幻想郷に迷いしカスカベ防衛隊   作:匿名ねこ

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本当なら1話でまとめたかったのですが、話があまりにも長くなってしまう為、2話に分割して投稿しようと思います!

また、再三言いますが、私の考えたオリジナル設定がこれから濃く現れる為、苦手な方はブラウザバックを推奨します!

それでも良い方はどうぞ!(モチベ向上の為、感想や評価待ってます!)


4話 紅魔館のメンバーとご対面だゾ!

 気がつけば、どこか薄暗く、ひどく沈んだ空間に立っていた。空気は冷たく、妙に重苦しい。そして部屋の中には、無残に破れたぬいぐるみや、バラバラになった人形が散乱している。言いようのない不快感が、肌にまとわりついて離れない。

 

 

 そんな中、部屋の中央にぽつんと、少女が座っていた。

 

 

 金色の髪──それはきっと、陽の光を浴びたら美しく輝くだろう。だが今は、暗がりの中でどこか色褪せて見えた。彼女は静かに膝を抱えて、震えながら泣いていた。

 

 

「だ、大丈夫……?」

 

 

 自然と口をついたその言葉。しかし、発した途端、風間君の背筋にゾクリとした寒気が走る。 心臓の鼓動が急に速くなり、嫌なほど耳に響く。汗が、額から、背中から、にじみ出る。

 

 

 少女のすすり泣きがぴたりと止まった。そして、ゆっくりと──不気味なほどゆっくりと、少女はこちらに顔を向けた。

 

 

「────っ!」

 

 

 その顔を見た瞬間、風間君は息を呑んだ。

 

 

 そこにあるはずの可憐さや無垢さは、どこにもなかった。目は血走り、唇は不自然に吊り上がり、まるで壊れた人形のような──いや、それ以上におぞましい、“歪んだ何か”がそこにいた。

 

 

 風間は反射的に後ずさる。だが、背中に冷たい壁がぶつかり、それ以上逃げ場はなかった。少女は立ち上がり、ひとつ、またひとつと、無言でこちらに歩み寄ってくる。目が離せない。足も動かない。ただ、息苦しさだけが増していく。

 

 

「……や、やめて……来るな……!」

 

 

 声はかすれ、空気に呑まれていった。そして──少女が目の前まで来る。

 

 

 彼女の腕が、ゆっくりと伸びる。鋭く尖った爪が、まるで風間君の腹部を狙うかのように持ち上げられた。

 

 

「────ッ!!!」

 

 

 瞬間、全身に走った恐怖に、風間は叫び声を上げて──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわああああっ!!」

 

 

 

 ──目を覚ました。

 

 

 息を荒げ、額には冷たい汗。心臓はまだ激しく鼓動している。視界に映るのは、薄暗い天井。そして、紅魔館の客間の天蓋付きベッドのカーテンだった。

 

 

「ゆ、夢……?」

 

 

 風間君は震える手で額を拭いながら、原始的だが頬を抓ったりして必死に現実かどうかを確かめる。

 

 

「なんだよあの夢……それにしてもあの夢の人、誰かに雰囲気が似てるような…」

 

 

 だが、誰なのかまでは思い出せない。朧げに残る、あの少女の歪んだ顔だけが、頭の中で何度もフラッシュバックする。

 

 

 気を紛らわせるように、風間君はベッドから身体を起こした。そしてトイレへ行こうとしたその時──

 

 

「──っ!?!?」

 

 

 目の前に、咲夜が突如として現れた。

 

 

「うわっ!? な、なんですか急に!! 驚くじゃないですか!!」

 

 

 肩を跳ねさせながら、風間君は怒気混じりに声を上げたが、咲夜は微動だにせず、あくまで淡々とした口調で告げた。

 

 

「風間様、おはようございます。朝食の準備ができましたので、お早めにホールの方へお越しください。それでは、失礼いたします」

 

 

