幻想郷に迷いしカスカベ防衛隊 作:匿名ねこ
小説の投稿が遅れてしまった理由は、モチベーションの低下によるものです。執筆活動を続ける中で、なかなか筆が進まず、皆様に作品をお届けするまでに時間がかかってしまいました………
そしてそして!!! 思い付きで書いた小説でしたが、いつの間にか評価が赤になっていたので驚きました!
これからも皆様に楽しんでいただけるよう、精進して参ります!
※今回は生存確認を含めた投稿ですので、少々内容が薄めです。
リビングに漂う沈黙は、まるで空気そのものが重く沈殿していくようだった。テーブルの上には、すっかり冷めたコーヒーカップがふたつ。白い湯気の名残すら消え失せ、ただ無言で時の流れを証明するだけだった。
壁掛け時計の秒針が刻む乾いた音だけが、静まり返った空間に不気味に響いていた。テレビの画面では、脈絡なく流れるワイドショーや地域ニュースが垂れ流されている。
「──現在もなお、双葉幼稚園に通っていた五名の児童が行方不明となっており、警察は引き続き情報提供を呼びかけています……」
キャスターの平坦な声が、機械的に部屋の空気をかすめていく。だが、その言葉は──”野原みさえ”と”野原ヒロシ”の心には、もはや届いていなかった。ただ音だけが耳に入ってくる。意味はすり抜け、現実感だけが削がれていく。
みさえの手は膝の上で固く握られ、小刻みに震えていた。唇はきつく結ばれ、表情は焦燥と不安に張り詰めている。
ヒロシは、肘を膝に乗せたまま、背中を丸めてうつむいていた。スーツの袖にできた皺にも気づかぬまま、思考は遠く、答えのない場所を彷徨っている。その横顔には、いつもの穏やかさは微塵もなく、眉間に刻まれた深い溝が、彼の心の内を物語っていた。
そして──
「……もう我慢できない!」
突然、みさえが立ち上がり、テーブルを勢いよく叩いた。陶器のカップが跳ね、小さくカチャリと音を立てる。茶色い液体が僅かにこぼれ、床に染み込んでいく。
「私、やっぱり……探しに行ってくる!」
その声には、怒りとも悲しみともつかない激情が入り混じっていた。
ヒロシが驚いたように顔を上げる。
「おい、待てよ!」
その声には、動揺と苛立ちが混じっていた。
「探すって……どこをだよ? 近所も、あいつの行きそうな場所も……全部警察が調べたって言ってたじゃないか!?」
「それでも……!」
みさえの瞳が潤む。堪えていたものが、滲み出すように。
「私は……母親なのよ……! ただ家で報告を待ってるなんて……そんなの、耐えられるわけないじゃない!」
「……俺だって……!」
ヒロシの声も震えていた。怒っているのではない。ただ、自分の無力さが、言葉を強くしていた。
「俺だって……探せるものなら今すぐにでも行きたいよ。でも……どこへ行けばいい? 何も手がかりがないんだぞ……」
「それでも、じっとしてなんかいられないのよ……!」
言葉がぶつかり合ったあと、ふたりの間には再び沈黙が落ちた。みさえは力なく腰を下ろし、肩を震わせる。ヒロシもまた俯いたまま、それ以上何も言葉が出てこなかった。テーブルの上のコーヒーには、彼らの痛みを映し出すように、波紋が小さく揺れていた。
窓の外では、通り過ぎる人々が、いつもと変わらない日常を過ごしていた。車が行き交い、どこかで子どもたちの笑い声が聞こえる。あまりにも残酷な対比だった。彼らの世界だけが止まり、壊れたように感じられた。
そのとき──
「ふぇぇ……っ!」
微かに、寝室から泣き声が聞こえた。ひまわりだった。そして、シロが窓辺に寄り添い、小さく不安げに鳴いた。彼らもまた、この家の苦しみを敏感に感じ取っていた。
ヒロシは静かに立ち上がる。
「……俺、見てくる」
「……お願い……」
再び静寂が部屋に落ちた。冷えたコーヒーの香りだけが、やけに鮮明に感じられる。
すると──
