才能に恵まれすぎたドMが魔法界で百合逆ハーレムを目指す話   作:ひさなぽぴー

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8.ハリー・ポッターと賢者の石with転生者 上

 ドラゴンが無事にドラゴンキーパーたちに引き取られ、ホグワーツを去った翌日のこと。

 ハリーたちの夜の罰則は、大体原作通りだったらしい。ドラコとネビルとハーミーがいないから二手に分かれることはなかったって聞いたけど、ユニコーンの血をすすってるへんたいふしんしゃさんと遭遇して、額の傷が痛んで危なかったところをケンタウロスに助けられた、と。

 飲んでしまわれたか。これはクィレル先生、助からんやろなぁ……。

 

 そしてケンタウロスから、ヴォルデモートが賢者の石を狙ってるっぽいぞと解釈できる曖昧な警告をもらったハリーは、早速ハーミーに情報共有。ハーミーもわたしに情報共有をはかり、改めて第三次スネイプ先生包囲網が結成されたってわけだ。

 

 ……まあ、そんなことより学期末試験が近くて学生的にはそっちのほうが大事なわけだけど。

 

「少なくとも表面上は先生してるんだし、しばらくは動けないんじゃないかなぁ。だって試験問題って、作るのすごく大変なんだよ。それをホグワーツの場合、一人で七年生分全部でしょ? しかも普段の授業と並行してやらなきゃいけない。周りの目を盗んで先生たちの守りも突破して、なんて時間絶対ないと思う」

 

 わたしのこの主張に、ハーミーが頷いた。ハリーとロンも、言われてみれば確かにって顔だったので、無事に包囲網はみたびの解散になった。

 

 一応、大人の魔法使いと戦わないといけなくなるかもしれないから、ってんで戦いに使えそうな魔法を各自覚えようってことにはなった。一年生が三か月弱でどれだけ覚えられるかはわかんないけど。

 

 そういうわけで、この先のイベントポイントは一つだけ。試験の最終日、相変わらず口を滑らせるハグリッドから、石の守りに関する秘密が漏れていることが発覚してからだ。それまでは学生の本分をまっとうすればいい。

 

 なんて言いつつ、わたしは試験勉強なんてしないんだけどねー。するまでもなく、今年一年間の成果はすべて頭に入ってる。相変わらず、神様さまさまなんだなこれが。

 

 まあその分、試験直前の今は教えを請われることが多いんだけど。さすがのスリザリン生も、明確に点数がつけられる進級試験でしのごの言ってる場合じゃないらしく、穢れた血から教わることも致し方なしって空気がある。

 

 この辺がうまいのはドラコだ。いつも引き連れてる取り巻きのクラッブとゴイルを相手に、談話室で世話を焼いて勉強を教えてることが多いんだけど、あえてわたしに質問を飛ばして「この程度のことは、いくら穢れた血でも既に理解しているな?」とか、「お前の知識をはかってやってるんだ」とかいう体裁を取って解説させるんだよね。

 それもある程度人がいるときにだ。彼自身も勉強の再確認になるし、わかってない生徒にはきちんとした解説になるって理解してるんだろう。さすがマルフォイの嫡男って感じだよ。

 

 それ以外の空いた時間はというと、もっぱら一人必要の部屋で過ごしている。いつも通り、時間を引き延ばした中で色んな特訓や実験だ。

 

 特訓のほうは前にも触れた閉心術が中心だけど、一般的に難易度が高いって言われる消失呪文(エバネスコ)守護霊呪文(エクスペクト・パトローナム)なんかは既に大体習得済みだ。クィレル先生に感謝。

 かわいい女の子たちに囲まれて前も後ろも上もまとめて思いっきり犯されてるところを想像した悦びで、あっさりと有体のパトローナスが出てきたときはマジで笑ったけど。

 

 あと無言呪文、無杖呪文にチャレンジしてみたりもしたけど、こっちはまだ難しそう。入学前に覚えられたのは少ないし、そもそも3年あったから覚えられたんだし当たり前っちゃ当たり前。身近に頼れる教師がいる分進みは早い実感があるけど、それでもさすがにね。

