才能に恵まれすぎたドMが魔法界で百合逆ハーレムを目指す話   作:ひさなぽぴー

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35.病を“視”る

 ハリーがディメンターに襲われ、スリザリンとのクィディッチに敗北してから少し経って、11月の末。

 

 最近は、毎日のように放課後スネイプ先生を訪ねて魔法薬……特に脱狼薬についてあれやこれやと聞いてる。

 そんな中、今日はスネイプ先生に誘われてルーピン先生を訪ねることになった。

 

 わざわざスネイプ先生がそんなことをするか? 妙だな……と思ったあなたは鋭い。

 

 今夜は満月でしてね。ええ、ルーピン先生の人狼症が最高潮になり、狼人間に変身してしまう日だ。

 そんな日に、わざわざ生徒同伴で薬を持っていくスネイプ先生。つまりはそういうことだ。

 

「薬が実際にどのようなものか、服用者の意見を聞いてみるのも良い経験になるでしょう」

 

 なーんて、わざとらしい敬語でうそぶく顔には、いかにも悪人って言わんばかりの暗い笑みが浮かんでたからねぇ。学生時代の確執が原因とはいえ、相変わらず陰湿な人だよ。

 

 もちろん、スネイプ先生の思惑に乗るつもりはない。彼があわよくばルーピン先生を社会的に追放することに繋がればいい、って思ってるのは知ってるし、そうするのも仕方ない事情があることも知ってるけど……。

 ぶっちゃけた話、当事者じゃないわたしにしてみれば二人の関係性はわりとどうだっていい話だ。人狼症の危険性は理解するけど、スネイプ先生が薬の調合に失敗するなんて万に一つもないって信じてるから、薬を飲んでる限り何も起きないってわかってるし。

 スネイプ先生も、そこに自信と誇りを持ってるからこそ、生徒を連れて部屋に行くって選択ができるんだろうしね。

 

 そもそもの話、狼人間に変身するのは日が暮れて月が完全に出てから。まだそんな時間じゃないから、現状何も問題はないってわけ。

 原作だと、最後の最後に薬を飲み忘れるっていう大ポカをやらかしたルーピン先生だけど、わたしあれはお辞儀の呪いの影響だとにらんでるんだよね。

 

 ともかくそんなわけで、わたしにとって重要なのは人狼症や脱狼薬の実態を、魔眼で観察すること。それに尽きる。

 

 人狼症は、満月の夜に狼人間に変身してしまう病気だ。だけどそれまでの数日間、満月に近づくにつれて体調が悪化していく病気でもある。その推移を、魔眼で詳細に調べる機会はいくらあってもいい。

 

 ただ、ルーピン先生は満月の日は絶対に自室から出てこない。今までずっとそうだった。会いに行っても、面会謝絶だったしさ。

 だけど薬を飲んだあとそれが人体にどういう影響を及ぼすかを、魔法的に視ることができる機会がどうしてもほしかった。今日、スネイプ先生のおかげでそれを視ることができる。先生には感謝しないといけない。

 

 実際に本心からありがとうございますと言って微笑んだら、スネイプ先生からはいいぞやってしまえと言わんばかりの悪人面を返された。

 ほんまそういうとこやぞスニベルスくん。

 

「……やあセブルス……いつもすまな、い……ね……?」

 

 そして自室でスネイプ先生とわたしを出迎えたルーピン先生は、青白い顔をさらに青白くして絶句した。それはそう。

 

 だけどスネイプ先生は有無を言わさず部屋にずかずかと入ると、薬の入ったゴブレットをぶっきらぼうに突き出した。

 

「今夜の分だ。さっさと飲んでいただこう」

「あ、ああ……うん、ありがとう……。だ、けど、なぜここにミス・ゼンポウジを……」

「彼女は優秀な生徒でしてな。この薬がどのように扱われているのか、どういう効果を及ぼすものなのか、実に……そう、実に強い関心を持っておる。そして吾輩は教師であるからして……担当科目のことを一生懸命学ぼうとする生徒の意欲には、応えてあげるが筋というもの」