テレビの映像が、暗く、不気味な雰囲気へと切り替わった。闇に包まれた木々、霧に霞む森、揺れる映像。まるでホラー映画のようなカメラワークに、スタジオのざわめきが重なる。
『続いては、ネットを中心に語られている"現双の森"にまつわる都市伝説です──』
みさえは、思わず画面に目を向けた。普段なら気にも留めないようなオカルト特集。
しかし、その言葉──"現双の森"というフレーズが、彼女の心に鋭く突き刺さった。彼女自身にもわからない理由で、背筋に冷たいものが走る。
画面には、霧に沈んだ森の映像が映し出されていた。歪んだ木々、どこまでも続く同じ風景、不自然に光る何か──。そこには人間の理解を超えた、何か得体の知れないものが潜んでいるように感じられた。
ナレーターの声が静かに語る。
『現双の森──それは古地図にも記載されず、いつの間にか"存在していた"とされる謎の場所です。夜には不思議な光が見える、時間の感覚が狂う、音が消える、知らない景色に出る──そういった証言が後を絶ちません。中には、"森に入った者が二度と戻らなかった"という話も……』
スタジオの司会者が冗談めかして笑う。
『いや~、怖いですね~……でもまあ、都市伝説ってことでしょ?』
スタジオに軽い笑いがこだまする。彼らにとってはただの面白おかしいネタに過ぎないのだ。だが、みさえの顔からは血の気が引いていた。心の奥底で、何かが強く共鳴したような感覚を覚えていた。
そして、突如として立ち上がる。椅子が後ろに倒れる音も気にせず。
「……あなた!!」
声の緊迫感に、寝室へ向かっていたヒロシが慌てて戻ってくる。
「どうした!? 何があった!?」
みさえは、言葉よりも先に、テレビを指差した。その瞳には確信とも呼べる鋭い光が宿っていた。
「しんのすけ……あの子たち……あの森に迷い込んだのよ!!」
ヒロシがテレビに目を向ける。歪んだ森、奇妙な霧、不気味な光──。彼の理性は懐疑的だったが、心のどこかで、みさえと同じ予感を感じていた。
「なんでそんなこと言い切れるんだよ……? 所詮はただの噂だろ……?」
「分かってる……でも……でもね……!」
みさえは胸元を掴み、震える声を絞り出す。
「あの話を聞いた瞬間、分かったの……直感じゃない……これは、母親としての確信なの……!」
「直感……」
ヒロシは反論しようとしたが、みさえの目に宿る強い意思に、言葉を飲み込んだ。彼女の眼差しは、単なる思いつきではなく、何か根源的な部分で確信に満ちていた。
「それにね、思い出したの……出かける前、しんのすけが言ってたのよ。『今日、みんなで面白いとこ行くんだ~』って……!」
「面白いところ……?」
「現双の森ってね……子どもたちの間では"秘密の探検スポット"みたいに言われてるって、前に聞いたことがあるの……!」
みさえの言葉に、ヒロシの目に光が戻ってきた。それはほんの僅かな手がかりだったが、何もなかった状況からすれば、一筋の光のように思えた。
ヒロシは唇を噛み、拳を握った。指の爪が掌に食い込むのも構わず、強く。
「……警察もそこまで目を向けてなかったのか……だとしたら……」
「あなた……今すぐ行きましょう!!」
みさえの目には涙が溢れていたが、その声は揺るぎなかった。
「私たちが動かなくて、誰が動くの!? 今、この瞬間にだって、何か起きているかもしれないのよ!」
ヒロシは深く息を吸い、再びテレビに映る映像を睨みつけた。そして、決意に満ちた目で妻を見つめる。
「……分かった。行こう、みさえ。絶対に──見つけ出してやる」
その言葉には、父親としての覚悟と、家族を守り抜く強さが宿っていた。
そして、みさえとヒロシは、必要なモノを慌ただしくかき集めていった。非常食に、懐中電灯、タオルに水、そして地図と方位磁石──何が起こるか分からないからこそ、万全に備えるしかなかった。ヒロシは二階部屋の奥から、普段は使わない登山用のナイフも取り出した。決して武器としてではなく、もしも何かに対応する必要が生じた場合のために。