 あとアニメーガスも覚えたいんだけど、これは習得に運が絡みまくる魔法だからひとまずはいいかな。今はクィレル先生フィーチャリングお辞儀との戦闘に備えて、戦闘訓練ができる部屋を出して実戦さながらの特訓が中心だ。

 

 ただ……これについては本当に戦闘訓練以外の目的はなかったんだけど、訓練を繰り返す中で古代魔法関係の何らかの力の痕跡が周りに散らばるのが見えてちょっと頭抱えてるとこ。それに近づいたらわたしの身体に吸収されるし、そういえばホグレガでも戦闘中の行動で飛び散った青い玉を取ると古代魔法ゲージが溜まる仕様だったな……ってなってるんだよね……。

 

 ……でも、この力を攻撃に転用する訓練もしておいたほうがいいんだろうな。使う機会がどれくらいあるかはさておき、古代魔法を介して放った攻撃ってプロテゴ貫通特性がつくはずだし……。

 でもタル爆弾とか拡散アバダは……さすがにやるつもりはないよ。あれらはいくらなんでも人の心がなさすぎる。めちゃくちゃ効率のいい敵の倒し方ってことは理解するけどね……。

 

「リン! 大変なんだ!」

 

 ……おっと、いよいよ賢者の石編最後のイベントが始まるようだ。ハリーたちに呼び止められたわたしを見て、ドラコたちがぎょっとしてる。

 

 いやあ……話しかけるところ、もうちょっと考えてほしかったな。わたしがドラコに根回ししてなかったら、大変なことになってたよ。それでもスリザリン生たちの前でとは思ってなかったけど。

 仕方なく、わたしは無礼を承知でドラコにそっとささやいた。

 

「失礼……マルフォイ様、例の件です」

「ああ、あれか。いいだろう……うまくやってこい。しくじるんじゃないぞ」

「仰せのままに。……それでは、行ってまいります」

 

 ドラコには、4階の立ち入り禁止区域の先にあるものを狙っているやつが校内に潜んでいること。ハリーたちがそいつ(誰とまでは言ってない)を捕まえようとしていること。わたしがそれに巻き込まれていることを既に伝えてある。

 これを聞いたドラコは、放置を決め込んだ。

 

 この判断はある意味当然で、スリザリン所属の人間は大体の場合「勝つこと」じゃなくて「負けないこと」を重視する。そのために必要なのは客観視で、相手の実力がわからないのに一年生だけでなんとかできる、なんて思うほどスリザリンは自分の力を過信してない。

 

 まあ実際は放置の判断をする前に、ハリー憎しで詳しく調べ上げて密告しようとしてたんだけど。試験期間中にそんなことにかまけていて、大事な進級試験に万が一があったら問題じゃないのかって指摘したら見事に手のひらを返したよね。

 ミイラ取りがミイラになっちゃいけないというか、ハリーを調べてる過程で犯人に見つかって何かされる可能性だってあるし……って言ったのも大きかったんじゃないかな。

 

 なお、捨て台詞は「せいぜい痛い目に遭えばいいさ」だった。死ねばいいのに、じゃないあたり本当に人の好さを隠しきれない男だ。そういうとこやぞフォイ。

 

「マルフォイがあんなこと言うなんて信じられないや……ねえリン、あいつになんて言ったの?」

「わたしが参加して宝物を守り切れば、スリザリンにもきっと加点してもらえますよって言ったんだよ」

「……君ってやっぱりスリザリンだよ!」

「それ、誉め言葉ですよウィーズリー様」

「様はやめてくれよ! あとそれだとパーシーたちと被るから! ロンでいいから!」

 

 そう、万が一相手が大したことがなくてハリーたち三人が事件を解決してしまった場合、ほぼ間違いなくグリフィンドールに大量加点される。ダンブルドア先生がグリフィンドールひいきであることはスリザリンにとって周知の事実だ(事実かどうかは諸説ある)からこその推測であり、実際それは正しい。原作ではそうなった。