 

 どの口案件を饒舌に語りながら、スネイプ先生はにっこりと(実際はにたりと)笑う。

 そんな彼がちらりと視線をよこすのに合わせるように、ルーピン先生もわたしに視線を向けてきたので、わたしこそはにっこりとちゃんと笑ってあげる。

 

「ご安心ください、ルーピン先生。わたしがこの件について他人に明かすことはありません。杖に誓います」

 

 この言葉に、素直に「ありがとう」と即答できるルーピン先生は、やっぱりなんだかんだでグリフィンドールって言うか。こういうときには肝が据わってるって言うのかな。

 

 対するスネイプ先生は不機嫌そうだ。嫌がらせが不発に終わっておこなんだろう。

 こっちの気持ちもわからなくはないけど、生徒の前でそういうのは本当にやめてほしい。心底マローダーズの四人が嫌いなんだなぁ。

 

 ああでも、わたしの特異性をダンブルドア先生経由で教えられてる可能性はあるのか。スネイプ先生の場合、そうだろうとなかろうとやるときはやるだろうなって嫌な信頼もあるけど。

 

「わたし、さる高貴なお方の呪いを解く方法を探しているんですけど……ルーピン先生の御病気も、呪いの一種なんじゃないかって疑ってるんですよね」

「……なる、ほど? その発想はなかったなぁ。言われてみれば確かに、これは呪いみたいなものだね」

「はい。なので、一応とはいえその効果を抑える力を持ってる薬に興味がありますし、それがどう作用するのかも興味があって……それで、押しかけてしまいました」

「そうだね、私の病気は危険なものだ。スネイプ教授が手を尽くしてくれているとはいえね。こういうことはもうしてはいけないよ」

 

 ゴブレットをくるくると揺らしながら、ルーピン先生は言う。

 

 ……なかなか飲まないなこの人。そんなにマズいのか、脱狼薬って。

 

「はい。先生がその薬を飲んで、どういうことが起こるのかを見せていただいたらすぐに戻ります」

 

 ということで、尻を叩くことにした。スネイプ先生もこれにはニッコリ(比喩表現)。

 スネイプ先生、作戦が不発に終わったからか、ずっとはよせんかいボケって感じの顔してましたもんね。

 

 対するルーピン先生は苦笑いだ。だけど生徒にここまで言われたら仕方ない、と言わんばかりに覚悟を決めた顔を作り、薬に口をつけた。

 で、すぐに顔がゆがんだ辺り、マジでマズいんだろうな……。ジェネリック陰陽薬とどっちがマズいだろうか……。

 

 とと、それはともかく。わたしは魔眼を起動する。そうして、薬が人体にどういう風に作用するものなのかを観察していく。

 もちろんメモの準備も忘れない。この辺りはもう慣れたもので、意識しなくてもわたしの手にはメモ帳とペンがある。

 

 とはいえ、着任して三か月近く経ってるからか、ルーピン先生の身体には呪いがうっすらとまとわりついてるのが視える。お辞儀がかけた防衛術の教授職にかかった呪いだ。

 おかげで人狼症の様子が少しわかりづらいけど、ルーピン先生がマズさに耐えきれず時間をかけて薬を飲んでくれたおかげで、解析自体はなんとかできた。

 

 まあ、200ミリリットルにも満たないだろう量の薬を、たっぷり五分もかけて飲み切ったのはさすがにかかりすぎなように思えるけど。いくらマズいからって、もうちょっとがんばってほしかったな……。

 

 だって、危うく魔眼の限界をオーバーしそうだったんだ。魔眼を問題なく連続使用できる時間が五分を超えたの、割と最近なんだからな。

 おかげで今夜はもう魔眼レベル2は使えそうにない。今の感じだと、たぶん起動と同時にクライマックスだ。さすがにそれはできない。

 

 それはそれとして、わたしがこの間ずっと書きなぐり続けていたメモを後ろからのぞき込んだスネイプ先生は、ぎょっとしてた。

 

