたいけど、そんな冗談が許されるような雰囲気じゃない。
本来の在り方からして、ホグワーツ守護こそが使命のイシュカだ。怒りが収まらないのはわかるんだけど……このまま本当にファッジを殺しに行くのはまずい。
ただでさえ、存在自体がアウトに近いイシュカだ。これで死人を出したら、マジでかばうのもかばえなくなる。
こうなったら仕方ない。わたしは最終手段に出ることにした。
『イシュカ、イシュカ』
『なんじゃあ!?』
「
『んぉあ……』
よし成功した。ガチギレ状態だし、バジリスクのイシュカに通すにはこれくらいいるだろうと思って、今のわたしにできる全力でぶっ放しただけに、これで成功しなかったらどうしようかと思ってたところだ。
……え? 催眠?
え……いや、何言ってるの……?
フィニートで効果が解けないようにするのが難しくって、全然目途が立たないんだよね。もう三年以上取り組んでるんだけど。
とまあ、今はないものねだりしてもしょうがない。だから代替手段でオブリビエイトになる。元々そういう魔法だしね、コレ。
「……え、ええ? ちょ、リン? 何したの?」
「ちょっと忘却呪文をね……。もうかくなる上は忘れてもらうしかないよ……」
はあ、とため息をつくわたし。それもそうか、って反応をするハリー。君もだいぶ魔法界に染まってきたね。
でもイシュカについては申し訳ないけど、今回の事態そのものを忘れてもらうしかないのは間違いないからなぁ。
そうでもしないと、マジで魔法省に乗り込んで殺戮の限りを尽くしかねない。真面目は真面目なんだけど、メンタルが中世人なんだよなぁ……。
『お。おお? すまんな、ちとぼーっとしてしもうた。何の話をしておったかのう』
『ハリーが不注意で試合に負けちゃったって話。ずっと落ち込んでるの』
『だ、だってしょうがないじゃないか。僕が不甲斐ないせいでみんなに迷惑かけちゃったんだから!』
ということで、当たり障りのない会話に強引に軌道修正完了だ。ハリーにも、今後ディメンターに襲われた話は絶対にしないように言い含めておくとしよう。
……今ふと思ったけど、ディメンターにここまでキレるイシュカにルーピン先生の人狼症について話したら、これまたブチギレるのでは?
…………。
……うん、この件についても絶対に言わないようにしよう!
激おこぷんぷんイシュカさん。ファッジは命拾いしました。
なおもう一回命の危機がある模様。そうだねアンブリッジだね。あんなやつ派遣したなんて知ったら、絶対プッツンする。
まあこの世界でアンブリッジがホグワーツに赴任してくるかどうかは、まだわかんないんですけどね。
そして早くも記憶の処理が済んでるドM。才能の無駄遣いが過ぎる。
やはり邪神か・・・。