 そう言い終わるが早いか、彼女はまたしても一瞬で姿を消した。

 

 

「……本当に何なんだよ」

 

 

 唖然としつつも、風間君はひとまずトイレを済ませ、案内された通りホールへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カリチュマ祈祷中・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 重厚な扉を開けると、そこには昨日と同じようにレミリアが座っており、咲夜はその傍らに控えている。だが今日は、それだけではなかった。テーブルの対面には、新たな人物が二人座っている。

 

 

 一人は長い紫がかった髪を持ち、ぶ厚い本を片手に無言で読んでいる少女。落ち着いた佇まいに加え、何か只者ではない空気を放っていた。

 

 

 そしてもう一人は、その隣でにこやかに微笑んでいる、角のような飾りをつけた女性。翼のような装飾も見え、どこか悪魔めいた雰囲気がある──が、態度はとてもフレンドリーそうだ。

 

 

「やっと目覚めたか」

 

 

「は、はい……おはようございます」

 

 

 レミリアが軽く手を上げて、艶やかな笑みを浮かべる。その演技まだ続けるのかと内心思いながらも、風間君は空いた席に座り、そっと周囲を見回した。

 

 

「えっと……この方たちは……?」

 

 

 別に自分から聞かなくても紹介はしてくれると思ったが、一応自分から聞いた方が良いのかなと思い、疑問をレミリアに投げかける。

 

 

 すると、「そうか、まだ紹介していなかったな」と、レミリアがゆるやかに手を動かす。

 

 

「そこに座っているのはパチュリー・ノーレッジ。私の古くからの友人で、大図書館の主だ。そして隣が小悪魔。彼女はパチュリーの補佐をしている」

 

 

「……どうも」

 

 

 まるで風間君には一切興味は無いと言わんばかりに、パチュリーは本から目線を上げず、淡々と挨拶を返すだけだった。

 

 

「こんにちは~♪ 私は小悪魔ですっ! よろしくお願いしますね♪」

 

 

 こちらは打って変わって明るい口調で、ぴょこっとお辞儀をする。

 

 

「ど、どうも……しばらくの間お世話になる風間トオルです。よろしくお願いします……」

 

 

 風間君はその反応差に少し戸惑いながらも、二人に対して軽く頭を下げる。今のところ敵意は感じられないが、この館にいる者たちはどこか皆、掴みどころがない。

 

 

 

「……ところで咲夜、門番はどうした?」

 

 

 食事が始まる少し前、レミリアがふと思い出したように問いかけた。

 

 

 門番──。それはたしか、昨日咲夜が言っていた、自分を見つけてくれたという“美鈴”という人物のことだろう。風間君は、心の中で名前を反芻する。

 

 

 咲夜はためらいもなく答えた。

 

 

「また門前で寝てサボっておりましたので、そのまま置いてきました」

 

 

「…まったく、あいつは……」

 

 

 レミリアは深くため息を吐き、手でこめかみを軽く押さえる。

 

 

「まあいい。それより──食事にしようではないか」

 

 

 気を取り直すようにそう言うと、場に再び静けさが戻る。レミリアの言葉に合わせ、パチュリーがようやく手にしていた本から視線を外した。そして無言で本を小悪魔へ手渡す。小悪魔は笑顔で本を受け取り、丁寧に抱えるように持った。

 

 

 テーブルには美しく盛り付けられた料理が並んでいた。銀の皿に湯気を立てるスープ、香ばしく焼かれた肉料理、繊細なソースとともに彩られた野菜──どれも見た目からして一流の品だ。

 

 

 風間君は恐る恐る、ナイフとフォークを手に取り、一口、口へ運んだ。

 

 

「……っ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 美味い──本当に美味い。

 

 

 これまで、家族で高級レストランに行ったことも何度かあったが、それらに引けを取らないどころか、それ以上の完成度だとすら思えた。食材の旨味、香り、食感、そのすべてが完璧だった。

 

 