 何をそんなにびっくりしてるんだい……とは言うまい。わたしのこのメモはすべて魔眼ありきとはいえ、まず間違いないものだ。そこから導き出される仮説や考察が間違ってる可能性はあるけど、少なくとも視た情報は正しいはず。

 しかも量が膨大だ。そんなものを、三年生の子供がたった五分程度で導き出すとかあまりにも現実味がなさすぎる。それくらいはわかる。

 

 ただ、これはあえてのことでもある。スネイプ先生ほどのポーションマイスターなら、これだけの情報があれば何かしら見えてくるものがあるかもしれないって思ってのこと。

 実際スネイプ先生は、書きあがったメモをさっと横から取って、普段から気難しい顔をさらに気難しくして考え込んでる。これは何かアイディアがありそうな感じかな?

 

「その薬、やっぱりおいしくないんですか?」

「……何回飲んでも慣れそうにない味、かな」

 

 わたしのなんでもない質問にそう答えて肩をすくめるルーピン先生は、薬を飲む前よりも老けて見えた。

 

 そんな感想の裏で、ルーピン先生の状態を確認する。初めて視たとき、つまり9月1日も満月だったから今日は比較がしやすい。

 あのときは、呪いによく似た魔法の力が全身を駆け巡っているように見えた。それは今日も、薬を飲む前は同じだった。そこに薬が加わったことで、その力が変質しているのがはっきりとわかる。

 

 恐らくだけど、薬を飲み始める満月一週間前は、もっと悪い形で力は巡っているんだろう。脱狼薬とは、複数回の服用によってこの力を最低限害がない形に少しずつ変質させていくものみたいだ。

 一日でも飲むのを忘れてたら効果がないってのは、この漸進的な変化が実際に人狼症へ効果を及ぼす域に達するより先に、変身のタイミングが来ちゃうからってところかな。

 

 まあここまでしても、人狼症というものの力自体は減っていないし、この質の変化自体も一時的なものだけど……それでもこの状態なら、最悪は避けられるだろう。この変化を、面倒な手順や回数を踏まなくても再現できるようになれば、人狼症患者への偏見ももっと減らせるように思う。

 

 欲を言えば、ルーピン先生には変身後の姿も見せてほしい。でも、それはルーピン先生の心に土足で踏み込む所業ってことは理解してるから、するつもりはない。

 

「……薬も飲み終わったのであれば、吾輩はこれで失礼する。ミス・ゼンポウジ、戻るぞ」

「はい、わかりました」

「素直でよろしい。……念のため、寮まで送る。寄り道などはできないものと思いたまえ」

「もちろんです。そんなことはしませんよ」

「……普段から、どこぞの隠し部屋に足しげく通っている方が言うと説得力がありますな」

 

 あーあー、聞こえない!

 まあ寄り道はしないとは言ったけど、二度とここに来ないとは言ってないわけで。

 

「ということで、また来ちゃいました」

「ミス・ゼンポウジ……来ちゃいました、じゃないだろう……」

 

 まだ変身する時間じゃないとはいえ、夜は刻一刻と迫りつつある時間帯。

 ディメンターもいる現在これは、明らかに褒められない行為だ。温厚なルーピン先生も、呆れと共にかすかな怒りをにじませている。部屋を開けてもらうためにスネイプ先生の声を真似たから、それもあるのかも。

 

 ただわたしとしても、長居するつもりはない。だからすぐに本題に入ろう。

 

「ルーピン先生、これは先生の御病気とは関係のない話です。……いえ、もしかしたらわずかながらにあるかもしれませんが。防衛術の教授職にかけられた呪いの件で」

「……? 例のあの人がかけたという呪いのことかい?」

 

 問いかけてきたルーピン先生に頷き、わたしは説明する。

 

 一年でこの科目の先生が辞めてしまうのは、この呪いの影響であること。ルーピン先生も徐々にこの呪いに侵されつつあること。

 そして、根本的に呪いを解くことはできずとも、呪いの影響を一時的に除去することはできるかもしれないことを、順を追って。

 

「それを解呪できるかもしれない魔法が、わたしにはいくつか心当たりがあります。それを先生に使わせてほしいのです」

 