「これで、準備は……よしっ!」
みさえが息を整えるように深く頷く。棚から取り出した家族の写真を、そっとポケットに忍ばせる。
「ひまわりは、隣のおばさんに預けよう。危ない場所には連れて行けないしな」
そう言いながら、ヒロシはひまわりを抱き上げる。だが、その瞬間──
「ふぎゃあああああ!!!」
ひまわりが、激しく身をよじって暴れ出した。まるで「行きたくない」とでも言うように、手足をバタバタさせ、涙を浮かべて訴える。その小さな体に込められた意思は、あまりにも強く、鮮明だった。
「えっ? ……ひま、もしかしてあんたも……お兄ちゃんを探しに行きたいの?」
みさえが戸惑いながら問いかけると、ひまわりはピタリと泣き止み、力強く──こくん、と頷いた。その瞳はまっすぐで、幼いながらに覚悟すら感じさせる。ひまわりの目には、自分もこの家族の一員であるという強い自覚が宿っていた。
「……家族は一心同体だ」
ヒロシが静かに呟いた後、力強く続けた。
「行こう、みんなで! ひまわりも一緒だ…! こいつにも、家族の一員として戦う権利がある」
みさえも微笑みながら頷く。その笑顔には、久しぶりの希望の光が宿っていた。
「そうね、私たちは全員で一つよ! 野原家は絶対に誰も置いていかないわ!」
そして──みさえがリビングの窓を開けた。外の空気が室内に流れ込み、重苦しい空気を僅かに追い払う。
「……シロ!」
風に乗って、その声が庭に届く。すると、そこには──まるで待っていたかのように、じっとこちらを見つめるシロの姿があった。その目は、人間のような理解を湛えていた。
「あなたも、捜しに行きたいのよね?」
みさえの言葉に、シロは堂々とした態度で一歩前へ。背筋を伸ばし、胸を張って。
「ワンッ!」
と、迷いのない声で応えた。その表情は、まるで"勿論"と言っているかのようだった。今日のシロは、ただのペットではなく、使命を帯びた家族の一員に見えた。
ヒロシは思いきり拳を振り上げ、声を張り上げる。
「よし、行くぞ──しんのすけたちを助けに!!」
そして、家族全員の声が重なる。
「「野原一家──ファイヤー!!!」」
「たやぁっ!!!」
「ワンッ!!」
そうして、野原一家は車に乗り込む。目指すは、現双の森──我が子を探すため、そして家族の絆を取り戻すために。車のエンジン音が静かな住宅街に響き、彼らの新たな戦いが始まろうとしていた。
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鬱蒼と茂る木々の向こうから、かすかに息づくような風の音が聞こえてきた。野原一家を乗せた車が、現双の森と呼ばれるその場所の入口に滑り込むように停車した。エンジンが止まった途端、まるで時間が凍りついたかのような静寂が彼らを包み込んだ。
「……ここが、テレビでやってた現双の森か」
ヒロシは額に浮かんだ冷たい汗を拭いながら、声を落として言った。その言葉が森に吸い込まれていくようだった。
「なんだか……画面で見た時より、ずっと……怖いわね」
みさえの声は震えていた。その目は巨大な立ち木の隙間から漏れる光と影の奇妙な踊りを見つめていた。彼女の背筋を、目に見えない指が一本ずつ這い上がっていくような感覚が襲った。
森は生きていた。それは単なる比喩ではなく、確かな実感だった。木々が風に揺れるたびに発する軋みは、巨大な生命体の呼吸のようであり、どこからともなく響いてくる低い唸り声は、その生命体が彼らの存在に気づいたことを告げているかのようだった。
それでも───
「でも、ここで引き返すわけにはいかないわ。しんのすけたちが、この奥にいるかもしれないんだから!」
みさえの声に、新たな決意が宿った。恐怖を振り払うように、彼女は拳を握りしめた。
