ダンジョンマスター異世界侵略記   作:フリー123456789

24 / 36
第22話 ゲート

 

 ゲートの先は、レンガでできた広めの部屋であった。扉が付いていない部屋を出ると入口付近に兵士が2人左右に立って居た。彼らは、ジャックたちを見るとこの場所、簡易拠点について説明する。

 

 アランを信用するしないにかかわらず、正確な情報を知る上で兵士の話は聞くべきだろう。 だが、彼らは、兵士の話をほどほどに聞くと部屋の外に広がる更に大きなレンガの囲いを出てゲートの探索を開始した。一刻も早くこの未知を探求したいとパーティーメンバーの誰しもが思った。

 

「未知の世界……。ワクワクしてきだぜ」

「気を抜くなよ。アラン、案内頼む」

「あぁ、分かった」

 

 簡易拠点の外は、まさしく迷宮であった。床には青白いレンガが敷き詰められている。壁や天井に至るまでそのレンガは続いていた。横幅は10人が横並びになれるかどうかだ。ジャックは、低ランクの時に受けた王都の下水道洗浄用に放たれたスライムの異常繁殖討伐依頼の際に見た地下道に似ていると感じた。簡易拠点に近いため人通りも有る。ジャックたちは、無駄に疲労しないために警戒を緩めにした。

 

 気力を節約しながら歩いていると道の先が広い空間であることに気付いた。ジャックはパーティ―のスカウトであるトムにハンドサインを送った。合図を受け取ったトムは、可能な限り気配を消し道の先を注意深く観察する。前方に広がる空間の安全を確認すると、後ろに控えているパーティ―に合図を送り前進する。

 

 空間の広さは、簡易拠点と同じくらいだ。これも事前情報であるアランの言葉通りであった。それもそのはず、簡易拠点は空間を改良して作られたものだ。外から持ってきた資材を使いゲートを囲いその後、空間に繋がる4つの道の内1つだけを残し、残りの3つをレンガで閉ざして作った。敵に囲まれないように構築された簡易拠点だが、未知の領域を狭める行為だとして咎める冒険者も少なくない。だが、残された道からでも閉ざされた入口の向かい側に辿り着くことは確認できている。

 謎のゲートを未知から既知へと変え王国の不確定要素を取り除きたい王家。未知の探求は賛成だが、冒険者あってのギルドであるため安全を担保したい冒険者ギルド。両者の協議の結果、冒険者ギルドの策を取った。その代わり、冒険者ギルドは王国兵士を臨時守衛として雇うことを約束した。国家からの干渉を受けないことを是とする冒険者ギルドとしては、異例のことであった。

 

 冒険者ギルドと王家の政治的駆け引きの中、作られた簡易拠点。

 ジャックたちが居る空間も同じように4つの出入り口がある。それぞれ道と繋がっており、その先には同じように空間があるのであろう。ここで1つ問題が浮上する。どのルートを通るかだ。

 前回、アランが旧パーティ―で潜った時は何も考えずに直進し続けて全滅した。彼の体験を基に考えるならひたすら直進し続けるのは、奥深くまで探索できるだろうが危険度もその分増す。

 では直進せず右左折しながら進むのはどうだろうか。なるほど、曲がった回数を覚えることができれば問題は無い。覚えることができずとも床に目印を作るなど工夫をすれば良い。だが、いつ襲って来るか分からない魔物を相手に取りながら帰り道の目印を作ることはできるだろうか。仮に作れたとしても、他の冒険者も同じようなことをしないとは限らない。他の冒険者の目印と混同して更に奥へと向かってしまえば本末転倒だ。

 

 だが、ジャックたちは空間の安全を確認すると迷うことなく直進する。アランの話を聞いた時点でジャックは同じルートを進むことを考えていた。アランを残し全滅したルートだが、逆に言うとCランク冒険者程度の実力があれば、帰還することができる。万年Dランクのトムとジムは最初こそ反対していたが、ジャックの必ず守るという言葉を信じて従うことにした。

 

「おかしい……」

 

 慎重に奥へ奥へと進んでいっている時、ジャックがある違和感を感じそう呟くと歩みを止めた。ジャックが止まるとハルも止まり、その後ろに続くアランたちも連鎖的に移動を中断する。

 

「どうしたんだジャック。いきなり止まるなよ」

「お前たち、違和感に気付いたか?」

「違和感?」

「あぁ。何で俺たちは一度も死体と遭遇してないんだ?」

 

 ジャックは先程から感じる違和感についてパーティ―に告げた。ゲートが出現してからある程度の日数が経っており、ゲートを潜った者もかなりの数となる。探索する冒険者の数は、ゲート周辺のインフラが整っていくごとに増加し、ゲート街ができる頃には、遠く離れた王都にまでその噂が流れる程であった。ゲートに潜る冒険者が増える度に、ゲートの中で死ぬ冒険者も増えていく。だが、ジャックたちはここまでの道中、一度も死体と遭遇していない。

 これが外であれば、ジャックも違和感を抱かなかった。魔物が食べ残した生物の死骸や、冒険者が討伐し素材として回収しなかった魔物の死骸等をスライムが主食として綺麗に消化するからだ。だが冒険者ギルドからの情報によるとゲートには、スケルトンとスケルトン・ナイトしか出現しないという。死者は生者を憎み積極的に殺そうとするが、死体を処理したり移動させたりすることは無いはずだ。ここで死んだ冒険者が新たなスケルトンとして活動する可能性もあるが、それにしてはスケルトンになった時に地面に落ちたであろう腐った肉体や戦闘の痕跡が見当たらない。

 

「スライムみたいにゲートが食べてんじゃねぇか?ここってスケルトンの世界らしいし。生者を食って新たにスケルトンを作ってんじゃね?何てな。ははは!」

「……冗談きついぜトム」

「それよりも移動するぞ。移動しないと敵に囲まれるかもしれないぞ」

 

 ハルの言葉を契機にパーティ―の探索が再開される。

 

「……冗談きついぜ、本当に」

 

 ジャックの呟きを聞き取れた者は居なかった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。