 一つはわたしが開発したフィニート・アナテモース。まだ完成とは言えないけど、少なくとも魔眼で視た限り今ルーピン先生に蓄積した分の呪いを散らすことはできるとは断言できる。

 ただ、作用するときどういう挙動になるのかはわからない。去年は結局、ロックハートに使うことはなかったからね。だから今回、ルーピン先生にぜひ試してみたい。

 

 それともう一つは、儀式魔法によるお祓い。性行為を伴うやつは相手が必要だから無理だとしても、お祓いならそういうのはいらないから、試せる。これもそのうち調べてみたいんだ。

 まあお祓いには本格版と簡易版があって、本格版だと準備と人手が足りないから、簡易版しか試せないんだけど……そっちはあんま期待はできないんだよなぁ。

 

「それもさっき言ってた、『さる高貴なお方』のためかい?」

「ルーピン先生には申し訳ありませんが、はい。色んな呪いを多角的に研究したくて。もちろん、ルーピン先生がいい先生だからやめてほしくない、というのもありますけれど……」

 

 隠すことなく本音を話す。この辺りは、きちんと全部言っちゃったほうがいいだろうって判断だ。

 スリザリン出身者相手だと逆のやり方になるだろうけど、グリフィンドール出身者の心を動かすときは、正直に接するほうが成功率が高いのは経験則でわかってるからね。

 

「なるほど。私はある意味で、実験台みたいなもの、ということかな」

「有体に申し上げれば、その通りです」

「……ふっ、君は正直者だね」

 

 ほら、好印象。

 

「いや、あえてそうしているのかな。だとしたら、君はきちんとスリザリンだね」

「恐縮です」

「最後にもう一つだけ。……君はその『お方』のことを、どう思っているんだい?」

「お慕い申し上げております。死がふたりを分かつまで、添い遂げる所存です」

「……愛しているんだね」

「はい。この杖に誓って」

 

 断言したわたしを、ルーピン先生は眩しそうに見た。文字通り、血気盛んな若者を見るような目だった。

 同時に、郷愁を宿した目でもあった。悲し気な、けれど優しい目は、わたしを通じて違う誰かを見ているようだった。

 

 ……まあ、わたしが死ぬまで添い遂げるつもりの人はまだ他にもいるんだけどネ! そこは言わぬが花ってやつよ!

 

「わかった。君のその愛に免じて、試してみるとしよう」

「ありがとうございます、ルーピン先生。……恐らくですが、この魔法でも根本的な解決にはなりません。防衛術の教授職という概念自体が呪われているので」

「そのための実験だろう? わかってるよ、構わないさ。まあ仮に成功したとしても、私の持病が持病だ。呪いに関係なく、辞める可能性は常にあるわけだけど」

 

 そう言って自嘲するルーピン先生の顔には、ある種の諦観が見えた。

 

 わたしはその諦観をぶち殺すために、魔眼を起動しながら杖を取る。

 

呪いよ終われ(フィニート・アナテモース)!」

 

 そうして、わたしの杖から放たれたオーロラのような輝きの閃光が、ルーピン先生の身体を射抜いた。

 




本編とはほぼ関係ないんですけど、DQ1&2HD2Dをクリアしたら3がやりたくなったので、また3HD2Dをプレイし始めたんですよ。
せっかく今更新してるし、セクシーギャル勇者リンちゃんの冒険って体で、ハーミーたちをパーティメンバーにして初めてみたんです。
ところがね、キャラメイク時の性格がずのうめいせきとかおじょうさまとかだった彼女たちが、冒険の過程で手に入るガーターベルト装備によってセクシーギャルに固定されて、ガーターベルトが手に入るたびにその人数がじわじわ増えていく流れ、プレイしてて本当に笑っちゃうんですよね。
一人ずつ、確実にドMに染められていってる・・・。冒険の中で、きっとあんなことやこんなことしてるんだ・・・!
そんな妄想と共に遊ぶDQ3。大変面白いゲームです。1&2と一緒に、みなさんもぜひどうぞ(ダイマ
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