 そんな風に最初は料理に感動していたが、ふと気づく。周りの空気があまりにも静かすぎることに。気まずいほどに、誰も何も話さない。ちらりと周囲を見回すと、誰もが各々の食事に集中しているようだった。

 

 

 

 レミリアは優雅に、貴族のような所作でナイフとフォークを操り、まるで儀式のように食事を楽しんでいる。

 

 

 パチュリーはというと、感情の見えない無表情で黙々と口に運んでいる。まるで“栄養補給”のために淡々とこなしているようだ。

 

 

 小悪魔は相変わらず笑顔を浮かべているが、誰とも会話する様子はない。時折、パチュリーのほうに視線を送りつつも、静かに食事を続けていた。

 

 

 そして咲夜は、レミリアの背後で静かに控えている。

 

 

(……なにこの空気……)

 

 

 どんなに美味しい料理も、これでは味がまるで感じられない。結局、風間君は緊張しっぱなしのまま、食事を終えることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫もやし祈祷中・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 地獄の様な食事を終えた後、パチュリーと小悪魔は「図書館へ戻ります」と一言だけ残し、席を立って出て行った。

 

 

 咲夜も静かに食器の片づけに向かっていく。

 

 

 ………っとなると自然に、テーブルには風間君とレミリアの二人だけが残された。重く感じる静寂の中で、レミリアがふいに口を開く。

 

 

「……食事は満足したか? 咲夜の料理は絶品であっただろう」

 

 

 相変わらず、どこか芝居がかった威厳ある口調だった。その様子に、風間君は思わず苦笑しながら言った。

 

 

「二人きりなんですし、普通に話せばいいんじゃないですか?」

 

 

 するとレミリアは、少しだけ肩の力を抜いたように、静かに笑った。

 

 

「……それもそうね。それと……何と言うか、気まずかったわよね? 誰も話さないから」

 

 

 レミリアの言葉はどこか自嘲気味で、微かな影を帯びていた。

 

 

「はい。正直、かなり気まずかったです」

 

 

 風間君が素直に返すと、レミリアはふふっと苦笑した。

 

 

「あはは……そうよね。これもね、私が“食事中は淑女たるもの、無言で優雅に食事をとるべし”って命令を出したからなのよ。全部、演技のためにね」

 

 

 レミリアの声には、どこか虚しさが混じっていた。

 

 

 その様子を見ていた風間君の胸には、ふとした違和感と、言いようのない哀しさが込み上げてきた。

 

 

「……それって、辛くないんですか? 寂しくなったりしないんですか?」

 

 

 ふと、そんな問いが口をついて出た。

 

 

 レミリアの動きがわずかに止まる。彼女は視線を伏せ、唇を閉ざしたまま、数秒の静寂が流れた。

 

 

 

「………ええ。全く辛くもなければ寂しくもないわ。これは威厳を落とさない為にも必要な事だから……だから別に……」

 

 

 そう答えたレミリアの声は、どこか遠くを見つめるように淡く、そして脆かった。それ以上の言葉は続かなかった──が、それでも風間君にははっきりと分かってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────絶対にそれは、嘘だと。

 

 

 たしかにレミリアは表情を変えずに答えた。けれど、その瞳の奥に揺れる陰りと、微かに震える声の調子──それは、明らかに強がりの裏に隠された本心が滲み出ていた。

 

 

(辛くないはずがない。寂しくないわけがないじゃないか……)

 

 

 風間君は、何か言わなければ──と口を開きかけたそのときだった。

 

 

「それに、私は“そうあるべき存在”なのよ」

 

 

 レミリアが、静かに言葉を重ねた。

 

 

「この紅魔館を守る者として、誇り高く、冷静で、誰よりも気高くなくてはならない。例え、孤独だったとしても……だから、私が辛いなんて、そんなこと……」

 

 

 そこで再び言葉が途切れた。

 

 

 微かに手が震えているのを、風間君は見逃さなかった。

 

