才能に恵まれすぎたドMが魔法界で百合逆ハーレムを目指す話 作:ひさなぽぴー
「……んぁ……?」
全身にかかる重さに寝苦しさを覚えて、わたしは目を覚ました。
「ヒェッ顔がいい」
で、目を開けてみたところ、すやすや寝息を立てるパンジーの麗しきお顔と対面して思わず変な声が出た。
改めて意識をしっかりと覚醒させたわたしは、そこで身じろぎしようとしてできないことに気づく。
よくよく見てみれば、わたしはどうやらパンジーに思いっきりのしかかられてるみたい。彼女の柔肌が、わたしの素肌に触れあっていて心地いい。
そう、当然のようにわたしたちは全裸だった。
「……ああ、そういえば昨夜は何発もヤって、そのまま気絶するみたいに寝落ちしたんだっけ」
案の定、一回だけで終わるはずもなく。めちゃくちゃ激しい夜だった。
わたしの身体、あっちこっち腫れあがってるもんね。歯形もついてる。おかげで今も、身体中からじんじんと鈍い快感が響いてくるのよ……♡
いや本当、パンジーすごかった。抜かずに8連発くらいシたもんね。それで終わりってわけでもなかったし。
途中から細かいことなんにも考えられなかったけど、たぶん12連戦くらいやってたんじゃないかな? 最終的な合計発射回数とか、余裕でその倍は行ってると思う。
最初の一回で扉開いてたのにね。この暴走にはさすがのリンちゃんもびっくり。
魔法ってすごい。そう思った。
うん、あれは暴走って表現がしっくりくる感じだった。なんだろう、生えたちんちんを女の子にぶちこむのが気持ちよすぎて、完全にオスの性的快楽に取り憑かれたみたいな感じだったんだよ。ちんちん亭みたいなこと言ってたもん。
ええまあ、宣言通り催淫魔法ぶっぱなしたんですけども。だとしても、さすがのわたしもここまで効果を発揮するとは思ってなかったよ。
ハーミーたちもちんちんと催淫魔法の合わせ技は全員食らってるけど、ここまで……それこそこんな、暴走って言えるほど性欲を爆発させることはなかったんだもん。
「そんなに性欲溜まってたのかな……」
溜まってたのかもなぁ。去年度の後半とか、週三くらいの頻度で催淫魔法受けてたのに、それを発散する手段がほとんどなかったもんね。
当時のパンジーにその手の知識があったかはわかんないけど……ちりも積もれば、って言うしねぇ。
なんて考えつつ、気持ちよさそうに眠るパンジーの顔を改めて見る。うーん、かわいい。すき。
……それはそれとして、やっちまったなって内心頭を抱えてるわたしです。ハーミーたちに謝らないとだ。たとえ部屋から出るために必要だったとしても、催淫魔法ぶちかまして一晩中えっちしまくっていい理由にはならんのよ。
本当にもう、えっちなことが好きすぎる上に、快楽に弱すぎるなわたし。気持ちよくされたらもう、それ以外のことぜーんぶ頭から吹っ飛んじゃうんだもん。
何が救いがたいって、痛い目に遭うならいいじゃん、それのどこに問題が……? って思ってるわたしもいることだよ。悪魔のささやきにしても声量がでかすぎる。
ちなみに彼らイマジナリー天使と悪魔の二人のうち、天使はすっかり堕天使になって、悪魔の隣で寝てる。こっちもこっちで、一晩で完堕ちのようだ。
人のこと言えないけど、えっちなのはいけないと思いますよ!?
これはもうなんていうか、そのうちどこかで痛い目見るぞ。そうなる前に、催眠術か何かでもかけてもらって、性癖を弱めないとまずいんじゃないかしら。
……催眠魔法、いい加減完成させるかなぁ。作ったやつ、自分に使えるかどうかわかんないけど……。
……ところで、パンジー様? そろそろ起きませんか? あの、このままだとわたし、動けないんですけど……。
爆寝? 爆寝ですね。ノーリアクション。
困ったなぁ。力づくでどかすのは気が引けるんだよ。せっかく気持ちよさそうに寝てるんだし。
杖……杖は……あ、裸になったとき床に放置したままだ。普通に手が届かないや。
「……杖なしアクシオしてもいいけど、しばらくはこのままでいっか。まだ朝の4時くらいみたいだし」
懸念点としては、そこはかとなく尿意を感じることだけど……最悪このままでもいいや。ダメなときは素直におもらししちゃおう。
いい歳して何やってんだって? そんな君たちに、いいことを教えてあげよう。
おもらしは──気持ちいい。これマメな。
ということで、開き直ったわたしはパンジーの身体をそっと抱きしめると、もう一度惰眠をむさぼるべく目を閉じる。
二度目の眠りは、案外あっさりやってきた。そして二度目の目覚めも、わりとあっさりだった。
「……ぜ……ゼンポウジ……い、つまで、寝てんのよ……さっさと起きなさいよ……!」
パンジーの、うめくような声が聞こえた。だからわたしは、一気に意識を覚醒させた。
「パーキンソン様? おはようございま……え、あの、どうされました……?」
そんなわたしの目に飛び込んできたのは、渋い顔でじっと固まってるパンジーだった。
パンジーのことだ。全裸で抱き合ってる状態で目が覚めたら、絶対に大きな声を上げてぶん殴ってくると思ってたのに。なんだか意外だ。動きもしないなんて。
もしかして、あれだろうか。散々えっちしたことで、わたしのこと本格的に好きになっちゃったとかだろうか。
なんて思ったけど、すぐにないなと思いなおす。だってパンジー、めちゃくちゃつらそうにしてるもん。なんだかぷるぷると小さく震えてるようにも見える。
「……か、か……」
「か?」
「……身体が……全身が……痛くて動けない……」
「……ひょっとして筋肉痛ですか……?」
思わず笑いそうになるのを飲み込んで聞き返したわたしに、パンジーはのっそりと。そしてものすごく小さく、首を動かした。
すぐに再び笑いそうになるのを、全身全霊で押さえ込んだわたしはよく頑張ったと思う。
いやだって、笑わないとか無理でしょ。何時間もぶっ続けでえっちしまくった結果、全身筋肉痛で翌朝動けないとか。そんなの笑わないわけがない……!
