才能に恵まれすぎたドMが魔法界で百合逆ハーレムを目指す話 作:ひさなぽぴー
結論から言えば、ダフネはわたしのこともパンジーのことも許してくれた。
まあその、部屋のことは話してないし、わたしがやったことだってわかる余地がないから、当たり前と言えば当たり前なのかもしれないけど。
だからこそ、残り少ないなけなしの良心が痛むといいますかね……。
ダフネに許してもらえて泣いてるパンジーと、それに引っ張られる形で「二人とも無事でよかったですわ」って泣いてるダフネの様子はマジで尊いものだったんだけど、それだけに余計にね……。
なおこの件で、わたしとダフネの関係は完全にパンジーにバレた。ただパンジーは元々察してたから、別に驚いたり取り乱したりとかはない。
わたしを下僕として使うとなるとダフネと一緒にいられる時間が減るだろうから、これからは少し自重するって言ってくれたくらいかな。少し、な辺りパンジーらしい気もする。
「そう言うパンジーは、リンのこと好きではありませんの?」
「……好きとか嫌いとか、この際どうだっていいでしょ。だってコイツはダフネの恋人なんだし……横から私がどうこう言うのはお門違いじゃない」
ダフネがどこか決意したような顔で投げかけた問いに、パンジーはやや硬い声でそう答えた。
昨日も近いこと言ってたな。パンジー、貞操観念がかなりカッチリしてるよね。
一人に対して一人の貞淑な関係が、恋愛におけるあるべき関係って思ってる感じする。三人の女の子に囲まれてる身からすると、なんだか身につまされるというか……。
「今日のホグズミードも二人でデートなんでしょ? もう邪魔なんてしないから、楽しんできなさいな。私は筋肉痛ひどくて行けそうにないから、お土産だけお願い……」
パンジーは続けて少し突き放したような物言いをして、さらに自虐ネタで締めくくった。
これにわたしもダフネも思わず笑っちゃったけど、パンジーの言い方には少し違和感があった。
そう思ったのはダフネもだったみたいで、朝食を終えて、筋肉痛用の軟膏をもらいに医務室に向かったパンジーの背中を見送ったあと、こっそり二人で顔を突き合わせることになった。
「どう思います?」
「あえて話をズラしてたよね? まるでその話はしたくないって感じだった」
「やはりそう思います? ……あの子、わたくしのために自分の気持ちを押し殺すことにしたのではないかしら。こと恋愛に関しては普段の振る舞いに反して、お固いところのある子ですから……」
ダフネはそう言って、憂えるように小さく息をついた。
やっぱりそんな感じの言い方だったよなぁ……。
ただ、この件に関しては下手に突っ込んできてもらいたくない人が他にいる。
もちろんハーミーだ。ルーナも、どちらかというとそういう意見。
「ダフネには悪いけど、私やっぱりパーキンソンのことはあんまり好きになれないわ」
「あたしも。神様は神様なんだから、もっと敬うべき」
理由は違うっぽいけど、そういうわけで二人はパンジーがわたしたちの中に入るのは歓迎できないスタンスなのだ。
「あとダフネ? 友達のこと、そうやって気にかけられるのはあなたのいいところだと思うけど……だからって、それでリンとの関係を繋げようとするのは違うんじゃないかしら?」
「……それもそうですわね。これはしないほうがいいタイプの同情、ですわね……」
そしてこの件に関しては、ハーミーがこうぶった切って一旦落ち着いた。
少なくともパンジーのほうが潔く身を引くムーブをしている以上、わたしたちがどうこうするのはそれこそお門違いだろう、ってことだね。
わたしも反論はない。パンジーのことは大好きだし、昨夜のえっちはめっちゃよかったけど、やっぱりわたしの一番はハーミーたちだ。
彼女たちの想いを無視して、パンジーとどうこうするのはさすがに不義理がすぎるだろう。