「よし……荷物、全部持ってくぞ」
ヒロシも覚悟を決めたように頷き、重たそうな荷物を肩に担いだ。家族全員が固く決意し、恐怖に震える足を押し殺しながら、森の闇へと踏み出そうとした瞬間──
「──待ちなされ」
時間が止まったかのような沈黙を切り裂き、一筋の蜘蛛の糸のように細く、しかし鋼のように強い声が響いた。
驚いて振り返った野原一家の目の前には、まるで闇から具現化したかのように、一人の老婆が立っていた。深く曲がった腰、大きなつばの帽子から零れ落ちるくすんだ金髪。その姿は、森の一部が人の形を取ったかのようにも見えた。老婆の顔は帽子の陰に隠れ、その表情を窺い知ることはできなかったが、何かが彼らを見つめている——そんな感覚が全員の肌を這った。
「こ……こんにちは、おばあさん……?」
みさえの声が、乾いた木の葉のようにかすれた。
「グルルルーッ!」
シロが突然、毛を逆立てて唸り声を上げた。いつもは人懐こい白い犬の姿に、異質な緊張感が走る。
「……ここは入ってはいけない場所じゃ。入ったら最後、二度と帰ってはこれん。命が惜しければ──引き返すことじゃ」
老婆の言葉は、地下深くから這い上がってきたような、湿った重みを持っていた。その低い声音が、まるで彼らの骨の髄まで染み込んでくるようだった。
「でも、うちの息子が……中にいるかもしれないんです。どんな危険があろうと、行かないわけにはいかないんです」
ヒロシの声には、恐怖を押し殺した決意が宿っていた。
すると——老婆の唇が、かすかに動いた。帽子の陰に隠れているはずなのに、彼らには明確に見えた。それは笑みだった。老婆は笑っていた。その笑みには、何か残酷な予感、あるいは哀れみのようなものが混じっていた。
「……ふふ、そうか。ならば好きにするがいい。わしは、警告したぞ──」
その言葉が、冷たい風のように野原一家の周りを旋回した。みさえとヒロシの胸に、言葉にできない不安が広がっていく。
だが、ひまわりの無邪気な瞳も、シロの警戒に満ちた目も、迷うことなく森の奥を見つめていた。そこに、彼らの愛する家族の姿があるかもしれないのだから。
「……行こう」
ヒロシの短い言葉に、全員が無言で頷いた。そして彼らは、一歩、また一歩と、現双の森の闇へと歩みを進めていった。
その背を見送る老婆の姿は、もはや人の輪郭を保っているのか定かではなかった。
……しかし。
何かに促されるように、ヒロシはわずか数歩進んだところで振り返った──そこには、もう老婆の姿はなかった。
「あれ……?」
ヒロシは目を凝らし、周囲を見回した。しかし、人影どころか、誰かがそこに立っていた痕跡すら見当たらない。まるで幻だったかのように、老婆は完全に消え去っていた。いや、最初から存在していなかったのかもしれない。
「何だったんだ? さっきのばあさん……」
胸に残る不穏な予感を振り払えないまま、ヒロシは再び森の奥へと向き直った。
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どれほど歩いただろうか。野原一家は静かに一歩ずつ森の中を進んでいた。
木々の間を縫うように進んでも、どこまで行っても同じような景色ばかりが続いていた。
「おかしいな……ネットの地図だと、もうそろそろ林道があるはずなんだけど……」
ヒロシが眉をひそめ、スマホの地図と周囲を見比べる。しかし、どの方向を見ても、そこにあるのは同じ形の木、同じような道ばかりだった。
「ねぇ、もしかして……同じところをぐるぐる回ってるんじゃ……?」
みさえが不安げに呟く。
試しに木に目印を刻んでみるも、数分後にはまた同じ木の前に戻っていた。そのことに気づいた時、一家の背筋に冷たいものが走る。
「……コンパスも、壊れてる」
ヒロシがポケットから出したコンパスは、針がくるくると不規則に回っており、まるで方向すら拒むようだった。