でもわたしは耐えた。耐えきった。すべての原因はわたしにあるんだから、ここで笑うのはいくらなんでも失礼すぎる。
「ええと、このままだとわたしも動けません……ので……その、少しだけでいいので、横にずれていただけませんか……」
「無、理ぃ……! アンタがなんとかしなさいよぉ……!」
「杖なしでアクシオですかっ? で、できるかなぁ……んむむむむ……アクシオ!」
このままくっつき続けてもいいけど、これ以上はやめておくべきだろう。
ということで、杖なしアクシオで杖を引き寄せる。
……引き寄せようとしたところ、杖は勢いよくベッドのふちにぶつかって床に落ちた。
「……えっと」
「なにやってんのよこのグズ……!」
「も、申し訳ありません! もう一度、もう一度やりますので!」
その後何回かの挑戦を経て、どうにかこうにか杖はわたしの手の中に納まった。
この間、なんとかして手をベッドの外に伸ばそうと身じろぎした結果、全裸のわたしたちの身体が触れ合って、朝も早くから延長戦が始まりかねなかった。
なんとか無事に乗り越えられた。危なかった。
「ふうふう……。すぐに身支度をしますね」
「ほんっとうに早くしなさい……本当に……! 今日はホグズミード休暇なんだからね……!」
「ええと、シャワーはどうしましょうか? その……申し上げにくいんですけど、べたべたしてますし、魔法使うよりきちんとお湯で洗い流しておいたほうが……」
「……浴びる……」
「かしこまりました。それでは……ええと、まずはこうしましょうか」
床に転がってた杖を拾い上げて、わたしは出現呪文で椅子を作る。それからシーツに向けてウィンガーディアム・レヴィオーサをかけて、シーツごとパンジーを椅子に移動させる。
このままシャワー室まで運んで、洗ってあげましょう。全身をくまなくきっちりと、ねぇ!
とはいえ、動けないほどの全身筋肉痛だ。下手に触ったら絶対痛がるだろうから、優しく触れる程度で行きます。泡があればいい感じにごまかせるでしょう。
あわよくば、このまま自分の身体そのものをスポンジ代わりにしてご奉仕してあげたいところだけど、それはさすがにまだ早かろう。なのでここは我慢して、手だけで行きます。
「……痛くありませんか。かゆいところなどあれば仰ってください」
「……大丈夫」
それからしばらく、以前みたいにお風呂の介助だ。今回はシャワーだけで浴槽につかることはないけど、こういうことはよくやってたからね。慣れたものだ。
そういえば、今年度に入ってからパンジー相手にはやってないな。やっぱり、ドラコたちに牽制され続けてたから、わたしに絡むの避けてたのかもね。
……ところでパンジー? わたし気づいてますよ。周りであれこれやってるわたしの身体を、ガン見してること。
そんな目で見つめるなよ♠ 興奮しちゃうじゃないか……♥
……って、いかんいかん。また性欲だけで考えてるぞ。
去れマーラよ! 煩悩退散!!