だからパンジーについては、これでいいんだろう。
……くうっ、残念だ! パンジー、なんとかしてわたしのこと諦めずにアタックしてきてくんないかなぁ!!(未練たらたら
「……それで? 昨夜は結局何がどうだったの?」
アッハイ説明いたしマス……。
「えっと、実はかくかくしかじかで……」
「な……なるほど? その、経緯はよくわかったわ。あんまりわかりたくないけど……」
「……あの部屋、あなたの仕業だったのですね……。そうですわよね、あんなおバカな部屋、作るのはあなたくらいですわよね……」
そうですね(棒
「はあー……。あなたとパンジーが無事でよかったと安堵した、わたくしの涙はなんだったのでしょう? わたくし、とても傷つきましたわ」
「あう……本当にごめんなさい……」
「ダメですわ、許しませんわ」
「はい……」
むすぅ、と頬を膨らませてジト目を向けてくるダフネ。その雰囲気は、アストリアがすねているときとよく似ていた。さすが姉妹。
だけどそれを向けられるとなると、困ってしまう。わたしは思わず、ハーミーに目を向ける。
すると彼女も、似たような目をわたしに向けつつ、でダフネに寄り添った。
「そんな目をしたってダメよ、ちゃんと反省すること」
「は、はい……」
「部屋を作ったこと自体はリンの性癖を考えればある意味当然とは思うし、パーキンソンのことも状況的に仕方ないとも思うわ。でもそれはそれとして、私たちの気持ちをもうちょっと考えてよ。昨夜、いつまで経っても現れないあなたに、私たちがどれだけ心配したか……」
「う、ほ、本当にごめんなさい……」
「部屋から出られないにしても、リンなら守護霊でメッセージくらいは出せたでしょ? そういうところよ、本当に」
「はい……以後気をつけます……」
こういうとき、正論をストレートにぶん投げてくるハーミーの言葉は本当に痛い。でもこれはわたしがやらかした罪なわけだから、きちんと受け止めないとね。
まあ、無言でじーっと見てるだけのルーナのほうが、ある意味怖いんですけどね……。な、何を考えてるんだろう……。
「というか、いくらえっちしないと出られないって言っても、一回でもすれば出られるはずでしょう? なのになんで朝まで出てこなかったのよ?」
「そ、それはその、シンプルにパーキンソン様が……すごい性豪で……」
あ、信じてもらえてない。しらーって感じの目を向けられてる。
でも前回言った通り、マジでこれは嘘じゃないからね。確かにわたしは催淫魔法を使ったけど、それを加味してもパンジーのハッスルすごかったんだから。
ということで、八咫鏡を使って潔白を証明することに。
……こんなことに使ってばっかだな八咫鏡。あの遺跡を作り上げた過去の天皇家も、まさかこんなことにばっかり三種の神器を使われるとは夢にも思わなかっただろう。
なんなら神様たちはどう思っていらっしゃるのやら。イザナミ様はたぶんオールオッケーだと思うけど、アマテラス様は……い、一応謝っといたほうがいいかな?
いやでも、アマテラス様にはアメノウズメ様のストリップショーで引きこもりを解消した逸話あるし……きっとえっちコンテンツ大好きだと思うんだよな……(偏向報道
***
朝までハッスルした件については、どうにかこうにか情状酌量を認めてもらえた。みんな優しいね。すき。
でも理屈と感情は違うんだからね、って釘は刺されたし、当面はえっち禁止の罰則をいただくことになった。
「自分を慰めることも禁止ですわよ。それでその状態で、愛し合っているわたくしとハーマイオニーの営みを、涎とかその他諸々を垂らして眺めていればいいのですわ!」
わたしを放置して、ハーミーと舌を絡めながらダフネはそう言った。
ガチ生殺しの刑である。わたしは今世で初めて本気で泣いた。
