才能に恵まれすぎたドMが魔法界で百合逆ハーレムを目指す話 作:ひさなぽぴー
アイドル云々で脱線したけど、ともかく解呪の儀式の実験は、そんなわけで成功裏に終わったって言っていいと思う。
あとこの日から少ししてから、改めて別の検証もやってみた。
解呪の儀式お祓い版。の、簡易版をダフネにやってみたんだよね。
まあ、残念ながら効果はなかったんだけどさ。やっぱり簡易版じゃダメだったよ。
とはいえ、こっちがダメそうってのは薄々わかってたことだ。成功しなかったって事実も一つの成果ではあるしね。
それでもこのお祓い、無意味ってわけでもない。血の呪いが強すぎて効果が発揮されたように見えなかっただけで、効果自体はちゃんとあったからね。
つまり普通の呪い相手なら、それなりに効果はある。これは簡単な魔法で試してみたから間違いない。
そしてこの効果は、フィニート・インカンターテムよりも強かった。要は使いどころの話で、魔法として無意味とは言えないって結論に達した。
こうなってくると、お祓い解呪の本格版も試してみたいところだけど……これはマジで人手と時間と資材がめっちゃ必要だから、やれる日はまず来ないと思う。
ま、本命がえっちを伴う儀式のほうなのは変わらないから、お祓いはあくまで基礎研究っていうか……役に立つかはわからないけど、役に立つかもしれないからやっていく感じの扱いに落ち着いたよ。
ただその、えっちを伴う儀式で解呪するとなった場合、アストリアの解呪は一体誰が相手するんだって問題もあるからそこはマジでなんとかしたい。
まだ検証回数が少ないからわからないんだけど、もし愛が効果に影響を及ぼしてるとなると、マジで誰が相手すればいいのかわからないからな……。
ドラコに一時的に女体化してもらうとか……? それはその、さすがにまずくない……?
ということで、この件に関しては今のところ棚に上げてる。ワンチャン、愛が関係ないことを祈ってる、って言い換えてもいい。
その場合なら、とりあえずわたしでも誰でも、相手できるからさ……!
で、そんなわけでクリスマス休暇明け。わたしたちはホグワーツに戻ってきたわけだけど……。
「リン、クリスマスプレゼントでハリーにファイアボルトが届いたみたいよ。差出人は不明だけど、これって……」
「うん、そうだね。まず間違いなくシリウス様だと思う。よかった、無事ではあるんだね……」
原作通り、ハリーには差出人不明のファイアボルトが届いてた。
よかった。ここまでマジでまったくシリウスの影がないから、どこかでのたれ死んでるんじゃないかって最近マジで思い始めてたところだからね。
生きてて、かつプレゼントの購入と発送ができる状態にあるってことがわかって本当に良かった。
まあ原作と違って、ハーミーがわたし伝いにシリウスの無罪を知ってるから、ファイアボルトのことを先生に報告することはなかったし、連動してハリーやロンと疎遠になることもなかったんだけど……。
休暇から戻ってきたグリフィンドールの男子たち(あとクィディッチに狂ってる一部の女子)がファイアボルトで大盛り上がりしてたものだから、結局は普通にマクゴナガル先生にバレた。
彼女もクィディッチに狂ってる人ではあるけど、凶悪犯に狙われてる状況で贈られてきた、差出人不明の品を疑うくらいの理性はある。だからファイアボルトは調査のために、没収されることになった。残当。
まあ最終的には戻ってくるから別にいいじゃん、とは思うんだけど。思春期の子供からしたら納得はできないってことなんだろうね。
あと、没収されたタイミングが原作より遅かったからか、次の試合に間に合わない可能性が普通に高い。
仕方ないから、そのときはわたしの昴48式を貸してあげることにしたよ。
単純な勝敗だけじゃなくって試合終了時点の点数も寮杯に関係してくるから、これはスリザリン的に利敵行為なんだけど……ハリーにはどんなに小さくても、幸福な記憶を増やしてもらわないといけないんだよね。
対ディメンターのための守護霊の呪文習得は牛歩みたいだし、ストックになるだろう幸せな記憶は持っておいてもらわないとあとあと困る。クィディッチの優勝がそれになり得るんだから、これくらいはいいでしょう。
ただ、わたしには一つ気になってることがある。ハリーにファイアボルトを贈ったってことは、シリウスはハリーがニンバス2000を失ったことを知ってるってことなの?