なんてことを考えながらも、てきぱきと仕事を進められるのが今世のわたしだ。シャワーはさらっと終わり、同時に洗浄を進めてた服を着せてあげれば、最後は髪の毛だ。
「それでは、御髪を整えさせていただきますね」
ヴェンタスをちょっといじっていい感じの温風を出して乾かしつつ、髪型を整えていく。
この世界のパンジーは、普通に腰くらいまである長髪だ。映画版とは若干違う。だからちょっと時間がかかりそうだ。
「髪型に何かリクエストなどありますか?」
「……じゃあ、ちょっとふんわりさせてみて。先のほうだけでいいから」
「お任せください」
いわゆる、ゆるふわな感じに髪の毛を整えていく。マグルが同じことをやろうとすると結構時間がかかるだろうけど、ここは魔法界なんでね。
今わたしが手にしてるのは魔法のヘアブラシでして。これを使えば、大体の髪型に対応できるっていう寸法さ。
スリザリンのお嬢様がたの髪を整える機会は去年度からそこそこあったから、今年度から新たに持ち込んだ品の一つ。いつ求められてもいいように、普段から持ち歩いてるのだ。
「こんな感じでいかがでしょう?」
ということで、できた髪型が見えるように魔法で鏡を複数用意して、あちこちの角度から確認してもらう。
「うん、悪くないわ。相変わらずアンタなんでもできるわね……」
「恐縮です」
ぽんと肩を杖で叩かれて、わたしはかしこまる。
……かしこまったけど、わたしの肩を叩いただけでうめいてうずくまるパンジーの絵面はやっぱ面白い。
筋肉痛は治ってないんだから、そりゃ痛いでしょう。本当に無意識にすっと動いちゃったんだろうし、その気持ちもわかるから何も言わないでおく。
彼女が落ち着いたのを見計らって、声をかけよう。
「……そろそろ出ましょうか」
「そ、そうね……こんな得体のしれない部屋、さっさと出るわよ」
「かしこまりました。それでは、お運びいたしますね」
「ん、よろしい」
ということで、部屋を出る。
ただ、パンジーは筋肉痛が深刻なので、シャワー室に運んだときみたく椅子に乗せてウィンガーディアム・レヴィオーサ併用で移動だ。
うーん……。やってるわたしが言うのもなんだけど、パンジーがやってるといかにも平民を酷使してる悪役令嬢みたいな絵になっちゃうのなんでなんだぜ。一種の才能じゃないかなぁこれ。
「パーキンソン? お前昨日はどうして……本当にどうしてたんだ!?」
案の定、最初にでくわしたセオドール・ノットにめっちゃびっくりされた。
「お前……またゼンポウジをいびっているのか。最近はおとなしくしていたようだが、本当に相変わらずだな……」
だけど彼はすぐに取り繕うと、わたしが懸念した通りのことを言ってきた。
今年度は彼やドラコの計らいで、わたしへの風当たりだいぶ温かったんだよなぁ。パンジー包囲網が結成されてて、無形のプレッシャーがずっとかけられてた。パンジーにしてみればさぞ息苦しかったに違いない。
わたしも息苦しかった。ドMは誰かにいじめられてないと死んじゃう生き物なんですよ。
「僭越ながら申し上げます。違うのですノット様。昨夜、わたしたちは隠し部屋の一つに閉じ込められていたのです。脱出するためには
なのでわたしは、即座にパンジーの擁護に入った。
嘘は言ってない。数時間におよぶえっちは、そりゃもう多大な運動でしょうとも。
「多大な運動? そう言うお前は元気そうじゃないか」
「わたしは普段からよく運動しておりますので、慣れております。高貴な方々はクィディッチの選手でもない限りはあくせく動かれる必要はありませんから、無理もないかと」
「……ふむ。まあ、そういうことにしておいてやろう」
わたしの説明に、ノットは疑わしそうな顔をした。だけどそれ以上の追及はせず、
「二人とも、食事の前に一度寮に顔を出しておくんだな。グリーングラスをはじめ何人かが心配していたぞ」
それだけ言うと、クールに去っていった。
「ご忠告ありがとう。そのようにさせていただくわ」
「ありがとうございます、ノット様」
そんな彼の背中に二人で声をかけ……ノットがある程度遠くへ行ったと見たところで、パンジーはおすまし顔を崩した。
「ふんだ、ノットのやつったら相変わらず偉そうなんだから!」
それからわたしに指示を出して、先に進むように促す。仰せのままにぃ。
その道中、周りに誰もいないタイミングで、パンジーはこっそりと声をかけてきた。
「ゼンポウジ、朝ご飯の前にダフネのところに行くわよ。それで、きちんと二人で謝るの。……その、できれば人目のないところがいいけど、どこかいいところないかしら」
「それは……その、そうですね。こんなこと、他の人の耳目に入れるわけにはいきませんし……とりあえず、隠し部屋の心当たりはいくつかあるので、ダフネ様にも提案して見ましょう」
「絶対よ。……はあ、今から気が重いわ。結局、一回だけのつもりが一晩中……私としたことが、一生の不覚よ……」
パンジーはそう言って、深いため息をついた。うん……それはね、わたしも似たような心境。
いやその、セックスをしないと出られない部屋を作ったのがわたしってことはパンジーの前じゃ下手に話せないから、わたしが犯人ってことはきっと知られることはないと思うんだけど。
バレなきゃそれでいいってわけでもないでしょ、って思うわたしもいるのです……。
パンジーの性癖はもうおしまいです・・・(しめやかに
ドMも一応反省はしてます。してるんですけど・・・。
どっちにしても、こいつがマホウトコロに通ってたら闇の魔法使い認定受けて追放されてるでしょうね。間違いない。