「じゃあその間、あたしが神様を慰めてあげるね……♡」
「る、ルーナ……!」
まあそれらの罰は、ルーナがわたしについたことでうやむやになったんだけど。
漁夫の利よろしくわたしを独占しようというその動きに、ハーミーとダフネが慌てて止めに入ったからね。
最終的に、今日のホグズミード休暇と夜の営みで目一杯ダフネを甘やかすということで落ち着いた。ハーミーの分はクリスマス休暇中。
あと、ルーナにもたくさんご褒美をあげなきゃいけない。お説教が終わったあと、わたしの耳元でこっそりと、
「罰、軽くなってよかった」
ってつぶやいてくれたからね。どうやらわたしを独占したかったわけじゃなくて、わたしが罰で苦しんでほしくないからだったらしい。
これにはわたしも感涙。持つべきものは敬虔な信徒である。神様やっててよかったかもしれない。
とまあそんなことはあったけど、二度目のホグズミード休暇だ。いつまでもだべってるのはもったいない。
なのでわたしたちは朝の諸々を済ませたあとは、ルーナを残してホグワーツを出ることになった。ルーナが寂しそうにしてたから、来年は一緒に行こうねって言いながらキスしておく。
所属年が違うから仕方ないんだけど、今からわたしたちが卒業したあとがちょっと心配だ。
「あ、リン。これからホグズミード? 遅くない?」
と、諸々準備を済ませて待ち合わせ場所に移動する最中、ハリーに出くわした。
「ハリー。うん、パーキンソン様のお世話とか色々してたらちょっと。そういうハリーは例の場所?」
「……いつものことだけど、つらいなら言ってよ? 力になるから」
「うん、ありがとう。でもわたしは大丈夫だよ、好きでやってることだから」
「いまだに信じられないけど……まあ、そう言うなら。それでえっと、僕の今日の予定だったっけ。うん、教えてもらったところに行ってみるつもり。どんなところか今から楽しみだよ」
「ふふ、楽しんでくれると嬉しいな。じゃあ、ジニーによろしくね」
「う、うん。気をつけてね」
照れた様子で頬をかくハリーを微笑ましく見送る。
……ふむ。どうやらホグズミードに是が非でも行きたいって感じじゃないっぽいな。よしよし、色々と根回ししてたかいがあった。
原作だと、この二回目のホグズミード休暇でハリーは、シリウスがアズカバンに入れられた経緯を知ってしまう。シリウスが親友であるハリーの父親たちを裏切って、命を落とすきっかけを作ったって言う話をね。
もちろん真実は違ったわけだけど、この時点でそれを知ってる人間はシリウスとピーターしかいない。世間はダンブルドア先生も含めてそうだと思ってたわけだし、他ならない魔法大臣のファッジが話してたとなれば、そりゃあ信じちゃうよ。
ホグズミードに行けないハリーがどうしてホグズミードにいたのかと言えば、もちろん勝手に抜け出してきたからだ。
その行動の是非はともかくとして、そういうことが起こるからこそ、今回のホグズミード休暇にハリーを行かせるわけにはいかないんだよね。
シリウスの名誉を回復させたい思惑があるわたしにしてみれば、ハリーがシリウスを憎む原作通りの展開は断固拒否なのさ。あとが面倒だから。
というわけなので、ハリーにはジニーとのアスレチックデートを提案しておいた。
会場はホグレガでおなじみ、ヘロディアナの間。アクシオやデパルソを駆使してパズルを解く、そんな隠し部屋だね。
うん、あそこアトラクションとしては、ちょうどいいと思うんだよね。台に上ったり下ったりはちょっと大変かもだけど、全身を使った運動になるし、魔法を使って解くパズルはティーンエイジャーにはなかなか面白いはず。クリアすれば、ささやかだけど景品だってある。
おまけにあの手の仕掛け部屋の中では、一番難易度も危険度も低いからね。二人で遊ぶ分には最適じゃない?