「こんなの、まるで……森自体が動いてるみたい……」
みさえの声がかすかに震える。
そして──
不意に、足元に白いものがふわりと流れてきた。見る間に、それは空気全体に広がり始める。その霧は、まるで呼吸するかのように揺らぎ、徐々に視界を覆っていく。霧の奥から、何かが“こちらを見ている”ような感覚が、じわりと背中を撫でた。
ひまわりは母親にしがみつき、シロは低く唸り声を上げた。
そして、一瞬。重力が消失した。
地面は消え、彼らの足元には漆黒の深淵が広がっていた。無数の巨大な"目"が、不気味に瞬きを繰り返す。人間の目とは似て非なるそれらは、狂気の知性を宿しているかのようだった。
「な、何だよ、これは…うおぉぉぉぉ!?」
「何よこれ?! あなたぁぁっ!!!」
「たやぁぁぁっ?!」
「ワンッ!?」
ヒロシの叫びも、みさえの驚きも、ひまわりとシロの訴えも、霧に吸収され消えていく。
現実と幻想の境界が溶け、世界は歪んでいった。夢なのか、現実なのか。その判断さえも曖昧になりつつある。野原一家は、無数の目が見つめる闇の中へ、ゆっくりと、しかし確実に落ちていった。
──ふと、目を覚ました。
「……ここ、は……?」
ヒロシがゆっくりと身体を起こす。土の感触が背中に残っていた。見上げれば、空には淡い雲が流れ、木々の隙間から陽光が差し込んでいる。周囲を見渡すと、すぐそばにみさえとひまわり、そしてシロも倒れていた。皆、意識はあるようで、ゆっくりと身を起こし始めていた。
「みんな……無事か……?」
ヒロシの言葉に、みさえが「うん……たぶん」と息をつきながら答える。ひまわりも小さな呻き声を上げ、眠たげにまぶたをこする。シロは軽く体を震わせると、「ワン……」と弱々しく鳴いた。
周囲を見回してみると、そこは確かに森だった。しかし、あの現双の森とは明らかに空気が違っていた。
あの森にあった“歪み”──異様な木のうねり、不気味な沈黙、ぞわぞわと肌を撫でるような視線。そういった狂気めいた空気はここにはない。風は静かに吹き抜け、木々は自然な形で根を張り、鳥のさえずりすら聞こえる。
「……ここは……どこだ?」
ヒロシが呟いた瞬間だった。みさえがふと、目の前の建物に気づいた。
それは、木の板張りの和風建築だった。二階建てにも見えるその建物は、ところどころ年季が入ってはいるものの、丁寧に手入れされているようだった。屋根は瓦で、軒下には風鈴が揺れている。
そして、その入口の横に立てかけられた木の看板に、こう記されていた。
「……こう…りんどう?」
みさえが看板の文字を読み上げる。
「なんだ、ここ……お店か?」
ヒロシが立ち上がり、埃を払いながら建物に近づく。その瞬間、唐突に扉が音もなく開いた。
──ギィ……
中から、かすかに懐かしい様な、不思議な香りが漂ってくる。誰かが中にいるのだろうか。それとも……自動で開いたのか?
野原一家は、互いに顔を見合わせる。状況はまったく理解できないが、それでも今は、何か手がかりが欲しかった。
「……入ってみるか」
ヒロシが決意を込めて呟き、そっと扉に足を踏み入れた。
その瞬間──
風がふっと吹き抜け、香霖堂の風鈴が、からん、と静かに鳴った。まるで、彼らの訪れを歓迎するかのように。
お読みいただきありがとうございました!
はい、という訳で野原一家も幻想入りしてしまいました!
正直幻想入りさせるか迷ったのですが、野原一家が幻想郷で過ごす姿……見たくない?
さて、現双の森の手前で現れた老婆。彼女は一体何者だったのでしょうか…?
そして、野原一家が辿り着いた場所は香霖堂と書かれた謎の店……皆さんならこの後どのような展開になるか分かるかな…?
次回もこの展開の続きです!
香霖堂の参考画像↓
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