 

 

 ──彼女は、自分を縛っている。誰よりも孤独に。

 

 

 誰よりも誇り高く、誰にも心の内を見せずに。

 

 

 その強さが、5歳児であるものの、痛いほどに哀しく感じた。

 

 

「……それでも、僕は……」

 

 

 風間君は意を決して口を開いた。

 

 

「辛いときは、辛いって言っていいと思います。寂しいときは、誰かに甘えてもいい。……それって、弱さじゃないと思うから」

 

 

 レミリアは一瞬、目を見開いた。

 

 

 そして、ほんのわずかに、ほんの一瞬だけ──その瞳に揺らぎが見えた。

 

 

「……ふふっ、貴方は優しいのね」

 

 

 微笑みの中に、どこか寂しさを隠し込んだような表情で、レミリアはそう呟いた。

 

 

「でも、私は……もう、そういう生き方を忘れてしまったのかもしれないわ」

 

 

 それが強がりか、本心かは分からない。けれど、その姿は、どこまでも儚げに映った。

 

 

「……………」

 

 

「……………」

 

 

 

 二人の間に、再び静寂が流れる。けれど、レミリアはその沈黙に終止符を打つように、ふと口を開いた。

 

 

 

「……ところで、今日は貴方にやって欲しいことがあるのだけれど……いいかしら?」

 

 

 その問いかけに、風間は少し驚いた表情を見せたものの、すぐに頷いた。

 

 

「もちろんです! 僕、ここで助けてもらった恩もありますし……できることであれば、何でもやります!」

 

 

 その言葉を聞いた瞬間、レミリアの瞳にふと影が差す。わずかに俯きかけた彼女の横顔には、一瞬だけ──罪悪感にも似た曇りが浮かんでいた。

 

 

 だが、それもほんの一瞬のこと。すぐに彼女はいつもの調子を取り戻し、再び優雅な微笑みを浮かべて言葉を継いだ。

 

 

「実は……パチェ──ああ、パチュリーのことよ。彼女から借りていた本を返してほしいって言われたの。でも、あいにく私には他の用事ができてしまってね。咲夜も朝からずっと家事で忙しそうだし……だから、代わりに貴方に届けてもらいたいの」

 

 

 そう言って、レミリアは椅子の傍から一冊の本を手に取る。それは、重厚な革装丁の古びた書物だった。表紙には古代文字のような、奇妙な記号が刻まれているが、風間君には読めなかった。

 

 

「これを“大図書館”に届けてほしいの。パチェに渡してくれれば、それでいいわ」

 

 

「分かりました。任せてください」

 

 

 風間君は力強く頷いた。するとレミリアは、今度は懐から小さな紙片を取り出した。

 

 

「……これが大図書館への道順よ。初めての場所だと迷うかもしれないから、分かりやすくメモしておいたわ」

 

 

 その地図には、廊下の曲がり角や階段、扉の位置まで細かく記されていた。明らかに、あらかじめ用意されていたものだ。

 

 

(最初から、僕に頼むつもりだったんだ……)

 

 

 風間君は心の中でそんなことを思いながらも、丁寧に頭を下げる。

 

 

「ありがとうございます。すぐに行ってきますね!」

 

 

 そう言って、彼は椅子を後にし、メモを手に扉の方へと向かった。ドアノブに手をかけて、このホールを去る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……だからこそ、気付けなかった。ホールを後にしたその瞬間、背後から微かに漏れた一言を────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………ごめんなさい

 




お読みいただきありがとうございました!

レミリアが最後に言った言葉、これは何に対してなのでしょうか……?

そして威厳を保つためと言っているが、本当に必要以上に演技を続ける理由はあるのか…?


次回、この謎が解き明かされるのでしょうか……?








ちなみにこの騒動の後、美鈴は咲夜に何故呼ばなかったのかと文句を言いますが、一瞬で串刺しになりました。
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