 

 だからドラコは、わたしに対して巻き込まれ続けてろと指示を出した。仮に事件を解決に導けた場合、スリザリン生がその中に一人いるだけでも結果は相当変わるはずだとにらんだのだ。

 そして最悪の場合でも、穢れた血のことは切り捨てることができる。本当、保身に関しては抜群に頭が回るマルフォイである。

 

 このことに対して、わたしに否はない。今回の事件は負ける要素が極めて低いチュートリアル戦のようなもので、実戦経験を積む場所としては都合がいい。

 入学当初はかかわる気なんてなかったけど、ハーミーとがっつり絡んでしまってる今、かかわらざるを得ない。であれば、最大のリターンを取りに行くつもりだ。

 

 大丈夫、ドM的にはアバダさえ食らわなければあとは全部安い。ぜひともクルーシオあたりをお願いしたい。縛れ(インカーセラス)はマストで頼む。……あの魔法って、亀甲縛りで縛れたりするのかな?

 

「ハグリッド、とっくに守りの秘密をバラしちゃってたんだ! 例のドラゴンの卵のときに!」

「卵をくれた男に、ケルベロスの対処方法を教えちゃってたんだってさ。信じられないよな?」

「それは確かに信じられないですね……ロナルド様、このことは先生には?」

「だから様ってやめてくれよ! ……言ったけど、信じてくれなかった」

「おまけにダンブルドア先生も、魔法省に呼ばれてて不在なの。今夜動くに違いないわ」

 

 空き部屋で車座になり、話し合う。

 けれど、できることなんてあまりない。ひとまず、みんな事前に練習してた魔法は使えるようにはなってるらしいから、原作より状況はいいと言うべきではあるのかな。

 

「とりあえず、夜を待って例の部屋を覗きにいこう。フラッフィー(ケルベロスの名前だ。ハグリッド命名)が眠ってたり、何か楽器が見えたりしたら、スネイプはもう中にいるはずだよ」

「そうね。眠ってなかったら、そこで待ち伏せしましょう。私たちも何か罠を張って見張るというのはどう?」

「罠ならわたし、双子のウィーズリー様がたから色々使えそうなものを買っておいたんだ。これ使えるんじゃないかな?」

「おお、準備いい! 君、スリザリンにしとくには惜しいぜ!」

「ロナルド様? スリザリンはいいところですし、用意周到はむしろスリザリンの特徴かと」

「だから様はやめてくれって……君のそういうところはわっかんないんだよなぁ」

「できればもうちょっと罠を増やしたいわね。他に何かいい案はない? なんでもいいわ、出せるだけ出しちゃいましょう」

「あ、じゃあこういうのはどう? これとこれと……これ! この組み合わせで、こないだフレッドとジョージがさすがにちょっとまずいかもって話し合ってるの見たんだ」

「いいね、やろうやろう!」

「……ハリー? それはさすがに、ちょっと……」

 

 そうやって話し合って出た結論は、結局のところ実に一年生らしいお粗末なものばかりだった。

 こればっかりは仕方ないとはいえ、お辞儀相手にこんなの秒ももたないだろうなって思う。弱ってる今でも、10秒は絶対無理だろうなぁ。

 

 わたしだけで言えば、やろうと思えばもうちょっとやれるんじゃないかって思う……いや、信じたいところだけど。お辞儀のヤバさをこの目で見たわけじゃないし、どうなんだろう。

 

 ……まあどっちにしても、やることは変わらない。だってもうクィレル先生、攻略に取り掛かってるだろうし。

 

 そしてその予想は正しかった。夜、人目を避けて恐る恐る4階の部屋を覗きこんだわたしたちは……案の定、オルゴールの音色を枕に寝こけてるケルベロスを見つけたのである。

 

 どうやら持ってきたアイテム類は、罠じゃなくて武器とか攪乱用に使うことになりそうだ。

 




我ながら、過去最悪のパトローナス習得方法だと思います。
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