懸念点は、ハリーがアクシオやデパルソを使えるかってことだけど……この点については問題ない。何せ去年、ロックハートの授業ではヘキャット先生流防衛術の一環として、アクシオやデパルソを教えてるからね。
まさかロックハートに感謝する日が来るとは思わなかっただろうけど、ともかくそういうわけで、ハリーもホグレガ式アクシオは使える。これでジニーにかっこいいところを見せてあげてほしい。
なんなら魔法を教える名目で、ちょっと手と手が触れ合ったりしてみたりとかね。
どうやら反応を見る限り、ハリーも乗り気みたい。よかったよかった。
双子から忍びの地図をもらったらどうなるかわかんないけど、二人にはそれとなくデートの情報を流してあるから、今日はまだ地図は渡してないと思う。これなら、ハリーがホグズミードに行こうとすることはないでしょう。
代わりにハリーが双子に絡まれる展開になるかもだけど、そのときはがんばってもろて。
そんなことを考えながらわたしは、普段と変わらない様子を取り戻したダフネと玄関前で合流した。
「ホグズミードに入る前に、ちょっと寄り道したいところがあるんだけどいい?」
「構いませんわよ。どちらですの?」
この前と同じく、昴48式にまたがって空を飛びながら、そんなことを話す。
すっかり冬に染まった空気が冷たい。でも暖気の呪符と、二人でくっついていればなんともないんだぜ。
「叫びの屋敷」
「……正気ですの?」
「あそこは別に何もないところだよ。
「そういうことならいいですけど……ないならどうして寄り道するのです?」
「シリウス様がいるかもしれないから」
「なるほど」
というか、原作だとたぶん叫びの屋敷を拠点にしてたと思うんだよな。
シリウスはこの屋敷の噂の正体が、学生時代のルーピン先生ってことを知ってるんだ。つまりここに、危険な存在がいるわけじゃないって知ってる。
そのうえで、恐ろしいものがいるって噂になってる屋敷だ。噂を恐れて人は滅多に寄ってこないんだから、身を隠す場所としてはちょうどいいよね。ホグワーツに直通の隠し通路まで完備されてるし。
そう思って立ち寄ってみたんだけど……。
「レベリオ。……ダメだな、誰もいないや」
屋敷はもぬけの殻だった。
念のためちょっと中も見てみたけど、誰かが出入りしたような様子もない。マジで何年も人が立ち入ってない、あばら家って感じだ。
「当てが外れましたわね」
「本当にね。うーん、だとすると本当にもう心当たりがないんだけどな……」
マジでシリウスどこにいるんだ。ここまで影も形もないなんて、これじゃ「アズカバンの囚人編」ってタイトルが誇大広告みたいじゃないか。
いやまあ、シリウスの所在でやきもきしてる現在はある意味で「アズカバンの囚人編」なのかもしんないけど。ここまで露骨な引き延ばし、テレビシリーズとかでやったら絶対途中で視聴者から切られちゃうぞ。
……禁じられた森で、アクロマンチュラに食われたとかないよね? ないって言ってくれよ!? マジで!!
わたしは思わず、眉間に指を押し当ててぐぬぬとうなる。だけどそんなわたしの腕を、ダフネが引き寄せた。
「あまり気にしすぎてもいけませんわ。せっかくの外出なのですから、楽しみましょう?」
「ん……うん、そうだね。デートなのに、他のことで深刻に悩んでるのはよくないね」
ダフネの言う通りだ。ホグズミード休暇はデートの日なんだから、何よりダフネのことをきちんと見てあげないと。
「……それじゃ、改めて。行こっか」
「ええ。目いっぱい楽しみましょうね」
そうしてダフネと軽くキスをして、わたしたちは腕を組んでホグズミードに足を向けたのだった。
そんなわけで、パンジーについては当面そういう方向の話はしないことになりました。
恋愛への考え方がお固いのと、ダフネのことを想ってパンジー側が身を引いた形であり、ドMも自重した形です。
ただあくまで当面のつもりなので、いずれまたどこかで・・・というのはあくまで作者の考えですが。
キャラが勝手に動いた結果、全然違う方向に転がる可能性は無きにしも非ず。
パンジーは果たして、ドMの魔の手から逃れることができるのか!? 負けるなパンジー、がんばれパンジー!
これもうどっちが主人公かわかんねぇんな。
~おまけ~
?????「違うの! あれは違うの! 私はえっちコンテンツに釣られたんじゃなくって、宴のにぎやかさに釣られたんであって!!」
????「再現映像(神話を再現した儀式)捧げられたら毎回食い入るように見てるのに・・・?」
?????「お母様!!!」
????「現代の再現映像は自主規制のせいで全然そそられないって言ってたのに・・・」
?????「お母様!!!!!!!!」
なおその場に居合わせて爆笑した末弟は理不尽にぶん殴られた模様。