それとも単純に、ジェームズの息子には箒だろう! どうせ贈るなら最高級品だ! ってだけなのか。
もしも仮に、シリウスが先日のクィディッチでの顛末を知ったうえでファイアボルトを贈ってた場合、あの会場周辺にシリウスがいたか、ホグワーツの中にいる誰かと繋がっている可能性が出てくる。
その場合、シリウスはホグワーツの内部にいるってことになるわけで……だけどわたしは今に至るまで、彼をまったく見つけられてないわけで……。
うーん、本当にどうなってるんだ? ホグワーツに来てなくって、深い意味もなく箒を贈ったって可能性もあるけど、なんだか違う気がするんだよなぁ。
……このファイアボルトが、そもそもシリウスからじゃない可能性もゼロじゃないとは思うけど。そうだとしたらもう何もかも話が変わってくるから、それは考えたくないなぁ。
まあ、去年や再来年以降のことを考えれば、平和な学生生活ができてる今年は恵まれてるんだろうけどさ……。どうせ平和な学生生活を過ごすなら、懸念事項はさっさと終わらせたいよぉ。
「ダフネー! 休暇中に聞かれた音楽の件、オッケーもらえたわよ!」
そんなある日のこと。夕食の直後に届いた手紙を読んだパンジーが、嬉しそうに声をかけてきた。
「まあ、本当ですの? 突然の話の上に、話の内容も世間的には胡乱なものに入るものでしたでしょうに、やっていただけるなんて」
「本当にね! 私も正直、わざわざラブグッドのやつに歌わせる曲作るなんて無理でしょって思ってたんだけど……パパが『マグルの音楽なんぞに負けてられるか!』ってなんかやる気になっちゃったのよねぇ」
「ああ……目に浮かぶようですわ……」
パンジーの家も、コッテコテな純血主義の家だもんなぁ。ホグワーツでマグルの音楽が大流行りしてるなんて聞いたら、黙ってられないか。
「えっと……『年度末までに、本当の音楽というものを穢れた血どもに聞かせてやる。待ってなさい』ですって」
「……どこかで聞いたことのあるフレーズですわね……」
そうだね、美味しんぼだね。
でもパパキンソンが知ってるはずないから、ただの偶然だと思うよ。パンジーも首傾げてるじゃん。
「それにしても、これが本当にダフネの呪いを解くのに繋がるなんて、いまだに信じがたいわね」
「気持ちはわかりますわ。ホグワーツで習う、どの魔法とも異なる理論の話ですものね」
そんなことを話してるパンジーだけど、ダフネからのお願いに二つ返事で引き受けてくれたの知ってるんだからな。
細かい理屈はなんもわからんけどお前のためなら、ってことでしょ? 友達想いなスリザリンの鑑だよ。
あ、ちなみに例のワンナイトラブ以降、パンジーがわたしに絡んでくることはめっきり減った。
減ったけど、いまだにわたしのほうをちらちら気にしてる辺り、未練がないわけじゃないんだろう。
わたしも未練タラタラなので、どうにかしてもう一度なんとかならんか? とは思ってるんだけど、まあ、それはなるべく考えないようにしてるよ。
ただその、わたしを見る頻度が減った代わりに、一年生の小柄な女の子たちのほうを見るようになってるのは気になるところですよパンジー様。
意識してわたしを見ないようにしてるのは、なんとなくわかるんですよ。でもその、視線の色合いが……。
わたしは外見年齢と精神年齢がかみ合ってない転生者だからまだしも、ガチティーン未満な女の子をそういう風に見るのは……。
なんていうか、だいぶ「ガチ」な感じがするっていうか……。
もしかしてわたしは、パンジーの性癖をマジでぶっ壊してしまったんじゃないだろうか……?
だとしたらそれはその、なんていうか、本当にごめんなさいというか……。
***
その翌朝のこと。追加の手紙がパンジー宛てに届いた。
「『どういう曲に対抗しようとしてるのか知りたいので、サンプルなどあれば教えてください』ですって」
「そういうことでしたら、リンに色々出してもらいますわね」
パーキンソン家お抱えの楽団のコンマスからの手紙だった。どうやら本当に、マグルの音楽に対抗するつもりで動いてるらしい。
大丈夫? 下手なことしたらパパキンソンに大目玉じゃない?
なんて思ったけど、どうやら楽団のひとたちはパパキンソンからあれこれ口出しを受けつつも、それに沿う曲とわたしたちの意向に沿う曲、それぞれ作ってやるって意気込んでるらしい。
確かにそれならどっちの要望にもこたえられるだろうけど、よくやるなぁ。聞くところによると、マグルの曲に相当インスピレーションを受けたみたいで、テンションがバカみたいに上がってるらしい。
いわく、芸術のいい悪いにマグルも魔法族も関係ねぇ! らしいですよ。うーん、これは信用できる音楽家。
わたしにできることは参考になる曲のレコードを送りつつ、それで彼らが干されないことを祈るくらいだ。
そういえば、魔法界の芸能界にも枕営業なんかもあったりするのかな。わたし、気になります!
とりあえず、次の夢の中のえっちテーマはこれで決まりだな……なんて思うなどする。
「今後、音楽についてのやりとりはダフネに任せていい? パパはああ言ってたけど、どういうのがいいかはラブグッドにあれこれ仕込んでるダフネのほうがわかるでしょ? 間に私たちが入るよりは、直接やり取りしたほうがいいと思うのよ」
「確かにそうですわね。では今後は、そのようにいたしましょうか」
「ふふ、どんな曲ができるのか楽しみね。マグルの曲なんて興味ないし、ラブグッドのことは正直あんまり期待してなかったんだけど……あの子うまいワケ?」
「上手ですわよ。オペラなどの歌劇とはジャンルが違うので、そういう上手さを想像してはいけませんけれどね」
「ふーん、そういうもの? ダフネがそう言うなら、ちゃんと期待しとこうかしら。ラブグッドも一応は純血だし」
最終的にそんな感じで、プロの音楽家と直接やり取りできる権利が転がり込んできた。ナイスだパンジー。
ちょくちょく純血主義な発言が混ざるのは、もうご愛敬と言うしかないだろうけど。
「届く手紙の文字が、だんだん読みづらくなっていくのはなんとかしていただきたいですけれどね……」
「テンション上がってるんだろうねぇ。そんなにマグルの音楽が真新しかったのかな……」
そんなことを話しつつ、最近は当の音楽家さんがリリースしてるレコードを必要の部屋で聞いてるわたしたちです。
ただ、リリースされてる曲がどう聞いても吹奏楽なんだよなァ。それもオーケストラ寄りの、歌詞がないやつ。
パパキンソンが「本当の音楽を聞かせてやる!」って息巻いてるのを象徴するかのような、ザ・魔法界の音楽って感じなんだよ。
もちろん音楽自体を否定するわけじゃない。プロだから演奏に不満はないし、素直にいい曲だと思う。
ただ、普段こういう曲をやってる人たちに、アイドルが歌うような曲が作れるのかなっていう……ね。
っていうか、イギリス魔法界のヒットチャートの常連にいる妖女シスターズがロックバンドな辺り、魔法界にもロックの波は来てるはずなんだよな。
にもかかわらず、パパキンソンが推してるのが吹奏楽ってのがなんかこう、とっても嫌な予感がしますね!
こうなってくると、彼らがマグルの音楽から得ているというインスピレーションが、どの程度のものか次第かなぁ、これは。
ただパクリだけはやめてくださいね、ホント。著作権の話は色々とややこしいからね……。
「そう言えばなんだけど、ホグワーツでは音楽の授業とかやらないのよね?」
そんな音楽を聴いてるさなか、ふとハーミーが疑問を呈した。
「やりませんわねぇ。なので魔法界で音楽をやろうとするのは、大体生まれたときから楽器に触れられる環境にあった人ですわね」
「日本の儀式魔法を見てると、音楽にも魔法的要素はあるように思うんだけど……マホウトコロではどうなんだっけ」
「低学年のうちは音楽の授業あるみたいだよ。7歳から入学できるから、あんまり幼いうちは魔法ばっかりやるわけにはいかないんだと思う」
なんなら国語教育とか、そういう基礎的な教育が中心だからなマホウトコロの低学年。
とはいえ、これはマホウトコロの生徒数が少ないからできることだとも思うけどね。ホグワーツの規模でとなると、そういうのは難しいんじゃないかな。
「単純に、音楽を使う魔法がヨーロッパじゃ発達しなかったンじゃない?」
「それだけかしら……だとしても、どういう背景で発達しなかったのかしら……ううーん、興味深いわね……」
腕を組んで歴史のロマンに想いを馳せてるハーミーには、今度イシュカに話を聞きに行こうと言うことになった。彼女なら何かしら知ってるでしょう。
ということで聞いてみたところ。
『主様含めた創設者四人の、好きな音楽のタイプが全然違ったからじゃろうなぁ。なんか、取っ組み合いのケンカしたとか聞いたことあるのじゃ』
まさかの音楽性の違いだった。これにはハーミーもポカン顔。
まあ、歴史って案外そういうもんだよね。見方を変えれば、創設者四人の人間味あるエピソードだ。
ただ、良くも悪くもホグワーツがイギリス魔法界に与える影響は、めっちゃデカいんだなぁとも思うかな。
あ、ちなみになんだけど、ルーナのライブはイシュカにも八咫鏡で見せてる。やっぱね、一人っきりの彼女にこういう娯楽は大事だと思うわけ。
でもって、イシュカにもリアルタイムで見れるように両面鏡を改造中です。
始めたばっかりだから、さすがに次のライブには間に合わないだろうけど。やっぱりライブって、リアルタイムで体験を共有することに意義があるって思うからね。
『ルーナの音楽、妾も楽しみじゃ。次も期待しとるからな』
「ん、任せて」
ルーナにそう言うイシュカは、いつにも増してニコニコしていた。かわいいね。
そんな彼女のためにも、もっともっと頑張っていきたいですね!
よぉし、今回はわいせつは一切ない、健全なほのぼの回だったな!
健全なほのぼの回だった! 誰がなんと言おうと、ほのぼのッ!!
・・・え? 仮にほのぼのだとして、そういう話はあといくつあるんだって?
・・・わ、わかんないッピ・・・。